気づいたらデュエルアカデミア   作:りんごうさぎ

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内容的な部分含めて若干修正してます


最凶最悪の敵

「見事なデュエルデース! テンシンボーイ! コングラッチュレーション!」

「ありがとうございます……」

 

 優勝後、なんやかんやあって賞金賞品の授与が始まったが、そこに現れたのがデュエルモンスターズの生みの親、ペガサス・J・クロフォードだった。

 

「最後のデュエル、実に素晴らしかった。正直わたしは孔雀舞が勝つと思っていたのでこの結果はサプライズでした」

「普通はそう思うでしょうね」

「バット! ユーの実力はこの場にいる誰もが認めることでしょう! では、改めて今大会の賞金3万ドルと、これはわたしからのささやかなプレゼントデース!」

 

 期待してカードを見ると目玉が飛び出るかと思うほど驚いてしまった。

 

「……混沌の黒魔術師!! 超レア、というか1枚しかないんじゃ!?」

「もちろんレプリカデース! しかしデュエルには問題なく使用できマース! あなたならきっと使いこなせるでしょう」

「大切にします。ありがとうございます、ペガサス会長」

「こちらこそ、いいデュエルを見させてもらいました」

 

 俺はトーラを連れてホクホク気分で家路についた。

 

「いいなぁ! それ魔法使い族最強のカードじゃない! うぅぅ……優勝したかった!!」

「そうだな。たしかにこのカードは最強クラスに強いし、レアリティも相当高い。少なくとも賞金よりは価値が高いだろう。こんなカードをポンと渡してくるなんてさすがインダストリアルイリュージョン社の会長さんだ」

 

 あの大会の主催がペガサスだとは知らなかったのでいきなり出てきたときは驚いた。一応孔雀舞はペガサスに勝ったことあるし俺でもペガサスに勝てるのかな? ミレニアムアイがなければ普通に勝機はあるか?

 

「やっぱあの人すごいのね。テンシン、またデッキ調整するの? なんか最上級モンスター一気に増えちゃってない?」

「そうだな。一気にパワーが増すし、それも嬉しいが……まさかこのカードに会えるなんてなぁ。マジシャンオブブラックカオス……あの頃以来か」

 

 ちょっとこのカードには思い入れがあるんだよな。正確には思い入れがあるのはリメイク前の儀式モンスターの方だけど。

 

「え? なになに? なんか浸っちゃってるけど?」

「別に。ちょっとこのカードには思い入れがあるからさ」

「え? 世界で1枚しかないのになんでテンシンに思い入れがあるのよ?」

「なんでだろうね」

「はぁ? なによそれ!」

 

 遠い昔の思い出だ。

 

 俺が遊戯王カードを初めてもらったのは小さい頃の夏祭りだった。親族の子供と一緒にじいちゃんから好きなものを買ってもらうことになった。たしか1つだけ選ぶことになって、自分はわたあめが食べてみたくてそれを選んだが、周りはみんな射的みたいなのでカードをゲットしていた。俺は羨ましくてメソメソしてたが、じいちゃんは俺にも射的のチャンスをくれた。

 

 そこで俺が引き当てたのがマジシャン・オブ・ブラックカオスだった。遊戯王は当時とりあえず攻撃力が高けりゃ強いカードっていう程度の認識だったが、青くてカッコいいデザインのカードに、攻撃力2800という破格の能力。まわりはドラゴンフライやキラートマトなど半分の1400程度の攻撃力だった。周りから羨まれたし、そのことが誇らしかったのを覚えている。

 

 尤も、実践的な強さで言えば圧倒的にキラートマトとかの方が上なんだけど。それでもやっぱり大事なカードだ。

 

「このカードは俺にカードの楽しさを教えたのさ」

「何よそれ」

「同時に苦い思い出にもなったが……今度は失わないようにしないと。あんな思いはごめんだ」

 

