原神世界で不死身のボケ担当がハッピーエンドを目指すのは間違っているだろうか(旧:契約の国で働いてたら過労死したので自由の国に逃げようと思います) 作:ありがとうはなまる
テイワット日常劇
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・シンデレラ
とある日、西風騎士団にある図書館で紙芝居が行われることとなり、図書館の中はモンドの子どもたちとその親御さんが紙芝居を見に集まっていた。そんな子供たちの後ろで、子どもたちを見ながら紅茶を飲んでいる女性はリサ・ミンツ、図書館の司書を務める図書館の主である
「私が〜紙芝居を持ってきた!!」
バンッと図書館の扉を豪快に開けて入ってきたのは今回の紙芝居提案者である永一であった
紙芝居を持って現れた永一に子どもたちはわぁーと歓声に近い声を上げ、リサは笑みを絶やさず眉間に青筋が浮かべている
「本日読む紙芝居はこれ、デュるるるるるる、ジャン⋯シンデレラ!」
紙芝居を机に置き紙芝居の表紙を子どもたちに見える
(王道ね。なんだか意外だわ)
永一のことだからおかしな内容の紙芝居を持ってくるものだと思っていたリサは、王道作品に少し拍子抜けした
「私語はいいがあまり他の子たちの迷惑にならないよう小声喋るように、それじぁあ読んでいくぞ〜」
【昔々ある豪華な家に3人のシンデレラが住んでいました】
「ん?」(ん?)
【1人目のシンデレラは祖母に使用人のように扱われる可哀想な少女でした】
紙芝居【豪華な家で1人、ほうきをはく白と水色が混ざった髪をしたオッドアイの少女の絵】
【2人目のシンデレラは世の中のクズ共を掃除する殺し屋でした】
紙芝居【紫色の髪を三つ編みにまとめたどこぞの将軍のような顔をした女性が紫色に輝く刀を片手に持つ絵】
(んん?)
【3人目のシンデレラは酒を貪るギャンブラーとして、毎日酒を飲んでは賭け事に精を出していました】
紙芝居【どこぞの吟遊詩人のような顔をした女性?が酒瓶片手に博打を嗜んでいる絵】
(おかしいでしょ!!?)
自身の知っているシンデレラとはかけ離れたストーリーに心の中でツッコミを入れるリサ。本当は永一に言及したかったが、子どもたちのキラキラとした目を見て中断させるわけにもいかず、でかかった声を必死に飲み込み、仕方なく話の続きに耳を傾けた
【シンデレラたちは毎日毎日大変な1日を必死に過ごしていました】
「シンデレラ、まだここにこんなにも埃があるわよ」
「ごめんなさいお祖母様」ペコペコ
「全くこの街には生かしてはおけないクズばかり…」*1
「賭けに負けたんだ。この金は貰っていくぜ」
「そんなぁ⋯お願いだ少しでいいんだお金を返してはくれないかい?それが無いと明日の飲む酒がないんだ、この通り、お願い!!」ペコペコ
(カオス)
3人の少女の視点が描かれた絵とストーリーに困惑するリサ
【そんなある日、武道会の知らせが届きました。シンデレラたちは武道会はその武道会に参加しい一新で義姉妹たちにお願いしました】
(武道会で結果を残せば祖母様や義姉妹たちに認められるチャンス)
(腐敗しきった貴族たちを抹消できるチャンス)
(武道会の賞金で豪遊するチャンス)
【しかし、義姉妹たちはシンデレラたちの参加を認めようとはしませんでした】
「あなたたち程度の戦闘力では武道会で恥をかくだけだわ。あなたたちはこの筋トレ器具でも洗っていなさい」
紙芝居【シンデレラより一回り大きい、ボディービルダーに引けを取らない茶色の肌を持つ女性2人が、鉄アレイをシンデレラ3人に渡している絵】
(いや義姉妹怖っ…!)
【筋トレ器具を渡されたシンデレラたちは、仕方なく筋トレ器具を洗っていきます】
「……」キュキュ
「……」ポンポン
「……」ゴクゴク
紙芝居【鉄アレイを洗うシンデレラ、刀の手入れをするシンデレラ、酒を飲むシンデレラの絵】
(1人目のシンデレラしか洗ってない!ほか2人も手伝ってあげなさいよ)
【そんな可哀想な3人の前に突然巨大な竜が現れました】
(急展開!?)
