気づいたらデュエルアカデミア   作:りんごうさぎ

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瓜二つの世界

「さて、3週目の違いを説明しようか」

「俺の性格、幻魔への執着がない、だろ?」

「なぜ君に幻魔の力を求めさせなかったかわかるかい?」

 

 たしかに、考えてみればなぜなんだ?

 

「2週目でやって失敗したから? いや、そもそも幻魔の力をラーヴァが吸収済みだから改めて吸収する必要がないのか」

「そうだね。目的が変わっているんだ。この週のラーヴァは超融合することを目的としている」

「俺と融合するためってことか?」

「そうさ。全くハタ迷惑だよ。ボクの邪魔をして……大変だったんだからね」

 

 なるほどね。あとは俺の人格か。悪天真、モテ天真、ときて次はどんなとんでもないヤツが来るのだろうか?

 

 この世界の天真の様子を戦々恐々と見守っていたが、案外俺と行動が似通っていた。というかほぼ4週目と同じだ。性格もかなり面影を感じる。

 

「あの溶岩娘が神懸かり的な先読みができるのはこの世界のおかげなんだ」

「どういうことだ?」

「いくら同じ人間と言っても、さすがに別世界の君は別人に近い行動を取る。なのに君への理解がとても深いのは、この3週目と4週目の差が小さいからなんだ」

「そうか、俺の行動のクセとかを学習できたのがこの3週目の世界」

「実体を得て色仕掛けもできるようになったことだしねぇ」

「……」

 

 色仕掛けはともかくとして、言ってることはたしかにその通りだ。見ていてもセブンスターズ絡み以外は俺そのもの。悪の魂が馴染みつつあるということなのだろうか。

 

 それに、4週目においてラーヴァが大きく俺と関わりだすのはセブンスターズ編が終わった後。そうなると、もう完全に同じ行動を取ることになる。

 

 なら、違いが現れる部分はほぼないことになるが、俺はなぜ唐突にエクゾディアを使うことになるんだ? たしか3週目はエクゾディアを使うはずだったが?

 

 その違いが表れたのは帰省してから。トーラとのデュエルはほぼ同じだったが、なんと、母さんが元プロであることが判明した。

 

「おいおい……どんな家族だよ」

「なんだ、まだ気づいてなかったのかい?」

 

 しかもエクゾディアがつまらんから使ってないって……どんな境地に達したらそんなセリフが出てくるんだ?

 

 そして俺は親父殿に勝つが、そこで親父殿からバルバロスを譲り受けるのではなく、母さんからエクゾディアを譲り受けることになり、ここから俺はエクゾディア使いとして歩んでいくことになった。

 

 ただし、俺は頻繁にエクゾディアを使うのではなく、あくまで普段のテストなどはそれまでのデッキを使っていた。

 

 さすがにエクゾディアとラヴァゴーレムの併用はできないのでデッキを分けた形だ。

 

 三幻魔の事件にも関わる気はないから敢えて実力を見せびらかすようなことはしなかった。

 

 さらに決定的な違いが現れたのは2年に上がる直前、ラーヴァとの出会いだ。

 

「1週目や2週目とはしゃべり方が違う。ラーヴァも4週目にかなり近いな」

「この精霊はずいぶん頭がいいんだろうね。君のこともよく理解している。ここで手ごたえを感じたからこそ、4週目も3週目と同じ性格を演じることにしたんだろうね」

「……」

「あぁ、アレを教えられたのもこのときだね。君も、4週目に似ているようで、まだ2週目の性格も残ってたのかな?」

「……」

 

 クスクスと笑うユベルに何も言い返せない。こいつ、ことあるごとに俺の黒歴史を引っ張り出して面白がってるよな。性格悪いぞ!

