気づいたらデュエルアカデミア   作:りんごうさぎ

69 / 76
最初の思い出

 

 天真がデュエルアカデミアに帰ってきた。

 

 レッド寮に戻るが当然レイはいない。時期的にかなり早く帰ったからだ。こうしてみるとこの4週目の世界で俺の辿った軌跡は1つ1つが奇跡のような繋がりになっていたんだな。

 

「おい! 天真じゃん! なんだ、すぐ帰ってこれたんだな!」

「デュエルならしないからな」

「おい! まだなんもいってないじゃん!」

 

 授業に出るようになってさっそく絡んできたのは十代だ。悪天真はずっと呪いで弱かった関係でこっちでは原作組に全く絡んでいない。強いて言えば制裁デュエルのクロノスぐらいだ。帰省前に髪を切っていたからアカデミアに戻っても謎の人物扱いされることもない。

 

 ただ、制裁デュエルは全校が注目していたので、実力は噂になっていたようだ。十代もクロノスとのデュエルがきっかけで注目されていたし、まぁわかる。その結果同じレッドの十代が俺に目をつけたようだ。

 

 この世界じゃデュエルで実力をつけなきゃとんでもない目に遭うが、つけたらつけたで原作組に巻き込まれていくから結局この流れには逆らえないのかもしれない。

 

 しかし悪天真はそんな流れすら断ち切ろうとしていた。

 

「お前はデュエルしか興味がないデュエルバカだろう? お前が話しかけてくる用件なんぞ1つしかあるまい。違うか?」

「そこまでわかってるならデュエルすればいいじゃんか! お前もレッドじゃ2番目には強いだろうしさ」

「1番は自分だからってか? 自惚れるのもたいがいにしろ。弱い犬ほどよく吠えるってな」

 

 それだけ言って悪天真は去っていく。

 

「チェッ! なんだよ、ノリわりぃの!」

 

 それを見て俺は違和感を感じた。自分だったらここはデュエルを受けて立つと思ったからだ。

 

 理由は三幻魔の戦いに関わるため。三幻魔はどんな望みでも叶える力がある。それを手に入れて元の世界に戻るにはセブンスターと戦うカギを守る7人に選ばれなくてはいけない。

 

「ユベル」

「あぁ、君が積極的じゃないのはこの後も続くよ。君はこの世界では積極的に勝負することはない。自分の手の内を晒すだけだと思っているようだね。自分の力に自信はあっても、その戦術の脆さも自覚しているんだろうさ」

「それはたしかにそうだが、三幻魔の戦いに関わるつもりはないのか?」

「ないみたいだね。三幻魔のことを知ってはいるみたいだが、我関せずだ」

 

 おかしい。じゃあ悪天真は元の世界に戻るつもりはない? むろん、今の俺にはもうそんな気持ちはない。理由はトーラやラーヴァの存在。でもこの悪天真にそれはないはず。

 

 しばらく行動を見続けたがどうやら自分が強くなることにしか興味がないようだ。それも他人と切磋琢磨して腕を磨くわけではなく、主にカードを強化する方向性。もちろん自分の実力への確かな自信の現れだ。

 

「この世界のレベルはもう見切ったので、あとはカードさえあれば、ということだろうね。ついでに言うとすでに呪いの解き方に当たりはつけているから好きなタイミングで解くこともできる」

「それはラーヴァのカードを処分するってことか?」

 

 たしかに悪天真はトーラとの実験でラヴァゴーレムのカードが怪しいことに気づいていた。なのに何の手も打たないのでもしかしたらと思ってはいたが、やはり最後まで徹底的に呪いを利用するつもりなのか。

 

 実際サイクロンなどで対策されなければ呪いが残っている方がより確実に勝利できる。いつでも呪いは解けるなら急ぐ必要はない。そこまでリアリストになれるところが恐ろしいが。

 

 周囲がセブンスターズとの戦いでやれ吸血鬼が、やれ欠席者が増えた、とお祭り騒ぎだが悪天真は黙々と己の牙を研ぎ続けていた。主に集めているのは天変地異とのコンボカードだ。すでにパーツが集まっているからイチから別のデッキを使うより手っ取り早いと感じたようだ。ラヴァゴーレムとの相性は別に良いわけではないが悪いわけでもないので溶岩魔神は入れ続けていた。

 