 そう、あの当時俺は浮かれていた。手に入れたカードをあろうことかポケットにしまいこみ、そのまま忘れてしまったのだ。結果カードは洗濯され、散り散りになった。俺が八つ当たりしてへそを曲げたのはいうまでもない。カードは大切に扱わねばいけないことを失敗から学んだ。

 

「ふーん、なんかラヴァ・ゴーレムも大事そうにしてたけど、意外とテンシンってそういうこと考えるのね。デュエルではリアリストなのに」

「人間誰しも意外な一面があるもんさ。トーラ、お前がどれだけせがんでもこのカードはやらねぇからな?」

「べっ! べつにいらないし!! そんなのなくても勝てるもん!!」

 

 やせ我慢しちゃって。トーラのことは大事な妹だと本当に思っているけど、元の世界の繋がりはそれ以上だ。じいちゃんはもういないけど親戚の子供達は今でも……

 

「あれ? おかしい……あのとき一緒にいたのは……誰だ?」

「どうしたの?」

「いや……別になんでもない」

 

 なにか変だ。死んだじいちゃんはまだしも、この間まで顔を合わせていた従兄の顔も思い出せないぞ? あれ、こっちでの生活が長くて以前の記憶が霞んでる?

 

 そもそも俺がここにきたのはなぜなんだろう。このカードに出会ったのは偶然なのか? 

 

 自分にとっての思い出はこの世界においても色あせないと信じていた。だがそれは本当なのか? 

 

 そしてこの世界に導かれた自分は、いったいここで何を為すのか。

 

 考えてもわからない。だが進めばいずれわかるだろう。今はトーラと共にいれるこの時間をかみしめよう。思い出に浸るなんて今の俺のガラじゃない。

 

 ◇

 

「いってきます!」

「いってらっしゃい!」

「また出かけるのか」

 

 大会が終わり、あれから毎日俺と特訓し外に出ては野良デュエリストに勝負を挑んでまた俺と特訓するという日々をトーラは過ごしていた。俺は寮生活で家にいる機会も中々ないので家事の手伝いや家族との団欒で少しでも親孝行に励んでいた。

 

 とうさんはもう仕事に戻り、今はまたかあさんと2人きり。そろそろトーラも自信がついてきたので学園に戻ることも検討していた。

 

 エキセントリックなデュエル関連のニュースに耳を傾けながら船の便を調べて学園に戻るタイミングを思案すると明日の便の次はしばらく船がなくなることがわかった。

 

 そろそろ潮時かなぁ。やることもないし。ダラダラするのにも飽きてきた。

 

 バタン!!

 

 やることがなくなり、のんびりテレビを見てくつろいでいると玄関のドアが乱暴に開かれた。直後人が倒れる音。イヤな予感がして玄関へ向かうとかあさんも駆けつけてきた。

 

「トーラっ!」

「いったい何が……!」

 

 そこには無残な姿でトーラが倒れていた。殴る蹴るの暴行の後がうかがえる青あざがあちこちにあり、衣服も乱れていた。何があったかはすぐにわかった。

 

「トーラ、なんてこと!」

「かあ……さん。テン、シ……」

「しゃべるな! 何も言わなくていい! あいつらにやられたんだろ!」

「うぅぅぅ……ごめん、負けちゃった……」

 

 屈辱と悔しさでどうにかなりそうな気持ちが見てるこっちまで伝わって来る。目からこぼれる涙は既に渇き切り、口からはドクドクと血が流れていた。自分で噛み切ったんだ。

 

「お前が負けるわけない! どうせ汚い手を使われたんだろう!」

「……違法ディスクで、インチキデュエル! 電撃で、動けなくなって、3人がかりで殴られて、それに……カード! 大事なカード、破られた!! あんなクズに、あたしのカード……!!」

 

 流血が増す。よほど悔しかったんだろう。カードを破られたことがきっと最も悔しかったに違いない。その事実にトーラのデュエリストとしての誇りを見た。

 