「哀れで可哀想な人間たちよ。特別に汝たちの願いを叶えてあげよう」
【竜の指から光線が放たれ、シンデレラたちに魔法をかけました。シンデレラは綺麗なドレスとガラスの靴を貰い、殺し屋のシンデレラは綺麗な着物服と田中ソードを貰い、酒カスのシンデレラはクソゴミ人間とプリントされた白Tシャツとアロエを貰いました】
「「わぁ〜!!」」「僕だけグレード違くない!?」
【竜の出した物に喜ぶシンデレラたちだったが、何故竜が自分たちにこれほどまで良くしてくれるのかが気になり竜に聞きました】
「どうして私達にここまで良くしてくれるんですか」
「ふ、日頃から君達が絶え間ない善行を積み重ねていたから、私は君達に手を貸してあげたいと思っただけだよ」
(強面だけど意外に優しいわね、この竜)
「おっとそうだった武道会に行くための乗り物がなかったな」
【そう言い、竜は酒カスの酒瓶に魔法をかけ、
「僕のお酒ェェェ!!」(涙)
【乗り物も服も武力も揃い、いよいよ武道会に乗り込もうというところでシンデレラが待ったをかけます】
「やっぱり、私達が武道会場行ってもチャパ王みたいに本戦にすら上がれずカマセになるだけかも」
(チャパ王って誰?)
【初めての武道会ということで弱腰になってしまっているシンデレラに対し、殺し屋のシンデレラが説得しました】
「グダグタ言ってないでさっさと来なさい。3秒以内に行くって言いなさい、言わないと頭と胴を泣き別れにするわよ」
「えっ!?そんな急に言われても「い~ち」
ザンッ
「2と3は!?」(ギリギリで回避したシンデレラ)
「知らないわね。女は1だけ覚えてればいいのよ」
【こうして殺し屋のシンデレラの説得により、シンデレラたちは若陀龍王の背に乗り、武道会場へと走り出しました】
「さっさとこの竜の背に乗って出発だ!武道会が僕たちを待っているよ!」
「ただし酒カス、テメェはダメだ!!」
「 」(絶句)
【酒カスのシンデレラだけは、若陀龍王の尻尾部分に乗せられての移動となりました】
(竜さん、酒カスの子に何かされたのかしら⋯⋯日頃の行いのせいね、きっと)
【お城についたシンデレラたちはそのまま武道会場まで向かい予選を受けました】
「龍王到着」ドカン!!
紙芝居【人の顔面を模したロボットに乗り、城の壁を突き破るシンデレラ達の絵】
『龍王の欠片もねぇー!!』
(龍王の欠片もねぇー!!)
「食わせてぇ〜⋯脇毛食わせてぇ〜」
(怖いこと言ってない!?)
【武道会場についたシンデレラたちは、各々順調に予選を突破していき着々と優勝に向け駒を進めていきました】
「ロン!!大三元」
「コール フォーカード」
「はいウノって行ってないぃぃ!!」
紙芝居【上から麻雀をしているシンデレラ、ポーカーをしている殺し屋のシンデレラ、ウノをしている酒カスのシンデレラの絵】
(武道会場というよりカジノ場ね……?シンデレラの舞台って舞踏会場だったわよね。いや、もう細かいことは考えないでおこう、疲れるだけだし)
【トーナメントを順調に勝ち進んでいったシンデレラ達はついに決勝戦である王子様と決闘することになりました】
「王子!あなたを倒し、私はこの国のルールを変えてみせます」
「貴様のやって来た数々の悪行!!お天道様が許しても、この奉行大総督様が赦さん!!」
「酷いよ、なんで僕に嘘ついちゃうの。おつまみはエンドウ豆と焼き鳥って言ったじゃん。なのに、なんで僕に黙って全部蜂蜜に変えるかねぇ。嘘つかれちゃ、お前のこと助けてやれねぇよ⋯⋯もうヤるしかなくなっちゃったよ」
紙芝居【剣と盾、鎧とレトロな勇者のような格好をしたシンデレラに、町奉行の格好で肩の桜吹雪を見せる殺し屋のシンデレラ、佐川はんになった酒カスのシンデレラが王子を囲っている絵】
(⋯⋯ツッコミたいことはある、それはもう色々と。けど、あえて1つだけ言う⋯なんで王子と戦うことになっているのよ!)細かいことは考えないけどツッコミはするツッコミの鏡
「シンデレラ流究極協力奥義、シンデレラのシンデレラによるシンデレラのための⋯⋯魔貫光殺砲!!」
「うぉぉぉぉ!!」
「ウギギギギ!!」
「「うぉああ!!」」ズドン
紙芝居【シンデレラが魔貫光殺砲で、王子と、王子を抑えてくれていた高林ごと貫いてしまった絵】
(誰!?)
