「次は俺だ! この三沢大地が相手になる! お前の戦略は見切った! 理論的に行けば俺の勝利は揺るがない!」
さっきからコソコソと分析を続けていた三沢か。ある意味こいつが一番怖さがない。さて、どんなデッキで相手をしようか?
見切ったとまで言われると敢えて全く違うデッキを使いたくなる。
先攻制圧でも後攻ワンキルでもない。気づいた頃には、すでに勝敗は決している。
「理論的? フハハ……そんな甘っちょろい考えじゃ勝てねぇな。俺はそんな計算では測れない」
「ならば試してみるまでだ!」
「当然今度も俺はデッキを変更する。お前にふさわしいデッキを用意しよう」
幻魔の力によりデッキを構築しデュエルディスクに装着した。三沢は難しい表情でデッキを睨んでいる。
「さぁ、デュエル開始だ! 先手か後手か……お前に選ばせてやるよ。また俺が卑怯だと言われるのは心外だからな」
「なら先攻は譲ろう」
勝手に先攻を渡してもらえるのは愉快だねぇ。楽しくてしょうがない。
そのためにあのデッキを最初に見せたんだ。九分九厘ないと思っていても、もしかしたら……と思ってしまったらもう先攻は選べない。
「それはありがたい。では遠慮なく俺のターン! ドロー! カードを5枚セットしてターン終了!」
「5枚セットだと!?」
「手札事故か? それとも何かの作戦か?」
「三沢、お前と一緒にするな。これも戦略だ」
リロード、打ち出の小槌が許されるのは左腕を切る覚悟があるヤツだけだ。覚えとけ!
手札事故軽減とかいうしょうもない目的で使うな!
「なら本当に戦略というものがあるのかたしかめてやろう! 俺のターン! ドロー! まずは大嵐を発動! これで5枚の伏せカードを全て破壊する! さあ、これは防げないはずだ!」
「よっし! これでこのターンの攻撃は確実に通る! 上手いぞ三沢っち!」
「勝負あったノーネ!」
「いや、テンシンが何も防御手段を用意していないとは考えられない」
「油断は禁物だな」
十代は能天気なだけなのかわざと鼓舞しているのか微妙だが……明日香や万丈目はさすがに警戒しているな。
「俺が先攻となることも、大嵐のようなカードが飛んでくることも、全て予想の範囲内! 俺は5枚の伏せカードを全て発動する!」
「なんだと!?」
三沢が驚く間にチェーン処理は進んでいく。
「チェーン2和睦! チェーン3強欲な瓶! チェーン4ギフトカード! チェーン5積み上げる幸福! チェーン6積み上げる幸福!」
「なんだこりゃ!? 5枚全て発動!?」
「全てフリーチェーンのカードか」
「しかも1枚変なカードがあるわよ?」
「テンシンのやつ、一体何が狙いなんだ?」
《ギフトカード》
通常罠
相手は3000ライフポイント回復する。
《積み上げる幸福》
通常罠
チェーン4以降に発動できる。
デッキからカードを2枚ドローする。
同一チェーン上に複数回同名カードの効果が発動している場合、このカードは発動できない。
積み上げる幸福は同一チェーンに同名カードが発動していると使えない。だが2枚目が発動したときには1枚しか発動していないので2枚目も問題なく発動できる。
「逆順処理だ。まずは積み上げる幸福の効果で2枚ドロー、さらに2枚、そしてギフトカードの効果で相手のライフを3000ポイント回復させる」
「俺のライフを?」
「あの野郎、幻魔の力のせいで本当に正気を失っているんじゃないのか?」
俺は正気さ。ずーーっと意識はハッキリしているとも。記憶はやや曖昧ではあるが。
「さらに1枚ドローし、和睦でこのターンは戦闘ダメージはゼロ。さぁどうするんだ? これもお前の計算通り、なんだろう?」
「あまり嫌味ばかりでは嫌われるぞ! 俺は超電導戦士リニア・マグナム±の効果を発動! 手札の磁石の戦士Σ+と磁石の戦士Ω-を墓地へ送り手札から特殊召喚する! こい! リニア・マグナム! カードを1枚セットしてターン終了!」
三沢 手札1枚 リニア・マグナム 伏せ1枚 LP7000
天真 手札6枚 LP4000 デッキ29
「俺のターン! ドロー! 強欲な壺を発動! 続けて天使の施し! さらに苦渋の選択! さぁ選ぶがいい!」