「かあさん、トーラは頼む」

「テンシン! あなたダメよ! まずは警察に……」 

「これは俺の問題だ! 俺が裁く! ここで屈したら、俺達は二度と立ち上がれない! 心配するなよ、俺は絶対にまけぇねぇから!」

「でも……」

「ダメ! テンシンいっちゃダメ! あいつらホントにズルイ手を!!」

 

 トーラは俺を止めた。だがそれは本心ではない。

 

「トーラ、本当のこと言えよ」

「え……?」

「ここに戻ってきたのは、俺に助けてほしかったから、そうだろ?」

 

 じゃなきゃこんな話するわけない。口にしたのは僅かでも期待したからなんだ。俺がとんでもない強さで勝ってくれるんじゃないかって。

 

 以前の俺にはそういう女心がわからなかったんだろうな。それじゃダメだぜ、テンシン。

 

「ごめん、わたし、わがままで……」

「わがままじゃねぇ! 当たり前のことだ! 約束だろ! 俺のこと信じてくれよっ……もっと俺を頼れよっ! お前を守り切るまで、俺は死んでも死ねない!!」

 

 それ以上は言わずに家を飛び出した。向かうのはあの場所、カード屋だ! 因縁のあいつを絶対に叩き潰す!

 

「いたな! 暴君ブサイク野郎!」

「てめぇ! ……まぁいい。思ったより早かったなぁ、テンシン! 俺に用があんだろ、ついてこいよ……お前の墓場に案内してやる」

 

 こいつら! 待ってましたってわけか。まさかこの野郎、俺を呼ぶためにあえてトーラを狙い、そして痛めつけてから逃がしたのか!! 許さねぇ!!

 

 平良についていくと人通りのない路地裏の奥にある開けた場所についた。相手は3人、こちらは1人。何かあれば俺もタダでは済まない。だがそんなこと問題にならない程腸が煮えくりかえっていた。

 

「お前だけは絶対に許さねぇ! 勝負だ!」

「地獄へ行きな……俺様に逆らったことを後悔させてやる」

「「デュエル!!」」

「先攻!」

 

 これまでで1番素早く先攻をとった! 勝つためにできることは全てする! そしてどんな卑怯な手を使われても必ず勝つ! 負けは許されない!

 

「モンスターセット、リバースカードを3枚セット! ターンエンド!」

「それだけかぁ? くひひ……てめぇ、今死んだぜ?」

「何?」

「俺はなぁ、わざと先攻をやったのよ。てめぇを1ターンでぶっ殺すためになぁ。俺が本気を出せばどんな相手でも瞬殺だ。たとえデュエルキングが相手でも勝てねぇんだよ」

「ハッ! イカサマで勝って威張ってんじゃねぇよ。ザコが」

 

 挑発も忘れない。とにかく相手のミスを誘う! しかしさっきから妙だ。ブサイクだのなんだのとこいつが気にすることを何度も言っているのに終始冷静。なんというか心に余裕を感じる。

 

 前回圧勝した俺が怖くないのか?

 

「なんとでもほざけ! 俺のターン、まずはこいつをくらえ!」

「また痛覚有効のケーブルか」

 

 俺が渋い表情に変わると相手は気持ちの悪い笑みを浮かべた。

 

「ふひひ……今回は前とは比べもんにならねぇ威力だぜぇ……! さらに! こいつでてめぇはしまいだ! 火炎地獄発動!」

「なっ!? 禁止カード!! そういうことか!」

 

 

《火炎地獄》

通常魔法

相手ライフに1000ポイントダメージを与え、

自分は500ポイントダメージを受ける。

 

 

 こいつ、どうやってトーラに勝ったのかと思えばそういうことか! バーンデッキじゃ本当に為すすべもなく負ける! ヤバイ!

 

「お前に1000ポイントのダメージだ!」

「ぐぅぅぅ!!!」

 

 焼ける……! 一瞬自分は誰で何をしていたのか、全て忘れてしまう程の凄まじい衝撃。しかし歯を食いしばってなんとか大声をあげずに耐えきった。耐えさえすればこのカードには反動がある。自分も500のダメージを受ける効果だ。

 

「おぉ、いてぇ……www」

「はぁ? てめぇ……どこまで汚いマネを!」

「あぁ? なんのことかわからねぇな? おぉ、いてぇwww」

 

 わざとこっちを挑発してやがる! ふざけやがって! どういう細工をしたのかわからないが平良だけダメージによる痛覚がなくなっているようだ。なんて不利な戦いなんだ!

