気づいたらデュエルアカデミア   作:りんごうさぎ

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ダークホース

 大会も終盤に差し掛かり生き残りの数も減ってきた。かなりの参加者がいたとはいえルール上毎日半分以下になっていくから決着がつくのは意外と早かったわね。

 

 ところで今残ってるのは何人ぐらいなのかしら。どこかでチェックできないの?

 

 今日もノルマの1人、対戦した相手からメダルをもらってからついでにその疑問をぶつけると学園中央のモニターでデータがヴィジョンに映し出されていることを知った。

 

 とりあえず見に行きましょう。

 

 

 ◇

 

 

 ここか。最初はこんなのなかったわよね。人数が絞れて来てから設置されたのかも。

 

 もう2ケタしか残ってないのか。しかも持ってるメダル数のランキングもある。

 

 私は183枚。おかあさんのおかげでかなり多い。順位は……3位?! まだ上がいるの?!

 

 1位は315枚 恋する乙女 ……なにこれ、ハンドルネーム?

 

 2位は247枚 万丈目準  この人結構な強者だったのね。

 

 3位が183枚 これが私

 

 4位は112枚 ティラノ剣山 ティラノってやっぱりハンドルネーム使ってる?

 

 他にめぼしいのは十代が34枚、エドっていうプロが56枚、斎王は……2枚!?

 

 どうやら戦いを避けて実力を隠してるデュエリストもいるようね。あの男が誰を倒したのかは気になるけどこの大会の本命は斎王琢磨で間違いない。

 

 明日香さんとか三沢さんはもう負けたみたいね。強くてもより強い者に負けてしまうこともある。もう強者達の潰しあいは始まってるってわけね。

 

 あ、そういえばテンシンは?

 

 世渡天真……15枚。ほとんど勝負してない。まぁそんなことだろうと思ったわ。とりあえずランキングの上位で生き残ってる人から選んで勝負しにいきますか。

 

「さぁて、そろそろ俺も上位に名前が載ってるはずザウルス」

 

 あっ! 恐竜くんじゃない! たしか112枚。ちょうどいいのがきたわね。

 

「恐竜くん、調子いいみたいね」

「げっ! 世渡トーラ!」

「なによその反応は? ちょっと世間話するぐらいならいいでしょ? 十代や明日香さん達って今どんな感じか知ってる?」

 

 そういうとあからさまにホッとした表情で答えてくれた。

 

「十代のアニキが明日香さんに勝って正気に戻したドン! 万丈目先輩も負けたけど十代のアニキがメダルを取らなかったから万丈目先輩はまだ出場してるザウルス」

「明日香さんからはメダルとったの?」

「明日香先輩がメダルを自ら渡したドン。負けたのに参加し続けることはできないって」

 

 じゃあその2人はもう正気なんだ。

 

「他には何か知ってる?」

「丸藤先輩がヘルカイザーに負けたドン。敗北したとはいえあのデュエルは立派だったザウルス」

「ヘルカイザー? たしかプロのお兄さん?」

「前に映像で見たドン? あの人もこの島に来て兄弟デュエルをしたザウルス」

 

 ヘルカイザーも注意すべきか。サイバー流を使うデュエリストだったはずよね。一撃必殺系のデッキだから怖さはあるわね。

 

 みんなちゃんと頑張ってるみたいで良かったわ。顔もあわせてなかったけど心配なさそうね。

 

 さて、そうとわかれば……

 

「色々教えてくれてありがとう恐竜くん」

「いえいえ、どういたしましてドン」

「ところで、私今日まだデュエルしたりないのよね。あなた、1年の中では指折りの実力でしょう? そろそろどっちが1年最強か決めておかない?」

「なっ!? 世間話するだけって言ったドン!?」

「デュエルしないなんて言ってないわ。それに逃げるなんて情けないこと言わないわよね? 優勝を目指すなら周りは全て倒すべき敵、そうでしょう?」

「とんだ戦闘狂ザウルス……」

 

 じりじりと後退する恐竜くんを追い詰めた。さぁ、私の養分になりなさい?