【見事、シンデレラたちは王子を打ち倒し、自分たちの成したかった夢を叶えることができました。
シンデレラは、武道会で目覚めた正義の心のままに人々を助けるお姫様に、殺し屋のシンデレラは、国に永遠の安寧を作るためこの国の女王として君臨し、酒カスのシンデレラは、ありったけの〜酒をかき集め、世界一自由なクソ野郎になりため
【しかし、その代償はとても大きく重いものでした。シンデレラたちが今まで生きてこれたのも、武道会へと向かう手はずを整えられたのも、武道会で難なく勝ち上がってこれたのも⋯全部、高林さんのお陰です】
【ありがとう高林。あなたのことは一生忘れません。ありがとう高林、ありがとう高林】
【END】
『わぁぁぁ!!』
紙芝居が終わるとほぼ同時に、紙芝居を聞いていた子供たちは拍手と歓声を永一に向けました
(風邪を引いた時に見る酷い悪夢を見た気分)
最後の怒涛のラッシュにより頭痛を起こしたリサは、頭を抱えながら参加したことを、開催場所を図書館にしたことを心底後悔していた
その後、こんな紙芝居を見せたら子供の教育に悪いと、紙芝居をすることを禁止にされた永一であった
「解せぬ」
「妥当よ」
・永一料理講座
「えーではこれより第一回各国合同お料理教室を始めさせて頂きます。まずこちら、モンドと稲妻、璃月からやって来てもらった料理下手系女子のアンバー&胡桃&影様と料理出来る女子の
「本日はよろしくお願いします」ペコリ
「任せてください、おいしいご飯を作れるように頑張りましょう」ニコッ
「敬語は不要ですよ。今の私はただの料理を学ぶ生徒、あなたは料理を教える先生なのですから」
「う~ん。分かった、じゃあ影さんって呼ばせてもらうね。ビシバシ鍛えていこ〜う!!」
「永一さん!!何で私が料理出来ない枠にいるんですか、私だって最近料理の勉強をしてるんだよ。エウルアだって私の手料理美味しいって言ってくれてたし…」
「⋯そう」(エウルア苦労してるんだろうな⋯次あったら胃薬と美味しいご飯をやろう)
「私も異議あ〜り、私が料理下手枠に入ってるのおかしくな〜い?だって私、そんなに料理下手って印象持たれたことないよ?」
「え~⋯『胡桃様の料理はまるで博打のように当たり外れが存在し、アタリは普通に美味しい料理ですが、ハズレを食べた際は食べられないこともない微妙な料理をお作りになられることがあります。どうか、料理教室にてご改善のほどよろしくお願いいたします。』と、あなたの部下のWさんからのタレコミです」
「あー⋯⋯偶々だよ」(汗)
「同様のタレコミが何件も来てますが、弁明はありますか?」
「⋯⋯⋯ないです」
「よろしい。まぁなんだ、今日この場でメシマズキャラの汚名を払拭する良い機会じゃないか。アンバー、胡桃、お前らの作る美味しい手料理期待してるぞ!」サムズアップ
「⋯!任っかせて〜!!」(満面の笑み)