 使われ方は主に死者蘇生で呼び出す高ステータスモンスターとしてだが、悪魔族サポートを増やしてややシナジーを持たせていた。

 

 結局セブンスターとは何の関わりもなく1年生が終了した。もちろんラーヴァに焼かれることもなく無事2年生を迎えて入学式にも出席した。

 

 ここで1つ疑問が残る。

 

 どうして悪天真には前世への未練がない? ましてや俺は前世の記憶が曖昧でも戻ろうとしていたのに、悪天真はそれをハッキリと覚えているのだからなおさらだ。

 

 それをユベルに伝えると神妙な表情に変わった。

 

「君は1年生のときのこと、覚えていないのかい? 君自身のことだ」

「もちろん覚えている。……! いや、待て。そういえば……」

 

 おかしい。こうして今になって振り返ってみると、いつからか三幻魔の力を手に入れること自体が目的になっていた気がする。なぜか三幻魔の力を手に入れることに執着していた。

 

「どうなんだい?」

「たしかに俺は少し変だった。けどそれは魂が融合したせいじゃないのか? 俺は悪と善、2つの魂が混ざって、それで三幻魔の力を手に入れることに執着した」

 

 今までなんとなくそんなふうに思っていた。昔の記憶を思い出したとき、同時に自分の中に善と悪、2つの魂を感じて、事の成り行きを悟るに至った。そして精霊の力を使役できるようになったんだ。

 

「結論から言えば、君は幻魔の力を欲するように暗示をかけられていたんだ。この世界に目覚めたときからね」

「そんなこと可能なのか?」

「もちろん人の考え方を完全にコントロールはできないだろうね。そんなことできるなら君に対して溶岩娘への激しい好意を植え付ければ全て解決だ」

「……」

 

 それが可能なら恐ろしい世界線になっていたことになる。ありえたかもしれない世界を想像して黙ってしまった。

 

「完全じゃないからこそ君は違和感を覚えることもあったんじゃないかな? 実際3週目も君は三幻魔の力を手に入れることに執着しなかった。2週目と4週目だけ三幻魔の力を手に入れることが自分の使命だと思い込んでいたよ。傍から見ているボクからすれば違和感だらけさ。同じ人間なのに行動が変わりすぎている。誰かに操られていることは明らかだったね」

「そんな……それじゃあ、この世界で幻魔の力を求めたのは俺の意思じゃなかったのか。結果的に十代が俺に言った、悪霊のせいだって言葉が正しかったのか」

 

 俺は本気で自分の意思だと思っていた。嬉しいと思うより恐ろしいという気持ちが圧倒的に勝った。ややもすれば自分という人格を失うことにもなりかねない。自我の喪失、恐ろしい感覚だ。

 

「心配し過ぎることはない。マインドコントロールは少しだけ、一番の要因は恐らく君の記憶だ」

「記憶?」

 

 急な話の振り方に思わず首を傾げた。

 

「これは憶測にはなるけど、君が前世に執着しなかったのは前世の記憶があったからなんじゃないかと思っているんだ」

「……? 逆じゃないのか?」

「まぁ考えてもみなよ。君は元々前の世界じゃ魂の片割れのうち悪を司っていたんだろう? だったらどんな人生を送っていたのか、想像はできるんじゃないかい?」

「そうか……ラーヴァもお前みたいに人の記憶がみれるなら、俺の記憶を制限することで行動をある程度操れるかもしれない。1週目の様子を見るにあれじゃ前の世界じゃ周りに馴染めず非行に走っていたかもしれないな」

「そういうこと。わかったかい?」

 

 じゃあ俺の記憶が封印されていたのはラーヴァにとって都合の悪いものがあったから。だから3週目までの記憶や前世の記憶は封印されたままだった。

 

「いや、ならおかしいぞ。どうして俺はテンシンとしての昔の記憶を思い出せたんだ?」

「……ボクにきかなくてもわかるんじゃないかい? 君ならね」

 

 思い出したのは光の結社でトーラが洗脳されたとき。トーラの洗脳が関係している? いや、違う! ラーヴァにとっては俺が精霊の力を得て1つになったタイミング! なら答えは1つしかない!