 

「ボクの順位はどうかなー」

 

 掲示板に近づく子供が1人。声からすると女の子? ずいぶんと場違いな光景ね。

 

「あっ! そこにいる人、俺と勝負するザウルス!」

「え? ボク?」

「そうそう、君ザウルス!」

「あーーっ! このトカゲ野郎! 逃げんじゃないわよ!」

「ひぃぃぃーーー!! 急に口悪いドン!!」

 

 なんて姑息な! 向上心の欠片もないわね。こんな小学生みたいなチンチクリンとは勝負して私からは逃げようだなんて! ただの初心者狩りじゃない! 許せないわね。

 

 この子との勝負が終わったら意地でも私と勝負させてやる!

 

「今日はもう1回戦ったから断ることもできるんだけどなぁ」

「マジで言ってるドン!? そこをなんとかお願いザウルス!」

「うーん……」

「こいつランキング4位のティラノ剣山よ。結構勝ってるやつだから注意しなさい!」

「あ! 余計なこと言うなザウルス!」

「へぇ……君が112枚の……」

 

 よし、これで112枚は私のものよ!

 

「さぁ、恐竜くん? もう逃げられないわね」

「今日はなんてツイてないドン。でもここまでよく頑張ったザウルス」

「いいよ。バンダナのアナタと勝負してあげる」

「ホントザウルス!? やっぱり今日はツイてるドン!」

「なんでよ!?」

 

 何を考えてるのこの子? こんな4位のやつなんて負けると思って戦いたくないのが普通でしょう? 疑問に思っていると仮面をつけた謎の少女から小声で囁かれた。

 

「戦う理由はあなたと同じだよ」

 

 どういうこと?

 

「「デュエル!!」」

 

 わけがわからないけどとにかく勝負は始まってしまった。まぁいいわ。ここはお手並み拝見といきましょうか。この恐竜くんもマーク対象の1人。じっくり見させてもらうわ。

 

「お嬢ちゃんに先攻は譲ってやるドン!」

「おにいちゃん優しいんだね。ありがとう」

「えへへ……幼い女の子に先攻を譲るのは年長者として当然ドン!」

 

 かわいいお声でお礼を言われて鼻の下を伸ばしている。デュエルの最中に気を抜くなんて最低。やっぱ前言撤回。こいつは私の敵じゃないわね。

 

「ボクはモンスターをセットしてターン終了だよ」

「おぉ、上手ザウルス。じゃあおにいちゃんのターンドン! ドロー!」

 

 ニヤニヤと気持ち悪いわね。こいつのことは見ても仕方ないか。

 

 とはいえこっちの女の子も平凡な内容で特に見どころはないのよね。マークするほどではないかしら。

 

「遠慮しないで思いっきり攻めてきていいよ」

「なら弱肉強食の世界ってやつを教えてやるドン! まずはキラーザウルスの効果でこのカードを墓地に送りジュラシックワールドを手札に加えてそのまま発ドン!」

「わぁ、昔の地球にきたみたいだね」

「太古の世界ザウルス! さらに究極進化薬を発動して手札のUFOタートルと墓地のキラーザウルスを除外してデッキから超伝導恐獣を特殊召喚!」

 

《究極進化薬》

通常魔法

このカード名のカードは1ターンに1枚しか発動できない。

(1):自分の手札・墓地から、恐竜族モンスターと恐竜族以外のモンスターを1体ずつ除外して発動できる。

手札・デッキからレベル7以上の恐竜族モンスター1体を召喚条件を無視して特殊召喚する。

 

 

《超伝導恐獣》

効果モンスター

星8/光属性/恐竜族/攻3300/守1400

(1):1ターンに1度、自分フィールドのモンスター1体をリリースして発動できる。

相手に1000ダメージを与える。

この効果を発動するターン、このカードは攻撃宣言できない。

 

 

「展開が早いわね」

「驚くのはまだ早いドン? さらにハイドロゲドンを召喚するザウルス!」

「ハイドロゲドン?」

「このモンスターは相手のモンスターを戦闘破壊すればさらに仲間を呼べるドン。このカードの前では下級モンスターの壁なんて無意味ザウルス」

「えー!? なにそれ!?」

「三沢さんが使ってたカードね」

 

 この連続攻撃が決まればこの子のライフはゼロ。あっさり決着がつきそうね。

 

 というか、何が“先攻を譲るのは年長者として当然”よ! 自分が後攻ワンキルしたかっただけじゃない!

