昭和にウマれたウマ娘!   作:調味のみりん

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Ep.24 過去の話を

 

 

 

 なぜ、あなたは文章を書くのか? 

 

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 あなたは今日、最良の選択肢をとれたか? 

 

 眠る前に、胸に手を置いて考えてみるといい。

 たいてい、そんなもの分からないという結論に達するから。

 

 未来が良くなる、間違いのない選択が出来たと胸を張って言えるか? 

 全ての選択肢を可能な限り列挙して考えてみるといい。

 

 朝ごはんは? パン? ご飯? 食べてない? 

 空腹はお昼までのパフォーマンスに影響ないか? 

 

 進路は? 進学? 仕事? 

 勉強? それとも遊び? 

 

 どれをとっても、最良はわからないだろう。

 未来から過去を判断することしか出来ないから。

 テストとは違い、誰も答えを知らないし、マルを付けてはくれないから。

 

 

 

 だから、のこす。

 言葉にして。文字にして。

 自分の進んだ道が、正しかったか判断できる唯一の可能性。『未来』に託して。未来の誰かに託して。

 

 

 だから、文字は全て過去なのだ。

 未来から過去を判断するための、過去の誰かが残した『過去』なのだ。

 のこした過去を、俯瞰して見れるようにと書かれたものなのだ。

 

 

 

 

 ──そして、あなたはこの文章を『未来』から見つめている。

 

 

 


 

 

 

 

 一級特殊整量長距離走の終わった夜のこと。

 

 競争ウマ娘寮にて。

 

 ハナノアカリは脚のマッサージをしながら、ぼんやり窓の外を眺めていた。手元には作りかけの巾着袋がある。

 横ではコウマサが洗濯物を畳んでいた。

 

「今日のレースもすごかったですね、アカリさん」

 

「そう? ……ま、マサちゃんのそんな顔が見れたならワタシも満足だねー」

 

「えっ、えっ、そんな顔してますか、わたし」

 

「おしえなーい」

 

 窓の外には紺色を濃くしたカラーリングと、金平糖の欠片のような星が光っている。月の形は大きくえぐれた三日月が静かに登っていた。

 

「──コホン。何はともあれ、コースを間違えたみたいで、ちょっと審議は入りましたけど、あれは誰がどうみたってアカリさんが1着でしたから」

 

 やっぱりすごいです、とコウマサは嬉しそうに言った。

 彼女は鼻歌でも歌いそうないきおいでハナノアカリが着ていたシャツを畳んでいる。丁寧に、滑らかに。

 

 余談ではあるが、ハナノアカリの名誉のために付け加えておくと、なにも全て家事をコウマサに押し付けている訳ではなく、二人で分担をして回している。

 

 もちろん家事の分配に意図はある。洗濯の終わったシャツやら、ゲートルやらをほったらかしにしたハナノアカリが怒られたという経緯に基づく意図が。

 ハナノアカリは“ウマ娘には得意不得意があるのだ”と言い訳を敢行したが、切って捨てられていた。

 

 そういう経緯を経て、いまのハナノアカリの当番は、布団を外に干すのと、取り込む係だ。これなら大雑把な彼女でも流石に出来る。

 張り切ったハナノアカリのおかげで、彼女とコウマサの部屋の布団は連日のふかふかを記録していた。

 

「マサちゃん」

 

「はい? どうされましたか?」

 

 ハナノアカリが呼びかければ、コウマサが手を止めてハナノアカリの方に首を傾けた。コテンと何の疑問も抱かずに首を倒す様はまるで世の穢れを知らない子猫のようだ。その瞳を前にして、ハナノアカリは喉が石になったように言葉が止まってしまった。

 

(………………言えるか、こんなこと)

 

 ハナノアカリはバカバカしく思った。

 何をそんなに躊躇うのか。ただ、一言。『まだ、一緒に逃げようって思ってる?』と聞きたいだけなのに。

 それだけ。それだけなのに。

 

