薄暗い夜明け前。マリスセル出現の報告が各員を目覚めさせた。
オメガタイプと思われる30メートル大の個体、そしてアルファ、ベータの大群とともに翼を持つ個体───ガンマタイプが現れたという観測が全員の緊張感を高めていた。
東京都品川区にて確認されたマリスセルは、現在施設のある方向へと北上している。
「決戦、って感じですね」
ライドスフレに腰かけるのえるがつぶやく。
施設の外に出て発進にそなえる面々が気を引きしめる。
「諸君、覚悟はいいな」
「今さらよ」
光貴の言葉に楽歌が返すと、全員がアタッシュケースからベルトを取り出し、装着する。
《RemediumDriver》
《WolmocianDriver》
「変身!」
「───変身」
「ッ…変身」
「変身☆」
「変身ッ」
「へんしぃん!」
「…変身!!」
「変身───ッ」
《Project Start…PersonaPhantom───Change The Wolmoke》
《Project Start…ImagineerIce───Change The Rappol》
《Project Start…HasteHack───Change The Luxhus》
《Project Start…StraightSword───Change The Tioro》
《Project Start…BlazeBullet───Change The Syunso》
《Project Start…FatalFang───Change The Caitsith》
《Project Start…NastyNest───Change The Procyon》
《Project Complete…SevensBlessing───Change The Phexsia》
8人の仮面ライダーが変身を完了する。
そして全員分用意されたライドスフレに搭乗し、発進の時を待つ。
「我々の目的は最大の人類敵、マリスセル・オメガタイプの
ライドスフレが浮かび上がり、スピードを上げながら進み始める。
彼女らに交わす言葉はなかった。
ただ
──────────────────
自衛隊により設置された照明が巨大なオメガタイプを照らす。
交戦は継続しているが、強化されたオメガタイプには戦車による砲撃が意味をなさず、仮面ライダー到着までの時間稼ぎを目標とした、生存を優先した戦闘が繰り広げられていた。
「我々にできることは限られている、だが…限られた中で最善を尽くせ!」
「了解!」
アルファタイプの襲撃にあいながらも、自衛隊員らは銃撃を続ける。
が、翼を持ったガンマタイプによる空中からの攻撃で隊列を崩される。
その混乱に乗じてオメガタイプが腕を伸ばしながら増殖させ、自衛隊員らを掴む。
「ぐ、ぐぁぁぁッ!」
オメガタイプが自衛隊員らを絞め上げ続けるが、その触腕を何者かが撃ち抜き、断ち斬る。
「───あれが、仮面ライダー…!」
決戦の地に到着した仮面ライダーらが、オメガタイプの体を破壊していく。
その光景を自衛隊員らは目に焼きつける。
「こちらは衛生対策委員会第9企画! 戦闘している自衛隊員は後退し、対処をこちらに
宣告するフェクシアを見上げながら、自衛隊が
「オメガタイプ……好きにはさせません!」
ヴォルモークがダリングエッジでオメガタイプの触腕を切り裂かんとする。が、刃の短いその武装では意味をなさない。
「光貴さん、今更なんですけどもっと大きな武器にできなかったんですか」
オメガタイプの触腕を凍らせながらラポールが問う。
「抗体保持者が若い女性のみだったからな、大きな武器はどうかと思ってな」
フェクシアの説明に一同が理解を示しつつも、ティオーロが刀を振り回す。
「まぁ今から突っ込むのは
俊鼠が群がるアルファタイプを銃撃しながら、自衛隊の退避を支援する。
他の仮面ライダーもオメガタイプの攻撃をいなしながらマリスセルの数を減らしていく。
《Project Start…AssaultArmour───Change The Syunso》
《Project Start…JetJavelin───Change The Procyon》
《Project Start…GatheringGadgets───Change The Luxhus》
それぞれが装備を変えて、巨大なオメガタイプに対抗する。
