クロノスに元へ直談判に行くと当の本人はなにやら怪しい計画を企んでいた。
スター発掘だとかくだらないことを考えていたのでそれをダシに俺とトーラのブルー昇格をかけてデュエルするチャンスを貰った。
クロノスにとってはレッドの強敵を減らせるのであちらにとっても悪い話ではなかったようだ。
ブルー昇格のためのデュエルなので相手は当然ブルー。俺とトーラの2人分用意されるらしい。さすがに明日香とかは出てこないだろうしその辺のやつ相手なら瞬殺で終わるだろう。
当日デュエルリングには意外にも見覚えのある相手がいた。
「たしか明日香の親衛隊?」
「ジュンコと!」
「ももえですわ!」
前見たのはいつだ? もしかして最初に明日香とデュエルした時まで遡るのか? あの時に比べれば向けられる視線からだいぶ刺々しさが消えている。
「テンシン、この人達どのくらい強いの?」
「さぁ、デュエルを見たことはないけどお前が倒した明日香がブルー女子で最強だからそれよりは絶対に弱い」
「じゃあザコね。瞬殺するわ」
「誰がザコですって!?」
「失礼しますわ!」
けどこれは面白いかもしれない。相手が仲良しペアならこっちも兄妹ペアで対抗しようじゃないか!
「校長! この勝負、タッグマッチにするというのはどうですか?」
「タッグマッチですか?」
「えぇ。なんとなくの思い付きですけど面白そうでしょう?」
「たしかに……お互いが了承すれば構いませんよ」
「えっ!! テンシンとタッグ!? そんなぁ~~いきなりすぎるわよ!! タッグにするってわかってればちゃんとそれ用に準備したのに! テンシン何考えてんの!?」
「いいじゃん、初の共同作業ってことでさ」
「バカ! 何考えてんのよもう!」
怒りながらも嬉しそうという器用なことをやってのけるトーラ。逆に相手はここを弱点と見たのか挑発してきた。
「あら、タッグデュエルは初心者のようですね。所詮1年坊ですわ」
「口だけみたいね」
「はぁ!? できるわよ!! やってやるわ!! テンシン、足引っ張るんじゃないわよ!! いいわね?!」
「任せときなって! 俺とお前が組めば向かうところ敵なし! この学園の最強タッグの力を見せてやろうぜ!」
「フフン! わかってるじゃない!」
さて、話は決まったな。トーラが扱いやすくて助かる。
「「デュエル!!」」
デュエルフィールドは各自別々、ライフも各自で4000ずつ、1巡目は攻撃できない。互いのプレイヤーが1人ずつ交互にターンを迎える。
「先攻はもらったわ、ドロー! ガガギゴを攻撃表示で召喚! カードを1枚セットしてターン終了!」
「水属性使いか」
こいつら顔は知ってるがどんなデッキを使うのかはよく知らない。大した事なかったとは記憶しているが俺の影響で強くなった奴もいるから油断はしない方がいい。
「テンシン! ボーっとしてんじゃないわよ! 先にターンもらうからね、ドロー! 王立魔法図書館を守備表示で召喚! テラ・フォーミングを発動! さらに持ってきた魔法図書館エンディミオンも発動! 天使の施しを発動! 図書館の効果でドロー! 魔力掌握を発動し図書館にカウンターを乗せて同名カードを手札に! 強欲な壺でドロー! 図書館の効果でさらにドロー!」
トーラの奴かなりいいところを引いたようだ。ドローソースをこれだけ引くと凄まじい展開力を見せてくるはずだ。
「ちょっと! やりすぎですわよ! 早く私にターンを回して下さいまし!」
「絶対イヤァ~! 死者蘇生を発動して混沌の黒魔術師を蘇生! 強欲な壺を手札に加えて発動! カードを3枚セットしてターン終了!」
