気づいたらデュエルアカデミア   作:りんごうさぎ

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やっと書けた!
デュエルかくだけで1年かかるってどういうこと?


都合のいい天地創造

「懐かしい気分……帰ってきたぜ、GX!」

 

 俺は帰ってきた。あの世界から、老いたトーラに別れを告げ、破滅へと向かう世界へと舞い戻った。

 

 この世界がもはや懐かしく感じるのは、世界を渡ったからだけが原因ではない。たしかにこの身に宿る別世界の魂の鼓動を感じる。

 

 ラーヴァの魂の片割れだけじゃない。これまでにラーヴァの手で散っていった我が魂、その記憶をも取り戻している。世界を渡ることで、ラーヴァによる記憶の封印が解けたのだろうか。

 

 4週した世界での経験が、見た記憶ではなく、自分自身で感じたものとして昇華されていく感覚。俺はもう、すでに以前の俺とも違う。本来あるべき姿を完全に取り戻した。

 

 まさに魂と肉体の完全なる一致。これまでの経験が血肉となって染み込んでくる。

 

 俺は最後のデュエル、異世界のラーヴァとの戦いで自信を失いかけていた。だが、取り戻した魂達は、その失いかけていた自信までも取り戻させてくれた。

 

 やっと思い出した、この全能感。何をしても上手くいくという絶対の自信。俺が本来ずっと持っていたマインドだ。

 

 さぁ、会いに行こう。愛すべき精霊に。

 

 今、自分がいるのはどこだろう? ここは……おそらくデュエルアカデミアの屋上か。ラーヴァが待っているのはここじゃない。

 

「おかえりテンシン。ずいぶん早かったじゃないか」

 

 この声は……

 

 見上げると翼を広げたユベルがいた。

 

「間に合ったか?」

「あぁ、十分さ。その感じだと、君は1週目に近いかな?」

「1週目……気分のいい呼び方じゃねぇなぁ。俺は俺だ。1週目だの2週目だの、そんな人格は存在しない」

「それは失礼しちゃったねぇ。ずいぶん悪くなって帰ってきたみたいだ。きっと喜ぶよ、君の精霊もねぇ」

 

 ラーヴァか。冗談でこの前は7年ぶりのようだと言ったが、本当に何年ぶりかに会うような気がする。ついこの間にあったばかりのはずなのに。

 

 やはり、ユベルの言うように俺は1週目の人格に戻っているのか? 

 

 いや、違う……俺は俺だ!

 

 ラーヴァと会えることが楽しみな気持ちも、様変わりしたラーヴァを見ることへの不安が消せない気持ちも、全部俺自身の紛れもない本物の感情だ。

 

 さて、もうラーヴァはお待ちかねだろう。あいつがいるところへ行かないとな。

 

「どこに行くんだい?」

「決戦の地……あいつはきっと、もう待っているはずだ」

 

 ラーヴァの存在を感じる。きっとラーヴァも俺の存在に気付いている。

 

 アイツがいるのは、きっとあの場所。

 

 幻魔が眠る……七星門のある場所だ。

 

「久しぶりだな。ラーヴァ」

「天真……天真なんだね」

 

 俺の姿を認めたラーヴァは、その瞳から涙をこぼした。

 

 一目見ただけで、俺の魂の本質を見抜いたようだ。

 

「ありがとう、まだ俺のことを好きでいてくれて」

「そんなっ! ごめんね! ラーヴァ、天真のこと、本当に愛していたのに、あんな最後……ラーヴァはアナタのことを……ごめんね」

 

 その姿を見て無性に嬉しくなってしまった。それは過去、記憶にある通りのラーヴァだった。

 

 だが、今は感傷に浸っている場合ではない。俺はラーヴァを倒し、この世界の消滅を防がなくてはいけない。

 

「紆余曲折あったが、こうしてまた会えたんだ。恨んじゃいない。だが……お前は少しやり過ぎた。その責任の一端は俺自身にもある。だからこそ、俺がこの手でケジメをつける」

「ラーヴァを倒しちゃうの?」

「お互い神をも超える力を持つ者同士。お前からその力を奪い取り、最初の……人畜無害な存在に戻してやるよ。そうすればお前は俺のものだ」

 

