気づいたらデュエルアカデミア   作:りんごうさぎ

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強き者の運命

「さぁ、てめぇの仕掛けた勝負だ。きっちり払ってもらおうか、敗北の代価を」

「くぅぅぅ……こうなりゃ! お前ら!」

「死ね!」

「くたばるッス!」

 

 3人がかりで俺に襲い掛かってきた。だがそれは予想の範囲内。ハナからおとなしくカードを渡すとは思っていない。元々手が出るのが速い連中だってことは身をもって知っているのだから。

 

 まず1人目は右から襲ってきた取り巻き。後ろに身を引いて拳を躱し、残した左足をひっかけて地面に転がす。

 

「あうっち!」

 

 左前方からくる取り巻き2人目が両腕を突き出して突進してくるが遅い。体を軽く捻りながら右足で土手っ腹を思いっきり蹴飛ばした。

 

 当然腕よりも足の方がリーチが長い。伸ばしたその腕が届く前に取り巻きは吹っ飛んだ。

 

「うげっ!」

 

 最後はこいつか。眼前にはノロノロとこっちに走ってくる醜悪な大男。本来こいつとは初対面。だが、この顔を見てるとどうしても我慢できない。手加減できそうにねぇよ。

 

「死ねテンシ……」

「死ね!!」

 

 バキッ!!

 

 今までのような受け身の反撃とは違う。力強く大地を蹴りだし、大男の至近距離まで跳躍。勢いそのままにありったけの力を込めてその顔面に怒りをぶつけた。

 

 ジャイアントオークは骨が砕ける感触と共にぶっ飛んだ。

 

 おびただしい量の血が流れている。全く動かないところをみると気絶しているらしい。殺意を込めた全力の一撃だったが、この結果にはさすがに驚いてしまった。

 

 おいおい、この体……全然弱くないぞ? どういうことだ?

 

「ヒィィィィ!!」

 

 最初に転がした取り巻きか。地面に顔をぶつけたのかこいつも鼻血を出してやがる。ずいぶんとマヌケな面だ。

 

 その表情には既に恐怖の感情が色濃く刻まれている。だが絶対に逃がさない。償いはきっちりさせる。

 

「ここは離島。逃げ場なんてねぇぞ」

「……!!」

「これから3年か……楽しくなりそうじゃないか。なぁ? そうだろう?」

 

 選択肢は……ない。

 

 元々強い者には巻かれる連中だ。快くカードを差し出してくれた。

 

「どうぞ……」

「チッ! クズカードしかねぇんだな、お前ら。いや、俺が言えたことじゃないか」

 

 ついさっきまでと真逆の状況に思わず苦笑。とはいえ誰にでも1つは取り柄があるもので、取り巻きにも1枚ずつ目ぼしいカードがあった。

 

「今日のところはこれで勘弁してやろう」

「あぁ……」

「俺のカード……」

 

 上納品は光の護封剣と強制脱出装置。両方俺のデッキとは相性が良さそうだ。主戦力として使えるだろう。

 

 しかし、気に入らねぇな。今まで散々人からカードを奪っておいて、今更被害者ぶるんじゃねぇよ。次歯向かって来たらデッキごとてめぇらも切り刻んでやろうか?

 

「あとはこいつか。デッキごと全て頂戴してもいいが、図らずもそれはできねぇとこいつ自身が言っていたからな」

 

 先公に目をつけられると動きにくくなる。アンティは表向きには禁止されていたはずだ。それに、何もこいつ一人から搾りつくす必要はない。この学園なら獲物には事欠かないのだから。

 

 今日のところはこれ1枚にしておいてやるよ。1枚ならこいつらも諦めるだろうしな。

 

「あぁっ! それは……!」

「アンティはこいつだ。初代デュエルキングも使っていたカード。価値としては1番高そうだ」

 

 選んだのはデーモンの召喚。作中の設定ではレアカードだったはず。俺のデッキにはまともな上級モンスターがいないし召喚自体も狙いやすい。悪くない選択だろう。

 

 キーンコーンカーンコーン

 

 おっと! そういえば今はまだ昼休み。この後授業もある。急いで戻るか。戦果をデッキにしまい、3人へ侮蔑をこめた視線を向けてから教室へ向かった。

 

 ◆

 

 さて、退屈な授業をやり過ごし、放課後になった。そこで1つの問題が浮かび上がる。

 

「俺の部屋……というよりレッド寮ってどこ?」

 

 何もわからない現状が恨めしい。メシは寮でとるだろうからその時間にレッドの奴にくっついていけばなんとかなるか。とりあえず適当にウロウロしていよう。

 