トーラ 手札5枚 図書館1コ 混黒 魔法都市4コ 伏せ3枚
トーラの幼稚な挑発に黒髪のももえの方が顔を赤くした。
「生意気な1年ですわね! おしおきが必要ですわ! ドロー!」
「だったらやってもらおうかしら? 私は闇のデッキ破壊ウイルスを発動! 混沌の黒魔術師をコストにあなたのトラップカードを捨ててもらうわ! ついでに手札も公開してもらおうかしら」
「ナイストーラ! 手札が見れたら対策も立てやすい!」
「別にアンタのためにやったんじゃないからね! さぁ見せなさい!」
「くっ……屈辱ですわ」
デス・ウォンバット
森の番人グリーン・バブーン
破壊輪
素早いモモンガ
野性解放
レスキュー・キャット
破壊輪が墓地に送られた。
「げっ! 【バブーン】かよ! ガチデッキじゃん! しかもほとんどコンボ用のカードじゃねぇか!」
「テンシン、これ強いの?」
「めちゃくちゃ強いぞ! カードがあったら俺もあんなデッキ使いたいぐらいだ」
よくもまぁこんなに破壊関連のカード集めたな。しかもモモンガの存在を見るに今のバブーンってまさか戦闘破壊でも出てくるのか? そうだとすると本当に厄介極まりないデッキだ。
それってバブーンが2枚あれば自己再生できるってことだからな!
「あら~!! テンシンさんに褒められるなんて嬉しいですわぁ!! わたくし本当にすごく頑張ってデッキを強化したんですのよ! 明日香様には負けていられませんし」
「げ! 明日香に引っ張られて強くなったってこと?」
「ええ!! テンシンさんにはしっかりとわたくしの強さを見て頂きますわ! 前々から機会があれば是非とも一戦交えて貰いたいと思ってましたの! モンスターをセットしてターン終了ですわ!」
それじゃあやっぱり間接的に俺のせいでこんなデッキになったってことになるな。自業自得か。今回デュエルの相手にこいつらが選ばれたのも俺の影響っぽい感じだし、もう何もかも俺が原因だ。
「もう! 敵を褒めてどうすんのよ! アホテンシン」
「勝てばいいだろ。俺のターン! ドロー!」
トーラは俺がももえを褒めたのが気にくわないらしい。そこまで目くじら立てなくても……
「仲間割れかしら?」
「心配無用! 俺はモンスターをセットしカードを3枚伏せてターンエンド」
「じゃあ私のターンね! ドロー!」
ももえは破壊輪を墓地に送ったので放っておけばモンスターを展開されることはない。問題はこいつ、水属性使いのジュンコだ。
「スタンバイフェイズにリバースカードを発動するわ! 闇次元の解放! 混沌の黒魔術師を特殊召喚! 死者蘇生を手札に加える! さらに魔のデッキ破壊ウイルスを発動!」
「またウイルスカード!? イヤなデッキねぇ……でもリバースカードには効果は及ばない!」
「構わない! さぁ手札を見せなさい! フフン、どうよ!」
「……なんで俺に向かって言う?」
それは相手に言えよ。まぁたしかに助かるけれど。闇のデッキ破壊ウイルスを2回打つこともできるからトーラのウイルスコンボは本当に恐ろしい。たしかに敵には回したくないデッキだ。
伝説の都アトランティス
海竜-ダイダロス
アトランティスの戦士
コダロス
天使の施し
コダロスが墓地に送られた。こいつのデッキはがっつり【アトランティス】だな。
「残念だったわね! 大枚はたいて発動したけど破壊できたのは1枚だけ! しかも私の海コンボは無傷よ! ウイルスカードを使う順番を間違えたわね? 逆なら効果は絶大だったのにねぇ?」
「それは……」
先輩からの熱い洗礼ってところか? イヤなこと言うねぇ。トーラに迷いを残そうってわけだな?