 

「俺とラーヴァが1つになるために必要な記憶だったのか!」

「さすがだね。もう少し補足するなら、1つになるために精霊の力を操る力が必要で、そのためには魂の融合が不可欠だった。魂同士の完全な融合のためには記憶の扉を開くことが重要だったんじゃないかな?」

 

 あの頃ラーヴァは練習中に潜在的な力を引き出せとかやたら抽象的なアドバイスしかしなかった。もしそれが魂を融合させることを指していたとしたら、具体的なアドバイスができなかったことにも説明がつく。言えば最悪の場合、この繰り返しの世界にまで考えが及ぶかもしれないのだから。

 

 そういえばあの頃は変な夢もよく見るようになってたな。体調を崩して弱っていたことが原因ではなかったのか。精霊の力があっけなく使えるようになったことも少し変だった。要するに、あの夢で記憶が戻ったことがきっかけになって精霊の力が使えるようになったということか。そしてトーラが洗脳されたときに完全に記憶が戻って100%使いこなせるようになったわけだ。

 

 だとすると善と悪の魂について気になることが出てきた。

 

「念のため確認しておくが、善と悪の魂はどちらも俺の魂なのか?」

「そうだね。別れていた魂が1つになったんだからね。それがどうかしたのかい?」

「なら、この世界で目覚めた悪の魂である俺、テンシンの魂と、元々アカデミアに入学するまでに宿っていた善の魂である天真は同一人物ってことか?」

「もちろん、そうなるね。同一人物ではあったけど、馴染むまでは2つの魂が1つになった後もしばらくはおかしくなっていたね。でも、今はもうしっかり馴染んでるだろう?」

 

 なんてことだ。じゃあ、母さんは俺にとって本当の母さんだったのか。だから俺の考えていることも、全部わかったんだ。

 

 じゃあトーラとも、肉体的にはもちろん、精神的にも本当の兄弟だったってことになるのか……。

 

 少なからずショックな事実だった。

 

 まだ、どうして俺の魂は善と悪に別れてしまったのかとか、気になることはあったが、これ以上深く考えたくない。先に進もう。

 

「2年生はどうなった?」

「斎王は君に目をつけることはなかった。トーラは学園に入学していないし、君も事件の渦中に身を投じるような行動には出なかった。クロノスとかいう教師を利用してデッキを強化しつつ自分は安全圏から高見の見物を決め込んでいたね。君に変化があったのは月1テストでの敗北だ」

 

 敗北だと?

 

「成績優秀で順当にイエローに昇格したんだけど、その最初のデュエルで三沢大地に敗北した。しかもイカサマの疑いもかけられていたね」

 

 そんなことがあったのか。俺がデュエルで負けるなんて想像できないな。

 

「要するに舐めてたのさ。実際相手はかなり弱いけれど、三沢というのは研究熱心だったようだね。君が天変地異に依存していることを突き止め、いつもカードの並びが同じことも突き止めた。一時は昇格を取り消すという話も出てくるほどだったのさ」

 

 俺がその立場になればとんでもない屈辱だ。負けることなんてありえない。ましてや2年となれば光の結社のこともある。たまたま負けてしまって白く染まっちゃいました、はシャレにならない。記憶が飛ぶからかなりの時間をロスする可能性もある。

 

 だとすると俺はどうしたのか、想像はできる。

 

「いよいよラーヴァの処分に動いたか」

「そういうことだね。実際三沢の指摘通り並びは毎回一致していた。呪いを解かないと不正していないことを証明できないし、デュエリストとしての強さにも限界を感じ始めていた。君の強さの真骨頂は必要な時に必要なカードを持ってこれる運命力だからね」

 

 しかしラーヴァは結局消滅してはいない。どうなったんだ?

 

 月1テストのあと、イエローの自室でラヴァゴーレムのカードを手に取る悪天真の記憶を追体験した。

 

「お前のこと、嫌いじゃなかった。今まで世話になったことも感謝してる。でも呪いを解くためには必要な犠牲だ。俺のために死んでくれ」

 

 カッターを手にしてカードに手をかけようとした!

 

 そのとき……!

