現れたのは天真とトーラにとって因縁の相手。いじめっ子の親玉、平良だ。
この世界ではこいつと戦うことになるのか。負けることはないだろうが、こいつの強さはどれほどのもんだ?
「「デュエル!」」
「遊んでやるぜ! 俺様のターン! ドロー! まずはこいつからだ、強者の苦痛! この効果でてめぇのモンスターは全て弱体化する! さらに王虎ワンフー召喚! キサマの貧弱モンスターは召喚することもできねぇ! おとなしく裏側守備表示にでもしてなぁ? ターンエンド!」
相変わらずだな。だがそれだけか。たしかに4週目よりは弱い。
だが、この世界のデュエリストレベルを基準に考えるなら破格の強さだ。丸藤弟やトーラでは手も足も出ないだろう。
「モンスターをセット! 1枚セットしてターンエンド!」
「だよなぁ? てめぇにはそれがお似合いだ! ドロー! ハイドロゲドン召喚! 攻撃ィィ!」
これをドレインシールドで防ぎ、ワンフーの攻撃でモンスターがリバースする。
「魔道雑貨商人! 効果!」
岩石の巨兵、ガーディアンスタチュー、メタモルポッド、ラヴァゴーレム……
「……」
テンシンは黙々とカードをめくり続けるがカードから圧を感じる。デッキに入れているところだけはラヴァゴーレムへの愛情を感じる。
コアキメイルガーディアン、番兵ゴーレム、ガーディアンスフィンクス、コアキメイルサンドマン、死者蘇生
「ずいぶんとシケたカードばかりだなぁ? 天真よぉ?」
「俺は死者蘇生を手札に加える。さぁ、効果の処理は終わった。無駄口叩いてないでさっさとターンを進めな。それで終わりか?」
「てめぇ、まだこの絶望的な状況が理解できねぇようだなぁ? 次のターンてめぇのツラから血の気を引き抜いて……!」
「俺のターンだ! ドロー!」
平良の話など聞く耳持たず。颯爽とカードを引く天真。
「てめぇ!」
「さぁて、平良さんよぉ? 俺の墓地には何体の岩石族がたまったのかねぇ?」
「あぁ、それがなんだ?」
「お前はこのターンで終わりだっつー話だよ。墓地の7体のモンスターを除外! 出でよ! メガロックドラゴン! さらに死者蘇生でラヴァ・ゴーレムを特殊召喚!」
メガロック 4900 → 4200
ラヴァ 3000 → 2200
「何?! 攻撃力……2200と4200!?」
「さらにコアキメイルウォール召喚! まずはメガロックドラゴンで王虎ワンフーを攻撃!」
「俺のワンフーが!」
LP 4000 → 1500
「モンスターの心配なんぞしてる場合か? さらにラヴァゴーレムの攻撃! ハイドロゲドン粉砕」
「おい、俺のライフがもう残って……待て! やめろ天真!」
LP 1500 → 900
「1回死んどけ。コアキメイルウォールでダイレクトアタック!」
「俺のライフが……ゼロ!? 最強の暴君コンボが、負けるはずが……!」
LP 900 → -600
地下デュエルの危ない装置は使ってこなかったので普通の勝利。まだ体はピンピンしてる平良は往生際悪く抵抗し、逆上して殴りかかってきた。
拳を振り上げ襲い掛かってきた平良の首根っこを冷静に掴み、秒殺で黙らせた。そのときの天真の表情がまた悪いことこの上ない……。女の子が見ているデュエルアカデミアでは決してみせることのない、天真本来の悪の顔だ。
相手が抵抗する意志を失ったのを見て手を離した。
「おら!」
「ゲホッ! ゲェホッ!! ば、ばってくれ! ぞんなにカードがほじいならいいごと教えてやるよ!」
「何だ……?」
聞くところによると、こいつはどうもさらに凶悪なカード狩りデュエリストと繋がっているらしい。そのおかげで強いカードを持っているのだとか。そのカード狩りは俺が望んでいる岩石族最強のカードを持っているとのこと。
天真はイイことを聞いた、と喜び、さっそくそいつの縄張りのカード屋を目指した。
もちろん、平良のカードは根こそぎ奪った後で。
そして尋ね人はすぐに見つかった。
「お前か、この辺りを縄張りにしてるカード狩り、通称狂った死神<マッドリーパー>っていうのは」
「あぁーん? なんだお前はよォ? 俺様を知ってて来るとはどんな命知らずだァ?」
白黒メッシュの髪に切れ長の目。いかにも悪そうな見た目の男だ。
ふざけた通り名だが実力は相当なものらしい。道すがら聞く人みなが恐れていた。
「ほれ、それ見りゃわかるだろう?」
カードを投げて寄越すとマッドリーパーは不敵な笑みを浮かべた。
「これは、平良の王虎ワンフーか。てめぇ、何しにきたァ?」
「お前の持つガイアプレートを寄越せ」
「くくく……カード狩りからカードを奪う気か? 断ると言ったら?」
「力づくだな」
「上等じゃねぇか? ドロー!」
はっや!! もうデュエル始まってるのかよ!