「気にするなトーラ。相手の情報がなかった以上仕方ない。これは結果論だ。お前のおかげでデッキがわかったし助かったのは変わらないよ」
「あっ! テンシン! そうよね! 私活躍してるよね!」
救われたって気持ちが表情に出てしまっているトーラ。それを相手は見逃さない。
「でもお忘れじゃないですわよね? わたくしの手札にはバブーンちゃんがいますのよ? ダイダロスの破壊コンボはわたくしのバブーンちゃんの呼び水となり放っておけば最上級モンスターがこちらに並ぶことになりますわ! 結果論であろうとミスはミス! ここで伝説の都を墓地へ送れなかったのは致命的ですわよ」
「なるほど……意外と息のあったコンビだったのか」
《海竜-ダイダロス》
効果モンスター
星7/水属性/海竜族/攻2600/守1500
(1):自分フィールドの表側表示の「海」1枚を墓地へ送って発動できる。
このカード以外のフィールドのカードを全て破壊する。
ダイダロスだけなぜか“墓地へ送る”じゃなくて“破壊する”なのでネオダイダロスやコダロスに比べて少し弱い。だがそのデメリットを逆手にとって上手く利用している。大したもんだ。
正直感心した。
普段タッグマッチをしない俺には思いつかないようなコンボだ。この2人はもしかしたらタッグマッチに慣れているのかもしれない。そう感じさせるほどの連携だ。
「ウフフ……これがタッグデュエルの神髄ですわ! トーラさん? あなたにはテンシン様のパートナーは荷が重いのではなくって?」
1人に対応したらまたもう1人が揺さぶりを入れてくる。フォローするのも大変だ。精神的にトーラを狙い撃ち……伊達に1年アカデミアにいたわけじゃないということか。
「なんですって!? ムキィィィィ!!」
トーラは血管はち切れそうなくらい怒っている。女がしていい顔ではない。ここはやっぱりまだまだトーラにも課題が残る部分だ。
「なら俺もリバースカード発動! マインドクラッシュ!」
「テンシンッ!!」
「うわっ!? サイアク!! なによアンタ達! もしかして最初からこのコンボまで計算の内!?」
「あ、あったりまえよ!! テンシンのためにお膳立てしてやったまでのことよ! 私達は最強タッグなんだからこのぐらいの連携は朝飯前よね!」
トーラが視線を送ってくるがおそらくトーラの期待とは異なる発言をした。
「……俺はジュンコを対象に天使の施しを宣言」
「え!? 何してんのよテンシン! ここはダイダロスでしょ!?」
「2枚目引かれたら意味がないだろ。墓地を増やされるだけ損だ」
「でも今確実にダイダロスの海コンボが発動する時なのよ!? 全部破壊されたらヤバイじゃない! どうすんのよ、もうっ!!」
こいつらの引きを甘くみてはいけない。ここはからくドローカードをはたいておく。
「だったら遠慮なくいかせてもらうわ! 私は伝説の都アトランティスを発動! まずは邪魔な魔法都市を墓地送りにしておくわ。破壊できなくてもフィールドの張り替えには無力よ!」
「うぅぅぅぅ!!!」
痛いところを突かれた。これは破壊というよりルールによる処理。他にもバウンスや除外にも弱いので魔法都市には意外と弱点が多い。トーラも承知のことだ。
「さらに効果でレベル6になったダイダロスをガガギゴを生贄にして召喚! 効果で海として扱うアトランティスを墓地に送りフィールドの全てのカードを破壊! でもダイダロスはフィールドに残る! まずは厄介なテンシンから倒すとしましょうか」
「わたくしが先にターンが回るので確実に仕留めることができますわね」
「ウソでしょ!? テンシンッ!!」
トーラが心配そうな声で俺を呼ぶ。ダイダロスでリセットされバブーンが出てきて敵のフィールドに最上級モンスターが並び俺は確実にライフが尽きる。そうなればトーラ1人で勝つのは困難だ。不安になるのも当然だろう。
「心配するな、ダイダロスを残したのはちゃんと考えあってのことだ。お前のことは絶対に俺が守ってやるから安心してろ」
「ホント!?」
「なんですって!?」
「ズルいズルい羨ましい!!」
1人おかしいぞ!
