「ピギィィッィィ」
「なんだ!?」
突然の爆音に意識が覚醒。何が起きた!?
目の前ではアメーバが槍に貫かれている。あのモンスターは!?
「死霊騎士……デスカリバー・ナイト!」
3体のデスカリバーナイトが目の前に立ちふさがる。アメーバは俺への攻撃の身代わりになってくれたようだ。攻撃力1900が3体……どうする?
決まってる! アメーバは攻撃力は低いがその効果は強力だ。敵襲への備えは抜かりない。
デスカリバーナイトの追撃にまた1体アメーバが貫かれる。まだ最後のアメーバが残っているうちに急げ!
「強制転移!」
すぐに発動できるように伏せていたマジックカードを発動させた。さぁ、どこと入れ替わる?
すると一番奥のデスカリバーナイトと目の前のアメーバが入れ替わった。すぐさまアメーバの効果が発動! それを最も近くにいたデスカリバーナイトが自身の効果によりアメーバの効果を無効にして破壊する。自身を生贄にして。
そして味方になったデスカリバーナイトは敵の最後の1体と相打ち。これで全て倒し切った。
ライフを確認すると16700残っている。減ってはいない。
外を見ればまだ薄暗い。この調子じゃおちおち眠ることもできない。だが今回もなんとか乗り切った。
悪魔族モンスターを相手するのは危険かもしれない。昨日の日中は悪魔族がいなかったことを考えると時間帯によってモンスターの分布が変わる可能性もある。明るくなるのを待って行動しよう。
それまでにカードの消費を確認しておこうか。持ってきたカードは全部で80枚。そのうちこれまで使ったカードは外しておこう。
黄泉へ渡る船
強制転移
TM-1ランチャースパイダー
リアクティブアーマー
グリズリーマザー
ピラミッド・タートル
ミラーフォース
月の書
攻撃封じ
グリズリーマザー
獄炎
グリズリーマザー
クリッター
Yドラゴンヘッド
ハーピィの羽箒
強奪
神秘の中華なべ
ドラゴン・エッガー
精神操作
光の護封剣
サンダーボルト
アメーバ
アメーバ
アメーバ
強制転移
全部で25枚か。このペースでは3日で終わりだ。なんとかしないとな。
しかもメインデッキの40枚の中には強欲な壺のような全く使えないカードやスキルドレインのようなかなり使いにくいカードも混ざっている。特にライフコストを要求するカードは慎重に使わないといけない。
ついでにブラック・ホールのようなカードも自分ごと死んでしまいそうで危ないから外しておくのが無難。そうなると残りはもう半分ほどしか残っていないかもしれない。
だが悪いことばかりではない。幸いにもライフポイントは潤沢にある。なら今後はモンスターカードを節約しながら進むか? しかし、そうなるとかえって移動時間が嵩んで戦闘回数が増えるかもしれない。
悩ましいな。
今日はこの辺りを散策して足を確保しよう。自動車か、運転したことはないがバイクでもいい。列車が来てくれたら最高なんだが、そう都合よく来ないだろうし。
踏切で交差した線路はずっとこの先は道路と平行に伸びている。線路はそんなにグニャグニャ曲がっていないが道路の方が何度か曲がっていたりカーブしていたりする。
一応列車が通りかかる淡い期待を込めて線路側を中心に乗り物を探した。
この辺りはまだ記憶が定かではない。なんとなくどこに何があるか覚えている気がする……という程度の記憶だ。
とりあえずぶらぶらと辺りをうろついていたが、ふと視界の端で何かが動く影を捉えた。
俺の進行方向から何か来る!
ブォォォオオオンンン!!
あれは……列車だ! なんか来る向きが逆な気もするが記憶も曖昧だ。気にしても仕方ない。
こんなことってあるんだな。ラッキーと思いつつ逃さないように全速力で線路に急いだ。かなり自転車をとばしたのに列車はものすごい速さで接近し、もうすぐそこまで来ている。線路に着いて一息つきながら列車を見ると、すぐにおかしいことに気づいた。
お前は機関車トーマスか!
まさかの人面機関車。しかもこの列車、速過ぎる! もの凄い速さで突っ込んでくる! 自転車と比べて速いとかいう次元ではない。こんなのおかしい!
「あの顔は……魔装機関車デコイチ! だが攻撃力はたかが知れている。キラー・トマトで攻撃!」
しかし敵を倒すことはできなかった。
ガキン!!