 俺の背後にラヴァ・ゴーレムの精霊が現れる。それは本来の溶岩魔神ラヴァ・ゴーレムの姿。それを見てラーヴァも俺が格下の相手ではないことを悟った。

 

「やっぱり、ソレを持ってるんだね。でも、天真が勝ってしまったら、アナタはまたラーヴァから離れていく。そしたらラーヴァ、今度こそもう我慢できないよ。アナタのこと……何度でも……」

「好きにすればいい。そうだな、お前が勝てばこの世界はやるよ。何をしようが構わねぇ。だがなぁ、ラーヴァ」

「なに?」

 

 そんなつもりはなかったんだが、思わずニヤリと笑ってしまった。

 

「俺に勝てるとは思うなよ?」

「……ヒヒヒ! やっぱり天真だ! いいよ、受けてあげる。この世界は誰のものか、決めちゃおうか。ラーヴァが勝ったら……世界も、そしてアナタも、全部ラーヴァのものだよ?」

 

 これから文字通り世界の存亡をかけた勝負が始まる。そんなときなのに、ふと、天真として最後のときのことが思い出された。

 

「そういや、死ぬ前にいった俺の好み、あれは全部ウソだ」

「えっ!?」

 

 デュエル開始直前に言うことじゃないが、もうこれが最後のチャンスだ。本当の気持ちを伝えられるのは、デュエルが始まる前、今しかない。

 

 ラーヴァはこれまで見た中で一番驚いている。その言葉を信じて、世界を跨ぎ、性格まで変えてくれたんだ。今更こんなこと言われてもびっくりするに決まってるよな。

 

「本当は、ありのままのお前が好きだよ」

「……デュエルは全力だから!」

 

 嬉しいのが丸わかりだが、ラーヴァは本当にデュエルで手を抜くことはないだろう。俺だって、手加減してやるつもりなんて毛頭ない。ラーヴァもそのことをよく理解している。

 

「「デュエル!!」」

 

 スパッ!!

 

「私のターンだね。ヒヒヒ……」

「速い……」

 

 まずは互いのドロー勝負。ここはラーヴァに軍配が上がった。

 

 だが、以前のような絶望はない。互いに絶大なる力を持ち、相手の運命力にすら干渉することができてしまう。すでに1ターンでの一撃必殺はありえない。そしてラーヴァの十八番だった手札からの妨害連打も簡単にはできなくなっている。

 

 先攻を許したとしても、まだまだ難しい勝負のはずだ。

 

 ただし、ここは幻魔の空間。カードの可能性は俺達の記憶の分だけ広がっている。先攻はドローできるがシンクロ召喚もエクシーズ召喚も現実のものとなる。お互いにあらゆる可能性を模索した勝負になっていく。

 

 だからこそ、俺達はこの場所に集った。最期の勝負にはふさわしい舞台だ。

 

「ヒヒヒ……テンシン、まだちょっと甘いところがあるね。先攻を渡しても私に勝てると思ってるでしょ?」

「もう勝ったつもりか?」

「ううん。まだわからないよ。でも、先攻がとれたらラーヴァが大優勢。それは確実」

 

 何か秘策があるということか。

 

 だが、強欲な壺や苦渋の選択のような単純なパワーカードはこの状況では簡単には使えないし、禁止級の即死コンボはだいたいマークしてお互いに牽制している。それこそモンキーボードとかペンデュラム系列まで警戒している。そう簡単には決められないはず。

 

「見せてみな。お前のデッキを」

「じゃあいくよ? 私はローンファイア・ブロッサムを召喚」

「植物……?」

 

《ローンファイア・ブロッサム》

効果モンスター

星3/炎属性/植物族/攻 500/守1400

(1):1ターンに1度、自分フィールドの表側表示の植物族モンスター1体をリリースして発動できる。

デッキから植物族モンスター1体を特殊召喚する。

 

 

 植物デッキがお前の答えなのか? あるいはここからシンクロか? 何かのギミックパーツなのかもしれないが、まだなんとも言えない。いったいどんなデッキなんだ?