「リバースカードオープン! 我が身を盾に! 1500のライフを犠牲にしてモンスターを破壊する効果を無効にし破壊する!」
「ダイダロス!? あぁ私のダイダロスがぁ……」
「殿方が身を挺して盾に……やっぱり羨ましいですわ! ぅぅぅううう!! ずるいずるいずるい!」
「うへへへ……」
なんだこの気持ちの悪い空間は、というのはさすがに辛辣過ぎるか。
「仕方ない……アトランティスの戦士の効果! 2枚目の伝説の都アトランティスをデッキから手札に加えて発動! これでターン終了!」
「チャンス到来ね! ドロー!」
ジュンコ 手札0枚 伝説の都アトランティス 伏せ1枚
トーラ 手札6枚 王立魔法図書館3コ
ももえ 手札4枚 セット1枚
テンシン 手札2枚 セット1枚 伏せ1枚
王立魔法図書館には我が身を盾にやアトランティスで3コカウンターが乗っている。一気に決めてくれ。
「まずは図書館で1枚ドロー! 魔導騎士ディフェンダーを攻撃表示で召喚! バトルよ! フィールドガラ空きのアンタにダイレクトアタック!」
「ジュンコ様とお呼び! リバースカードオープン! 竜巻海竜壁! 戦闘ダメージをゼロにするわ!」
「しまった! うぅ……カードを2枚セットしてターン終了!」
《竜巻海流壁》
永続罠
フィールドに「海」が存在する場合にこのカードを発動できる。
(1):フィールドに「海」が存在する限り、自分が受ける戦闘ダメージは0になる。
(2):フィールドに「海」が存在しない場合にこのカードは破壊される。
さっきわざわざ攻撃力1900のアトランティスの戦士を捨ててフィールドを残したことも踏まえればこの伏せは十分予測できた1枚。エンディミオンを出す手段もあったし今のはトーラのミスだな。詰めが甘い。ウイルスカードに頼り過ぎて勘が鈍っている。
「わたくしのターン! ドロー!」
怒れる類人猿
「いいカード持ってやがる」
《怒れる類人猿》
効果モンスター
星4/地属性/獣族/攻2000/守1000
このカードが表側守備表示でフィールド上に存在する場合、このカードを破壊する。
このカードのコントローラーは、このカードが攻撃可能な状態であれば
必ず攻撃しなければならない。
この世界では表側守備表示で出して即破壊という芸当もできるので緊急時にはいきなりバブーンを呼ぶこともできる。アタッカーとしても強力だしジュンコのバブーンデッキでは重要なカードだ。
「わたくしは怒れる類人猿を攻撃表示で召喚! さらに素早いモモンガを反転召喚!」
「反転召喚? まさか自爆するつもり!? バブーンを呼ばれたら……ディフェンダーは一度しか破壊を免れることができない!」
トーラ、援護が必要そうだな。
「大丈夫、攻撃はさせない! 威嚇する咆哮を発動! 王者の咆哮に怯えた獣達はこのターン攻撃できない」
「テンシンナイス! その調子で私を守りなさい!」
「イヤなところでイヤなカードを……やはり侮れませんわね。しかもまた羨ましいことをしてもらっておいて図々しい!! カードを1枚セットしてターン終了ですわ!」
手札が見えていたからあの伏せは野性解放で間違いない。うかつに攻撃できなくなった。
あの2人、どっちも攻守に隙がない。軸になる勝ち筋も強力だしもうブルーでもトップクラスの実力なんじゃ? 下手したら明日香も危ういな。
「俺のターンだな、ドロー! カードを1枚セットしてターン終了」
「ずいぶんと消極的ね。そんなんだとあっという間に終わらせるわよ? 見てなさい! 私のターン! ドロー! よし、強欲な壺を発動! 2枚ドロー!」
フェンリル
ギガ・ガガギゴ
「またトラップカードじゃない……」
「墓地のガガギゴとアトランティスの戦士を除外してフェンリルを特殊召喚! さらにアトランティスの効果でレベル4になったギガ・ガガギゴを召喚! 攻撃力2650よ! ひれ伏しなさい!」