 

「それで、次はいつ変わる?」

「目的は超融合だからね、異世界へ行くようにラーヴァは誘導する。君と、あとは妹もくっついてくるね」

「異世界ではどうなる?」

「3週目だ、異世界の精霊も随分と強くなっている。さらにボクも世界の繰り返しに気づいているからね。君と妹は別世界に飛ばしたのさ」

「なるほどな。どこに?」

「覇王十代とは別、完全に暗黒界のモンスターが支配する世界さ」

 

 この世界……なぜだろう、初めて見たはずなのにどこかで見たような気がする。

 

 ここで天真とトーラは戦いに勝ち続け、なんとか生き残っていた。

 

 そして迎えるは最終決戦。この世界では最後の戦い。天真とグラファの勝負だ。

 

「トーラ、お前は休んでろ。スノウとのデュエルでかなり消耗しただろうしな」

「天真!」

「心配するな。こいつは……グラファは俺が倒す!」

「かかってこい……人間の子供よ」

「「デュエル!!」」

 

 異世界に来るためデッキは2年生で暴れまわったエクゾディアではなくラヴァゴーレム主体のデッキに戻っている。

 

 エクゾディアを使ったときの天真は無敵とも思えるほど圧倒的。あらゆる方法でパーツを集め、敵を瞬殺してきた。

 

 だが、その代償として本来のラヴァゴーレムをメインにしたデッキのパワー不足が目立っている。暗黒界との戦いではいつもギリギリの勝利だった。

 

 そして暗黒界の住人にはヒエラルキーがある。そしてそのヒエラルキーに従い、自分より上位の存在はデッキに入れていない。

 

 そしてこの世界の最上位に位置するのはグラファだ。

 

 つまり、天真はここで初めて暗黒界の龍神グラファを敵に回すことになる。

 

 今の天真が、グラファ入りの暗黒界に勝てるのか?

 

「私の先攻……ドロー」

「速い!」

 

 グラファは先攻をとったか。暗黒界とはデッキパワーに差があるだけにこれは痛い。

 

「暗黒界の取引を発動! 互いに1枚ドローしてから1枚捨てる。私は暗黒界の術士スノウを捨ててその効果を発動」

「チッ……いきなりか」

「天真気をつけて! あいつはヤバイわよ!」

 

《暗黒界の術師 スノウ》

効果モンスター

星4/闇属性/悪魔族/攻1700/守 0

(1):このカードが効果で手札から墓地へ捨てられた場合に発動する。

デッキから「暗黒界」カード1枚を手札に加える。

相手の効果で捨てられた場合、発動時に相手の墓地のモンスター1体を対象にできる。

その場合、さらに以下の効果を適用する。

●対象のモンスターを自分フィールドに守備表示で特殊召喚する。

 

「わかってる」

「愚かな。わかっていてもどうにもなるまい。私は暗黒界の門を手札に加え、発動」

「門!? お前らそのカード持ってたのか!」

「その小娘とフィールドの奪い合いをするのは得策とは言えんからな。スノウが使わなかったのは当然の判断だ。だが、お前はフィールド魔法は使うまい? なら使うのを遠慮してやる理由もないのでな」

「こっちの手の内は全部オミトオシってことか……」

 

 

《暗黒界の門》

フィールド魔法

(1):フィールドの悪魔族モンスターの攻撃力・守備力は300アップする。

(2):1ターンに1度、自分の墓地から悪魔族モンスター1体を除外して発動できる。

手札から悪魔族モンスター1体を選んで捨てる。

その後、自分はデッキから1枚ドローする。

 

 

 スノウが除外され、手札を捨てて1枚ドロー。捨てられたのはケルト。その効果が発動する。

 

 

《暗黒界の鬼神 ケルト》

効果モンスター

星6/闇属性/悪魔族/攻2400/守 0

(1):このカードが効果で手札から墓地へ捨てられた場合に発動する。

このカードを特殊召喚する。

相手の効果で捨てられた場合、さらに自分はデッキから悪魔族モンスター1体を自分または相手フィールドに特殊召喚できる。

 

 

「さらに暗黒界の尖兵 ベージを召喚し、カードを2枚セットしてターン終了」

「おいおい、いきなり容赦ねぇな」

 

 

