さ、とっととアンティを頂こう。即決でサファイアドラゴンをかっぱぎ、他の連中も仇討ちとばかりに挑んできたので全て倒してやった。ドレインシールド、大嵐、ゴブリン暗殺部隊など様々なカードを補充し、ようやくデッキもそれなりの力を得た。
倒した奴らは既に尻尾を巻いて逃げ帰っている。いくらバカな連中でも本能的に格付けが済んでしまったことを感じ取ったのだろう。
ようやく俺は自室に入り一息ついた。
まったく……自分の部屋に戻るだけでえらく疲れるところだ、この学園は。
さて、これからとりあえず自分の持っているものや家庭状況などを調べておかないとな。ガサゴソ自分の荷物を物色していると直方体の缶からカードの束を見つけた。
「なんだ、まだあるじゃん。さすがに使えないカードしか残っていないか。うわぁ……」
攻撃力1000以下のノーマルモンスターなどがひしめきあっている。グロ……
アメーバは一応効果があるから入れたのだろうな。深い考えがあったわけではなさそうだ。ということはクリッターも同じような理由だろうな。
マジックカードやトラップカードに目を移してもほぼ無意味なカードや攻撃力を200上げるというような役に立たないものばかり。
「あーあ、やってらんねぇ!」
ガッカリ感強めに最後のカードを見たとき、全身に衝撃が走った。なんだこれは……!
これは強い! 文句なく強いぞ!
だがデッキに入れない理由もまた理解できる。このカードの特殊な召喚方法を過去の俺が使いこなせなかったのだろう。下手なデュエリストが使えば敵に塩を送るだけだ。
デッキに入れていればアンティで消えていたであろうことを思えばこれは幸運なことだった。
さっそくデッキを改造。迷いなくこのカードを中心に組み上げることを決める。問題は手札に持ってくる手段がないことだが……なんとかなるだろう。
とにかく手札に来るまで耐えて耐えて耐える。引いたらさらに耐える! 耐えるだけで俺の勝ち! デュエルって簡単じゃん!
今後、幻魔の力を手に入れることも視野に入れて行動する必要がある。そうなると短期間でのデッキ強化は必須事項だった。だからこそ、このカードの加入は大きい。これならそろそろ本格的に大物獲りを考えてもよさそうだ。
その日はデッキの調整に明け暮れ、翌日は大寝坊をしてしまい午後から授業に向かった。
何熱くなってんだか……。我ながら恥ずかしい。でもそれだけこのカードの発見は嬉しかったんだ。大げさかもしれないが運命すら感じる。
だが遅刻は遅刻。急がないと……とは思ったがよく考えると俺は自他共に認めるドロップアウトボーイ。1回遅れたぐらいじゃたいしたことないか。
なんか堕落する学生の気持ちがわかった気がする……。
のんびりと校舎に到着すると次は体育のようだ。着替えが必要だからロッカーに行かないと。しかし場所がわからない。遅刻してしまったので誰かにくっついていく作戦も使えない。なんとも間が悪い。仕方ないから誰かに聞くか。
「あぁ、それならあっちだよ」
カード屋のトメさんに場所を教えてもらいなんとかロッカーに着いた。しかし様子がおかしい。誰かがいる気配がする。
「これでドロップアウトボーイはオワリでスーノ!」
「……」
そういえばこの時期はクロノスが性格悪いんだったか。十代憎しであれこれ退学させるための罠を仕掛けていた。今回は偽ラブレター作戦。くだらないことを……
しかもそのロッカーはたしか十代ではなく翔のもので、とばっちりを受けた翔を助けるために十代が明日香とデュエルしたはず。
このまま黙って見ているのもいいが、来るとわかっている未来をそのまま実現させるのも癪だ。
幻魔戦ではいずれ十代も俺の敵になる。しかも奴はデュエルキングになるであろう男。敵にすると面倒だ。だったらここで明日香とのデュエルで経験を積むチャンスを奪っておくのも一興か。ついでにいけすかない丸藤翔にも恩を売れる。あのとき見下されたことは忘れない。憎い相手には恩を着せよってね。
「わぁー!! 遅刻だ遅刻だ!」