《フェンリル》
効果モンスター
星4/水属性/獣族/攻1400/守1200
このカードは通常召喚できない。
自分の墓地の水属性モンスター2体をゲームから除外して特殊召喚する。
このカードが戦闘によって相手モンスターを破壊した場合、
次の相手ターンのドローフェイズをスキップする。
《ギガ・ガガギゴ》
通常モンスター
星5/水属性/爬虫類族/攻2450/守1500
強大な悪に立ち向かうため、様々な肉体改造をほどこした結果
恐るべきパワーを手に入れたが、その代償として正義の心を失ってしまった。
お手軽にあの攻撃力を出せるのはこの時代では脅威。なんせブラッド・ヴォルスを出すだけでいい気になるような奴ばかりだからな。デーモンすら超える攻撃力は破格だ。
「テンシン大丈夫なの!?」
「まずはフェンリルで攻撃!」
「そいつはモンスターを破壊したらドローを封じるんだったか? さすがに通せない。伏せてあった月の書を発動! フェンリルを裏守備にして攻撃は回避だ」
「小癪な! だったらガガギゴちゃんでそのモンスターを攻撃!」
ネクロガードナーが破壊された。手札にはクリボーもあるので2回凌げる。一応防御はこれで万全。トーラに後を託すだけか。
「フィールドが空になったか。参ったな」
「えへへ……どんなもんよ! 私の強さ思い知ったでしょ? ターンエンド!」
ジュンコ 手札0枚 フェンリル ギガ・ガガギゴ 伝説の都 竜巻壁
トーラ 手札4枚 図書館 ディフェンダー 伏せ2枚
ももえ 手札3枚(バブーン、キャット、ウォンバット)モモンガ 類人猿 伏せ1枚
テンシン 手札2枚
「テンシンが危ない……どうしよう!」
「トーラ!」
呼びかけに応えたトーラは強張った表情を俺に向けた。
「あ! プレイヤー同士の情報伝達はNGですわよ!」
「相談とかしたら反則だからね!」
こいつらそれっぽいこと言ってるものの嫉妬にかぶれたその顔では本音が透けている。こいつら初対面の時は俺のことバカにしてたはずだが……この学園の生徒は面食いが多い。
「相談じゃない。ただトーラ、お前は自信を持ってカードを引け。そして思う存分暴れろ。失敗しても俺が必ずフォローしてやるからお前はなんにも気にするな」
「テンシン! わかった、もう遠慮しない! 全部私がおいしいところ持っていくけど構わないのね?」
「やっちまえ!」
やっと吹っ切れたのかさわやかな表情でデッキからカードを引き抜いた。
「ドロー! さぁて、やってやるわ! まずは魔法都市エンディミオンを発動! 邪魔なフィールドは消えなさい! ついでにその目障りな壁も消滅よ!」
引き抜いたカードをそのまま発動。フィールドが出ればトーラは一気に勢いが出てくる。これはもう勝負あったか。
さらにフィールドの張り替えで今度はアトランティスが消えてさらに海がなくなったことでトルネードウォールも墓地へ送られた。
「あっ!? また魔法都市? 同じことばかりで芸がないわね」
「一途って言ってほしいわね。続いて魔力掌握を発動! 魔法都市に1コ乗せて同名カードを加える。さらに図書館を攻撃表示に変えて強制転移を発動! 対象は獣使いのアンタ! 私は図書館をあげる。あなたはどっちをくれるかしら?」
トーラはわざと図書館の効果を使っていないらしい。このままでは相手にドロー効果を使われるがそんなミスをするわけがない。わざわざ攻撃表示にする徹底ぶりだし。おもむろな強制転移といい何か策がありそうだ。
「私はモモンガちゃんを差し出しますわ」
「やっぱりね。野性解放がある以上そっちのゴリラは残したいだろうと思ったわ! これでデッキからモモンガを呼ぶことはできない!」
「くぅ……でもあなたこの王立魔法図書館の効果を使い忘れてますわよ? とんでもないミスですわ」
「私がそんなミスするわけないわ! リバースカードオープン! ディメンションマジック! モモンガを生贄に手札の魔法の操り人形を特殊召喚!」