 

「まだ始まったばかりだぜ! 俺は強欲な壺を発動!」

「くそっ!」

 

 これでバーンカードを引かれてはどうしようもない! なんて凶悪なデッキだ!

 

「おっと、また引いちまったぜ」

「火炎地獄か!」

「へへへ……強欲な壺! 発動!」

「2枚目の……壺!?」

 

 もうめちゃくちゃだ。予想の斜め上の展開。これだと相手の手札は全く減らない!

 

「そして、お前のお望みのカードが来たぜ! 2枚目! 火炎地獄!」

「ぐぐっ! んぐぅぅぅ!!」

 

 焼けつくような痛みが再び襲い掛かる。とんでもない装置だ。これが地下デュエルの恐ろしさなのか。

 

「そして! 俺様はサンダー・ボルトを発動! 消え失せろ、ザコモンスター!」

 

 

《サンダー・ボルト》

通常魔法

(1):相手フィールドのモンスターを全て破壊する。

 

 

 シンプルなテキストに強力な効果。初期特有のぶっ壊れカード。当然3枚積んできているのだろうな。

 

「やはりそういうカードもあるか……クリッターの効果! クリボーを手札に加える!」

「チッ! 面倒なカードを! 少し予定が狂ったな……まぁいい! 今度はハーピィの羽箒! てめぇのせこいトラップカードは全てぇぇ! ンンン墓地送りィィ!!」

 

 

《ハーピィの羽根帚》

通常魔法

(1):相手フィールドの魔法・罠カードを全て破壊する。

 

 

 好き勝手人のフィールド荒らしやがって! こいつぅぅ……!

 

「黙れ! 三流デュエリスト! お前は順番を間違えたな! リビングデッド発動! クリッターの効果が再び発動する! ネクロ・ガードナーを手札に!」

「はっ! どうでもいいんだよ! 好きにしな! 関係ねぇんだからよ! お前の手札はまとめて全部墓地に捨てさせることにしたからなぁ? くひひひひ!」

「……」

 

 こいつ、ハンデスまでするか。念のためネクロ・ガードナーを手札に加えてよかった。幸いだったのはこいつがバカだったことだ。

 

 バカな発言のおかげで少し頭が冷えた。状況をよく考えるんだ。

 

 バーンに特化されていれば今頃とっくにライフは尽きているはず。相手の発言からするにバーンはオマケ、トドメは戦闘で刺す構築なのだろう。クリボーを嫌っていることから簡単にわかる。

 

 しかも手順前後やネクロ・ガードナーの効果を把握していない無知、これらは確実に相手の隙だ。まだ勝つチャンスはある! 強力なカードによる驕り、一瞬のスキを見逃さない! それが俺の勝利への希望!

 

「おろかな埋葬を2枚発動! カオスソーサラーとブレイド・ナイトを墓地に送る!」

「こいつのデッキ、まさか【カオス】か!」

「これで準備は整った! 俺様は墓地の闇と光を除外し、カオスエンペラードラゴン終焉の使者を特殊召喚!」

「!?」

 

 

《混沌帝龍 -終焉の使者-》

特殊召喚・効果モンスター

星8/闇属性/ドラゴン族/攻3000/守2500

このカードは通常召喚できない。

自分の墓地の光属性と闇属性モンスターを1体ずつゲームから除外して特殊召喚する。

1000ライフポイントを払う事で、

お互いの手札とフィールド上に存在する全てのカードを墓地に送る。

この効果で墓地に送ったカード1枚につき相手ライフに300ポイントダメージを与える。

 

 