「ふふ〜ん、私の手料理で永一さんをメロメロにしてあげる」ニコニコVサイン
「⋯いくらなんでもちょろすぎないか?えーでは次に、本日この3人の料理を食べて美味しいか、美味しくないかを審査する人たちのご紹介です。影の料理を食べる方(生贄)はこの方達です」
「将軍様の料理を食べさせてもらえること、心より感謝致します!!」
「気合は十分じゃが⋯⋯よそう、知らぬが仏、来た時の反応が今から楽しみじゃ⋯はぁ…」
「不安だ…」
「と、カラス(九条沙羅)、キツネ(八重神子)、鬼(御輿千代)の3人となっております。オ◯ズならコンボができそうな人選ですね。続いてアンバーの料理を食べる方(生贄)はこの方達です」
「大丈夫、いつも食べてるものと一緒、胃薬も持ってきてるしそれに今回は料理教室、永一さんも付いてる。大丈夫⋯⋯な、はずよ…」
「アンバーの料理が食べれるなんて嬉しいな〜。あ⋯で、でも審査だから贔屓なしで頑張るぞ」
「早くご飯が食べたいぞ、もうオイラ腹ペコペコだぞ〜」
「と、アンバー親友隊(エウルア&コレイ)プラス腹ペコに来てもらっております。本来もう一人、本日料理教室をする
「それでは最後、胡桃の料理を食べる方(生贄)はこの方達ですチェケラ!」
「料理教室、それを受けてあの料理がどれほどの変化が起きるか非常に興味深い」
「法律家として公正なジャッチを約束しよう。だから、まともな料理を期待しているぞ」
「酒のツマミ持ってこーい!」GAHAHAHA
「人外組(鍾離&煙緋)と酔っ払い(北斗)です。ほんとは甘雨も参加を希望していたのですが、50徹目ということで呂律が回らず、目の焦点も合ってない、幼児退行しているボロボロの状態だったので、社畜ゾンビになってた刻晴共々拘束して
「さて、いよいよ料理教室スタートになります。では、料理が完成するまで、キング・クリムゾン!!」
少女達料理中、指導中
〜一部抜粋〜
「ではまず影さんこの魚を斬っていきましょうか、刃物の使い方は大丈夫ですか?」
「はい問題ありません」
「じゃあ ザン!! ⋯え?」
「これでいいですか」
「無想の一太刀」を取り出し、まな板の魚を机ごと全て灰にし切り裂くバカ(影)。それを唖然と見つめる香菱、そしてその光景に不安が加速する審査員たち
「よし、大体切れたな、大口叩くだけあってしっかり綺麗に切れてるな、成長を感じるよ」
「ふふーん」ドヤッ
「じゃあ次は、切った食材全部水の入った鍋にぶち込んで中火でじっくり沸騰させろ。その間切り屑とか片付けるぞ」
「はい!」
永一が料理手順を指揮し、アンバーがそれに従い行動する普通のお料理教室
「ハイハイハーイ!チャーハンは火力と勢いが命!!」
「胡桃様、確かにチャーハンを炒める時はチャーハンが焦げないよう鍋を振るうのですが、些か振る勢いが強すぎます。もう少しゆっくり振るわないとチャーハンが溢れてしまいます」
「もっと火力上げていくよ〜!!」カチッ ボォッ!!