 

「デュエルの怖さを思い知るドン! まずはハイドロゲドンで攻撃!」

「リバースモンスターの効果が発動するよ。ライトロードハンターライコウの効果!」

「ライトロード? ザウルス?」

 

 知らないカードね。私、もっとカードを知らなきゃダメって色んな人からいわれてるのに……反省ね。

 

「ライコウはリバースしたらデッキからカードを3枚墓地に送って相手のカードを1枚破壊するよ」

 

 

《ライトロード・ハンター ライコウ》

リバース・効果モンスター

星2/光属性/獣族/攻 200/守 100

(1):このカードがリバースした場合に発動する。

フィールドのカード1枚を選んで破壊できる。

自分のデッキの上からカードを3枚墓地へ送る。

 

 

「しまったドン!?」

「当然選ぶのは超伝導恐獣だよ。ジュラシックワールドはトラップカードからしかモンスターを守れないからね」

 

 

《ジュラシックワールド》

フィールド魔法

恐竜族・鳥獣族モンスターの攻撃力・守備力を300ポイントアップする。

恐竜族・鳥獣族は相手の罠の対象とならず、効果も受けない。

自分のコントロールする攻撃表示の恐竜族・鳥獣族モンスターが

相手モンスターの攻撃対象になった時、そのモンスターを守備表示にする事ができる。

 

 

 この子、効果を知ってたのね! さっきは初めて見ましたといわんばかりのリアクションをしていたのに! とんだ食わせ者ね。

 

「超伝導恐獣がやられてもまだ追加のハイドロゲドンの攻撃が残ってるドン!」

「効果の処理はまだ終わってないよ? 墓地へ送った3枚の中にライトロードビーストウォルフがいたから特殊召喚するね」

「墓地へ送られたらフィールドに出てこれるドン?」

「そういうことだね。レベル4だけど攻撃力は2100あるから戦闘はやめた方がいいと思うよ」

 

 

《ライトロード・ビースト ウォルフ》

特殊召喚・効果モンスター

星4/光属性/獣戦士族/攻2100/守 300

このカードは通常召喚できず、カードの効果でのみ特殊召喚できる。

(1):このカードがデッキから墓地へ送られた場合に発動する。

このカードを特殊召喚する。

 

 

「ジュラシックワールドの効果で攻撃力が上がっても1900止まり。仕方ないドン、攻撃は中止ザウルス。カードを1枚セットしてターンエンドン」

「ボクのターンだね、ドローっと。まずはサイクロンで伏せカードを破壊しよっかな。怖いトラップカードだったらイヤだもんね」

「ぐっ!?」

 

 伏せていたのはジュラシック・インパクト。プレイングが全て的確だわ。

 

「ラッキー。次はウォルフを生贄にしてライトロード・エンジェルケルビムを生贄召喚」

「また新しいのが出てきたザウルス」

「ケルビムは生贄召喚に成功したら相手のカードを2枚破壊できるよ」

「2枚も!? 強すぎるドン!!」

 

 

《ライトロード・エンジェル ケルビム》

効果モンスター

星5/光属性/天使族/攻2300/守 200

「ライトロード」と名のついたモンスターをリリースして

このカードのアドバンス召喚に成功した時、

自分のデッキの上からカードを4枚墓地へ送って発動できる。

相手フィールド上のカードを2枚まで選択して破壊する。

 

 

 やっぱり、この子相当な実力者ね。見た目で侮っていた恐竜くんに最初から勝ち目はないか。こんな調子じゃこのターンで決着がつきそう。ハイドロゲドンは2体とも破壊された。

 

「さらにデッキからカードを4枚墓地へ送るよ。あっ! 当たりだ! 2枚目のウォルフが墓地に送られたから特殊召喚するね」

「待つドン! そいつは攻撃力2100! そのモンスターも上級モンスターなら攻撃は……」

「2300だね」

「もう終わりザウルス!?」

「2体でダイレクトアタック! ありがとうございました」

 

