戦線を離脱したケトシィはオーバーホールオーブを用いて重傷を負った光貴の治療に専念する。
「こんなところで死なせないわよ!」
急ぐケトシィが
「のえるちゃん! こないだの真希にゃン時みたいに回復手伝って!!」
「…は、はい!」
ヴォルモークが善性マリスセルを使って光貴の体を癒す。
だが、予想以上のダメージにより、体が中々治らない。
「今の力では、光貴さんを治すのに時間がかかります…!」
「でもこのままモタモタしてると本当に光貴さんが死んじゃうわよ!」
焦るケトシィにヴォルモークが頭をおさえ考える。
と、一つ考えが浮かぶ。
「……今の治療は、マリスセルを使って光貴さんの体を補っている状態にあります。ですがそのマリスセルが今は足りないのです……だから、もっとマリスセルを蓄える必要があります」
「何言ってんの、のえるちゃん」
ヴォルモークが光貴の体に触れると変身が解除される。
「ヴォルモークの装甲を使って回復を急ぎます……いや、もっと───“私”を使います」
「私?」
ケトシィが問うが、答える間もなくのえるが光貴のヴォルモシアンドライバーに語りかける。
「私の中にあるマリスセルの力をすべて光貴さんに託します」
「待ちなさいのえるちゃん、そんなことして…北斗ちゃんはどう思うか考えないワケ?」
「残された人の気持ちを少しは考えなさい、自分勝手に消えようとしないで」
「……ですが!」
《…待ってください、ヴォルモーク。鳳さまを治療するだけの善性マリスセルの
「───え」
《私が呼び出しました。もうすぐ到着します》
すると、
「えっ、何アレ……」
《“蓄え”です》
ケトシィが
《鳳さまが残してくれた力を使って、オメガに打撃を与えます》
──────────────────
変身が解除され、人の姿をさらす北斗たちを、オメガタイプは見下ろす。
「時間切れ…ですか」
オメガタイプが不気味に口角をつり上げると、北斗は息を
が、オメガタイプは彼女らを攻撃しないままケトシィの離脱した方向へと進み始める。
「…私たちを、始末しないんですか」
「残存する仮面ライダーの無力化を優先します。戦う力を失ったヒトはそのあとで充分です」
そう告げて巨体を揺らしながら動くオメガタイプに、北斗は反撃もできず、立ち尽くす。
そんな北斗の姿を
───が。
「えいっ!☆」
真希が近くにあった鉄パイプでオメガタイプを叩いた。
「真希さん、何をやっているんですか!」
「そんなモノでオメガタイプを倒せるわけないじゃないですか!」
「でもなんかムカつくから☆」
真希が笑うと、再びオメガタイプへと攻撃する。
その
「…何をしているのですか」
「悪いことをしたらごめんなさいって言わないといけないんですよ☆」
「悪いこと…? 私はただ上位存在の命令にしたがうだけです」
「あは☆ はは☆ バカなんじゃないですかぁ☆」
なおも効かない攻撃を続ける真希だったが、今度は楽歌がそれに続いて
「ムカつくっての、私もわかるわ!」
「私も…!」
「何もしないよりはスカッとしますからね!」
陽廉、碧もその場にあった棒や日用品をオメガタイプにぶつけていく。
彼女らの無意味な行動に戸惑う北斗だったが、目の前の敵に対して何もできないのは
「オメガタイプ、あなたは沢山の人を傷つけ、命を奪い、ここにいる。それなのに自分は生きたいと勝手な意見を
「だからどうしたというのです」
「嫌いです、あなたが」
「だからどうしたというのですか…!」
北斗が手のひらにおさまるくらいの大きさをした
「話をしましょう、とさっき言いましたが、議論する気が失せました!」
「どうしてそうなるんですか?」
オメガタイプの問いかけに北斗は思わず笑みをこぼした。
「光貴さんを傷つけながらそのことを気にもかけないの、なんかじわじわと気分悪くなってきましたので」
「たったそれだけで?」
オメガタイプの一言が、さらに彼女達の怒りを増長させる。
「やっぱりこんな奴対話拒否よ! 北斗!」
「同感、です!」
「ムカつきますね☆」
「はぁあああ───!」
その場にあるものを余すことなく使ってオメガタイプにぶつけていく面々に、ついに
「人とはやはり
巨大さを感じさせない速さで腕を突き出すオメガタイプだったが、“何か”によって彼女らが守られた。
「これは───」
北斗が見上げると、マリスセルの群集が一同の盾となりながらオメガタイプに組みついていた。
「マリスセルぅ!?」
楽歌が
「光貴さんが回収してたマリスセルだって! これを使ってのえるちゃんに力を集めるの!」
必死に呼びかけるケトシィだったが、そこで電力を消費しきり、変身が解かれる。
「いぶさん、光貴さんは……」
心配して駆け寄る北斗にいぶは
外傷はすべて治ったが、意識が戻らないのだ。
「光貴さんのことはとりあえず…大丈夫、だから。今は手持ちのメディックシグナルを全て起動させて!」
いぶがその場にいる全員に伝える。それを聞いて一同がメディックシグナルを取り出す。
「さっきの“のえるに力を集める”って言ってたけど、アレと関係あんの?」
楽歌の質問に、光貴の腰に巻かれたヴォルモシアンが答える。