無数に伸びる触腕を各員の武器で破壊していく。
「痛い…痛い、仮面ライダー…!!」
オメガタイプが周辺の建物を叩き壊し、仮面ライダーへと投げつける。
《Project Start…KaleidoKnuckle───Change The Rappol》
が、ラポールの拳が
「今のうちにオメガの核を探してください!」
「分かっている!」
《LinksLaser》
《ReactRoor》
フェクシアから放たれる光線がオメガタイプの胴を切り開き、轟音と共に切断部を広げて核を探す。
「グアアアアアァァッ!!」
かつてフェクシアが打ち込んだゾエティックジールの影響で痛みを学習したオメガタイプが
だが、その叫びには一切耳を貸さずフェクシアはオメガタイプを切開して体を探る。
生々しい音を立てながら身を裂き、奥まで入り込もうとするフェクシアを閉じ込めようとオメガタイプが体を修復させる。
「私を体の中に閉じ込める気か…!」
《VigorousVolcano》
フェクシアから放たれる爆炎がオメガタイプの体を一部吹き飛ばす。
「ガアアアッッ!!」
オメガタイプが体内に触腕を生やし、フェクシアを体外へ排出し、投げ飛ばす。
体制を立て直すフェクシアだったが、そこにオメガタイプの触腕がせまる。
「危ない!」
ジェットジャベリンで飛行するプロシオンが触腕を防御し、フェクシアを守る。
「助かった、飯沼…だがここは私に任せて君はガンマタイプを倒せ!」
「…分かりました!」
そう言っている間にもガンマタイプが飛来する。その攻撃をかわしながらフェクシア、プロシオンが別れる。
「空の敵をなんとかしないとですね!」
《Project Start…XenoX───Change The Wolmoke》
《Xeno FatalFang》
ヴォルモークがゼノクロスを装備し、ガンマタイプを
「ガンマタイプ……私も戦ってみます☆」
《Project Start…EquipmentElement───Change The Tioro》
ティオーロがイクイップエレメントを装備、
「便利な力じゃない、こっちにもお願い!」
俊鼠の頼みを受け、ティオーロがビルを突き破るほどの大木を生成し、俊鼠と付近にいたケトシィを上昇させる。
「これで羽つきと戦えるわねぇ…!」
ケトシィの持つ
「地上の敵は…任せてください!」
ルキフスがギャザリングガジェッツから展開した爆弾を放り投げ、アルファタイプを爆破させていく。
ベータタイプや亜種が出現するが、今度はチェーンソーをセットし、叩き切る。
そこに合流したラポールが氷柱を繰り出してさらに出てくるマリスセルを防ぐ。
「仮面…ライダー!!」
怒りに打ち震えるオメガが増加した腕を伸ばして仮面ライダーを殴打する。が、その攻撃を防いだフェクシア、ヴォルモーク、ティオーロの反撃を受ける。
ダメージの
「ガアアアッ!!───仮面ライダー…ッ!! あなたたちは、これだけの叫びを聞いて、なんとも思わないのかッ!?」
オメガタイプから放たれる意外な言葉に一同は驚きつつも、
「人を
「ようやく痛みを理解してくれて安心すらしてるよ!」
「色んな人に迷惑をかけたんだから、当然…だ!」
「アンタ倒せば金入るし」
「カッコいいお姉さんはあなたを許さないのよ?」
「マリスセルを倒せば北斗ちゃんが笑顔になってくれますから☆」
「生きるために…倒す!」
「貴様の痛みなど私たちが味わってきた苦痛に比べれば薄っぺらいモノだ!」
「それでも、私は……生きたい!」
オメガタイプのその叫びは、生命の情報を学習した結果による、生存本能からの声だった。
だが、これまで命をなんとも思わず、ただ上位存在の命じるままに人の命を奪い、侵略してきた肺炎性新病原生物であるオメガタイプが“生きたい”などと口にするべきではなかった。
北斗、のえる、陽廉、楽歌、いぶ、真希、碧、光貴。人の命に触れ、それによって人生を大きく動かされた彼女らからすれば、オメガタイプの行動と言動は、命を
「───貴様…貴様らが今までどれだけの人を殺したのか……分かって言ってるのか!」
フェクシアの
「ギャアアアアッ!!」
「貴様らマリスセルが奪ってきた命をなんとも思わないのかッ!? 人々の生きたいという叫びを聞きもしなかった貴様らが生きたいなどとッ!!」
