気づいたらデュエルアカデミア   作:りんごうさぎ

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エースの条件

「大当たりだ。和睦の使者を発動! このターン戦闘ダメージをゼロにし戦闘破壊ができなくなる」

「躱した? まさかあたしの読みの上をゆくとでも?」

「あんたの実力は知ってるからな。こっちの意図ぐらいは見抜いてくれると信じてた。さぁどうする?」

「ならもう1枚も破壊するまで! あたしはカードを一枚セットし、魔法カード発動! ヒステリック・サイン! デッキから万華鏡を手札に加える!」

 

 

《ヒステリック・サイン》

永続魔法

このカード名の(1)(2)の効果は1ターンに1度、いずれか1つしか使用できない。

(1):このカードの発動時の効果処理として、

自分のデッキ・墓地から「万華鏡-華麗なる分身-」1枚を手札に加える。

(2):このカードが手札・フィールドから墓地へ送られたターンのエンドフェイズに発動する。

デッキから「ハーピィ」カードを3枚まで手札に加える(同名カードは1枚まで)。

 

 

 チャネラーだけでなくヒステリック・サインまであるのか。あのデッキ、相当強いな。ここから先の展開は許すわけにはいかない。

 

「なら先に使わせてもらう! リバースカード発動! マインドクラッシュ!」

「マインド……クラッシュ!?」

 

 急に表情が変わった。苦悶の表情……もしかしてイヤな過去を思い返したりとか? マインドクラッシュといえば、マリクと一悶着あったはずだしな。まぁ俺がそれを知ることは悟られると面倒だし手加減できる相手でもないので全力でいかせてもらうことに変わりはないけど。

 

「俺の宣言したカードを全て捨ててもらう。俺は万華鏡、華麗なる分身を選択! もちろん手札も確認させてもらう」

「くっ! 私の手札には万華鏡が2枚ある」

 

 おっと、すでに最初から1枚あったのか。これはラッキーだった。ヒステリック・サインより先に万華鏡を使われると困っていたが、フリーチェーンの罠は相手にとっても予想外だったようだ。まだまだ詰めが甘いな、孔雀舞!

 

「懐が寂しくなったな?」

「ハーピィの恐ろしさはここからよ! チャネラーの効果で手札のハーピィレディ1を捨ててハーピィズペット竜を守備表示で特殊召喚! これでターンエンドよ!」

 

 

《ハーピィズペット(ドラゴン)

効果モンスター

星7/風属性/ドラゴン族/攻2000/守2500

(1):このカードの攻撃力・守備力は、フィールドの「ハーピィ・レディ」の数×300アップする。

 

 

 出すのが難しいペットドラゴンをこうもあっさりと……厄介なデッキだ。だが奴は手札を使い切った。ここから切り返せば俺の勝ちが近づく。

 

 孔雀 手札0枚 チャネラー ペット竜 ヒステリックサイン 狩場 伏せ1

 

 天真 手札3枚 セット 

 

「ドロー! あんたのモンスター、使わせてもらうぜ?」

「んん? あたしのハーピィちゃんをどうするっていうの?」

「そりゃ当然生贄だ! チャネラーとペット竜を生贄にラヴァ・ゴーレムを特殊召喚!」

「ちょっと! よくもこんな気色悪いモンスターを出してくれたわね! あたしのかわいいハーピィになんてことを! あんた覚えてなさいよ!」

 

 割と本気で嫌がる素振りを見せる孔雀舞。マリクのエースだからだろうな。本人はそのことは知らない可能性が高そうだが本能的に嫌ってそうだ。

 

「そいつは攻撃力が3000もあるが毎ターンプレイヤーのライフを1000ずつ削る。さらにカードを2枚セットしてターンエンド」

「あたしのターン! ドロー! 今度こそ終わりよ!」

「おっと! 威勢よくモンスターを展開する前にLPはきっちり削ってもらおうか」

「しっかりしてるわね。少しぐらいオマケしてくれてもいいのよ?」

 

 急にそんな甘え声で変なこと言うな! 大会の真っ最中なんだが? たぶん冗談のつもり、なんだろうけど。……ってことはさてはもう勝った気でいるな、この女? だとするとマインドクラッシュでギリギリ見損ねたあの伏せカード……なんとなくわかってきたぞ?