《暗黒界の尖兵 ベージ》

効果モンスター

星4/闇属性/悪魔族/攻1600/守1300

(1):このカードが効果で手札から墓地へ捨てられた場合に発動する。

このカードを特殊召喚する。

 

 

「さぁ、お前のターンだ。人間の子よ。せいぜい足掻くがいい」

「言ってな。すぐに吠え面かかせてやるよ。……まずはリトル・ウィンガードを召喚! さらに右手に盾を左手に剣を! これで攻守逆転! ケルトを攻撃! カードを2枚セットしてエンドフェイズにウィンガードを守備表示にする!」

「モンスター1体倒すだけで精一杯か。先は見えたな」

「くっ……」

 

 やはりデッキパワーが違い過ぎる。シンクロ時代のデッキと初代のデッキで勝負しているようなものだ。あまりにも差が大き過ぎる。

 

 

グラファ 手札2枚 ベージ 門  伏せ2枚 墓地ケルト 除外スノウ LP2500

世渡天真 手札2枚 ウィンガード 伏せ2枚             LP4000

 

 

「私のターンだ、ドロー。暗黒界の雷を発動!」

「雷……リバースカードを剥がしにきたか」

 

 

《暗黒界の雷》

通常魔法

(1):フィールドにセットされたカード1枚を対象として発動できる。

そのセットされたカードを破壊する。

その後、自分の手札を1枚選んで捨てる。

 

 

「伏せカードを破壊!」

「リバースカード発動! サイクロン! お前の暗黒界の門を破壊!」

「なるほど、弱点は理解しているというわけか。あわよくば、フィールド魔法の発動に合わせて発動することでコストをムダ使いさせようという魂胆か。セコイ人間の考えそうなことよ」

「だが結局あんたに雷を無駄うちさせることはできた。これであんたの手札は捨てさせない」

「ムダなことだ。暗黒界の取引を発動」

「もう1枚引いてやがったか……」

 

 再びお互いに手札を1枚入れ替えた。そしてこれがさらなるコンボの呼び水となる。

 

「私が捨てたのは……暗黒界の龍神グラファ!」

「グラファ……!」

「いったいどんな効果なの?」

 

 グラファはたった1枚で暗黒界を環境トップに引き上げたといってもいいほどの強力カード。その効果は凄まじい。

 

《暗黒界の龍神 グラファ》

効果モンスター

星8/闇属性/悪魔族/攻2700/守1800

(1):このカードは「暗黒界の龍神 グラファ」以外の自分フィールドの

「暗黒界」モンスター1体を持ち主の手札に戻し、墓地から特殊召喚できる。

(2):このカードが効果で手札から墓地へ捨てられた場合、相手フィールドのカード1枚を対象として発動する。

その相手のカードを破壊する。

相手の効果で捨てられた場合、さらに相手の手札をランダムに1枚選んで確認する。

それがモンスターだった場合、そのモンスターを自分フィールドに特殊召喚できる。

 

 

「グラファの効果! お前の残りの伏せカードを破壊する。これでお前を守るカードはなくなる」

「それはどうかな? 伏せていたのはこれだ! リバースカードオープン! 和睦!」

「またしても空振り……なるほど、我が力は織り込み済みというわけか。ここまで来ただけのことはある。このターンで終わらせるつもりだったが、そこまで弱き者ではなかったらしい」

 

 つまり、和睦がなければこのターンで倒し切る算段があったということか。相変わらず恐ろしい展開力。アンデットよりもワラワラと湧いて出てくるからな。

 

「何よこれ! こんなにバンバン相手のカードを破壊して、無茶苦茶じゃない!」

「それだけではない。グラファは墓地にあるとき、フィールドの暗黒界モンスターを手札に戻すことで蘇生できる」

「は!? しかも手札に戻したらそいつもまた効果使えるじゃない!」

「そういうことだ。私は伏せていた闇次元の解放を発動!」

「わかっていたことだとはいえ、うんざりする展開力だな……」

 