 

――やめて! ごめんなさい! 呪いは解くから捨てないで!――

 

 直接悪天真の脳内に語り掛ける声が俺にもきこえた。

 

「ボクの配慮だよ。周りには聞こえてないけど君は聞こえるようにしたんだ」

「助かる」

 

 短く礼を言ってラーヴァと悪天真のやりとりに集中した。

 

 悪天真はさすがに一瞬驚きを見せたが、すぐに順応して返事をした。

 

「やはりお前の仕業だったのか。お前はラヴァゴーレムのカードの精霊か?」

 

――そうなの。ごめんなさい! 捨てないで! あなたと一緒にいたいの!――

 

「……」

 

 俺の表情を読み解くと、たぶん呆れているのだろう。一緒にいたいのなら好意はあるのだろうが、なぜ好きな相手に呪いなどかけるのかと。

 

――もうしないから!――

 

「どうみても悪意しか感じられないが、俺はどうやってお前を信用すればいいんだ?」

 

 なんとなく悪気がないのは感じているはずだ。だが事実として呪いをかけているからまずは再発防止のために本人に釘を刺すことを優先している。さすがはリアリストらしい対応。好きだ嫌いだという感情は後回しというわけだ。

 

――もう絶対しないから!――

 

「だから、どうやってそれを信じればいいか聞いてるんだ! バカなフリして同じセリフをオウム返ししてりゃ許されると思ってんじゃねぇぞ?」

 

 言い方きっつ……。

 

 ラーヴァはおろおろしながら縮こまっている。

 

――ごめんなさい。絶対にしないって誓います。あなたが好きです。切らないで下さい――

 

「好き? お前は好きな相手に呪いをかけたくなるのか?」

 

――あなたをひとり占めしたくて、弱くなれば私だけ見てくれるって思ったから……――

 

 悪天真は理解に苦しむという反応だ。苦虫をかみつぶしたような表情になっている。本来カードをポイして終了のはずだったんだ。それがあらぬ方向に向かってしまい困り果てている。

 

「ハッキリ言っておくが、俺はこのカードを切り刻みたい」

 

――ダメ! お願い! もう絶対にしないから!――

 

「黙れ! そんなに切り刻まれたくないならお前を生かしておくメリットを教えろ。メリットがあれば切らない。ないなら切る。単純なことだ」

 

 またもやリアリストらしい回答だ。本当に義理も人情もあったもんじゃない。

 

 ユベルはユベルで、このとき一思いに切り刻んでいれば、などと呟いている。じゃあ結局捨てられなかったのか。どうやってラーヴァはこの窮地を脱したんだ?

 

――あなたのために、あなたの精霊としてなんでもします――

 

「それだけ? 何ができる?」

 

――あなたが困ったとき手助けします。運命力をこれ以上強くできないけど、自分なら――

 

 要するに精霊として手助けしてくれて、ラヴァゴーレムのカードを自由に引けるようになるのか。ラヴァゴーレムはサーチできないが欲しいときはすごくほしいし、いらないときは本当に引きたくないカードだ。まぁまぁ魅力的な提案ではある。手助けするというのはよくわからないが。

 

 悪天真も同じ思考に至ったらしい。

 

「お前に手伝えることはなんだ? 正直俺は何も困っていないし、お前から迷惑をかけられるマイナスの方が大きく感じるが?」

 

――例えば相手の手札を教えたりできます――

 

 これは……どう答える?

 

「くだらん。俺が実力で勝てないことがあるとでも? 誰に負けるっていうんだ? いらない助けだな」

 

 言葉は静かだがキレてる。そうだ、俺なんだからそう言うに決まってるか。周りは完全な格下しかいないのだから。

 

――ごめんなさい! だったら愛情を注ぎます! あなたが好きな気持ちをたくさん――

 

「それは精霊だから持ち主に愛着が湧くってことか?」

 

――違います。あなたが好きだから一緒になりたくて……信じて――

 

 そこからは好きです、愛してますの一点張り。リアリストには一番響かないであろう言葉だが、なぜか悪天真は捨てることを思いとどまってしまった。

 

――ありがとう!――

 

「その代わり、次に俺へ敵意ありとみなせる行動をしたら迷わず切り捨てるからな」

 

――いいよ。愛してるテンシン!――

 

 実際ラヴァ・ゴーレムは手札には必ずきていたし、話していて敵意は全く感じない。様子を見るだけなら害はないという判断かもしれない。

 

 しかし、情にほだされたわけではなさそうだった。まだ悪天真の目に疑いが残っているからだ。フラットな目線でラーヴァを観察している。

 

 もっとも、ラーヴァに実体はない。声だけの存在だ。この悪天真が声だけの存在相手にそう簡単に情に流されるわけもないか。単に利用できる可能性があるなら残しておこう、というぐらいの気持ちだろう。