 

「冗談。それにあんた、このターンで終わらせる気なんだろ? そのためのリバースカードだよな」

「ふぅん。このカードが何かわかるとでも?」

「あんたのやる気マンマンの顔をみればすぐにわかる。ズバリ、ヒステリック・パーティだろ? あんたのハーピィデッキの切り札だもんな」

「……!」

「女ってすぐに顔に出すよな」

 

 なんとなく明日香のときのやり取りを思い出す。両方メインキャラの女デュエリストで立場は近い。

 

「あたしのデッキ、よくご存じのようね。でもね! わかっていてもあたしの猛攻は防げないわよ! トラップカード発動! ヒステリック・パーティー! 手札を1枚捨てて墓地のハーピィ・レディを可能な限り特殊召喚するわ! 今あたしの墓地にはハーピィ・レディとして扱うモンスターが何体いるか、わかるかしら?」

 

 

《ヒステリック・パーティー》

永続罠

(1):手札を1枚捨ててこのカードを発動できる。

自分の墓地から「ハーピィ・レディ」を可能な限り特殊召喚する。

このカードがフィールドから離れた時に

このカードの効果で特殊召喚したモンスターは全て破壊される。

 

 

「ハーピィ・クイーン、ハーピィ・チャネラー、コストで捨てたハーピィ・レディ1、この3体……といいたいが、どうせ今捨てたのもハーピィ・レディなんだろ?」

 

 自信満々に聞いてくるってことは絶対に引っ掛け問題なんだよな。案の定で舞は不満そうな表情を浮かべた。

 

「かわいくないわね。お利口なボウヤだこと。そうよ、今捨てたのはハーピィ・レディ・SB! 合計4体のモンスターを復活させることができる!」

「当然黙ってそれを許したりはしない。予想ができれば対策を立てるのはたやすいからな」

「なんですって?」

「リバースカード発動! おジャマトリオ!」

「オジャマ!?」

 

 

《おジャマトリオ》

通常罠

(1):相手フィールドに「おジャマトークン」(獣族・光・星2・攻0/守1000)3体を守備表示で特殊召喚する。

このトークンはアドバンス召喚のためにはリリースできない。

「おジャマトークン」が破壊された時にそのコントローラーは1体につき300ダメージを受ける。

 

 

 ハーピィの狩場のイラストではハーピィがオジャマ狩りをしているが、皮肉なイラスト再現になったな。イラストにあるので孔雀舞もオジャマは知っているようだ。

 

「あんたのフィールドに生贄には使えないオジャマを3体特殊召喚する。もちろんチェーンは逆順処理だからこっちが先に効果を処理されるのであんたは1体しか特殊召喚できない」

「やってくれたわね! でも1体は場に出た以上狩場の効果は発動する! あたしはチャネラーを特殊召喚して狩場の効果を発動!」

「面倒なフィールドだな、全く。これでまた俺のフィールドはすっからかんか」

 

 俺の伏せカードは残り1枚。これを剥がして総攻撃するつもりだろう。

 

 この人は本当に徹底してるな……と思いきやそうではないらしい。

 

「勘違いしないで! あたしが破壊するのはあなたの伏せカードじゃない! ヒステリック・サインよ」

「……!」

「狩場があるのにわざわざ的になるカードを伏せるわけがない。もちろんまた裏をかいて、ということもありえるけど、あなたはこっちのデッキのことをよく知り尽くしている。ならこのフィールド魔法の弱点も把握しているはずよね」

「ハーピィの狩場は強制効果。ハーピィを出し過ぎればプレイヤーの意志とは関係なくリバースカードを破壊しに来る可能性がある。だから俺がそのリスクを無視することはできない……こういうことか?」

「ええ。図星って顔ね」

 

 やり返してやったってツラだね。これに関しては素直に脱帽だ。

 

「まぁな。しかもヒステリック・サインは破壊すれば一気にカードを3枚補充できる。手札不足も解消されたか。ムダのない完璧なタクティクス、実にお見事」

「お世辞は結構よ。さて、そろそろあなたのリバースカードをみせてもらおうかしら。バトルよ! まずはチャネラーでリバースモンスターへ攻撃!」

「クリッターの効果! ネクロ・ガードナーを手札に加える!」

 

 俺のデッキは壁になればステータスはどうでもいいケースが多い。リトル・ウィンガードとかをセットして壁にしても本当に壁にしかならない。だから墓地で効果を使えるカードはムダがなく相性がいい。

 

「さらにあなたのラヴァ・ゴーレムで攻撃! さぁどうするの!」

「リバース発動、強制脱出装置! 戻っておいで、ラヴァ・ゴーレム!」

「なるほど、そうやって回収して攻撃を防ぎつつ再利用するわけね。チャネラーの効果の牽制まで一手でこなすなんて、あなたもなかなかやるわね」

「どうも」

 

 互いに相手の力量を認め合う真剣勝負。こんな感覚は初めてかもしれない。

 

「エンドフェイズにハーピィカードを3種類手札に加える! あたしはクイーン、レディ1、チャネラーを選択してターン終了!」

「俺のターン! ドロー!」

 

 孔雀 手札3枚 トリオ3体 チャネラー 狩場 ヒスパ

 

 天真 手札4枚(ラヴァ・ゴーレム ネクガ ?? ??)