「もしかして次のレースのお話ですか? 決まったんですか?」

 

 それが、何処までも遠かった。

 

「アカリさん?」

 

「──なんでもない。……ね、ね、この巾着、もうこれで完成でいい?」

 

「アッ、またそうやって投げ出す!」

 

「ちょ、平手はダメだって! シッポもダメーっ!?」

 

 

 

 こうして夜は更けていく。

 ほとんど明かりの無くなった寮の部屋に、ひとつ。

 楽しげな少女たちの声が響いていた。

 

 ハナノアカリの出発まで、あと三日だった。

 

 

 ◆

 

 

 

 カタカタ、と木でふさいだ窓を風が揺らす。

 布団の中に入ったまま、横を見ればコウマサの上にかかった布団が規則正しく上下していた。

 

 ハナノアカリはいちど天井をみて、また目を閉じる。

 時刻は深夜。草木も眠るころ、という時間帯。

 

 

 何度も目を閉じて羊を数えてみるが、もう眠気は出ていってしまったらしく、ハナノアカリはおもたい息をひとつ吐くとそっと布団から抜け出した。

 慣れた手つきでベッドの足にかけておいた半纏をはおり、音を立てないようにそっとドアを潜った。

 

 

 明かりと人気のない廊下を進み、外に出る。

 脱走の常習犯たるハナノアカリにかかれば、踏んだら音の鳴る板を避けて歩くことなど造作もないことだった。

 

 外に出る。

 

 外はコオロギやら虫の鳴き声と、澄んだ空気の不思議な静寂があった。

 上を見上げれば、月は天辺に登り、まっすぐハナノアカリの上にあった。

 

「そんなに見ないでよ」

 

 誰に言うでもなく、そう呟くと少女はこっそり夜の散歩に出て行った。

 

 

 

 ◆

 

 

 散歩、とはいっても夜間の外出は推奨されていない。なんならお役所の人や警棒をもったひとにみつかればタダではないだろう。というか数日前に近所では禁止令が出た。

 でもハナノアカリはじっとしていられなくて外に出たのだ。とんだジャジャウマ娘である。今はこの国には居ない三流詐欺師が見たら頭を抱えただろう。

 

 だけど今はそんな小言を吐く人は居ない。

 ハナノアカリは一人で冷えた空気の降りる夜を歩いていた。

 

 ◆

 

 草履で丸い砂利道を歩くと石同士がすれるしゃりしゃりとした音がする。新発見だと頭の中でファンファーレを鳴らした。

 

 

 そうして道を歩いて、土手の近くに来た。

 よくハナノアカリが特訓をしている場所だ。

 

 しゃり、しゃり。虫の音がよりいっそう大きくなり、土手の先に進んで行った。

 

 やがて道は幅の広がる大路になり、両脇には桜の木が等間隔に植えられている場所にやってきた。

 春になれば多くの人、家族連れや、最新の機器で写真を撮ろうとする青年、華やかに着飾った年頃の女の子たちで大変賑わう。地元の名所だ。ハナノアカリは桜の咲くところを見たことがない。いつか見たいなと思っている。

 

 

 ホーホーワ、と鳥のなく声。まわりに人っこ1人いない。

 大人が4人ほど目一杯手を伸ばせるくらいの道を少女は歩く。

 

 さく、さく、さく。

 

 さく、さく、さく、と。

 

「…………」

 

 両脇に植っている桜の木は、秋になり紅茶のような葉をつけていた。だが、夜の学校の中にあって、葉っぱはすべて濃い青色で塗りたくられたようだ。

 

 脱走犯の少女は何となしに、そのうちの一本に近づき、低い位置にあった葉っぱを手に取った。

 少ししめった、命を感じる手触りがして、──くしゃ、と握りつぶした。

 

「ずいぶんな様子ね」

 

 すぐ近くでそんな呆れたような声がしたものだから、ハナノアカリは飛び上がってその場を退いた。

 