やはり来たか、丸藤翔。もうこれで偽ラブレター事件で間違いない。周囲を油断なく警戒する翔に対し、わざとわかるように靴音を立てて近づいた。
「誰だ!」
「そう警戒するなよ」
「あっ! お前は学年ドベの世渡天真! 何の用だ!」
「ドベとは言ってくれるなぁ。俺はお前を助けてやろうと思って忠告をしに来たんだ」
「まさか……見たの? ぼくがもらった……」
さっと手を隠すア丸藤翔。今更引っ込めても遅いだろう。
「手紙……いや、ラブレターだろ? だがそれは偽物。さっきここに誰かが侵入していた。そもそもこんなところに女子がうろついているわけがない。十中八九それは罠だ」
「へっへーん! そんなこと言ったってムダだよ! どうせ君はラブレターなんて貰ったことがないから羨ましくってぼくに行かせたくないんだろう! その手に乗るもんか!」
「おいおい……」
なんて頭の固い奴。けど別にいい。失敗すればどちらが正しいかはハッキリする。こいつのためを思うなら嫌われてでも止めるべきだが、俺はこいつのためでなく自分のために言っただけ。むしろ失敗してくれた方が都合がいい。
「君みたいなバカで才能のない奴には、ぼくのようにバラ色の人生を楽しむのは無理だね! せいぜいドロップアウトしないように頑張りなよ! ぼくは明日香さんとの幸せな時間が待っているんだ! ハーーッハッハッハ!」
さすがにこれは……おいたが過ぎたね、丸藤翔。俺はここで目ェ覚めてから虫の居所が悪いんだよ。
「人が下手に出れば調子に乗りやがって」
「ん? なんだい? 負け犬の遠吠えはみっともないよ? ハッハッハー! 今日は気分がいいから今の言葉は忘れてあげるよ。じゃーね! 落ちこぼれ君」
「……後悔させてやる」
予定変更。最初のターゲットは丸藤翔だ。十代や明日香はいずれ片をつける。こいつだけは退学に追い込んでやる。
◇
今日、偽ラブレターの言葉通りブルー女子寮へ向かった翔は明日香達に退学させられる。それを救うのが我らが主人公十代くんなのだが、もし十代が足止めを受けてデュエルに行けなかったらどうなるのだろうか?
本当に覗きをした翔を退学させるのかどうか。まぁおそらく退学にはしないのだろうが、どうなるか見物する価値はある。
十代達の部屋と通信番号を特定し、夜を待った。少し早めに動き、十代を湖とは反対方向に呼び出す。決闘と聞けば断ることはないだろう。俺の思惑通り、奴は部屋を出た。
方角も呼び出した場所に向かっている。これで足止めはできた。その間に俺は湖へ向かいボートを隠し十代が乗れないようにした。念のため俺自身もそこまでの道中で十代を待ち伏せる。今回の目的からは外れるが、やっぱり気になるじゃないか。あの十代にこのデッキがどの程度通用するのか。足止めにはなるわけだし、一戦交える価値はある。
程なくして十代はやはり現れた。思っていたよりもかなり速い。結構足が速かったようだ。
「お前はクロノスを倒した一年じゃないか」
「え? なんでこんなところに俺以外のレッド生がいるんだ? 悪いけど今急いでてさ……」
そのまま横を抜けようとする十代。だが足止めにはたった一言で十分。
「デュエルしろよ」
「何?」
「俺とデュエルしろと言ったんだ。それとも逃げるのか? まさかクロノスに勝ったのはマグレだったか?」
「あーーっ、クッソー! 俺、そういう言い方されると断れないんだよなぁーっ! しゃーないか、速攻で終わらせてやる!」
単純なやつ。簡単にデュエルを受けてくれて嬉しいよ。存分に楽しませてやるさ。
◇
「ゴブリン暗殺部隊でダイレクトアタック!」
「くっ! まさかそいつから2回もダイレクトアタックを受けるなんて!」
《ゴブリン暗殺部隊》
効果モンスター
星4/闇属性/獣戦士族/攻1300/守 0
このカードは相手プレイヤーを直接攻撃する事ができる。
このカードは攻撃した場合、バトルフェイズ終了時に守備表示になる。
次の自分のターン終了時までこのカードは表示形式を変更できない。