 

 俺の残りの手札2枚、それはクロスカウンターとドレインシールド。狩場のせいで使えずにいたトラップカードだ。もう為すすべはない。あとはラヴァ・ゴーレムを出すかどうかだ。

 

 おジャマトリオは本来生贄に使えないがラヴァは特殊召喚なので実はこの場合は生贄に使える。だから一応出せることは出せるが相手のフィールドを空ける上にモンスターを通常召喚できないのはむしろ自分の首を絞めてしまう。おとなしくしておこう。

 

「モンスターをセットし、ターン終了」

「あたしのターン! ドロー! 万策尽きたようね! とはいえあたしもあまり派手には動けないか。ホント、このオジャマ……邪魔くさいったらないわね。それに敢えて伏せカードもなしにするとは、大胆ながらイヤなプレイングをしてくるわね」

「相手のイヤなことはよくわかるんでね」

「そういう男はモテないわよ? 仕方ない、レディ1を召喚! 狩場の効果が発動し、狩場自身を破壊する。バトルよ! レディ1でまずモンスターを攻撃」

 

 

《ハーピィ・レディ1》

効果モンスター

星4/風属性/鳥獣族/攻1300/守1400

このカードのカード名は「ハーピィ・レディ」として扱う。

このカードがフィールド上に表側表示で存在する限り、風属性モンスターの攻撃力は300ポイントアップする。

 

 

 狩場自身を破壊するのか。フィールドにはヒステリック・パーティーもあるがそれを破壊するとチャネラーも破壊されてしまう。それを嫌ったようだ。

 

 これによりモンスターを並べたことでレディ1のパンプアップ効果の恩恵を活かすことができる。当然ハーピィは全員風属性だ。

 

「ネクロ・ガードナー……破壊される」

「チャネラーでダイレクトアタック!」

 

 LP4000 → 2300

 

 厄介なハーピィの狩場がなくなりその分ハーピィ達の攻撃力は下がった。余裕があるのでネクガの効果は使わない。とはいえ孔雀舞はサーチでしっかりクイーンを手札に用意している。敢えて攻撃力の高いクイーンを温存したのは俺の伏せカードへの牽制だろう。油断も隙もない。

 

「このターンは凌いだか」

「ターン終了! このままならあなたの敗北は時間の問題よ!」

「言われなくてもわかってる! 俺のターン! ドロー!」

 

 引いてきたのはアクアマドール! 助かった! これなら狩場で強化しても守備力が相手の攻撃力を上回る! なんならクロスカウンターを使ってもいい! それに仮に上級モンスターが万が一来てもドレインシールドで回復できる2段構え! いける!

 

「モンスターをセットし、カードを2枚伏せてターン終了! さぁ、お前のターンだ!」

 

 孔雀 手札3枚 トリオ3体 チャネラー レディ1 ヒスパ

 

 天真 手札1枚 セット(アクアマドール) 伏せ2枚

 

「……あたしのターン!」

 

 舞がカードを引く。これで手札は4枚か。だがフィールドが詰まっていて動けないはず。

 

「まずはクイーンの効果で2枚目の狩場を手札に加える!」

「……せめて攻撃力をあげようってわけか?」

「そんな生温いことあたしはしない! チャネラーとレディ1を生贄に2体目のペット竜を召喚!」

 

 生贄召喚か。しかし召喚権は使った。しかもペット竜は単体では攻撃力は2000しかないのでアクアマドールで耐えれる。もちろんドラゴン族なので狩場の恩恵は受けられない。

 

「まだよ! さらに死者蘇生を発動!」

「死者蘇生!? ここでそれか!」

「これでハーピィクイーンを特殊召喚し、狩場の効果発動! 破壊するのは右側のカード!!」

「しまっ!?」

 

 破壊されたのはドレインシールド! 念のために破壊されてもいいクロスカウンターも伏せていたのにしっかり本命を破壊してきた! これが孔雀舞の実力か!

 

「いいカード……今回はさすがに予想外だったようね。このまま一気にいかせてもらうわ! まずはクイーンで攻撃!」

 

 こいつは攻撃力が2100にあがっている。アクアマドールが破壊された。ペット竜は自身の効果で攻撃力が2300になっている。こいつのダイレクトアタックを受ければ丁度ライフはゼロだ!