《魔法の操り人形》
効果モンスター
星5/闇属性/魔法使い族/攻2000/守1000
このカードがフィールド上に表側表示で存在する限り、
自分または相手が魔法カードを発動する度に、
このカードに魔力カウンターを1つ置く。
このカードに乗っている魔力カウンター1つにつき、
このカードの攻撃力は200ポイントアップする。
また、このカードに乗っている魔力カウンターを2つ取り除く事で、
フィールド上に存在するモンスター1体を破壊する。
ディメンションマジックは魔法使い族の存在が発動条件だが生贄は魔法使いじゃなくてもいい。上手くカードを使いこなせている。
「さらに私のモンスターを破壊するわけね。でもそうすれば手札のバブーンちゃんが……」
「誰がそのゴリラを破壊するっていったのよ? 私は王立魔法図書館を破壊!」
「えっ!? でも攻撃表示のまま戦闘すれば大ダメージを与えられますのに!」
その通りだ。ももえを倒すだけならこんなことしなくていい。
トーラのやつ……どうやら本当に終わらせるつもりらしい。
「なんだトーラ、もう終わらせるつもりか? 1人ぐらい残しても良かったんだぞ?」
「何言ってんのよ? テンシンにばっかりイイカッコさせられないでしょ? どっちも私がもらっとくわ!」
「まさかももえだけでなく私まで倒すつもりなの!? 無理に決まってるでしょ! ナメてんじゃないわよ!」
「そうかしら? 図書館が破壊された時乗っていたカウンターは全て魔法都市に移される。これで7コ乗せたわ。さぁ、いくわよ! まず死者蘇生を使ってダイダロスを蘇生! さらに魔法都市の6つのカウンターを使って墓地の神聖魔導王エンディミオンを特殊召喚! 効果でもう一回強欲な壺を手札に!」
トーラ 手札2枚(魔力掌握、強欲な壺)
操り人形1コ ディフェンダー 神聖魔導王 ダイダロス 魔法都市2コ 伏せ1枚
「アンタねぇ! 何回も死者蘇生とか強欲な壺とか使いすぎよ! ズルイわよ!」
「そういうデッキなんですぅ~! 強欲な壺で2枚ドロー! さらにマリオネットの効果で魔力カウンターを2コ使って類人猿を破壊するわ!」
「手札のバブーンの効果! 1000ライフと引き換えにフィールドに特殊召喚しますわ!」
お待ちかねという様子で出てきたバブーンだがその出番は短かった。
「だったら今度はエンディミオンの効果で魔力掌握を捨ててバブーンを破壊!」
「しつこいですわね!」
「でもこれでフィールドが綺麗になったわね」
「くぅ……もうどうしようもありませんわ」
手札にはレスキューキャットとデス・ウォンバットのみで伏せているのは野性解放。バレているからブラフにもならない。バブーンも力を存分に発揮できずに終わった。やはりウイルスカードは効果が見えにくいがピーピングが確実に活かされている。
トーラ 人形0コ 魔法都市3コ
「さらに魔法都市の効果で魔力カウンターを肩代わりしてマリオネットの効果発動! ギガ・ガガギゴを破壊するわ!」
「でもまだ守備表示のフェンリルが残ってる!」
「私が本気になったら骨も残さない! 最後の伏せカードオープン! 魔のデッキ破壊ウイルス! マリオネットを生贄にしてあなたの攻撃力1500以下のモンスターを破壊する! これで攻撃力が1400に戻ってるフェンリルは破壊される!」
「攻撃力の変化まで織り込み済み!? ここまで計算していたの!?」
これで敵2人のフィールドが空になった。ライフは3000と4000だ。トーラの場にはディフェンダーとエンディミオンとダイダロスがいる。少し足りないか。
だがマリオネットでフェンリルを攻撃してもウイルスを使っても同じ結果なのに敢えて使ったということは……まだ何か残しているはず。
ここでウイルスを使う意味……まさか場所を空けたのか?