……あいつが例の……

……おちこぼれよ……

 

 ただ廊下を歩いているだけで後ろ指をさされ声を潜めて囁かれる。直接言われないだけマシと思うしかないな。

 

 どうも俺はかなり悪名高い落ちこぼれらしい。別の学年のやつにも言われる始末。十代とかと並んでクロノスに目を付けられるレベルだからおかしな話ではないか。

 

 この評判の悪さには芸術的な髪型センスも一役買っていそうだ。なんせこれはデュエルモンスターズの始祖と同じヘアスタイル。伸びすぎて視界が常時遮られているほどだからハッキリ言って異常だ。今までも髪の隙間から外を覗くような状態だった。

 

 どう考えても不気味。誰がこんなヤツ好きになる? ペガサスでも顔の半分は見えていた。わざと周りから嫌われようとしていたのか? でなきゃ頭がおかしいとしか思えない。

 

 いや、こいつ……実は本当に頭おかしいんじゃないのか? 

 

 おかしいのは髪型だけではなかった。服装とかもダメ。装備した時点で制服はすでにシワシワ。入学したてだろう? どんな着方をすればこうなる? わざとシワシワにでもしなきゃありえんぞ! 

 

 イジメられたくなければ身だしなみぐらいちゃんとしとけ! これじゃ攻撃の的になって当然だ! とんでもない吸引力……まるでアース・グラビティだな。

 

 自分でもずっとこんな格好は恥ずかしい。だが今はこの体を受け入れるしかないか。いや、体の清潔感ぐらいは改めてもいいだろう。そうだな、すぐ直そう。

 

 髪の長さに関してはやっぱり諦めるしかないかぁ。この身に起きている異常事態を誰かに悟られると面倒だ。目に見える変化はさすがにマズイ。

 

「きったないロンゲ……きもちわるぅ~~」

「顔みたことないけど絶対ブサイクよね~~」

 

 今は好きなだけ言ってろ! いつか絶対に見返してやる! とはいえブルー女子にもこれだけ言われるとさすがに傷つくなぁ。俺のせいじゃないんだが?

 

「そろそろメシにいこうぜ」

「そうだな。メシはマズイがないよりマシか」

 

 やっとメシの時間か。目についたレッド2人組のあとをこっそりつけると寮につくことができた。とりあえず寮とアカデミアの位置関係も覚えた。これで最低限はなんとかなるし、その他はゆっくり覚えていこう。

 

 実は午後もずっとかなりの空腹状態だった。弁当も少ないし小食が習慣になってしまっているのだろう。最初レッド達にシバかれたときも空腹過ぎてパワー出なかったわけだし。

 

 メシは早く食べたいが先に部屋だけ確認しておくか。

 

「……表札がない?」

 

 そんなことあるのか? おかしいだろう? だが現にこの寮にはない。困ったな。忘れたと言って寮長に尋ねるしかないか。レッドの寮長は大徳寺。またの名をアムナエル。最初は敵側のこいつに助けを求めるのは癪だが仕方ない。大徳寺は思いのほか簡単に見つかった。

 

「自分の部屋を忘れたのニャ?」

「どこでしたっけ?」

 

 マジで猫語なんだな。リアルで対話してるとすごい変な感じがする。これもいずれ慣れるのだろうか。

 

「君は裏手の一番端の部屋だニャ。わかりやすい場所なのに忘れてしまうとは相当な忘れん坊のようですニャ」

「端か……」

「ちなみに君の部屋はこの寮で唯一相部屋でなく君一人だけなのニャ」

「……そんなにおかしいですか?」

 

 こいつ、試してるのか? ここでもし、俺がうっかり「そうなんですか?」なんて言ってしまえば記憶がないことがバレてしまう。部屋の場所程度なら誤魔化しも効くが、一人部屋であることは知ってなきゃいけない情報だ。

 

 それに、このイヤな笑い方……。理由を聞くことすら危ない感じがする。危険な香りだ。一人部屋の理由を知らないことは悟らせない方が無難。さっきの返事なら大丈夫なはず。

 

「いやぁ、そんなつもりはありませんニャ。ただ、一人部屋は入学試験の結果というのは周知の事実なのニャ」

 

 どういうことだ? なんとか話を合わせないといけない。入学試験ときいて、とっさに自身のおかれている状況を思い出しそこに活路を見出した。

 

「……あなたも俺が落ちこぼれだと?」

「いやいや。……君にはとても期待しているニャ」

 