「うひぇ!? は、ハルカさん……?」

 

「他に誰がいるのかしら」

 

 月の下、青白く、淡い光のなか立っていたのはメジロハルカだった。ゆったりとした紬を着て、髪はいつもの編み込みではなく、ゆるく後ろに流れている。

 

「えっ、……と、夜、だよ?」

 

「まぁ、自分のことも客観視できないのかしら」

 

 なんで夜に出歩いているの? と問えば、自分もだろと返されてしまったハナノアカリは思わず口をつぐむ。相変わらず言葉の切れ味が名刀並みだ。

 

「うむむ……」

 

 唸る少女を気にもせず、メジロハルカはまじまじと、氷のように整った瞳でハナノアカリの顔を覗き込み、大袈裟に驚いてみせた。

 

「まぁ、まだ無謀な考えを変えていないのね?」

 

 強く断定するような言葉。

 ピンと張った弦を弾くような言葉で、揺らぎがなかった。

 桜色の少女は『ゲッ』っと苦い顔をした。メジロハルカは憐れむような、嘲笑するようなため息をこぼし、両手を体の前に持ってきてゆるりと組んだ。

 

「呆れた。貴方、すこしひとより走るのが速いからといって英雄にでもなった気かしら」

 

「──ハルカさん」

 

「どうしてそこまで自分の力を過信できるのか理解が出来ないわ。ああ、それとも、貴方の偏屈さを考慮できていなかった私の怠慢なのかしら。どちらにせよ──」

 

「ハルカさん」

 

 ハナノアカリと目を合わせないで、滔々と続く喋りを止められたお嬢様は不機嫌そうに眉間に皺を寄せた。その所作もまた品があるな、とハナノアカリは思いつつも、穏やかに口を開いた。

 

 

「……何かしら?」

 

「もう、ワタシは決めたんだ」

 

「──ッ!!」

 

 瞬間、感じたのは頬の熱。

 一瞬遅れて、メジロハルカに頬を叩かれたのだと気がついた。

 

「貴方はッ!!」

 

 小柄なハナノアカリは、身長の高いメジロハルカの平手でよろける。その最中、顔を叩いた彼女の顔が見えて苦笑いをした。

 

「なんで、叩いたほうが苦しそうなのさ」

 

 そう言うと、メジロハルカはキッと睨みつけた。

 

「なにも分かってない! 貴方はまるで無知な子供だわ! いいえ、行動ができる分、それよりもタチが悪い。そうやって自分1人が犠牲になって、仮に物語が大団円を迎えて、それで残された方は喜ぶとでも?」

 

 メジロハルカは一息に強い口調で言い切る。

 最初はその勢いに呆気に取られていたハナノアカリも、言葉を理解していくうちにプルプルと震だした。そして、

 

「──うるっさいなぁ! これしか方法がないから仕方ないじゃないか!」

 

 そして、ハナノアカリもまた、弾けた。

 取り繕った仮面は容易に剥がれ、顔を真っ赤にしている。いままで触れようとしなかった、柔い場所を手で貫かれたような感覚に、彼女が作った巾着袋よりも脆い少女の外面は、メジロハルカという一人のウマ娘から向けられた激烈な感情に耐えられなかったのだった。

 

「だったら、なぜ最初からそう言わないの!? なぜ周りに『助けて』と言わなかったの!? それで変わる道もあったかもしれない、──いいえ! 私がなんとかした!」

 

 流れ出た激情は、栓の抜けた瓶のように止まることはない。

 

「みんなを巻き込めって! 冗談じゃないよ! なんでこんなおかしな世界の犠牲になるルートにみんなを手招きしなきゃならないのさ!」

 

「そうやって抱え込まないで、どうして周りに手を伸ばさないの……っ、なんで……こんな所まで一人で来てしまったの……」

 

 激しい言葉の応酬に、二人の少女は肩で息をしていた。

 メジロハルカは俯いて目の端に光るものを溜めていた。

 