モテ天真も困惑してるが、デュエルするならこっちのもんだ。知らないやつだし、まずはお手並み拝見か。
「名推理!」
「名推理? ……ならレベル8!」
「ドロー! メガロックドラゴン デビルドーザー ギガストーンオメガ ギガンテス 魔道サイエンティスト! 魔導サイエンティストは通常召喚可能……レベル1だぜェ?」
ずいぶんと嫌な並びだな。
「ライフを1000払い紅葉鳥特殊召喚! さらにグレート魔獣ガーゼットを生贄召喚! 攻撃力4600だ! ターン終了!」
なるほど、特殊召喚したモンスターをガーゼットの生贄にするのがコンセプトか。たしかに手軽にワンターンキルできるしこの世界のレベルならかなり強力だ。攻撃力4000を出すところだけ見ればサイバー流みたいなもんだしな。
「ドロー! 天使の施し! コアキメイルガーディアンを召喚! 魔道サイエンティストを攻撃! さらに浅すぎた墓穴を発動! 俺はガーディアンスフィンクスをセット」
「魔道サイエンティストをセット」
「カードを2枚伏せてターン終了。コアキメイルガーディアンの維持コストでコアキメイルサンドマンを公開する」
「ガーディアンスフィンクス……そいつで俺のモンスターを全部戻そうってか? そうは問屋が卸さねぇんだよ! ドロー! てめぇがくれた魔道サイエンティストの効果をもう一度使わせてもらうぜ! 反転召喚! ライフポイントを1000払い紅葉鳥を……」
「甘い! コアキメイルガーディアンの効果! コアキメイルガーディアンを生贄にモンスター効果を無効にして破壊! コストは先払い。お前のライフポイントは残り2000」
浅すぎた墓穴でサイエンティストを蘇生させたのはコストを払わせるためか。ちょっとリスキーなプレイングだな。
「うっとおしいんだよ! だったらこれで死んどけ! ガーゼットで伏せモンスターを攻撃! 反転召喚じゃなきゃ効果は使えねぇ!」
「ご馳走様。トラップカード発動。ドレインシールド。これで4600回復」
ここまで計算尽くか。逆上して単調な攻めになってしまっている。罠の餌食だ。
これだと簡単に勝てそうか?
「こいつ、なめんじゃねぇぞ! どうせ手札に戻されるぐらいならこうだ! モンスターゲート発動! これでガーゼットを生贄にデッキからモンスターを特殊召喚する!」
「なっ!? めちゃくちゃな!」
「そうだぜ、狂ってんだよ、俺はなァ! だが俺が狂えば狂うほど、このデッキは強くなンだよォ! さぁ1枚目エ!」
岩の精霊タイタン
「違う……」
「2枚目ェ!!」
天魔神 ノーレラス
ざわ……
俺と天真の脳裏に最悪のシナリオが過ぎる
「さぁ、3枚目だ。きやがれ!」
ファントム・オブ・カオス
うっ!? まさか、こんなことがまかり通るのか!?
ラーヴァがファンカスノーレを使うのは見たことがある。あいつは色んなデッキを使ってくるが、まさかこのデュエルがラーヴァに構築のヒントを与えていたのか?!
「こんなことが……」
「ヒャハハハハハ!!! ファントム・オブ・カオスは通常召喚可能! そして効果! 墓地のノーレラスの効果をコピーする! これがどういうことかわかるかァ? 命知らずのバカヤローがよォ! 俺様のノーレラスの効果を喰らいな! 手札、フィールド、全て墓地送りィィ!!」
LP 2000 → 1000
さらにマッドリーパーはノーレラスの効果でとんでもないカードを引いてきた。
「おめぇに会わせてやろうかァ? 愛しのカードによォ?」
「まさか……!」
「墓地のギガストーンオメガとタイタンを除外! 地球巨人ガイアプレートを特殊召喚!」
出やがった! 攻撃力2800! しかも相手モンスターの攻撃力を半減する効果を持つ。まともに倒すのはほぼ不可能。しかもやつの墓地にはまだ2体も岩石族が残っている。
「ドロー! モンスターをセットしてターン終了」
「どうした!? さっきまでの威勢はどうしたんだよ、あぁ!? ドロー! ガイアプレートの効果でメガロックドラゴンを除外。そして俺様はカオスネクロマンサーを召喚! 攻撃力2700!」
「ここでそいつか! しかも9体も墓地に……!」
いきなり圧倒的に不利な状況に追い込まれた。どうする?