「わざわざリバースカードを見せたってことは……5体並ぶのか?」
「さすがね、テンシン。アンタってホントこういう勘だけはいいわよね」
「5体? ここからまだ何かできるっての? 残ったのは今引いてきた2枚の手札だけでしょ?」
「ハッタリですわ!」
その通り。今トーラは2枚手札を残しているがそれはさっきの強欲な壺の効果で引いてきた2枚だ。完全に運によるところだがトーラなら望んだカードを引っ張ってきたかもしれない。
「ならとくと拝みなさい! 手札を1枚捨てて私はDDRを発動!」
「除外ゾーンから特殊召喚……しまった!」
「またあのカードですの!?」
本日何度目かわからないご登場だ。お勤めご苦労様です。
「帰ってらっしゃい! 私の魂のカード! 混沌の黒魔術師降臨よ! 効果で死者蘇生を手札に! さぁ、これで揃うわ! 3回目の死者蘇生であなたの切り札、バブーンちゃんを頂こうかしら」
「あぁ~~っっ!! この泥棒女ァァァ!!」
ブルー女子もこうなってはまないたの鯉も同然。あとは処刑を待つばかりだ。
「あなた達も自分のエースカードに負ければ本望でしょう? さぁバトルよ! まずはバブーンでももえ先輩に攻撃!」
「やっと名前を覚えましたのね!」
「さらにエンディミオンでトドメよ」
「キャァァァ!!! テンシン様ァァァ!!!」
「テンシンは今関係ないでしょ!! 今度はジュンコ先輩にダイダロスで攻撃!」
「私のダイダロスなのに! キャャアアァァッッ!!」
「最後は滅びの呪文よ! デス・アルテマ!」
「覚えてなさい!! 世渡トーラァァァ~~~~!!」
派手に決めてくれたな。トドメに自分のモンスターを使うのはトーラの優しさだな。俺なら逆順で攻撃したけど。
派手に勝ったことでもうトーラを見下す奴もいなくなるはずだ。俺がトーラの背後にいることも印象付けられたはず。図らずもタッグデュエルをすることができたおかげでトーラを守りやすくなった。校長にも少しは感謝しないといけないか。
「テンシンどうよ! 見た? 私の華麗な魔法捌き! 図書館を相手に渡して魔力カウンターを貯めるなんてテンシンには思いつけないでしょ? その辺が私の熟練の技なのよね! フフンッ! しかも死者蘇生を3回も使って相手のモンスターを揃えるなんてびっくりでしょ? 3回よ3回?!」
たしかに制限カードを3回も使いまわすのは珍しい。誰かさんは10回使ったけど。
「さすがだよ、トーラ。実は俺の方はあの時ヤバかったからお前のおかげで助かったよ」
「え!? 本当はヤバかったの!? 全くもう! しっかりしなさいよ! 私がいないとダメなんだから困っちゃうわねっ、テンシンは! じゃあお礼に今度なんか奢ってもらおうかしらねっ」
「わかったわかった。お昼はブルーになっても一緒に食べような」
「フフン! テンシンってホント甘えん坊なんだから仕方ないわねっ!」
饒舌なトーラにこっちが恥ずかしくなる。まだ周りに大勢観客がいるんだけどな。
でもトーラが嬉しそうなら止める理由はない。歓声が鳴り止んでからも勝利の喜びを分かち合った。
今回はちゃんとデュエル!
普通にデュエルしても面白くないのでタッグマッチにしました。
バチバチに戦った相手が次は味方になるのは王道展開ですよね!
トーラのデュエルも今後増えていきます。
テンシンよりトーラの方がちゃんと遊戯王してる……
ちなみに対戦相手のデッキコンセプトはレスキューキャットとマーメイド・ナイトから復元しています。
この時代のレスキューキャットってバブーンでしか使えないですよね?