 

「効果で捕食植物オフリス・スコーピオを特殊召喚。召喚時に手札のモンスターを捨ててデッキから捕食植物ダーリング・コブラを特殊召喚。捕食植物ダーリング・コブラは捕食植物の効果で特殊召喚されたとき、デッキから「フュージョン」魔法カードを手札に加える。この効果でブリリアント・フュージョンを手札に加える」

 

 

《捕食植物オフリス・スコーピオ》

効果モンスター

星3/闇属性/植物族/攻1200/守 800

このカード名の効果は1ターンに1度しか使用できない。

(1):このカードが召喚・特殊召喚に成功した場合、

手札からモンスター1体を墓地へ送って発動できる。

デッキから「捕食植物オフリス・スコーピオ」以外の「捕食植物」モンスター1体を特殊召喚する。

 

 

《捕食植物ダーリング・コブラ》

効果モンスター

星3/闇属性/植物族/攻1000/守1500

「捕食植物ダーリング・コブラ」の効果はデュエル中に1度しか使用できない。

(1):このカードが「捕食植物」モンスターの効果で特殊召喚に成功した場合に発動できる。

デッキから「融合」魔法カードまたは「フュージョン」魔法カード1枚を手札に加える。

 

 

《ブリリアント・フュージョン》

永続魔法

このカード名のカードは1ターンに1枚しか発動できない。

(1):このカードの発動時に、

自分のデッキから「ジェムナイト」融合モンスターカードによって決められた融合素材モンスターを墓地へ送り、

その融合モンスター1体を、攻撃力・守備力を0にしてEXデッキから融合召喚する。

このカードがフィールドから離れた時にそのモンスターは破壊される。

(2):1ターンに1度、手札の魔法カード1枚を捨てて発動できる。

このカードの効果で特殊召喚したモンスターの攻撃力・守備力は相手ターン終了時まで元々の数値分アップする。

 

 

 このカード群、あまり詳しくは知らないが、プレデタープランツという名前は聞き覚えが確かにある。見たところ、手軽にランク3のエクシーズができる上に融合系統のカードを引っ張れるということは、何かしらの出張セットとして使ってることは想像できる。

 

 しかも持ってきたのがブリリアント・フュージョンと来たか。このカードは相当色んなことができてしまう。召喚権を増やせるセラフィを呼びながら好きなカードを墓地に送れるから応用の幅が広いんだ。

 

「混ぜ物デッキか。何をたくらんでいる?」

「ヒヒヒ……ここまではただの下準備。捕食植物2体でエクシーズ召喚! M.X-セイバー インヴォーカー!」

 

 

《M.X-セイバー インヴォーカー》

エクシーズ・効果モンスター

ランク3/地属性/戦士族/攻1600/守 500

レベル3モンスター×2

(1):1ターンに1度、このカードのX素材を1つ取り除いて発動できる。

戦士族か獣戦士族の、地属性・レベル4モンスター1体をデッキから守備表示で特殊召喚する。

この効果で特殊召喚したモンスターはエンドフェイズに破壊される。

 

 

 この時点でイヤな予感がした。インヴォーカーはよく知っている。呼び出せるカードは限定的だが、これはキーカードを呼び込もうとしている動きだ。自分の場合だとC・リペアラーを呼び込んでレベル7のシンクロに繋げたりしていた。あれは相当展開が続くが、今回は使用するのがあのラーヴァ。しかも事前にブリリアント・フュージョンを回収している。

 

 そして、プレデタープランツが出てきたのと同じ頃、環境を席巻したあのテーマ……たしかキーカードは地属性レベル4の獣戦士族! それを呼び出すつもりか!

 

「妥協なし、覚悟あり……か。本気で俺を殺すつもりなんだな」

「私はね、ずっとアナタの隣でどんなことを思い、考えて過ごしていたと思う?」

「……」

「ずっとずっと……心の奥底ではね、アナタを倒すことだけを考えてたんだよ。最後の最後に想いを届けるのは、きっと、熱いデュエルでの勝利だって、最初からわかってたから」

「だから俺から教えを乞い、強くなったんだな? 俺に勝つために」

「私はアナタの本当の強さを知っている。だから不安だった。最後の最期には絶対勝てないって思ってた。でも今は違う。アナタの強い精神から、本当に大事なことを学んだ。私はもう疑わないよ、私が勝つことを」