 ここでベージを戻さずにスノウを帰還させるか。やってることが鬼だ。

 

「スノウを戻しグラファを特殊召喚! さらに墓穴の道連れ! 互いに手札を確認して1枚捨てさせる」

 

 

《墓穴の道連れ》

通常魔法

(1):お互いは、それぞれ相手の手札を確認し、その中からカードを1枚選んで捨てる。

その後、お互いはそれぞれデッキから1枚ドローする。

 

 

グラファ スノウ

世渡天真 ラヴァゴーレム ネオアクアマドール

 

 

「俺に選択の余地はない。スノウを選択する」

「ほう、持ってるじゃないか。大事なカードを? 私はラヴァゴーレムを選択する」

 

 痛恨だ。ラヴァゴーレムを持っていかれたのはかなり痛い。ラヴァ・ゴーレムは墓地から回収するのが難しいレベルとステータスをしている。それに死者蘇生などで蘇生させる意味も薄い。事実上ラヴァゴーレムは封殺された。

 

 とことん恐ろしいデッキだ、暗黒界。

 

 さらに道連れによってスノウの効果が発動。2枚目のグラファを手札に加えた。グラファは数が増えれば増えるほど厄介になる。天真どうする?

 

「最後に暗黒界の狂王ブロンを召喚してターン終了」

「ドロー!」

 

 

《暗黒界の狂王 ブロン》

効果モンスター

星4/闇属性/悪魔族/攻1800/守 400

(1):このカードが相手に戦闘ダメージを与えた時に発動できる。

自分の手札を1枚選んで捨てる。

 

 

グラファ 手札1枚 ブロン ベージ グラファ 伏せ1枚

世渡天真 手札3枚 ウィンガード

 

 

 依然として不利な状況は変わらず。むしろ益々差は開いていく。だが、墓穴の道連れはドロー効果もついている。新たなドローが天真に勝機をもたらしたようだ。

 

「強欲な壺を発動! よし! 終わりだグラファ!」

「この状況でまだあがくか?」

「まずはブラックホールを発動! これでフィールドは空になる! さらに秒殺の暗殺者召喚! そしてダブルアタックを発動!」

「ダブルアタック!?」

 

 初めてグラファの表情が変わった。これで勝つのか?

 

「きた! 天真の十八番! やっちゃいなさい!」

「当たり前だ! 手札のネオアクアマドールを捨てて秒殺の暗殺者で2回攻撃。さらに今手札はゼロ! 2000ポイントの2回攻撃だ!」

 

 打点は4000ある。グラファのライフポイントは最初の戦闘ダメージで1500減って2500ポイント。だが、グラファにはまだ伏せカードが残っている!

 

「リバースカードを発動する」

「くっ!?」

「暗黒界に続く結界通路。ケルトを特殊召喚」

 

 

《暗黒界に続く結界通路》

速攻魔法

このカードを発動するターン、自分はこのカードの効果以外ではモンスターを召喚・反転召喚・特殊召喚できない。

(1):自分の墓地の「暗黒界」モンスター1体を対象として発動できる。

そのモンスターを特殊召喚する。

 

 

 しかもケルトを蘇生することにより再びグラファの効果が使える。すなわち手札まで1枚増えてしまう。天真の攻撃は通らず、グラファは暗黒界を補充。最悪の展開になってしまった。

 

「うそ……天真の攻撃は……通らないの!?」

「さぁ、速くターンを進めたまえ」

「ターン……終了」

 

 

グラファ 手札1枚 ケルト

世渡天真 手札0枚 暗殺者 

 

 

「私のターンドロー。グラファの効果によりケルトを手札に戻し、特殊召喚。暗殺者を攻撃!」

「チッ! 墓地のネクロガードナーの効果! こいつを墓地から除外することで攻撃を無効にする!」

「ネクロガードナー? なるほど、暗黒界の取引の効果か。油断ならないデュエリストだ。これでターン終了」

 

 相手のカードを利用するとはやるじゃないか。それでこそ天真だ。

 