 そう言い残して大徳寺は去った。どうやら今の回答で正解だったようだ。なるほどね。入学試験の結果、ということはおそらく席次で部屋が決まるとかなのだろう。たしか十代と翔は共に下位での入学で同じ部屋。一緒なのはそういう理由があってもおかしくはない。そして俺に相部屋の相手がいないのは……。

 

「ドンケツ、だからか」

 

 なるほど、だとすればこれまでの周囲の反応も納得がいく。ビリってこんな学園生活を強いられているんだな。まさか正真正銘の最底辺からのスタートになるとは。

 

 そして大徳寺。俺の様子がおかしいことに勘付いているかもしれない。つかみどころのない分、不気味な存在だ。とはいえ今はこちらから何もできない。好きにさせておくさ。

 

 それから食堂でメシを済ませて自分の部屋へ向かうと、俺の部屋の前に何人もの生徒が集まっている。そしてその全員の視線の先に俺がいた。これはどういう状況だ?

 

「俺に何か用か?」

「おうおう、ずいぶんと偉そうなものいいじゃないか、テンシンちゃんよぉ?」

「なんだ? いいたいことがあるならハッキリ言え。気持ち悪い」

 

 どいつもこいつも、全員が下卑た笑みを浮かべている。どいつもこいつも吐き気を催すような顔、顔、顔。これがいじめっ子の視線ってことか。力のない状態で毎日こんな視線に晒され続けたら、何日正気を保てるだろうか。

 

「用があるのはお前じゃねぇ。てめぇの持ってるカードなんだよ!」

「カード? あいにくザコカードしか持ち合わせていないが、このデッキに用かよ?」

 

 デッキを掲げると視線がそちらに集まった。本当にカード狙いなのか? こんな残りカスが狙いなのだとしたらとんでもねぇハイエナ集団だぞ?

 

「すっとぼけてんじゃねぇ。お前は持ってるんだろう? レアカードをよぉ?」

「ヒヒヒ……」

「おい、あいつの次は俺の番だぜ」

 

 レアカードだと? まさか! こいつら俺があのジャイアントオークに勝ったことを嗅ぎつけて集まってきたのか! あいつには勝てなくても俺になら簡単に勝てると思ったわけだな? 

 

 たしかに、あれだけ派手にやれば誰かが気づいてもおかしくない。あの後どうなったのか確認していないが授業には来れなかっただろうから。

 

 だったら確かめてやろうか。懐からデーモンの召喚を抜き取り、ハイエナどもにみせつけるように掲げてやった。

 

「お前らのお望みはこいつか?」

「デーモン!」

「やっぱり持ってやがった!」

「テンシン……逃げられるとは思うなよ? デーモンだけじゃねぇ。持ってるカード全部置いて行ってもらうぜ」

 

 俺は顔に手を当てて天を仰いだ。

 

「おいおい……」

 

 なんてことだ。間違いない。今こうしてレッドの奴らに囲まれているのは俺がジャイアントオークを倒したからだ。

 

 あいつに勝った時から……いや、あの醜悪な顔面に拳を叩き込んだ瞬間から、俺の運命は決まった。

 

 きっとこの連鎖は止まらない。もし止まることがあるとすれば、それは俺が頂点を極めた時だ。

 

 もう後戻りはできない。引き返す気もない。俺は自分に課せられた運命を悟り、それを受け入れた。

 

「今更自分の状況を理解したか? もうお前は俺達に囲まれてる。全員倒すまで逃げられねぇ。今日はじっくりと楽しませてもらうぜ」

 

 あぁ、今だけは感謝しないとな。長すぎる髪が俺の表情を覆い隠してくれる。自分でもわかるよ。今の俺はとてもこいつらに見せられるような顔じゃない。

 

 俺のことなどつゆ知らず、ハイエナどもは間抜けな面で薄ら笑いを浮かべている。愚か者どもめ。満腹の俺に喧嘩を売ったのがてめぇらの運の尽きよ。

 

 敢えて俺は挑発的な言葉を選んだ。

 

「じっくり楽しむのは結構だが、てめぇらレポートは終わったかよ?」

「……!」

「こいつ、ふざけやがって!」

「てめぇのせいだろーが! このヤロッ!」

「待て、最初にやるのは俺だ。おいテンシン! レポートの分もたっぷり遊んでやるよ」

 

 それでいい。お前達は罠にかかった獲物だ。もう逃げられない。

 