「あぁ……いい表情してるよ、ラーヴァ」

 

 ラーヴァの覚悟は見えた。全力勝負大歓迎。本気でかかってきなよ。最高の力を出し切ったお前を倒してこそ、価値ある勝利が訪れる。

 

「インヴォーカーの効果! デッキから十二獣モルモラットを特殊召喚!」

 

 

《十二獣モルモラット》

効果モンスター

星4/地属性/獣戦士族/攻 0/守 0

(1):このカードが召喚に成功した場合に発動できる。

デッキから「十二獣」カード1枚を墓地へ送る。

(2):このカードを素材として持っている、

元々の種族が獣戦士族のXモンスターは以下の効果を得る。

●1ターンに1度、このカードのX素材を1つ取り除いて発動できる。

手札・デッキから「十二獣モルモラット」1体を特殊召喚する。

 

「十二獣……」

 

 出たな? やはりそれを使うか。前世で見た最後の記憶において最強のカード。これを倒さなければ俺はこの先へ進むことはできない。

 

「効果は当然知ってるよね? 十二獣は1枚の素材にそのままどんどんエクシーズモンスターを重ねることができる。私はワイルドボウを重ねてモルモラットの効果を使用するよ。モルモラットをデッキから特殊召喚」

 

 

《十二獣ワイルドボウ》

エクシーズ・効果モンスター

ランク4/地属性/獣戦士族/攻 ?/守 ?

レベル4モンスター×5

「十二獣ワイルドボウ」は1ターンに1度、

同名カード以外の自分フィールドの「十二獣」モンスターの上に重ねてX召喚する事もできる。

(1):このカードの攻撃力・守備力は、

このカードがX素材としている「十二獣」モンスターのそれぞれの数値分アップする。

(2):このカードは相手に直接攻撃できる。

(3):持っているX素材の数が12以上のこのカードが相手に戦闘ダメージを与えた時に発動できる。

相手の手札・フィールドのカードを全て墓地へ送り、

その後、このカードは守備表示になる。

 

 

「……」

「さらにブルホーンを重ねて効果を発動。ヴァイパーを手札に加える」

「手札が減らないな」

 

 ラーヴァが使った手札はローンファイア・ブロッサムとコストで捨てたモンスター、あわせて2枚のみ。逆にサーチ効果でブリリアント・フュージョンとヴァイパーの2枚が増えている。場にはインヴォーカーとブルホーン、モルモラットの3体。

 

「まだ序の口だよ? ブリリアント・フュージョンを発動! ジェムナイト・ラズリーとトリック・クラウンをデッキ融合! ジェムナイト・セラフィを融合召喚! トリック・クラウンの効果でライフを1000払って特殊召喚。ヒヒヒ……天真のお得意戦術だよね」

 

 ラーヴァ:LP4000 → 3000

 

 

《Emトリック・クラウン》

効果モンスター

星4/光属性/魔法使い族/攻1600/守1200

このカード名の効果は1ターンに1度しか使用できない。

(1):このカードが墓地へ送られた場合、自分の墓地の「Em」モンスター1体を対象として発動できる。

そのモンスターを特殊召喚する。

この効果で特殊召喚したモンスターの攻撃力・守備力は0になる。

その後、自分は1000ダメージを受ける。

 

 

「神縛り幻想召喚ではブリリアント・フュージョンは必須カードだからな。恐ろしさもよく知っている。レベル4を並べたってことはエンシェントフェアリーは出さないってことか?」

「出すルートもあるけど今回は出さないよ。手札から炎舞-「天キ」を発動! サラブレードを手札に! トリック・クラウンとモルモラットでキングレムリンをエクシーズ召喚! 効果でナーガを手札に加える!」

「ナーガだと? 急に古いカードが出てきたな。たしかデッキに戻ったらレベル3以下のモンスターを呼べるんだったか?」

「ヒヒヒ……そうだよ。セラフィの効果でナーガを召喚するね」

 

 

《ナーガ》

効果モンスター

星4/水属性/爬虫類族/攻1400/守2000

(1):表側表示のこのカードがフィールドからデッキに戻った場合に発動する。

デッキからレベル3以下のモンスター1体を特殊召喚する。

 

 