「俺のターン! 天使の施しを発動! ……くっ! 暗殺者守備表示! 1枚カードをセットしてターン終了だ」

 

 だが苦しいな。グラファの手札が増えていけばまた猛攻が飛んでくる。

 

 

グラファ 手札3枚 グラファ

世渡天真 手札0枚 暗殺者 伏せ1枚

 

 

「このターン、せっかく私の攻撃を凌いだにも関わらず、守りの一手か。持っていない。お前ではこの暗黒界の覇者たる私には遠く及ばん」

「さて、それはどうかな? デュエルっていうのは、最後の最後まで、やってみなきゃわからないんでね」

「あくまで希望を捨てんか。よろしい。ならその希望、粉々に打ち破ってやろう! ドロー!」

「……」

 

 何を引いた?

 

「人間の子よ、これが絶望だ」

 

 グラファはゆっくりと引き入れたカードをこちらに見せた。

 

「手札……抹殺……!」

「そう、手札抹殺だ!

 

 

《手札抹殺》

通常魔法

(1):手札があるプレイヤーは、その手札を全て捨てる。

その後、そのプレイヤーは自身が捨てた枚数分ドローする。

 

 

 終わった。ヤツの手札にはサーチしたグラファとフィールドから戻したケルトがある。そのモンスター効果が一度に発動する!

 

「天真!?」

 

 トーラの悲痛な叫びも虚しく、グラファは淡々と効果を発動する。

 

「手札からケルト、グラファの効果発動! 暗殺者を破壊し、ケルトを特殊召喚する」

 

 不幸中の幸い、3枚目は暗黒界モンスターではなかった。だがモンスターは2体並び、壁となるモンスターもない。グラファは恐らくフリーチェーンのトラップカードを嫌ってモンスターである暗殺者を破壊した。これが吉と出るか凶と出るか……

 

「さらにケルトを手札に戻し墓地のグラファを特殊召喚! そして死者蘇生を発動」

「ここに来て死者蘇生だと!?」

「けど墓地にはもうグラファもいないし、強力なモンスターはいない! たいしたことないわ!」

「それはどうかな? 強力なモンスターならいるではないか。お前の墓地に」

「まさか……! 俺のラヴァゴーレムを奪うつもりか!」

「ラヴァゴーレムを我がフィールドに特殊召喚! これで最上級モンスターが3体並んだ」

 

 

グラファ 手札3枚 グラファ グラファ ラヴァゴーレム  LP2500

世渡天真 手札0枚 伏せ1枚                LP4000

 

 

 ライフポイントこそ上回っているが盤面は圧倒的に天真が不利。このターン全ての攻撃を受ければライフポイントはゼロになる。まさかここで負けるようなことはないよな?

 

 心配なのは俺だけではなかったようだ。トーラが天真に向かって駆け寄りながら叫んだ。

 

「天真!」

「下がってろトーラ! これは俺の戦いだ」

「ダメ! 天真しんじゃイヤ! 天真がいなくなるなら私も……」

「安心しろ。俺は負けねぇ。この世界から無事に帰るまで、お前のことは絶対に守り切る。お前がいるから、俺は負けないんだ。だからそこで見ていてくれ。最後までな」

「天真……」

 

 あっ! こんなこと言われて、この状況から勝つようなことがあれば惚れるに決まってる! まさかそういうことなのか!?

 

 ずっと黙っているユベルを見ると難しい表情でデュエルを眺めていた。珍しくデュエルに集中しているようだ。

 

「これを凌ぐ算段があるらしいな。ならばやってみろ! 我が分身、グラファで攻撃!」

「2枚目のネクロガードナーの効果! さぁこれで1体凌いだぜ?」

「またしても……芸のない男だ。今度は天使の施しの効果で墓地に送っていたか」

「アホのひとつ覚えで悪かったな。けど攻撃は防いだ! それはかわらない」

「なら次はどうだ? 2体目のグラファで攻撃」

「くっ……」

 

 LP 4000 → 1300

 

