週刊魔法少女 ~《速報》マスゴミ男がTSして魔法少女になった模様~ 作:〼子
見た目は幼女、頭脳はマスゴミ!【前編】
『さすがマスゴミ』『今日も報道しない自由を発動するマスゴミさん』『マスゴミに洗脳されるな!』『マスゴミ死ね』『マスゴミとかオワコンwww』『マスゴミの奴ら人の心とかないんか?』『マスゴミの皆さん、人の幸せ踏みにじりながら食う飯は美味しいですか?』
これらは毎日のようにネットの海や、日常会話の中を飛び交っている言葉の数々である。
マスゴミ。それは、マスコミュニケーションの略称である「マスコミ」に、「ゴミ」を掛け合わせた一種のスラングであり、テレビや新聞・雑誌、ニュースサイトなどを批判・侮蔑する意図で用いられる言葉である――なんて、ちょちょいと検索をかければ説明が出てくることだろう。あるいは、マスコミがそう呼ばれる所以として、具体的なマスゴミのエピソード集とかが検索上位にヒットするかもしれない。
そして、それも当然のことである。
報道機関・ジャーナリストは、常に「知る権利」という大層な大義名分を掲げ、「正義」と「自由」の名のもとに、時として「無冠の帝王」なる恥ずかしい自称を平然と名乗る。
だが、その実態はどうだ。
盗撮、不法侵入、名誉棄損、自作自演に飛ばし記事、捏造、そして冤罪……報道の為と言いながら、ルールやマナーを平気で無視する。
「権力を監視する」と宣った口で、権力者や著名人と酒をちゃっかり酌み交わし、大手企業から多額の広告収入をしっかり得て、自分たちは既得権益の上にどっかり胡坐をかいているではないか。
その状態で、個人の人生なんて簡単にぶち壊せる力を振るっている。“第四の権力”とさえ称される圧倒的な力を――剣よりも強いペンを振り回している。
こんな無茶苦茶なダブルスタンダードを公然と行い続けている存在が。
主権者たる国民に選ばれたわけでもない、単なる民間企業・営利団体で。
そこに勤める、何の国家資格も必要としないサラリーマンたちなのだ。
だから。
要するに。
「マスゴミ」という言葉は実に“上手い”表現である。
ジャーナリストやら報道機関やらの本質を、これほどまでに的確に言い表すのは見事という他ない。いつも記事のタイトルや見出しに頭を悩ませている――
だが、同時にこうも思う。
――それでも。
――だからこそ。
〼〼〼
マスゴミは既に終わったコンテンツ……即ち
昨今、斯くなる言説が、特にSNSなどのネットメディアを中心に吹き荒れている。
しかし、断言しよう。
人が人である限り、情報を売り買いする商売は――マスゴミは絶対になくならない。
確かに、情報端末が進化・普及し、インターネットやSNSが一般化して久しい。今や誰もが簡単に情報発信を行える時代となった。
こうした中、テレビの視聴率は低下の一途を辿っている。特に若者がテレビを観なくなり、テレビのない家庭も一般的となった。新聞は押し紙に頼る有様で、ロクに取材もせずSNS上の反応をそのまま垂れ流す杜撰なコタツ記事もあふれている。
だが、それでも。
先にも述べたとおり、マスコミは既得権益であって、独自の取材・調査ルートを確立しているし、情報の仕入れ・流通・拡散の分野において膨大なノウハウを有している。
だからこそ、トレンド投稿の発端がweb記事を引用したものであることも珍しくないのだ。デマや憶測が氾濫する時代にあって、比較検討する情報源としてのマスコミの価値は厳然として存在している。
そして、そんな理屈より何より。
人間という生き物は、他人の噂が大好きで、自分だけ知らないことに我慢ならなくて、刺激的な情報に飢えている――そんな、どうしようもない生物なのだ。
そう、例えば。
みんな、大好物だろう?