「ネクロマンサーで攻撃!」
「魔道雑貨商人の効果! 墓地へモンスターをためるのはお前の専売特許じゃねぇ! ラヴァゴーレム コアキメイルロック 岩石の巨兵 メガロックドラゴン 苦渋の選択 苦渋の選択を手札に」
「ムダなんだよ! わっかんねぇかなぁ? ガイアプレートでダイレクトアタック!」
LP 8600 → 5800
今、天真の墓地に岩石族は6体。だが肝心のメガロックドラゴンが墓地に送られてしまっている。どうするんだ?
「俺のターン」
「最後のターン、だろ?」
あくまでも天真は淡々とデュエルを進める。だが引いたカードを見て表情が変わった。
「あぁ、このターンが最後のターンだ。苦渋の選択発動! さぁ、えらべ」
番兵ゴーレム
コアキメイルウォール
メデューサワーム
ギガンテス
メタモルポット
「思い出作りか? コアキメイルウォールを選ぶぜ。そいつは維持コストが必要だよなァ?」
「関係ないさ。これが俺の最後に引いたカードだ。死者転生!」
「死者転生……しまった!」
なるほどな。この俺が……天真が、メガロックドラゴンが魔道雑貨の効果で落ちたケースを想定していないはずがなかった。あるいは魔道雑貨の効果で死者転生を引き込むことまで織り込み済みだったのかもしれない。
「本当に飽きないよ、君のデュエルは。毎度新しいコンボを披露してくれる。あの溶岩娘にとってもいい勉強になっただろうけど、ボクもおおいに参考にさせてもらったよ」
「ウソつけ! お前のデッキのえげつなさからいって学ぶことなんてねーだろ」
「おや? そんなにボクって高評価なのかい? それは光栄だねぇ」
当然このあとは天真が攻撃力8000のメガロックドラゴンを召喚し、ガイアプレートを殴り倒して勝利を収めた。
ガイアプレートをシバいてフィニッシャーになるところなんて初めて見たわ。
「こうしてガイアプレートも手に入れてデッキが完成するわけか。デッキの完成がずいぶんと早いな。このペースで行くと最終的にどんだけ強くなるんだ?」
「言っただろう? この世界の君の寿命は長くないんだ。このあとは幻魔の力を手に入れてすぐ嫉妬に狂った溶岩娘の抱擁を受けて焼死するんだよ。まぁ、あれだけ浮気三昧の生活を送っていたんだ、自業自得ではあるけどね。あの精霊も殺してしまうのは本意じゃなかっただろうが、やっと手に入れた生身の肉体で、どんな行動に出たかは想像できるだろう?」
「……」
ラーヴァは俺の体とくっつくことに殊更強い執着心を見せていた。その想いは4週目のこの世界よりも前の世界の方がより大きかったはず。
あいつに実体があることは、この世界の俺にとっては当たり前のことだった。だがラーヴァにとっては世界を跨いでまで望み続けた奇跡。これまでのラーヴァの行動にもようやく納得がいった。
きっとラーヴァは、俺を抱きしめて離さなかったのだろう。息絶えた後も……。
これじゃ、どっちが死神だかわかったもんじゃない。
「想像できたみたいだね?」
「焼け死んだってところか」
「実際には焼死なんていう表現では生ぬるいけどね。このあとも見るかい?」
「いや、いい……」
「なら3週目にいこうか。最後の世界だ」
さすがに2週目の最後はカット。
途中のセブンスターズもカットしました。
マッドリーパーはデッキ構成がぐちゃぐちゃカオス状態。
4週目は普通にサイエンカタパになってそう()
一応アニメでサイエンティストを使ってる奴はいるのでレギュレーション的にも問題ないという恐ろしい環境。
各周回でラスボス以上の凶悪デッキを使えます。
いきなり出てきてますが、この辺は地下デュエルが云々の伏線回収ですね。
3週目もそうそうに終わってもうすぐ最終章に入りそうです。