《仮面ライダーはマリスセルによって構築された装甲です。ならば今集まっているマリスセルと、メディックシグナルによって転送されるライダーの力を結合させて、フェクシア以上にオメガを圧倒できる最強の仮面ライダーを完成させられるかもしれません。推測にすぎませんが……》
「やらないよりはいいです、
ライドスフレに乗ったのえるが到着し、高らかに叫ぶ。
「マリスセルを使ってヴォルモークを強化できるのか試してみました、その感じだとなるたけ使うマリスセルが多い方が強くなります」
マリスセルの大群がオメガタイプの攻撃を
「とにかくみなさん、力を合わせてあの
のえるの叫びを聞いてそれぞれが笑みを浮かべる。
そして、
光貴が持っていたものも、全員で分担して
《AssaultArmour》
《BlazeBullet》
《CrimeChain》
《DaringDagger》
《EquipmentElement》
《FatalFang》
《GatheringGadgets》
《HasteHack》
《ImagineerIce》
《JetJavelin》
《KaleidoKnuckle》
《LinksLaser》
《
《NastyNest》
《OverhaulOrb》
《PersonaPhantom》
《QuestQuartz》
《ReactRoor》
《StraightSword》
《TerminateUnit》
《VigorousVolcano》
《WieldWing》
《XenoX》
《YearningYouth》
《ZoeticZeal》
「なんか知らないメディックシグナルなかった?」
《鳳さまが開発段階でまだ実装していなかったものも含まれています。ヴォルモーク、押下ありがとうございました》
「なんのなんの」
メディックシグナルから放たれる粒子は、白銀の光となってのえるの持つイディアルファントムに
「みんなの、みんなの力をッ、一つに……ッ!」
《IdealPhantom》
のえるの腰に生成されたリミディウムドライバーにイディアルファントムを装填し、彼女はオメガタイプへとその言葉を高らかに叫んだ。
「───変身ッ!!」
《
のえるの体が白銀に輝き、戦士の装甲を出力していく。
その
触れた瞬間、拳が消え去っていくのだ。
「何が、起こった───」
「あなたの体を“侵食”しました」
侵食。その言葉を聞いてオメガタイプは状況を察知する。
その戦士はゾエティックジールに見られたマリスセルのハッキング能力を自分のマリスセル操作と合わせて拡大解釈し、オメガタイプの体を善性化させていったのだ。
触るだけでもオメガタイプを無力化できる、それがその戦士の力であった。
「あなたは……!」
「こ、これなら、いけます!!」
「のえるさん、お願いします!」
「やっちゃってください☆」
「アタシたち丸腰だから頼むわよー!」
「オメガに勝ったらお姉さんご褒美あげちゃうわよっ!」
「…のえる、それにほえる……それがあなたの戦う姿、なんだね」
北斗が白銀の戦士───仮面ライダーヴォルモーク イディアルファントムを見守って、強い
「いっくよ~、みんなを守るんだ!!」
その叫びと共にヴォルモークが走ると、イディアルカリバーを手元に展開し、オメガタイプの腕部めがけて振るう。
思わずオメガタイプが防御姿勢を取るが、巨腕を断裂して粒子化させる。
オメガタイプが腕を再生させようとするが、周囲には善性化したマリスセルが
「ここにはあなたの味方なんかいない……ヒトを敵に回した罪はつぐなってもらいます!」
イディアルカリバーが次々とオメガタイプの腕を切り落としていく。
その度に重厚な質量を持っていたであろう
「私の…体が……!」
「これが、死んでいくということです」
ヴォルモークはさらにオメガタイプの脚部を切り落とし、その場に胴体を倒れさせる。
「痛いですか?」
「ああ…痛い、とても痛い……!!」
全身をめぐる鋭い苦しみが、オメガタイプの
「どうして…仮面ライダー……どうして私を傷つける…」
「いまさら聞きますか?」
「ただ…命令にしたがっただけなのに…私は、何もしてないのに!」
まだそんなことを、と流石のヴォルモークも語気を強める。
「私は…命令を
オメガタイプが胴体を収縮させて手足を再構成する。先ほどよりも小さくなってしまったがようやく動けるようになり、その場から脱出するため跳躍する。
が、目の前にヴォルモークが立ちはだかる。
「“死にたくない”、そう願うには、あなたは───マリスセルは、多くの人を傷つけすぎました」
《Ideal End》
ビルの屋上にてイディアルカリバーを構え、ヴォルモークが一瞬でオメガタイプを両断する。
その
「まだ…まだァ! 私は……ヒトを殺し尽くすまで、死にはしない!!」
オメガタイプの
「───私と北斗ちゃんの時間を奪っといて…そんなこと、絶対許さないッ!!」
イディアルカリバーで斬りつけたまま、ヴォルモークとオメガタイプが地上へ落下する。
重力の勢いを味方に、刃を叩きつけると、核が真っ二つに割れ、オメガタイプが肉体を保てなくなる。
「私は…ヒトを……! まだ…!」
「はぁぁぁあ!! 消えろマリスセル……人類の、勝ちですッ!!」
太陽がヴォルモークを照らす。
オメガタイプとの決戦に勝利し、人は新たな朝をむかえた。