〼〼〼
100%フィクションの存在でしかなかった「
時を同じくして現れた「
だが、「怪人」も「魔法少女」も、その目的や正体について何一つ分かっていない。
分かっていることと言えば――
怪人たちは町を破壊したり人を攻撃したりする、人間社会に害を為す存在であり。
そして、魔法少女たちは、そんな怪人たちと戦って人々を守る存在である。
――この程度のことしか、人々は知らないのだ。
それを暴く。暴いて、白日の下にさらす。僕、
この視線の先、あの周囲から死角となった公園の物陰。あそこに今、怪人との激しい戦いを終えたばかりの魔法少女がいる。
近辺で人けが少なく、監視カメラなどもない場所。高層マンションやドローンなどからも覗かれる心配のないところ。そうした場所をピックアップした上で、該当する各所に人を集めた。SNSで誤情報を流して野次馬を誘導したり、ホームレスに金を握らせて向かわせたり……その他、法律やマナー的にグレーなことも含めて様々な手段を講じた。結果、安心して身を隠せる場所はわずかとなり、彼女はまんまと、この公園へ誘い込まれたのである。
あぁ。
胸が高鳴る。特ダネが放つ金の匂いに、脳髄が痺れていく。
暴いた後、魔法少女たちがどうなるかなんて知ったことか。この情報は金になる。それだけ分かれば十分だ。
緊張と興奮。沸き立つ感情を努めて押さえつける。僅かな音も立てぬよう、足元の落ち葉や枝にも注意を払いながら、木々の間を縫うように進んで行く。
――――。
「…………今回も…………がこんなに集まったカン」
ふと、声が聞こえて足を止める。魔法少女が誰かと話している? いや違う。これは――。
「…………や人間たちには、万が一にも気付かれていないッチーね?」
「当たり前ッポ!…………や魔法少女たちだって誰一人気付いてないポン!」
順に、アザラシ・ネズミ・ハト……を2000%デフォルメしたような、1.5頭身くらいの生物の発言である。それらは人々が『マスコット』と呼ぶ存在であり、魔法少女1人につき1体、必ず傍に控えている謎の生命体だ。
手作りのニードルフェルトのような彼らが、ふよふよと宙に浮きながら、語尾以外完璧な日本語をぺらぺらと喋っている。
その光景は見ている側の緊張感や恐怖心を強制的に奪うようで――実に、
「…………の言う通り、この国を選んで正解だったッチ」
「アニメや漫画で慣れているのが最高カンね。魔法少女なんて存在を、あっさりと受け入れたカン」
「ポー! それに、武器や防衛体制が整っていないのも最高ッポ! 警察や軍が怪人に対応できないから、魔法少女に頼らざるを得なくなるッポ!」
「政府の腰が重いのも加点ポイントッチー。もしも魔法少女も怪人もまとめて排除対象に認定されたりしたら、やり辛くって仕方ないッチ」
少しずつ距離を詰めていけば、段々と会話の内容も鮮明に聞き取れるようになってきた。
……なるほど。そういう理由で、魔法少女も怪人も日本にしか現れていなかったのか。
そして。うすうす勘付いてはいたが、やはり魔法少女の背後には何らかの巨大な陰謀が蠢いているらしい。
「そろそろ第二段階に進んでも良い頃合いッポ?」
「うーん、もう少し集めてからの方が良い気がするカン?」
第二段階とは何だ? 一体やつらは何を企んでいる?
当初の目的である魔法少女の正体は勿論だが、これもまたド級の特ダネだ。もう少し詳しく話を聞き出したい。
そう思って、僕は3体のマスコットの会話へとあらゆる神経を集中させた。
「がッ!??!」
後頭部に強い衝撃。
背後から近づいていた何者かによって後頭部を強打された。
それだけを辛うじて把握して、僕の意識は闇に沈んだ。
〼〼〼
「まだ我々は、この世界の命へと直接干渉する力を得ていないロン」
そこから先のことは、よく覚えていない。
「だから、この薬で記憶を全て抹消するロン。廃人になるだろうけど、命は奪ってないから大丈夫ロン」
ただ、朦朧とする意識の中で、先ほどの3体とは異なる何者かの声を聞いた。
「さよならロン。恨むなら、こんな所まで来ちゃった自分を恨むロン」
そいつに、小さな錠剤のようなものを飲まされて。
そして――。
〼〼〼
視界を覆う
「嘘…だろ?」
そして何より、自分の喉から発せられたとは絶対に思えない
その声に、僕は自分が幼い女の子になってしまったことを――――