「光貴さん、落ち着いてください」
ラポールがフェクシアを追って冷静になるよう伝えるが、彼女の怒りはおさまらない。判断力を失い、オメガタイプによる反撃を受けながらも、傷を負いながらも、フェクシアは猛攻を続ける。
「ヒトを殺したのは私ではない、他のマリスセルだ───」
「そう言うならばッ! 貴様は亡くなった人々のために罪を償って生きられるのか!? マリスセルという群れをなしておきながら“自分は関係ない”と自身の罪から目を背けるのかッ!!」
フェクシアの攻撃によって、ついにオメガタイプが核を露出させる。
「今です!」
ヴォルモークが号令を放つよりも先に、フェクシアが核めがけて突き進む。
核を
が、核は寸前に体内へと収納され、傷つけることすら叶わなかった。
そしてオメガタイプに接近していたフェクシアは、その隙を突かれ全身を刺し
腕、足、そして頭までもがオメガタイプの触腕の
「───光貴さんッ!」
ヴォルモークが傷だらけのフェクシアを抱え、オメガタイプのさらなる攻撃から守る。
一度戦線を離脱して変身が解けていく光貴を横にすると、ヴォルモークが声をかけ続ける。
「光貴さん! 光貴さん!」
「───」
返事がない。頭部への攻撃が完全に致命傷になっていた。
光貴が完全に沈黙し、一同が硬直する。
「たしか…仮面ライダーフェクシア。私にとってもっとも邪魔なヒト───やっと死んだ」
オメガタイプが不気味にほくそ笑む。
その笑顔を目の当たりにしたラポールが打ち震える。
「…人が死んだのがそんなに嬉しいですか」
「嬉しいです、これ以上なく。この星にいる生命、特にヒトの情報を得た私にとっては、人の死はさらに喜ばしいことになったのです」
ラポールがターミネイトユニットを取り出した瞬間、オメガタイプの触腕がそれを
「北斗!」
俊鼠がオメガタイプに銃撃を再開するが、まったく効かない。
と、オメガタイプが俊鼠へと砲撃を繰り出し、吹き飛ばす。
「キャアアア!!」
「邪魔をしないでください、いや…今の私と仮面ライダーとの実力差なら邪魔にすらならない、か」
「これを食らっても同じことが言えるワケ…!?」
《TerminateUnit》
持ち直した俊鼠がターミネイトユニットを起動する。
瞬時にオメガタイプが払い落そうとするが、ケトシィが防ぐ。
「ありがと、いぶ。後は任せて光貴サンを!」
「オッケーよん」
ケトシィがその場を離れる。オメガタイプが彼女を追おうとするが、他のライダーに
その間にも俊鼠が強化変身を完了させる。
《Project Start…TerminateUnit───Change The Syunso》
《AssaultArmour Unity》
アサルトアーマーの力を取り込み、全身に装備された装甲からミサイル、光線、銃弾が乱射され、オメガタイプの上半身を吹き飛ばす。
「───これほどの力を……持っていたとは!!」
痛みに
「上半身を消し飛ばしたのよ、核はどこ行ったのよ!」
「どこへでも移動させることができる…甘いです」
それを聞いた俊鼠がさらに乱射を続ける。
が、攻撃を学習されオメガタイプの全身から生えた砲塔によって弾き返されてしまう。
「攻撃力はその程度…か」
オメガタイプが
が、仮面ライダーは諦めない。
《KaleidoKnuckle Unity》
拳の形を模した大型ドローンでオメガタイプの顔面を殴打してひるませる。
《JetJavelin Unity》
《GatheringGadgets Unity》
爆弾、熱線、斬撃がオメガタイプの手足を切り落とし続け、動きを止める。
《EquipmentElement Unity》
樹木がオメガタイプの体に巻きつき、炎を発射して体を焼き尽くす。
ターミネイトユニットによって強化されたそれぞれの攻撃がオメガタイプへの有効打となり、声すら出ないほどにダメージを負ったオメガタイプが倒れる。
「やった…! 今のうちに核を!」
ラポールに続いてライダーたちがオメガタイプを必死に解体して核を探す。
高威力の攻撃を連発して次々とオメガタイプの体を破壊していく。
「ア…アァ」
「! 核、ありました!」
ルキフスが叫ぶと全員が核の方へと攻撃を集中させる。
が、出力が不安定になっていく。
「…まずい!」
彼女らがエネルギーの消耗を認知したときには、すでに変身が解除されていた。