場には光の護封剣があり、十代は為すすべもない。すでにかなりのターンが経っており、十代の残りのライフは1400だ。俺はゆっくりプレイしていたので時間の経過も長い。十代も痺れを切らしているが劣勢故に思い切った行動にも出れない。
「さぁどうする?」
「ようやくこのターンで護封剣がなくなるんだ! 当然一気にいかせてもらうぜ!」
怒涛の展開でモンスターを並べる十代。フレイム・ウィングマンにエッジマンか。これらの総攻撃を受ければライフポイントは残らない。
「エッジマンで守備モンスターを攻撃!」
「もちろん通さない。トラップ発動、重力解除!」
「しまった! トラップがあったのか!」
「おいおい、お前にはリバースカードすら見えてないのか? この効果で全てのモンスターの表示形式が逆になる。バトル中に表示形式は変えられない以上、お前の攻撃は終了だ。そして暗殺部隊は再び攻撃表示になる」
「しまった!」
頭を抱えるようじゃ勝負あったな。他のことに気を取られていたとはいえ呆気なさすぎる。期待外れ……だな。
「俺のターン! まずは暗殺部隊でダイレクトアタック!」
「ぐっ……こう何回もダイレクトアタックされちゃライフがもたない!」
LP 1400 → 100
表情を歪める十代だが事の深刻さを理解できていない。今の攻撃を通した時点でお前は終わっている。
「最後に俺の切り札を見せてやるよ。これでお前の残り僅かなライフは消えてなくなる」
「バトルフェイズはもう終わったよな? いったいどんなカードが出てくるんだ?」
時間稼ぎをするだけで勝つつもりはなかったんだが、こいつの強さにはとことん拍子抜けした。どれだけ引きが良くてもデッキにないカードは引けない。奴のデッキでは俺に勝つことはできないようだ。
これから強くなるだろうから今勝利を手にしても大した意味はないが、勝てるならそれに越したことはない。このカードの最初の餌食になってもらおう。
ピピピッ……
「ジュウダイ! コレイジョウオソクナレバマルフジショウノミノアンゼンハホショウデキナイゾ! スグニミズウミニコイ!」
「ヤベ! もう時間がない! 悪いけど俺いかせてもらうぜ!」
「敗北を目前にして勝負を投げ出すか?」
「違うって! 翔が今大変なんだ! お前も聞いただろう?」
心ここにあらずか。既に時間稼ぎは十分。明日香達はしびれを切らしている。そして今の十代相手に勝ちに拘る理由もない。好きにさせるとしよう。
切り札の出番はお預けだな。
「なら、お前が構わないなら行くといい。ムダだろうけど」
「悪いな、俺は先に行かせてもらうぜ! 待ってろ翔!」
ギリギリで逃げたか。今の十代は勝ち負けには拘っていない。デュエルそのものを楽しんでいる。そのことがよくわかった。
そして十代の向かう先に船はない。だから奴が助けに向かうことは不可能だ。だから……
「俺が代わりになってやるよ」
◇
湖には翔が小舟で捕まっていた。まるで捕虜のような様子には同情するよ。
悠々と俺が現れ、明日香は最初、十代ではないことに不機嫌さを隠しもしなかったが俺が十代から代わりを頼まれたと言うと渋々認めてデュエルをすることになった。結構口論にはなったが、当の本人が来ないうえ、建前上は翔の身柄をどうするか決めるためのデュエルだから断る道理はない。十代と戦いたかった明日香にしてみれば不満しかないだろうがな。
しかし、いざはじまってみればそのデュエルは一方的な展開となった。
「マグネッツ2号を守備表示。ターン終了」
「ドロー! もう終わりよ! スケートブレーダーでマグネッツ2号を攻撃! そしてサイバーチュチュでダイレクトアタック!」
テンシン LP 1000 → 0
「あらら、さすがオベリスクブルーの女王様。レッドの俺なんかとは比べ物にならねぇ強さだな。すまんな丸藤くん、相手が悪すぎる。俺じゃ勝てねぇよ」
「そんなぁ!」
完敗。そうとしかいいようがない惨状に翔も諦めきった表情をしていた。そしてこんな弱い奴に代わりを頼んだ十代を恨んでもいた。自分のヘマを棚に上げてそれはないだろう?