「手を伸ばせば、機会があったかもしれないのに。助けを求めれば、結末は違ったかもしれない。なのに……」

 

 誇り高い名家の令嬢は慟哭する。目の前にいる、桜色の少女を取り巻く状況は、もはや国を巻き込んだものになっていたから。それはつまり、国に比べれば、名家の娘が手出しをできる範疇をとうに飛び越していたということだから。

 手のひらから溢したくないと思えたものが、既に手遅れの状態になっていると気がついたから。

 

「…………」

 

 だからメジロハルカはハナノアカリを見る。

 見ることしか出来ない。もう、彼女に何も出来ない。

 

 ハナノアカリは唇を噛んで、メジロハルカの言葉にふらついたまま、何かを堪えているようだった。メジロハルカには、それが無性に腹立たしくなって、腹に溜まった感情のまま口を開いた、

 

「悲しいなら、もっと泣きなさいよ、もっと喚きなさいよ! 怖いなら怖いと泣き言を言いなさい! 何でもないように平気そうな顔をしないで頂戴!」

 

 こんなこと、仮にも名家として教育を受けているウマ娘失格だ。メジロハルカは思う。言葉を取り乱し、声を荒らげ、みっともなく泣いている。マナーも品性もへったくれもない。

 

 だが、これでいいと思った。こんなふうに振る舞って“良い”のだと示してやらないといけなかった。そうじゃないと、目の前に震えている、吃驚するくらい不器用な桜の少女には届かない。人付き合いが得意そうなフリをして、だれよりも不器用な彼女には届かない。感情のままに生きているフリをして、だれよりも自分の感情に蓋をしている、やっかいなウマ娘。

 

 ──『あなたの走りって、すごく綺麗だよね』

 

 そして、誰よりも身勝手で、周圍を振りまわし、掻き囘し、一人では生活が破綻しているくせ、誰よりも強く、誰よりも速くそして──

 

 ──優しすぎるウマ娘。

 

 

 それがハナノアカリというウマ娘だ。

 

 だから、言ってやらねばならない。

 ハナノアカリのねじくれた性根と、だからこそ感じ取れる優しさを知っているメジロハルカが。

 

 

「嫌なら、泣いていいの……辛いなら、投げ出していい……だから」

 

 

 いきて。

 

 

 そこは言葉にならなかった。

 さあ、と風が吹いて木々の葉をゆらしていく。

 ハナノアカリは立ち尽くしたまま、歯を強く噛み締めたまま、崩れる表情を必死に押し留めていた。

 

「なかない。ワタシは、なかない、……」

 

 言葉の最中に、水音が混じった。

 ずず、と鼻を啜って、ハナノアカリは前腕で目元を何度も拭った。

 

 その様子を見たメジロハルカはゆっくりとハナノアカリに近づき、壊れ物を扱うような慎重さでそっと抱きしめた。

 ハナノアカリは一瞬ぴくりと反応を示したが、メジロハルカが頭をゆっくり撫でてやると段々と体重を預けていった。

 

「ぅ、ふぅぅ……、……」

 

 そうしてとうとう、ハナノアカリはメジロハルカの胸元に顔を押し付けて、泣いた。ひたすらに。ふたりで泣いていた。

 

 月と星の、よく見える晴れた晩だった。

 

 

 

 

 ◆

 

 

 

 

「ワタシは、帰ってくるから」

「ゼッタイに帰るから」

 

 そう言ってハナノアカリはそっとメジロハルカの両肩を押し出した。二人の体が離れて、間に風がひとつ通り抜ける。

 

「…………」

 

 メジロハルカは眉と口角を下げる。

 堪えるように口はきつく結ばれている。

 

「ここで投げ出したら、ちゃんと世界を見れない気がする。ワタシを許してあげられない。 だから……ごめんね。こんな個人的なことで。──ちゃんとあなたと向き合いたいよ」

 

 

 痛みに呻くようなハナノアカリの表情に、メジロハルカは悟った。これ以上はもう、と。

 