「結局お前は何がしたい? たしかにカードは増えたが、所詮烏合の衆。そんな紙束俺のターンが回れば一瞬で消し飛ぶが?」

「これでいいんだよ。とにかく種類を増やすことができたらね。さぁ、今ラーヴァは何種類のカードを持っているのかな?」

「種類の数……そうきたか」

 

 

フィールド:インヴォーカー ブルホーン キングレムリン セラフィ ナーガ 天キ ブリリアントフュージョン

手札:ヴァイパー サラブレード 他3枚

 

 

 見えているだけですでに9種類集まってしまっている。コストで捨てたりサーチ先を選んだりできるので手札のカードの種類が被っている可能性も低い。そしてあのカードの召喚条件はたしか……。

 

「ここから始めようね、私とアナタの天地創造」

「Tierraか……」

 

 

《創星神 tierra》

特殊召喚・効果モンスター

星11/光属性/悪魔族/攻3400/守3600

このカードは通常召喚できない。

このカード以外の自分の手札・フィールドのカード10種類を

持ち主のデッキ・エクストラデッキに戻した場合のみ特殊召喚できる。

(1):このカードの特殊召喚は無効化されない。

(2):このカードが特殊召喚に成功した場合に発動する。

このカード以外のお互いの手札・フィールド・墓地のカード及び

エクストラデッキの表側表示のPモンスターを全て持ち主のデッキに戻す。

この効果の発動に対して魔法・罠・モンスターの効果は発動できない。

 

 

「でも11枚目のカードは不要だからね。手札から封印の黄金櫃を発動! 効果で2回目のスタンバイフェイズに命削りの宝札を手札に加える」

 

 命削りの予約……その手があったか。

 

 神の領域に足を踏み入れた俺達にとってデッキに好きなカードを入れるのはたやすい。だが、お互いに自由にカードを引けなくすることでかろうじて均衡を保っていた。そのバランスを崩すカードがこの封印の黄金櫃。たしかにこれはウチの母上の常套手段。ラーヴァは繰り返す世界のデュエルから確実に戦術を学んでいる。

 

 十二獣を使ってきたのも同じだ。十二獣のヤバさはとにかくアクセス手段が多くて初動が安定すること。俺がどれだけ運命力を高めようが1枚でスタートできる十二獣の展開を止めることは難しい。ロンファ、オフリス、モルモラット……他にも会局とかまで用意している可能性もある。レベル4の展開手段にもなれるし可能性は高いだろう。

 

 これが俺達のデュエルに対するラーヴァの答えということか。

 

「さぁ、いくよ? 10種類のカードを自分の手札・フィールドから持ち主のデッキ・エクストラデッキに戻して特殊召喚! 創星神tierra!! さぁ、アナタの手札も全部戻してね」

「いきなり全ハンデスとはね。しかも墓地ではなくデッキか」

「そうだよ。さぁ、全部戻そうよ。何もかもリセットして、やりなおしましょう? 次の世界では、絶対にアナタの愛情を勝ち取ってみせる。今度は3年目にユベルがジャマするのも阻止するからね」

「それがお前の意志なんだな」

 

 世界を繰り返す狂気が、こんなとんでもないデッキを産み出したのかもしれない。

 

 まだ俺のターンは回ってきてすらいないが、すでに絶望的な状況だ。だが、俺は淡々と効果処理を進めていく。ラーヴァを倒すと決めたときから、覚悟は決まっている。どれだけ絶望的な状況に陥ろうと、絶対に負けない覚悟を!

 

 ラーヴァも粛々と処理を進めていく。コストにより全てデッキに戻り、一度エクシーズ素材は墓地へ送られるが、その後のリセット効果で墓地へ送った素材はデッキに戻される。

 

 いや……待てよ? それだけじゃない! ナーガの効果が発動する!!

 

「気づいたみたいね。Tierraの効果処理が終わった後、ナーガの効果が発動する。このカードがフィールドからデッキに戻ったとき、デッキからレベル3以下のモンスターを特殊召喚する」

 

 レベル3以下……ジョウゲンでも出すのか? いや、そういえばラーヴァはまだドランシアを出していない!