 

 それから天真とラーヴァの奇妙な学園生活が始まった。ラーヴァは所かまわず授業中でも天真に話しかけ続けた。

 

「うるさいなぁ……」

「え……」

 

 隣の席の女の子が面食らっているが今のはラーヴァに向けた言葉だ。

 

――ごめんなさい!――

 

 頭がいいのでギリギリ不自然になりすぎないように立ちまわっている。1週間もすればラーヴァがいる生活に慣れてしまっていた。

 

 基本的に悪天真はラーヴァを無視することが多いが、たまに人がいないときに返事をするとラーヴァは心底嬉しそうにしていた。

 

 見ていて思うのは、この頃のラーヴァは今とは別人ということだ。臆病でおどおどしていて自信なさげな精霊だった。

 

 悪天真は基本的に言葉尻にトゲがあり、キツイ言い方もするが、ラーヴァはそれでも健気に話しかけ続けていた。その甲斐があってか、2年の終盤ではデュエルのことを教えあったりお互いの好きなところを言い合うなど、仲の良さが現れている場面が増えてきた。

 

「まさか、ラーヴァがデュエルに強いのは俺が教えたからなのか!」

「そうさ。元々ラーヴァは君よりデュエルは弱かったんだ。ものすごくね。精霊なんて大した力はないからねぇ、本来」

 

 たしかに、コスプレ学園祭のブラマジガールなんかも別に強くはなかった。

 

「じゃあどうやってラーヴァは今のように強くなった? ハッキリ言って4周目のラーヴァは俺より強い。俺の教えだけで俺自身より強くなったとは思えないが?」

「いいや、君が強くしたんだ。君にあの精霊は教えを乞うて、そして君の性格なんかも徹底的に研究したんだ。ときには色仕掛けも交えてね」

「色仕掛け?」

「あのスカートをヒラヒラさせるやつさ」

 

 あ……あぁぁっっ!!! あれって本当に俺が教えたのかよ!! ウソだろ!?

 

「この悪天真に色仕掛けしたのか!?」

「そんなバカな。1週目の君はまだ完全にラーヴァへ心を開いていないよ。呪いの件もあるからね。そもそも実体だってないじゃないか。色仕掛けは君の性格を知って、実体を持つようになった3週目の世界さ。さっきも言ったけど、2週目と4週目に君は三幻魔の力を手に入れることに執着するようになる。その2週目で溶岩娘が精霊の力を掌握して実体を獲得し、4週目の世界で君が精霊の力を獲得してあの子と1つになった」

 

 そういうことか。

 

「なるほどね」

「だから完全無欠に思えるラーヴァにも弱点はある。あれは世界を周回することでボク達への理解が深まって、いわば神の視点から思考ができている。だから全能的な力を持っているように感じるんだ。そこに幻魔を操る精霊の力が高まって運命力までもそれに共鳴しているから手の付けられない強さになっているわけさ」

 

 結局俺のせいでこうなってしまったのか。

 

 今聞いている1週目を生きるラーヴァの声からは世界を破滅させるような恐ろしさは全く感じない。人畜無害な精霊に思える。いったいどこで変わってしまったんだ?

 

「ジェネックス優勝は世渡天真です!」

 

 もうジェネックスか。

 

 悪天真は不正疑惑も跳ね除け、大会最多のデュエルを制し、ジェネックスで堂々の優勝を果たした。デュエル内容はデーモンの宣告と堕落による圧倒的なアドバンテージを背景に危なげない勝利をおさめ続け、学園でも一目置かれる存在となった。

 

「では天真くん、望みを1つ叶えましょう」

「なら、俺の妹をここに編入させてやってくれ」

 

 なん……だと!?

 

 ここでトーラ編入かよ!!

 




テンシンは前世に未練がないと発言してますが、前世の記憶全てを取り戻したわけではありません。
あくまで記憶の世界で取り戻した範囲だけ
テンシンの本当の記憶はまだ謎のまま……

ラーヴァの強さの一端も判明しました
この世界を繰り返せば運命力は必然であることが理解できます
つまり、何を引くかは必然により決まる
だからラーヴァは何を引くのかを読み解くことができる
そして圧倒的な運命力で好きなカードを引き込むこともできる
だから何をしても完璧にいなされているような錯覚を受けるデュエルができてました
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。