 ペコッとお辞儀する仮面少女。子供らしい振る舞いに見えるけど私は騙されないわよ。

 

「くぅぅぅ、やっぱり今日はツイてなかったドン」

 

 ずーん、と落ち込んでうずくまる恐竜くん。ヘロヘロだし完全に燃え尽きてるじゃない。

 

「違うわ。これは運の問題じゃない」

「何いってるドン! 2回も攻撃力2100のモンスターが出てくるなんて不運以外の何物でもないザウルス」

「そうだよ、ちょっとボクの運がよかっただけでこのおにいちゃんは強かったよ」

 

 おにいちゃん呼びにまた笑顔を見せる恐竜くん。すぐに復活したわね。テンシンもそうだったけどおにいちゃん呼びされるだけでどうしてそんなに嬉しいのかしらね。男ってヘンだわ。

 

「いつまでも三味線引いてんじゃないわよ。あんたのライトロードシリーズってみんな墓地に関係する効果を持ってるんでしょう? ってことはウォルフみたいに墓地に送られて発動する効果を最初から狙いやすく構築されてるはず。今回はたまたまウォルフばかりだったけど、そいつが出なければまた別のモンスターから展開していたんでしょ」

 

 偶然っていうのは2度も起きない。2度起きればそれは必然と考えるのが鉄則。しかもこの子のデッキは相当練りこんで構築されているに違いないわ。1歩間違えれば手札事故の危険性があるはずだから。

 

「へぇ……1回見ただけでそこまでわかるんだ。あの人以外にもやっぱりたくさん強い人がいるんだね、このデュエルアカデミアには。なんだかワクワクしてきたよ」

「実力でこんなに強いなんて信じられないドン」

「だったらこの子の名前を聞けばいいじゃない。それで素性が知れるでしょ?」

「じゃあ先にあなたから教えてよ」

「え、私? 私は世渡トーラ。そこの恐竜くんよりランキングは上よ」

「えっ!? 世渡!?」

 

 ……? 驚くのってそこなの?

 

「そういえば妹が……」

 

 何か呟いているけど、どうしたっていうのよ?

 

「ちょっと! 私が先に教えたんだからあなたもいいなさい」

「あ、そうだった! ごめんごめん。ボクは通称恋する乙女! ランキングはあなた達よりもさらに上、現在1位だよ」

 

 私と恐竜くんに衝撃が走った。あのふざけた名前の1位ってこんな小さな女の子だったの!? 信じられない!?

 

「なんてことドン。よりによって1位に勝負を挑んでいたなんてありえないザウルス。前門の虎、後門の狼だドン」

「ふふっ……おもしろいじゃない。だったら私とも勝負しなさい! あなたも私と同じってさっき言ったわよね? ってことは強いデュエリストを探してたってことでしょう?」

 

 戦う理由が同じっていう意味がようやくわかった。きっと私がメダル集めをしてるから自分もそうだって意味だったんでしょうね。厳密には少し違うけどね。メダルはせっかくだからたくさん集まればいいなぁとは思ってるけど、あくまでついで。

 

 私は強くなるために勝利を求めてるの!

 

「うーん、ちょっとやりにくいなぁ。あなたとはまた今度ってことにしない?」

「はぁ?! なんでよ!!」

「あなたに勝ったらあの人が悲しむかもしれないし、戦うなら決勝で会おうよ」

 

 決勝、か。いいじゃない。そういうことなら一旦勝負は預けておくわ。

 

「だったら簡単に負けるんじゃないわよ。私はテンシンのために負けられないんだから」

「ふーん……そっか。じゃあ貴女はボクのライバルだね」

「ライバル?」

 

 少し引っ掛かる言い方。それだけ言うと少女は去っていった。また1人マークすべき人物が増えたわね。

 




やっと再登場!
でも出番短め……

モニターとか枚数とかの設定は元々なかったですが、
こういう展開をやってみたくなり追加しています。
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