中からモンスターが出てきた。あれは魔法剣士ネオ!? クソ、ライフが300減った。
しかも中からさらにモンスターが出てきた! ミラージュ・ドラゴンに漆黒の戦士ワーウルフ。チッ! トラップが使えない!
LP 16700 → 16400 → 13200
追撃で一気にライフが減ってしまった。とんでもない奇襲だな。
しかもこの機関車、とんでもない数のモンスター引き連れてやがる。さらに列車の車両の奥から大量のモンスターが出てきて追撃してきた。
モンスターの大軍勢だ!
「魂を削る死霊!」
キラー・トマトの効果が発動! デッキから魂を削る死霊を出し守備表示にして大軍勢の追撃を防御した。
死霊は戦闘破壊されない。この間に禁止デッキに入れ替えて迷わず切り札を使った。
「サンダーボルト!」
禁止カードを惜しみなく3枚投入していた平良には感謝しかない。2枚目のサンダーボルトでなんとか窮地を乗り切った。しかし列車ごと破壊したのでまたもや足がなくなった。
それに腹が減ったな。結局俺はずっと何も食べてない。近くの民家に入って食料を探すことにした。
民家の中に入ると人はいなかった。やはり俺の世界とは違って人間が全てモンスターに変わっているようだ。食い物は冷蔵庫にたくさんある。食うに困ることはなさそうだな。
まずはゆっくり休もう。今は切り札の魂を削る死霊を出しているから不意打ちされても絶対に大丈夫だ。
こんなこと考えていると貫通効果持ちのモンスターとかがやってくるんだろうな。念のためリバースカードも用意しておこう。
この機会にたっぷり食事休憩をとった。
その後、車道からは外れたが線路沿いの道を進んでいくことにした。民家の外に出て自転車で先を目指す。
しばらくすると、わき道に逸れて移動したことで思わぬ場所に到着した。
ここは……
――――かっこいい……――――
――――お前それすげぇつよいじゃん!――――
――――なんで洗濯したんだよっ!!――――
「マジシャン・オブ・ブラックカオス!! そうだ、ここだ! 祭りのカード!! 洗濯機水浸し事件! 忘れねぇよ、忘れてたまるかよ!!」
夏になるとこの広場で祭りがある。そこで射的でカードを当てて、親戚の子供達からは羨望の的だった。だが翌日には無惨な姿になってしまった。
なんで忘れてるんだよ! この場所を忘れていたことが信じられない。
あぁ、ユベルはいったい何がしたいのだろう? 記憶を消したのはユベルなのか? だとしたらそれを思い出させることにどんな意味がある? あるいは俺はもっと重大なことを忘れてしまっているのか?
そういえばアカデミアではユベルはなぜ復活が早まったんだ? どうして俺のことや行動を知っていた? そもそもヤツがなぜ俺の前世を知っている?
そうだ、おかしい! ユベルが俺の前世まで知っているのはもう明らかにおかしい! なぜそれに早く気づかなかった? だとしたらこれはとんでもないことなんじゃないか?
ヒュゥゥゥゥゥ……
風の音か?
思考が深まる中、辺りにイヤな気配が漂い始めた。これは……くる!
広場の真ん中にいる俺を取り囲むようにモンスターの軍勢。またしても囲まれた。しかも今度は上級モンスターの群れか。
冥界の魔王ハ・デス
デス・デーモン・ドラゴン
天空騎士パーシアス
…………
……
ドラゴン・フライや下級モンスターの群れとはわけが違う!
サンダーボルトは残り1枚。ならここはこれだ!
「来い! 返り討ちだ! リバースカードオープン! 聖なるバリアミラーフォース!」
メインデッキに入れていた1枚限りのミラーフォースは鯱に破壊された。だが禁止デッキにも余ったミラーフォースを入れている。
効いたかクソッタレのモンスターども! しかし手前に見えていたモンスターが破壊されると奥からミラーフォースを耐えきったモンスターが現れた。
レベル10のモンスターが3体……!!