 

「トドメよ! ハーピィズペット竜でダイレクトアタック!」

「墓地のネクロガードナーの効果! こいつを除外して一度攻撃を無効にする!」

「そんな効果が……命拾いしたわね。でもこれであなたはもう何もないわ! その伏せカードも役にたたないようだし、勝負あったわね」

 

 手札はラヴァ・ゴーレムのみ、場には無用の長物と化したクロスカウンターだけ。相手のライフはまだ3000残っておりラヴァ・ゴーレムの効果だけではとても削り切れない。

 

 孔雀 手札1枚(チャネラー) トリオ3体 クィーン ペット竜 狩場 LP3000

 

 天真 手札1枚(ラヴァ) 伏せ1枚(クロスカウンター) LP2300 

 

 例えここでブラック・ホールのようなカードを引けたとしても、舞の手札にはサーチで持ってきたチャネラーがまだある。あれで再び展開されればいよいよ打つ手がない。

 

 勝つにはここで一気に勝負を決める大逆転を起こすしかない。もう俺には敵の攻撃を受ける余力は残っていない!

 

「テンシンッ!」

 

 ハッと振り返ると落ち込んでいたはずのトーラが観客席から身を乗り出して俺に呼びかけていた。

 

「負けちゃダメ! 負けないで! 私もテンシンのこと信じてる! 絶対最後まで信じる!」

「トーラ……」

「いい妹さんじゃない。でもね、現実は非情なの。ここから勝つなんてバカげてるわ」

「……」

 

 いいや、バカげてない。俺のデッキには1枚だけ不可能を可能にするカードが眠っている。まだ、奇跡は起こせる!

 

「テンシィィィーーーン!! ガンバレーーー!!」

「ありがとうトーラ! お前の気持ち、受け取った! 孔雀舞! このターンが最後の勝負だ! 勝つも負けるもここで決まる!」

「かかってらっしゃい! 受けてたつわ!」

「ドロー!」

 

 トーラが祈るようにしてこちらを見ている。あいつがいる限りどこまでだって戦える!

 

「強欲な壺! 2枚ドロー! さらに天使の施し! 3枚ドローし2枚捨てる!」

「ここで連続のドローカード……たいしたものね」

 

 !!!

 

「テンシン……お願い!」

「安心しろ、トーラ」

「!」

「俺は負けない! さぁいくぜ! マジックカード発動! 死者蘇生! こっちもお返しだ!」

「ラヴァ・ゴーレムを出すつもりね!」

「いいや、俺が出すのはこいつだ!」

 

 ヴゥゥン! 

 

 ソリッドビジョンに映し出されたのはアクアマドール! 舞はそれを油断なく見つめる。

 

「この絶好のチャンスに壁モンスター?」

「まだまだいくぜ! 召喚成功時に地獄の暴走召喚を発動! アクアマドールを3体に増やす! あんたも同名モンスターを出せるが、あいにくフィールドに空きはない。ハーピィなら5体埋めることもできたのにな」

「……そんなことより、あなたどういうつもり? ここにきて壁モンスターを増やすなんて……ラヴァ・ゴーレムなら2ターンは維持コストを払えるのにモンスターを増やすだけで満足なのかしら?」

「なんだ、わからないのか? 3体のモンスターを並べる意味なんて1つしかないだろ?」

 

 ここが見せ場だ。暴れるぜ!

 

「……まさか! あなたラヴァ・ゴーレムよりさらに強力なモンスターを出すつもりなの!? そんなまさか、あのカードを!?」

 

 その表情は「まさかここで神のカードを!?」っていうリアクションだな。もちろんそんなわけない。

 

「……心配しなくてもラーやらオシリスやらは当然持ってないさ。だがこいつでこのデュエルはしまいだ!」

 

 最後に残った1枚、それを天高く掲げた!

 

「3体のアクアマドールを生贄に……出でよ、神獣王バルバロス!!!」

「出た! テンシンの新しいエースカード!」

 

 トーラが喜ぶ声がする。対照的に舞は恐怖の面持ちだ。

 

「バルバロス!? あたしの知らないカード!」

「こいつには3つの召喚方法があり、効果が変わる。3体を生贄にした時の効果、それは相手フィールドのカード全ての破壊!」

「なんですって!!!」

 

 バリバリバリバリィィィン!!

 

 次々とカードが割れていく爽快感。たまんねぇな!

 

「さらにこいつの攻撃力は3000だ!」

「そんなバカなっ!? あたしの残りライフと丁度同じ!?」

 

 正確にはおジャマトリオのダメージで残り2100だけどな。ラヴァゴーレムとバルバロス、この2体のコンビネーションは完璧だ。

 

「フィナーレといこうか! いけっ、バルバロス! ダイレクトアタック! トルネード・シェイパー!」

 

 神槍が舞を貫く。必殺のコンボが完成した。

 

 とうさん、あんたのおかげで勝てたよ。

 




秒殺の暗殺者とエンディミオンは当てはまらず
ラヴァゴーレムとバルバロスは当てはまる
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