「済まねーな。だが天上院さんも人が悪い。レッドの俺達が勝てるはずもないのに負けたら退学だなんて」
「……」
「あらあら、情けない殿方ですわね」
「ホント、意気地がないったらありゃしない! 負けるにしても、もっと意地を見せるとか男らしいところはないわけ?」
好き勝手言うねぇ。男らしくすれば勝てるのか? アホらしい。
とりあえず俺の目的は達成した。後は沈黙を守るこの女王様が果たしてどんな判断を下すのか……。
「あなた、なぜ手を抜いたのかしら?」
「……は?」
「とぼけてもムダよ。あなたが全力ではないことはわかっている。十代ほど強くはないにせよ、ここまで一方的に負けるのはおかしいわ」
こいつ、何を言っている? 正気か?
「俺のことを知っているとでも? いや、知っていればなおさらそんな言葉は……」
「あなたのことは知らない。でもね、デュエルでウソをつくことなんてできやしないわ。あなたの目は完全に私を見下している。そして自信に満ち溢れているわ。だとすればこの結果はわざと手を抜いたとしか考えられないじゃない。私も安く見られたものね」
「明日香さん?! 本当なの?!」
「ありえませんわ! こいつはレッドでもドベですのよ!」
「そうだよ! ぼくより弱いんだよ!」
周りは普通の意見だ。とすると本当に明日香は自分のカンで俺の本心を見破ったのか。下手な言い逃れは……無意味か。
面白い。こんなイレギュラーが起きるなんて。翔を少し懲らしめるだけのつもりだったが、気が変わった。今回はこいつ、天上院明日香も徹底的に潰してやろう。さっきは獲物に逃げられてしまったから、俺もこのデッキも不完全燃焼なんだ。もう金輪際俺にデュエルを挑む気が失せるぐらい、完膚なきまでに叩き潰す。
またしても、こんなヘアスタイルに感謝しなくちゃいけないなぁ。自分の表情ごと本心を覆いつくす様は、まるで仮面だな。
「たいした推理だね」
「観念したのかしら? おそらく十代がここに来ないのもあなたの仕業でしょう? 何が目的なの!」
「目的? あぁ、それならあんたと同じさ」
「私と? どういうこと?」
自分の弱みを突かれたら相手の弱みを引っ張り出すのが俺のやり方。気づけば立場は対等に。
「なら先にきいとこう。故意か否かはさておき、俺はデュエルに負けた。それであんたはこの女湯覗きをどうするんだ? 退学?」
「それは…………今回のことは先生に伝えるわ。その後の判断は先生に任せる」
「話が違うのでは?」
「退学にする、とあなたに明言したつもりはないもの。ウソは言ってないはずよ」
“あなたに”ときたか。本当に面白い。上手くかわしてきたな。
「じゃあ誰に報告する?」
明日香はしばらく黙って小考した後ゆっくりと口を開いた。
「……大徳寺、先生よ。翔君はレッド生だから」
「くくく……それは今考えたのか? いいセンついてるよ。たしかに大徳寺ならそいつを退学にはしないだろうね。鮎川先生辺りに伝えれば退学にもできただろうに。丸藤、お前、案外本当にその子から好かれてるのかもしれないなぁ」
「えっ!? 本当に明日香さんが!!」
冗談で言ったのだが本人は真に受けたらしい。顔がふやけている。気色悪い顔するなよ、というのはひどすぎるか。
「バカ言わないで! 退学はさすがにかわいそうだと思っただけよ! 濡れ衣だし!」
「語るに落ちたな……やはり丸藤は十代と戦うための餌だったか」
「……! あなた、謀ったわね!」
濡れ衣だと理解しつつ、デュエルの口実に用いた。そして自分が勝っても翔を退学させる気もなかった。つまりこいつの目的は十代とデュエルすることだと白日の下に晒されたわけだ。