 どれだけ大人びていても、大人のような振る舞いを心掛けていても、二人ともまだ少女だ。花がほころぶまえの蕾なのだ。

 

 だから感情の整理には時間が必要だった。二人にはその時間がなかった。それを知っている程度には大人になれたメジロハルカは、グッと2秒かけて目をつぶった。ひどい顔で別れる訳にはいかないから。悲しいだけで送り出すのはあまりに勿体無いから。この時間が。月夜の奇跡のような隙間の時間が。

 

 名家の御令嬢は下がる口角を無理矢理にでも動かし、真剣な表情を作った。

 

「ではいきなさい。立派に務めを果たすように」

「うん」

「そうして、ちゃんと帰ってくること」

「まかせてよ」

 

 

「そう、なら、あなたが自分の道で戦うというなら、私もいじけていてはいけないわ」

 

 

「なにするの?」桜の少女が無邪気に問い掛ければ

「あなたの帰るところを残しておいてあげる。仕方がないから」誇り高いウマ娘が呆れたように返した。

 

 

 

最後に競いましょう。

どちらともなく少女が言った。

私たちなら、方法はひとつね。

「レースだね」「そう、桜並木の終わりまで」

 

 

そうして、石を放り投げて、それを合図にたった2人だけで、直線の桜並木を走った。

言葉はなく、しかし、なんども目線を合わせたり、走りで雄弁に語り合った。輪郭も解けてしまいそうな不確かな夜の中で、お互いの存在を確かめ合うように。かつて新聞の一面を賑わせた二人の少女によるレースは、月と星以外に観客はいなかった。

 

そしてメジロハルカは東京を発った。彼女自身のなすべきことのために。

 

だから、これが──

 

 

 

 

2人の別れ。

 

 

 

 


 

 

 

「ウマれる時代が違かったら良かったのに」

 

 気品を纏った少女が言った。

 

「そうしたら貴方と、なんの柵もなく競い合えた。高め合えた。走りを出来たのに……」

 

 

「確かにそうだね……でも、さ」

 

 朗らかな少女は汗を拭って空を見上げた。

 何十年、何百年と変わらぬ月はそこに佇んでいる。

 

「この時代にワタシたちは出会って、走ったんだよ。こんな風に叱ったりの関係になれたんだよ」

 

 茜色の桜並木が満開の麗らかになるころに、彼女はいるのだろうか。

 舞い散る花びらの中に、その姿を認めることは出来るのだろうか。

 そんな迷いはおくびにも出さず、熱を持った体を冷やす気持ちの良い風のままに目を閉じた。

 

「ワタシはそう、思うなぁ」

 

「…………とんだ詭弁じゃない、それは。強がりよ」

 

「ふふふふ」

 

 

 この、強気なオジョーサマは知らないだろう。

 そして、わざわざ伝えることを望んでいないはず。だって、彼女は誇り高いウマ娘だから。

 

 だから、心の中で何度も言うのだ。

 ありがとう、ワタシに弱さを許してくれて

 

『辞めれば? そんなこと』

『貴方の器じゃないわ』『やっても変わらない』

 

 弱さが、迷いが、

 溢れそうな気持ちを預ける箱になってくれた。

 

 

 ありがとう。

 ──さようなら。

 

 ワタシがあなたを含めたみんなを、護ります。

 みんなの道行に、万雷の拍手がありますように。

 ワタシの大好きな、拍手と喝采がありますように。

 

 

 ワタシは最良の選択肢を取れなかったみたい。もし、次があったらもっと上手くやれるね。

 でも、ないから。ワタシにはないから。

 

 

 

──だから、歴史としてここにのこしておく。

 

 

 

 

『昭和初期、とあるウマ娘の日録より』

 

 

 

 






メジロハルカはハナノアカリの寮に行く途中で、脱走ウマ娘を見つけて後を追いかけたのでした。
二人の出会いは偶然ではなく、行動によるものでした。
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