「天真!?」

「フッ……所詮なすすべもない。敗北して死ぬがいい! 己のカードで死ねるならデュエリストとして本望であろう。ラヴァゴーレムの攻撃! ゴーレム……」

「言わせねぇよ! トラップカード発動!」

「天真! ちゃんとトラップカードを伏せてたのね!」

「このタイミングで発動だと?」

「発動するのはこれだ! 強制脱出装置! 帰ってこい! ラヴァゴーレム!」

 

 なるほどな。ラヴァゴーレムなら自分の手札にできる。墓穴の道連れで墓地に捨てさせられたときには絶望的だったが、まさか巡り巡って手札に帰ってくることになるとはな。しかも暗黒界相手に効果が薄い強制脱出装置を上手く使いこなしている。

 

「所詮悪あがきであることには変わらん。お前は実質手札はゼロ。しかもラヴァゴーレムを戻したことで維持コスト1000ポイントもなくなった。手札もフィールドにも何もないこの状況から、グラファ2体を倒し我がライフをどうやって削り切る? 次のターン、今度こそ私の総攻撃でお前は終わりだ」

 

 たしかに、相手は手札を3枚も持っている。フィールドには絶対的な攻撃力を誇るグラファが2体。一応ラヴァゴーレムを出すことはできるが、そうなれば通常召喚できない制約が厳しい。どうやっても勝機はない。

 

 挙句の果てにネクロガードナーや強欲な壺、ブラックホールに秒殺の暗殺者、全て使い切っている。この3週目にバルバロスはないし、あのデッキにはもう切り札はない。

 

 なのに天真は笑っている。それを見てトーラも安心してしまっている。客観的にみると、やはり天真は格別な存在だ。

 

「このドローに、俺の全てを込める」

「天真……」

 

 さぁ、どうする? 天真!

 

「ドロー!」

「やっぱり君はすごいねぇ。ここであのカードは引けないよ。普通はね」

 

 ユベル? このデュエルで初めて口を開いた。

 

 自分も天真が引き入れたカードをのぞき込んで思わず息を飲んだ。まさかそんな勝ち筋が残っていたとは! なんてことだ!

 

 天真は耐えて耐えて、最後にキーカードを引き寄せた!

 

「俺は暗黒界の龍神グラファ2体を生贄に……溶岩魔神ラヴァ・ゴーレムを特殊召喚! そして所有者の刻印を発動! ラヴァゴーレムでダイレクトアタック!」

 

 LP 2500 → -500

 

「バカな! この私が……人間の子どもごときに負けるなど!」

「テンシン! ありがとう! 私を助けてくれて……」

「トーラ、どんな敵が相手でも俺が最後まで守り抜いてみせるよ」

 

 暗黒界の龍神グラファは消滅。そしてユベルと十代がいる世界へと渡った。

 




暗黒界はパワー十分なので純構築にしました。
セルリとか使いたかったものの、それすると天真のフィールドが壊滅するので仕方なくボツ
ホントにデッキパワーが凄まじい……
セルリ経由のケルト効果からPLUTO出してラーヴァ寝取り合戦!とか構想にあったものの、グラファがPLUTOを使う違和感と寝取り要素の追加()を懸念してやめました。
寝取り実行したタニヤは女なのでセーフ()
このためにサラっと天変地異でPLUTO使ったりしてたんですけどね、まぁしょうがない。

なんか調べると暗黒界もリメイクされてて恐ろしい。
4週目はRのカード使う仕様の暗黒界にするのか?
GXのデッキで勝てるのか?
まぁ書く予定はないんですけどね。
リンクで遊戯王やめてるので回したことないデッキは本当に書くのがキツイ……
後からデュエル書き足してるところと昔書いたところでやっぱりクオリティが明らかに違うんですよね。

今回は短くなったのが気懸かりではあるものの、割と書けた方……
使ったことあるカードは書きやすいですね。

なお、最後なんでグラファは手札3枚も遊ばせとんねん!は禁句ですよ()
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