 出やがった……最強の禁止カード! やってくれたな、この野郎! 強欲な壺連発で絶望的に開いたカード枚数の差。そこから微妙に縮まっていたアドバンテージ差もこれでリセットされてしまう。

 

「驚くなよ? こいつには超おっそろしい……」

「いいからさっさと進めろ! お前みたいな無知と違って俺はカードの効果ぐらいわかってんだよ! さっさとライフコストを払うんだな」

「いちいち俺様をバカにしやがって!! これでお前は死ぬっ! ライフを1000払い効果発動! 使うぜ! 最強能力! 互いに手札とフィールドを全て墓地送り! さらに1枚につき300のダメージをお前に与える! くらえ!」

「俺が4枚、あいつが2枚、合計1800ダメージ……ぐがぁっ!?」

「ヒャハハハハハハハ!!! いいねぇ! お前が苦しむサマは絵になるぜ、テンシン!」

 

 マヌケが……お前はすでに勝てたんだよ。カオスエンペラーをもっと早く出せば俺は負けていた。そしてそのことに気づくことすらできていない。だからお前はザコなんだよ。

 

「そりゃそうだ。俺と比べてお前のツラじゃ見栄えが悪すぎる」

「こいつ! 減らず口を! このままとどめだ! 墓地へ行った黒き森のウィッチの効果発動! ブラッド・ヴォルスを手札に加え、召喚!」

「なんだと!? お前効果を偽って……ディスクが認めた!?」

 

 あのデュエルディスクどうなってる? 効果が違うのになぜエラーしない? そんな改造はさすがに不可能だ。システムまで書き換えるレベルの違法行為はあの海馬が見逃すはずもない。デュエルディスクをとにかく必死で観察した。

 

 するとエラーの原因はわからなかったが代わりにあることに気づいた。

 

「悪いなぁ、テンシンくんよぉ? こいつは効果が変わる前のウィッチでねぇ! それを今も使えるように“調整”してあるんだよ! よって手札から捨てられても効果は問題なく発動する! そして! お前は残りライフ僅か200! ブラッド・ヴォルスの攻撃で終わりだ! 死ね! 地獄に落ちろ!」

 

 ブラッド・ヴォルスの攻撃が飛んでくる。もちろん黙ってこれを通しはしない!

 

「お前は詰めが甘ぇんだよ! 墓地のネクロ・ガードナーの効果発動! 攻撃を1度無効にする!」

「何!? ぐぎぎぎぎぎ! どこまでも俺様に逆らいやがって! 胸糞悪ぃ!!! ターン終了! さっさとカードを引け! 次のターン速攻で息の根止めてやる!」

 

 なんとか自分のターンまでこぎつけたか。

 

 だが状況は最悪だ。俺には今何もカードがない。ライフは僅か200だけ。相手は攻撃力1900を誇るブラッド・ヴォルスがいて、しかも次のドローで強力な禁止カードを引かれてしまう可能性が高い。カオス・ソーサラーのようなモンスターを引く可能性もある。

 

 つまり、俺にはもうこのターンしか残されていない。

 

「なら、この引きで俺が勝負を決めて……」

 

 しかし、俺は既に希望のカードを失っている。エースのラヴァ・ゴーレム……実はすでに最初から持っていた。俺の本気に応えるかのように颯爽と駆けつけた切り札。しかしその活躍の機会はもう失われてしまった。

 

 そしてもう1つの切り札も俺の手札に現れながらもあえなく墓地に眠ってしまった。俺にはもう奴のライフを削れるほどの強力なモンスターはない。

 

 勝ち筋を失った俺があの凶悪デッキ相手にたった1枚のドローで逆転など到底できない。

 

 ……万事窮す、か。

 

 ごめん、トーラ。相手がどんな手を使おうと負けた男には何の価値もない。

 

 予測が甘かった、だなんて……惨めな言い訳だ。

 

 また全て失うのか。トーラの心も、そして自分自身も……

 

 俺は……本当にこんなところで終わってしまうのか?

 




カオスエンペラーはエラッタ前です
最凶カード!
これが真の暴君デッキ
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