梔子ユメの偽者が小鳥遊ホシノにハチャメチャに愛されてバチクソ絆される話【完結】   作:異常性愛者

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 導入編



偽・梔子ユメ

 

 アビドス高等学校 校庭

 

 止まらない砂漠化とそれに付随する過疎化により、今やその生徒数は二桁(10)の大台にも届かなくなったアビドス高校。

 その唯一の3年生。アビドス廃校対策委員会が一人、小鳥遊ホシノ。

 『キヴォトス最高の神秘』とも噂される彼女は、珍しくその双眸を見開き緊張した面持ちで目の前の生徒を見つめていた。

 

 それは居るはずのない生徒。既にその命を落とし故人となったはずの『梔子ユメ』その人であった。

 

「……で? あんた誰?」

「誰って。ひぃん、酷いなぁホシノちゃん、私は梔子ユメだよぉ? これまでいっぱい仲良くしてたのにもう忘れちゃったのぉ?」

「下手な芝居は辞めなよ。先輩や私を弄ぶつもりなら、その頭の風通しが良くならない保証は出来ないよ」

「……フン!」

 

 演技が通用しないと見るや、目の前の『先輩』の皮を被ったそいつは、すぐさまその本性を現す。

 梔子ユメの顔で。声で。身体で。小鳥遊ホシノを忌々しげに睨むそいつは、柔らかな笑顔が持ち味だったユメの顔を歪め、ホシノを嘲る。

 

「ククク、流石は“暁のホルス”。例え敬愛する者の肉体に対してもその敵意は衰えない。いや、むしろその敵意が殺意に変わっている。

 いずれにせよ、この肉体の持ち主になりすまして近寄る作戦は通じないようだな」

 

 梔子ユメの声で、全く似合わない口調で喋るこいつを仮に『偽ユメ』と呼ぼう。

 偽ユメはどうやら死亡した梔子ユメの肉体を強奪し、乗り移り、小鳥遊ホシノ抹殺のためここに赴いたということらしい。

 察したホシノは臨戦態勢に入り────

 

「それでは行くぞ、小鳥遊ホシノ────あっ」

 

 ────どてんっ、と。胸の重さゆえか、前のめりになる形でバランスを崩し、盛大に転ぶ。

 無様に転び痛がりつつ起き上がるその姿はまるで本物のユメのようだった。

 

「く……くそ、締まらんな。一時撤退だっ、貴様、この次は覚えておけよ────」

「────逃がすと思うの?」

 

 梔子ユメの偽者、偽ユメは────恐ろしくアホで、マヌケだった。

 

 

 

 アビドス高等学校 校舎 空き教室

 

 いかにもシリアスな雰囲気で二人相対していた校庭は一瞬でギャグ空間と化し、そのまま捕縛された偽ユメは空き教室に放られ、ホシノの目の前で項垂れていた。

 

「ち……しくったな。身体を変えれば済む話だが、この身体で絶望させてから殺せとの依頼だしな……」

「全部聞こえてる聞こえてる。目の前に私が居ること、忘れてるの?」

 

 少なくともこの場では小鳥遊ホシノに敵わないと知るや、偽ユメは自らの身の上をあっさりバラした。

 曰く、偽ユメは元は未練や無念からか砂漠をうろつく浮遊霊で、他者に憑依して肉体を乗り換え、操ることで生き永らえてきた。

 その内乗っ取った他人の身体でブラックマーケットの品物の輸送など後ろ暗い部類の仕事を行い、報酬を得て暮らしていたという。

 それが偽ユメの正体。

 それ以外のことは聞かなかった。どうせ今回の襲撃も自分を良く思わないカイザーとか悪い大人絡みの何かだろうし、そういうのはもう聞き飽きた。先生に報告でもしておけば、後は解決してくれるだろう。

 そう判断したホシノは、ユメの肉体をそのまま放り出すのも躊躇われたため、偽ユメを空き教室に置き、当分の世話をしてやることにした。

 

「ふん、世話など焼かれた所で俺が貴様に懐いてやる気などない」

「本当にそうかな~?」

 

 すっかり調子を取り戻しておじさんモードになったホシノは、偽ユメに『利用価値』を見出だしていた。

 それは敬愛する先輩がゆえついぞ出来なかった人生最大の挑戦……『ユメ先輩に甘える』であった。

 

「へえ、やっぱり身体はユメ先輩そのものなんだ」

「当然だ。砂漠で亡くなっていたこいつの肉体に取り憑き、腐敗・損壊した箇所を俺の神秘で修復し、この肉体の記憶している生前のこいつ自身と寸分違わぬ状態まで整えたんだ」

 

 自慢気に語る偽ユメは『どうだ、凄いだろう』とでも言うかのごとく鼻を鳴らし胸を張る。

 余談だが、梔子ユメは相当な巨乳である。当然、胸を張れば ばるんっ ばるんっ と大きな二つの果実達が揺れては揺れる。

 ともすれば母乳すら出せそうな乳の揺れを目の当たりにして、つい彼女(ホシノ)は魔が差した。

 

 もにゅ。

 

「ひんっ……!? な、何をする! 貴様……」

「うっさいなあ、人の身体奪って生きてるやつに発言を許した覚えはないよ?」

 

 もみ。ふにゅ。ぷにっ。もみもみ。ひたすらに胸を揉む。マシュマロと喩えるのも不足な程に、手の中いっぱいに広がる『柔らかい』という感触が、小鳥遊ホシノの脳内を支配する。

 元の形に戻らんとする肉の最低限の反発だけを残し、他一切の抵抗を無くしたような胸を揉み続ける。

 沈む指先は乳に埋もれ見えず。偽ユメの顔はだんだんと赤らんでいき、まるでホシノに愛撫されて気持ち良くなっているかのように身体全体が震える。

 

「くっ……まさかこんな辱しめを受けるとは……! この恨み晴らさでおくべきか」

「砂漠で迷子になって人の身体奪って生きてる悪霊くんが言えたことかなそれ」

 

 こうして、小鳥遊ホシノと偽・梔子ユメの奇妙な生活が幕を開けた。

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