 サッとランチャースパイダーやドラゴン・エッガーなど弱過ぎる最上級モンスターをデッキから抜き取り、代わりに戦利品の3枚をデッキに入れた。かなりの戦力アップになるはずだ。ブラッド・ヴォルスでなくデーモンを選んだのはこの役立たずの上級モンスターを抜くためでもあった。やみくもに上級モンスターを減らし過ぎるとダブルアタックが使いにくくなる。

 

 相手の中から1人が前に出て俺と向かい合う。まずはこいつが相手か。

 

「デュエル!!」

「俺の先攻、ドロー! モンスターをセットし、ターンエンド」

 

 何度も先手を取られる失態はしない。先攻を取り、まずは相手の攻撃を誘って様子見だ。

 

「壁モンスターを出して守るので精一杯か。ドロー! おっと、こりゃいきなりついてるぜ」

「何?」

 

 やけに威勢がいい。リバースカードなしは舐め過ぎたか?

 

「速攻で終わらせるぜ! 手札から融合を発動! 砦を守る翼竜とフェアリー・ドラゴンを融合し、カイザー・ドラゴンを召喚! いけ! カイザー・ドラゴンで攻撃!」

「クリッターの効果発動! 墓地へ送られたのでデッキから人喰い虫を手札に加える」

「ザコでザコを呼んで何の意味がある? 弱すぎるぜ、テンシン! ターンエンド!」

 

 カイザー・ドラゴンは攻撃力2300のバニラモンスター。手札がいい、と言ってすることがこの程度なのか……底が知れたな。

 

 こいつはもう俺の敵ではない。反応を見るために人喰い虫のカードを振りながら挑発してみた。

 

「なんだ、このカードの効果を知らないのか? そりゃ助かる。俺のターン! 再びモンスターをセットしてターンエンド」

「効果だと?」

「さっき加えたカードはリバースされるとモンスターを破壊する効果がある! それを狙ってるぞ! 気をつけろ!」

 

 外野からアシストが入ったな。ま、全員知らないわけはないか。レッドでも知ってることもある、ということだな。

 

「おいおい、アドバイスは卑怯じゃないか?」

「うるせぇ! 俺はいいんだよ! 融合モンスターの破壊を狙っていたのか。テンシンのクセに姑息なマネを……そうはさせねぇ! 俺のターン、ドロー! サファイアドラゴンを召喚! まずはカイザー・ドラゴンで攻撃! ライフを減らしたくなければサファイアドラゴンを破壊するしかないぜ!」

 

 

《サファイアドラゴン》

通常モンスター

星4/風属性/ドラゴン族/攻1900/守1600

全身がサファイアに覆われた、非常に美しい姿をしたドラゴン。

争いは好まないが、とても高い攻撃力を備えている。

 

 

「なら人喰い虫の効果! サファイアドラゴンを破壊」

「どうだ! お前の思い通りにさせるかよ! ターンエンド!」

 

 この程度で威張るな。みっともない。むしろ効果すら満足に覚えてないことを恥じろ。

 

「さて、俺のターンだ。ドロー! モンスターをセットし、カードを1枚伏せてターンエンド」

「やっぱりへっぴり腰だな、テンシン! ドロー! グレート・アンガスを召喚! バトル! カイザー・ドラゴンで攻撃!」

「リバースカード発動、強制脱出装置! これでカイザー・ドラゴンを手札に戻す。もっとも、融合モンスターは融合デッキに戻されるが」

 

 

《強制脱出装置》

通常罠

フィールドのモンスター1体を対象として発動できる。

そのモンスターを手札に戻す。

 

 

 融合全盛の時代においてこのトラップは非常に強力。切り札と言ってもいい。

 

「バカな、手札にすら戻らないのか! そんなことが……クソ! まぐれかよ! 運のいいヤツだ。だったらグレート・アンガスで攻撃!」

「アメーバは破壊される」

「……ターンエンド!」

 

 手札はまだ5枚ある。ここで畳みかける!

 

「俺のターン! ドロー! 死者蘇生を発動し、クリッターを蘇生! さらにこいつを生贄に捧げ、ネオアクア・マドールを攻撃表示で召喚! クリッターの効果でリトル・ウィンガードを手札に加える」

 

 デッキに攻撃力の低いモンスターばかりなのが逆に幸いし、クリッターでほとんどのカードを持ってこれる。リトル・ウィンガードはこのデッキではエース級だ。

 

「バカテンシンめ! そいつは守備表示で出して壁に使うモンスターなんだよ! 待ったはさせねぇからな! お前は今、攻撃表示と言ったぜ!」

「心配すんな。頼まれたって守備表示になんざしねぇよ。攻撃表示でなきゃ、てめぇのモンスターをぶったおせねぇからな」

「俺のモンスターを倒すだと?」

 

 こんなザコから見下されているという事実が俺にとっては耐え難い屈辱。こんなことでミスをすると思うのか?