 

「まさか、またインヴォーカー!!」

「そういうこと。おいで! ベイゴマックス! 効果でタケトンボーグをサーチしてそのまま特殊召喚。さぁ、また来て! インヴォーカー!!」

 

 ラーヴァはただ世界を繰り返すだけで満足するようなヤツじゃない。次の世界へ向けて、確実に都合の良い繰り返しを行う。それがナーガであり、黄金櫃なんだな?

 

「Tierraだけでは満足せず、ドランシアまで並べるか。その上命削りまでも……」

「絶望を見せてあげる。インヴォーカーの効果でモルモラットを特殊召喚! ブルホーンとワイルドボウはこのターンもう召喚できないけど、まだこの子達が残っている……タイグリス、ドランシアを重ねてエクシーズ召喚!」

「……」

 

 

《十二獣ドランシア》

エクシーズ・効果モンスター

ランク4/地属性/獣戦士族/攻 ?/守 ?

レベル4モンスター×4

「十二獣ドランシア」は1ターンに1度、

同名カード以外の自分フィールドの「十二獣」モンスターの上に重ねてX召喚する事もできる。

(1):このカードの攻撃力・守備力は、

このカードがX素材としている「十二獣」モンスターのそれぞれの数値分アップする。

(2):自分・相手ターンに1度、このカードのX素材を1つ取り除き、

フィールドの表側表示カード1枚を対象として発動できる。

そのカードを破壊する。

 

 

ラーヴァ:手札0 Tierra ドランシア インヴォーカー (除外:命削り)

天真:手札0

 

 

「ドランシアは自分・相手ターンに1度、X素材を1つ使って、フィールドの表側表示カード1枚を破壊できる。念のため素材は2枚用意しておくよ」

「Tierraだけでは満足せず、フリーチェーンの除去持ちを並べるか。初動を止められてしまうから事実上俺のシンクロ・エクシーズは封殺。しかもインヴォーカーと合わせると打点が5000ある……」

「ドローフェイズで1枚引けるってことも忘れないでね? それにインヴォーカーは次のターンになればさらに十二獣を呼べる。ドランシアはブルホーンを重ねてサーチ効果も使える。なんとか凌いだとしても、2ターン後には約束された5枚のドローカードが待っている。この絶望が私からアナタへの恩返し。今まで私を強くしてくれてありがとう。アナタのことは私が忘れずに覚えていてあげるから、安心していいよ。さぁ、次がアナタのラストターンだね。ターン終了」

 

 そんな悲しそうな顔で言われても、説得力ねぇよ。

 

 愛情が重すぎるっていうのも考えものだな。

 

「心配しなくても、勝負は終わらねぇよ。ちゃんと命削りも使わせてやる」

「アナタはトラップカードなんて使わないでしょ? モンスターを引いたら即終わり。どうにもならない」

 

 たしかに。普通に考えればどうにもならない。でも、今は無性に楽しい気分だ。ラーヴァと向かい合って対等に勝負ができている。それだけで心の底からワクワクする。

 

 そして何より、今の俺は負ける気がしない!

 

「ドロー!」

「さぁ、どうするの?」

 

 ドローしたカードを見て、さらに口角が釣りあがる。今1番欲しかったカードを引き込めた。全ては我が意のままに……。

 

「俺はカップ・オブ・エースを発動! さぁ、運命力勝負と行こうぜ?」

「ここで運任せなの? ラーヴァに真っ向から運命力勝負するんだ? 舐めないでね」

 

 ヴィジョンに映ったカードがどんどん加速していく。この一瞬で勝負は決まる。

 

「ストップ!!」

 

 結果は……正位置!

 

「往生際の悪い人ね」

「俺がこれまで不運な人生を歩んだのはお前の呪い。本来の俺は豪運なんだよ」

「そうだったね。やっぱり完全に記憶が戻ったんだ」

 

 さぁ、2枚ドロー! 引いてきたのは……。

 

 これをここで引くか。本当に、思い通りだ。デッキが俺の想いに応えてくれている!

 

「コアキメイルの金剛核を発動! コアキメイル・ガーディアンを手札に! そして金剛核を除外することでこのターンコアキメイルは破壊されなくなる」

「ドランシア封じ? ふぅん……そんな方法があるんだ。さすがだね」

「コアキメイル・ガーディアンを召喚して、ドランシアを攻撃!」

 

 まずは俺のフィールドへの妨害手段を潰す!