覇者の一喝
和睦
クリッター
ギフトカード
威嚇する咆哮
「俺はギフトカードを選択する」
「だろうなぁ。さらに成金ゴブリンを発動! 1枚ドロー!」
三沢 LP 7000 → 8000
「もはや三沢のライフは削り切れないほど増えてしまった。やつは勝つ気がないのか? ふざけてるのか?」
万丈目の言葉でハッと何かに気づいた明日香が声を上げた。
「そうか! 本当に戦闘でライフを削る気がないのよ!」
「ってことは、まさかテンシンの狙いは特殊勝利!?」
そこまでくればもう簡単。やっと三沢は真相に辿り着いた。
「……エクゾディアか!」
ようやくだな。
「ご名答! しかし俺にギフトカードを渡したのは愚かだったな。もうお前の敗北は決まった。俺のデッキの残りのカードは僅か17枚。次で決まりだ」
「そう簡単に負けるものか!」
「ムダムダ! もうお前は終わってんだよ! カードを5枚セットしてターン終了」
天真 手札2枚 伏せ5枚 デッキ17枚
「俺のターン! ドロー!」
「スタンバイフェイズ、リバースカードを発動!」
「俺のメインフェイズを待つ気はないというのか!」
「そうだ! お前には攻撃宣言すらさせずに敗北してもらう! チェーン1活路への希望! チェーン2活路への希望! チェーン3活路への希望! チェーン4無謀な欲張り! チェーン5ギフトカード! さぁまずは3000回復だ!」
「俺のライフは11000……」
「そして無謀な欲張りはドローフェイズを2回スキップする代わりに2枚ドローできる。次のドローフェイズは永遠に訪れない。実質デメリットはゼロってわけだ」
《無謀な欲張り》
通常罠
(1):自分はデッキから2枚ドローし、その後の自分ドローフェイズは2回スキップされる。
扱いが難しいカードだがこのデッキではトラップになった強欲な壺でしかない。
そして仕上げはこのカード……
《活路への希望》
通常罠
(1):自分のLPが相手より1000以上少ない場合、
1000LPを払って発動できる。
お互いのLPの差2000につき1枚、自分はデッキからドローする。
「く……そこまで自信があるということは3枚発動した活路への希望がそのデッキのキーカードか」
「まず1枚目! このカードは1000ライフをコストに発動! ライフ差2000につき1枚ドローする」
「なんだと!?」
「テンシンはライフが3000減って残り1000ポイント!」
コストは先払い。だからライフが1000に減ってから効果処理を行う。
「じゃあ今のライフ差はちょうど10000ポイント! 5枚もドローするのか!? それが3枚ってことは5×3で15枚、それに無謀な欲張りの2枚を合わせて……合計17枚ドロー!? テンシンのデッキ枚数と同じ!」
「よく計算できたな十代、正解だ。さぁ見るがいい、これがエクゾディアだ!」
フィールドに現れる召喚神エクゾディア。
なんて神々しい……この力が今自分の支配下にある! 幻魔を従えた今、俺に支配できないものはない。たとえどんなカードであろうと完璧に操ることができる。
このデュエル、収穫は大いにあった。案外十代以外の相手をするのも悪くない。
次のデュエルが楽しみになってきたよ。
「怒りの業火! エクゾード・フレイム!」
「ぐわああああああああっぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!?」
三沢は何もできずに敗北した。
これが今の俺の力……どんなカードも、どんなデッキも! 全て思いのまま!
この力を極めればワンターンですべてを……いや、そこまでの力はまだない。だが精霊の力を完全に掌握した暁には、不可能はなくなる。
さぁ、どうする十代? お前が出てこなければ、俺は幻魔の力をより磐石のものとするだけだ!
今回は短め。
エクゾディアは普段使わないので有名デッキに。
チェーンバーンと関連もするので活路にしました。
この展開で特殊勝利がないのもアレなので。
次回めちゃくちゃするので先に謝っておきます。
ごめんなさい!