 

「マジックカード発動、右手に盾を左手に剣を! 互いのモンスターの攻守の数値を入れ替える!」

 

 

《右手に盾を左手に剣を》

通常魔法

このカードの発動時にフィールド上に表側表示で存在する

全てのモンスターの元々の攻撃力と元々の守備力を、エンドフェイズ時まで入れ替える。

 

 

 これもこのデッキでしか使えない他人にとっては不要なカード。だけど俺はキライじゃないぜ、こういうカード。いい味出してやがる。

 

「なんだと! じゃあ、そいつは今……攻撃力3000!? バカな!?」

「くらえ! ネオアクア・マドールの攻撃! グレート・アンガスを粉砕!」

 

 巨大な氷に包まれグレート・アンガスが破壊される。

 

 さすがに攻撃力3000によるソリッドビジョンは圧巻だ。アクア・マドール系列はこの力を最初から守りだけでなく攻めに使えば天下取れたんじゃないか? 勿体ない。

 

「ぐぅ! クソ! 覚えてろ! 次のターン絶対に倒してやる!」

「カードを2枚セットしてターンエンド」

 

 グレート・アンガスの守備力は僅か600なのでハイエナ野郎のライフは残り1600に減った。もう一押しだ。

 

 LP 4000 → 1600

 

「俺のターン! まずは切り込み隊長を召喚! そのまま効果で漆黒の豹戦士パンサーウォリアーを特殊召喚! さらにパンサーウォリアーに稲妻の剣を装備し攻撃! 切り込み隊長を攻撃の生贄に捧げる!」

 

 

《切り込み隊長》

効果モンスター

星3/地属性/戦士族/攻1200/守 400

このカードが召喚に成功した時に発動できる。

手札からレベル4以下のモンスター1体を特殊召喚する。

このカードがモンスターゾーンに存在する限り、相手は他の戦士族モンスターを攻撃対象に選択できない。

 

 

《漆黒の豹戦士パンサーウォリアー》

効果モンスター

星4/地属性/獣戦士族/攻2000/守1600

(1):このカードがモンスターゾーンに存在する限り、

このカードの攻撃宣言の際に、自分はこのカード以外の

自分フィールドのモンスター1体をリリースしなければならない。

 

 

《稲妻の剣》

装備魔法

戦士族モンスターにのみ装備可能。

装備モンスターの攻撃力は800ポイントアップし、

フィールド上に表側表示で存在する全ての水属性モンスターの攻撃力は500ポイントダウンする。

 

 

 へぇ、上手いじゃん。攻撃力2800を簡単に作ってきたか。ネオアクア・マドールの攻撃力も下げているしいい切り返しだ。俺にとってはピンチ到来。攻撃が通れば2100の貫通ダメージになる。

 

「でも通さない。トラップ発動! 重力解除! これで全てのモンスターの表示形式を変更する!」

「バカな! それじゃせっかく生贄を使ってまでした攻撃は……」

「ムダってことだ。俺のターン! ドロー! リトル・ウィンガードを召喚! さらに伏せていた援軍を発動! ウィンガードの攻撃力を1900まで上げる!」

 

 おどおどしているとターンがどんどん進んでいく。相手は慌てふためいているが待ってやる気は毛頭ない。

 

 だからこそ、この世界ではピンチはチャンス! そして心の動揺はカードの引きに現れ、勝敗に直結する。それが身をもって実感できた。その証がこのドローカードだ。相手の動揺がカードを引き込む!

 

「さらにダブルアタックを発動! デーモンの召喚をコストにリトル・ウィンガードに2回攻撃する権利を付与する」

「おいおいおいおいおい……! やべぇんじゃねぇのかっ!!」

「もう終わってるよ。まずはリトル・ウィンガードの1回目の攻撃! パンサーウォリアーを撃破!」

 

 守備表示になり跪(ひざまず)く豹戦士を小さな戦士が軽やかに一蹴。まだ攻撃は続く。

 

「さらに2回目! ダイレクトアタック!」

 

 LP 1600 → -300

 

「うごぉぉぉぉぉ!!!」

 

 これで2勝目。足踏みしてるヒマはない。この最底辺から一気に駆け上がってやる!

 




カードは自力調達が基本
高速の展開の方が見応えあるけど、たまには低速で鎬を削る展開もいいよね
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