 

「いいよ。でも、インヴォーカーがいればまたドランシアを出すことはできるし、Tierraもいる。どうするつもりかな?」

「ドランシアさえいなければ、俺はもう止まらない」

「手札は残り1枚。たった1枚のカードで、何ができるっていうの?」

「俺はデーモンの宣告を発動!」

 

 ピクッとラーヴァが反応した。俺がどういうデッキなのかわかったみたいだ。

 

「岩石族に天変地異? フン、それが天真の集大成だとでもいうつもり? バカバカしい」

「あぁ、そうだ! そしてこのカードが希望をつないでくれる。デーモンの宣告を発動!」

 

 天真:LP4000 → 3500

 

「まさか……天変地異なしで当てられるとでも言うの?」

「お前を俺のものにできるなら、なんだってやってみせる! 引くぜ……宣言するカードは『隣の芝刈り』! ドロー!!」

 

 スパッ!!

 

ドローして天高く掲げたカードは、俺の期待通りのカードだった。

 

「隣の芝刈り発動!」

「そんな、ありえない!? しかもそのデッキ、40枚じゃないのね!」

「あぁ、60枚だ」

「そんな中から引き当てたっていうの?!」

 

 元々こういう墓地貯めて動くデッキが好きなんだよ。マッチ戦ではなく一発勝負前提ならバーンデッキの方が好みだけど。

 

 さぁ、カードを墓地へ送りこむぜ? ラーヴァのデッキは35枚。俺は55枚。20枚の墓地肥やしとなる!

 

 シュシュシュシュシュ……

 

 出番を待ちわびていたカード達がデッキから飛び出した。墓地でこそ真価を発揮するカード達が、一斉に躍動する!

 

「これからが本当の俺のターンだ!」

 




デュエルがほぼ1ターンしか進んでない()

デュエル内容のミスはもしあればこっそり教えてもらえると助かります。
直せたら頑張って直します。
カードの種類数えたり墓地の数をカウントしたり、とにかく盤面管理が死ぬほど大変なので、どっかしらでは確実にミスしていると思われます()
実際すでに何度も重大なミスが発覚していて、大幅な流れの変更を繰り返してました()

最終決戦なので、書きづらさ度外視で好きなデッキを使ってます。
世界の繰り返しを物語として採用した時点でリセットモンスターをラーヴァに使わせたいと思っていたので(ファンカスノーレもそう)Tierraデッキ使用は既定路線。
天真のデッキが悩みに悩んでいて、これまでの世界のデッキも絡めつつ、作中公言の大好きな墓地利用デッキを採用してます。

シンクロ・エクシーズ・ペンデュラム解禁は最後だけの特別感ということでご容赦を。
幻魔の力は全てを解決する……
不公平になる使い方はイヤですが、今回は両者合意の上でお互いに使用するのでセーフ
遊戯王書いてて融合・儀式までしかできないというのも寂しいですよね。

カードプールはリンク以降はなしです。
天真とラーヴァがしってるのはマキシマム・クライシスまでと思ってください。
天変地異幻魔とかユベルなどでリンク以降のカードは使ってますが、幻魔はアニオリカードとしての知識、ユベルは天真は知らないカードだったのでセーフという判定です。

あと、神の力で牽制云々が意味不明ですが、お互い無制限で戦うと瞬殺になってしまうため、そうしないための措置です。
デッキに命削りとか入れるのは勝手だけど、強いカードほどドローするのが大変ですよ、ということですね。カップオブエースとか使うのも、手札に引き込みやすくするためですね。
ラーヴァはそれでも命削りでドローしたかったので、黄金櫃を使って工夫。天真も強欲な壺を使いたいけど、引けないので代わりにカップオブエースを入れて工夫、ということです。
ただし、シャイニングドローが絶対にできないわけではないので悪しからず……
いいカードを引くこともありえます。

芝刈りはただのパワーカードですが、ラーヴァが60枚デッキに気づいてない時点でマークが薄かったんだな、と思ってください。

最期に細かいですがtierraがTierra表記なのは許して()
小文字はなんか違和感……
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