「そして目的は俺も同じ。あんたがこいつをデュエルのダシにしたように、俺もこいつを使ってあんたの実力を拝ませてもらおうと思ってね。在来組のことは新入生の俺にはわからない。だからこのアカデミアで実力のある奴の腕を確かめておこうと思っただけだ。負けたのは自分の強さを見せないため」
「ウソね」
「ん? なぜ?」
「あんな負け方じゃ何も測れない。本当は翔君を退学させるためでしょう?」
「え……ぼく!?」
「あー、たしかにそれもあったかなぁ。さっきは俺に対してとんだ失礼をかましてくれたからねぇ。虫けら以下の実力の分際で」
あえて過激な言葉を選ぶと明日香は目に見えて表情を険しくした。
「む、虫けら!?」
「聞き捨てならないわね……。少し思い上がりが過ぎるんじゃないかしら?」
「そうでもないさ。俺はあんたがお熱になっている十代より強いし」
その一言でその場にいた4人に衝撃が走る。すぐに翔は「噓だ!」と噛みつくが明日香は神妙な面持ちで沈黙している。
「絶対に噓だ! アニキはお前なんかよりずっとずっと……!」
「だが賢い天上院さんは気づいたみたいだぜ? なぜ十代がここに来ないのか」
「まさか……! 本当にアニキが?!」
その問いにはあえて答えなかった。
「さて、これでお互い本音がわかったし、実力も明らかになったわけだ。ならこういうのはどう? 俺とあんたが再戦して、今度は俺が勝ったら丸藤くんは退学、というのは? これなら八百長はできないだろう?」
「なんだって!?」
翔は驚きと怒りですごい表情だが明日香は冷静だ。じっと俺の方を見つめたまま静かにつぶやいた。
「あなた……本気で私を格下だと思っているのね。さすがにプライドが傷つくわ」
「とんでもない勘違い野郎ね!」
「腹立たしいですわ! 明日香様をなんだと思ってますの! レッドの十代に勝ったぐらいでブルーの明日香様に勝てるわけないですわ!」
十代より明日香の方が強いのは当たり前ってか? 十代や明日香のことをメタ的によく知っていると違和感しかないセリフだが、この学園の常識から考えれば真っ当な意見なんだろうな。
「やればすぐわかることだな。ただし今度は言い逃れナシだ! 丸藤くんには本当に消えてもらう」
「いいでしょう。デュエルを受けてあげるわ。もし本当に十代を倒したのならあなたにも興味がある。お望み通り私が負けたら今回の件は鮎川先生に報告しましょう。その代わりあなたが負ければ翔君を侮ったこと、謝罪してもらうわよ!」
そうきたか。これはますます面白い。
「ずいぶん無茶な要求だな。君は虫以下のミジンコみたいな存在に向かって頭を下げろと、そういうのかい? ミジンコにごめんなさいなんて、そんなことする奴みたことないね」
「この期に及んでまだそんなことを……! 翔くん、こんなことに巻き込んでしまって悪かったわね。必ず勝つから心配しないで」
翔は感動した面持ちで明日香を見ている。こいつ今回は本当に役得だな。マジで退学させてやろうか?
「気づいたら私達があの覗き魔を助けることになってる……」
「覗かれたのは私達ですのに……」
「ジュンコ、ももえ! 余計なこと言わないの! 私のこと、応援してくれるんでしょ?」
「もちろんよ! 絶対勝って!」
「全力で応援しますわ!」
「ということよ。あなた、逃げないわよね?」
やる気十分か。そうでないとな。どっちが上なのか、ここではっきりさせておこうか?
正真正銘、こいつこそが最初の獲物だ。
「もちろん。あんたはさっきあんな負け方では実力を測れないと言ったが、俺はすでに実力を完全に見極めている。さっきの約束、ゆめゆめ忘れないようにね」
「それはあなたも同じよ! 必ず翔くんに謝ってもらうわ! いくわよ!」
「「デュエル!!」」
謎の切り札さん、バレバレ……
あらすじを雑に書いた弊害が意外なところに。
ギリギリわかるぐらいのヒントにしてたのになぁ。