《暗黒方界邪神クリムゾン・ノヴァ・トリニティ》
融合・効果モンスター
星10/闇属性/悪魔族/攻4500/守3000
「暗黒方界神クリムゾン・ノヴァ」×3
このカードは上記のカードを融合素材にした融合召喚でのみ特殊召喚できる。
(1):フィールドのこのカードは相手の効果の対象にならず、相手の効果では破壊されない。
(2):このカードの攻撃宣言時に発動する。
相手のLPを半分にする。
(3):このカードの攻撃でモンスターを破壊した時に発動できる。
このバトルフェイズ中、このカードはもう1度だけ攻撃できる。
(4):自分が効果ダメージを受けた場合に発動する。
受けたダメージの数値分だけ相手にダメージを与える。
《古代の機械混沌巨人》
融合・効果モンスター
星10/闇属性/機械族/攻4500/守3000
「アンティーク・ギア」モンスター×4
このカードは融合召喚でしか特殊召喚できない。
(1):このカードがモンスターゾーンに存在する限り、
このカードは魔法・罠カードの効果を受けず、
相手はバトルフェイズ中にモンスターの効果を発動できない。
(2):このカードは相手モンスター全てに1回ずつ攻撃でき、
守備表示モンスターを攻撃した場合、
その守備力を攻撃力が超えた分だけ相手に戦闘ダメージを与える。
《ネオス・ワイズマン》
特殊召喚・効果モンスター
星10/光属性/魔法使い族/攻3000/守3000
このカードは通常召喚できない。
自分のモンスターゾーンの表側表示の、
「E・HERO ネオス」と「ユベル」を1体ずつ墓地へ送った場合のみ特殊召喚できる。
(1):フィールドのこのカードは効果では破壊されない。
(2):このカードが相手モンスターと戦闘を行ったダメージステップ終了時に発動する。
その相手モンスターの攻撃力分のダメージを相手に与える。
その相手モンスターの守備力分だけ自分のLPを回復する。
なんだこのメンツ……方界は進化形態の中で1番ヤバイ融合モンスターのヤツだ。あっちはアンティークモンスターだが、たしか……かなり後の時代のカードじゃないか? 魔法と罠の効果を受けなかったはず。3体目のあいつは……今出てきたらダメだろ! なんでこんなところにいる? ユベルだって、「ボクとネオスがまさか融合することになるとはねぇ」とか言って終盤で驚いていたのに。ネタバレなんだが?
いや、今はこいつらを何とかしないとな。全員強力な耐性を持ち攻撃力もべらぼうに高い。しかもトリニティは早めに処理しないとヤバイ効果も所持している。
全員まとめて除去できるカードは今、デッキにない。
ならばその力、頂いてしまうまでのこと!
そして俺の切り札を使う時が来た!
「ネオスワイズマンとカオスジャイアントを生贄に……」
モンスター達の断末魔が広場に木霊する。
さぁ、現れろ!
「溶岩魔人ラヴァゴーレム召喚! さらにリバースカードオープン! 強制脱出装置! 対象はラヴァゴーレム!」
この2枚の連携で一気に2体倒せた。ラヴァ・ゴーレムはもう使わないので大事にデッキに戻した。
しかし、この間にトリニティからの強烈な攻撃が飛んできた。
魂を削る死霊が前に出てその身を挺して俺を守る。だが、その恐るべき特殊能力により俺のライフポイントは一気に半分まで減らされた。
LP 13200 → 6600
「半分になっても構わない! さらに強制転移発動! 魂を削る死霊とトリニティを入れ替える!」
モンスターの立ち位置が入れ替わり、敵は魂を削る死霊のみ。トリニティ相手に何かできるわけもなく、そのまま消えていった。
何回も守ってもらったのに、悪いことしたな。
さて、この戦闘で俺はライフポイントを大幅に失った。だが、それと引き換えに超強力モンスターを手に入れることができた。
こいつを倒すにはもっと強いヤツを呼んでくるしかない。だが、そうなれば次もそのモンスターを再び奪い、この次元から脱出してやる。攻撃力4500のこいつなら、もう1体同じ攻撃力のモンスターが集まれば、強力モンスター同士の攻撃の衝突により、次元の壁を超えられるかもしれない。
あとは街へ行くだけだ。この広場にきたことで、俺はこの町での記憶を全て取り戻した。なら、この世界での旅を続けることで残りの記憶も取り戻せる可能性が高い。
行こう! 次の街へ!
会話とデュエルがないのがつらい……
ここで登場するラヴァゴーレムには精霊は宿っていない状態です。
レベル10は誰にするか悩んだ末、ギリギリGXまでに出てくるカテゴリに収めました。
方界は初代登場カードとみなしてギリセーフ。
アンティークもカテゴリ自体は存在するのでセーフ。
なお、サンダーボルトを温存したのはこの異世界の仕様上マジックの方がトラップより価値が高いと判断したからですね。