2054年、日本。
肺炎性新病原生物。通称『マリスセル』と呼ばれる病原体によって、人間社会が歴史的打撃を受けた。
その病原となるのは人型を成したマリスセルの塊、
アルファタイプや感染者を介して“空気感染または飛沫感染”した者は、強い咳と発熱などの肺炎症状を引き起こし、2週間程度症状に苦しまされる。
だが、マリスセルの持つ真の危険性は“接触感染”にある。
アルファタイプの噛みつきによる接触感染が起きた場合、感染者は血液内にマリスセルが循環し、約30秒で死に至り、同様のアルファタイプに変化してしまうのだ。
これにより東京都の主要都市は陥落、完全にマリスセルの生息域と化した。
2055年現在、自衛隊などによる除去作業が続いているが、人を狙うマリスセルの活動範囲は拡大している。
なお、未だマリスセルの治療薬、ワクチンは開発されておらず、その登場を待つばかりである。
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「行けるな、
「まっかせてくださーい!」
東京上空。
ヘリコプターに乗り込んだ防護服に身を包んだ女性の合図と共に、同乗していた少女がパラシュートを付けずに飛び降りた。
危険な状態にありながら、少女は満面の笑みを浮かべながら、地上にて群がっているマリスセル・アルファタイプを見据える。
《RemediumDriver》
少女が腰にベルト型端末『リミディウムドライバー』を取り付けると、右側ホルダーに備え付けられていた小型の能力変換機器『メディックシグナル』のスイッチを押下する。
《
メディックシグナルをベルトに装填すると、少女は深く息を吸うと、変身用声紋コードを叫ぶ。
「変身!」
その言葉と共に再びスイッチを押すと、少女に強化装甲が転送され、姿を変えていく。
地上に勢いよく落下すると、土煙を立てながら先ほどまで少女だった戦士が埃を払って現れる。
《Project Start…PersonaPhantom───Change The Wolmoke》
変身を伝える電子音に高揚する、狼を彷彿とさせる戦士は、軽くジャンプしながら戦闘態勢を取る。
「戦闘を開始しろ……『仮面ライダーヴォルモーク』」
女性の指示を受け、戦士───ヴォルモークはアルファタイプへと蹴りを見舞うと、そのまま倒立前転して腕力のみで跳躍、他のアルファへとかかと落としを決める。すると撃破されたアルファが分解されていく。
アルファを踏みつけにしながら着地すると、彼女の使用している固有アイテム『ペルソナファントム』の持つ能力により、霧散して煙に巻く。
彼女を追って辺りを見回すアルファたちだったが、次にヴォルモークが現れたのは、彼らの足元だった。
「そりゃっ!」
ヴォルモークが足を回転させてアルファたちのバランスを崩すと、左側に携行されたアサルトナイフ『ダリングエッジ』でアルファを切り裂く。
「イエーイ、どうですか光貴さん! 私けっこーやるでしょ?」
「上出来だ。エンドモードに移行して付近のアルファを除菌してやれ」
「は~い!」
威勢よくヴォルモークが返事をすると、ベルトに装填された状態のメディックシグナルを押下する。
《PersonaPhantom End》
その電子音が鳴り響くと、ヴォルモークの体が再度煙状に変化、一面に広がるとそこから腕を出して瞬時にアルファを切断していく。
瞬時に放たれる斬撃の連発で周囲のアルファを一掃すると、煙の中からヴォルモークが出現する。
「ふ~っ」
「戻れ大神、データは収集できた」
「はいっ!」
ヘリから降ろされた
(アルファタイプに抗体を持つ特殊因子…『大神ほえる』。開発中だった装甲兵器を転用し、マリスセルに対抗しうる戦士を創出する計画───『
今回の戦闘を指揮したのは、臨時東京市庁衛生対策委員会第9企画担当責任者、『
「これで東京を…取り戻せる」