「聞いてます!?」
天井に届くほどの火柱を立たせながら中華鍋を豪快に振るう胡桃に、ワタワタしながら水を汲みに行くノエル
ちなみに、今は料理のパフォーマンスということで目を瞑ってますが、チャーハンが鍋から溢れた際や火事になりそうなら永一は胡桃に雷を落として止めます
「影さん切り過ぎです!ジャガイモやニンジンが粉になっちゃってます!もう少し肩の力を抜いて、ゆっくりじっくりやっていきましょう」
「はい⋯」
料理手順の多い料理は無理だと判断し、カレーを作ろうと野菜を切らせた結果、見事に塵となり驚愕する香菱と、失敗続きでしょんぼりする影
「うん、前教えた通り調味料を使う前の確認が出来てるいい調子だ」
「えへへへ、そんな〜」テレテレ
「⋯」(今のところおかしな点はない、なんなら良いまである。だが、エウルアの反応のせいでこの順調さが逆に怖い)
料理が順調に進んでいき、逆に心配になっていく永一と、永一に褒められニヤニヤが止まらないアンバー
「お皮ニギニギ〜ニギニギ〜」
「胡桃様⋯餃子の形は大変お上手で素晴らしいのですが、先程までお作りになられていたこの多種多様の具材は何に使うおつもりでしょうか」
「嫌だなぁ〜ノエル。そんなの餃子の中に入れるために決まってるじゃなぁい」
「⋯⋯ワサビやチョコなど、普通の餃子には使用しないものまであるのですが、これをいれるのですか?」
「ただの餃子じゃ味気ないでしょ?食べるまで何味か分からないなんてスリリング〜で面白いと思わない?」
「⋯⋯」
ロシアン餃子を作る胡桃に、なんと言葉を掛けて説得すればよいか分からず、ただ黙って見ていることしか出来ないノエル
「食べ物で遊んではいけません」、「食べる人の気持ちを考えてください」など、注意の仕方は色々とあると思うが⋯悲しいかな、偏にノエルが優しく、胡桃との交流が少ないせいで
「な、なんで、ただ握っただけなのに⋯稲妻にある魚と米を握って作るお寿司ならって思ったのに⋯なんで焦げてるの、なんで釘が打てるぐらいカチカチになってるの⋯⋯挙句の果ては…」
『お寿司食べたら背筋6回、お寿司食べたら背筋6回⋯』
「小さなオジサンが産まれたし⋯何がどうなってるの」
「すみません⋯」
「⋯」(分かるよ香菱、その気持ち。握っただけでなんであんなバリエーションあるんだろうな)(遠い目)
机の上で背筋をしている小さいオジサンたちに、地面に拳を付け伏せる香菱と、更にションボリして一回り小さくなったように感じる影
その後も料理は続いていき、遂に3人の料理に完成した
『⋯⋯』
永一と審査員は影とアンバーと胡桃が作った料理を見つめ、影とアンバーと胡桃はそれを少し離れたところで永一たちを見つめていた
香菱は影の料理が終わるや否や椅子に深く座りこみ、そのまま何も発さずただ顔を下にして休んでいた(真っ白に燃え尽きていた)
その顔は大仕事を終え、やりきった立派な女性の顔をしていたと後に永一は語った
「永一…」
「はい」
「料理、交換しないか⋯?」
「⋯千代様の頼みでもそれは聞けません。それに大丈夫ですよ、香菱が付いて指導していたんですから、それに影様の料理、見た目はそんなに悪くないですよ」
「う、うーん…」
「もし異常が出てもすぐに治せるよう治療班を待機させてありますのでご安心を」
「治療班が編成されている時点で不安しかないが⋯?」
永一たちの見つめる料理。アンバーの料理は鍋一杯に入れられたカレーで、食欲を唆る匂いを醸し出していた
対する神子たちの前に置かれた影の料理は、おにぎり。白い握りに海苔が張られたシンプルなおにぎりと漬物が1人一つ置かれていた。尚、漬物が嫌いな神子にはお
最後、鍾離たちの前に置かれた胡桃の料理はチャーハン、餃子、小籠包(しょうろんぽう)の中華料理。見た目、匂いどれをとっても問題なく、北斗(酔っ払い)を除く鍾離と煙緋は少しホッとした
「⋯」ツー(頑張ったな香菱、俺はお前を尊敬する!)
「何故永一は泣いているんだ?」
「ほおっておけ⋯あやつも苦労したのじゃろう」
「うむ、食欲を唆られる良い匂いだ」
「えぇそうですね。指導を必要とする料理と聞いて不安だったが、案外そこらの料理店よりも美味しそうじゃないか」
「グビグビ⋯っぷぁ!!やっとお出ましか全く随分持たせてくれたじゃねぇか!!」
「わぁ、いい匂い、美味しそうだなエウルア!」
「え、ええそうね」
「じゅるり⋯さっそく食べようぜ!」
各々が料理をまじまじと見ていたが、パイモンの言葉に皆動き出し、アンバーの料理を食べるものは炊いたご飯をよせカレールーをかけ、影の料理を食べるものは恐る恐るおにぎりを触り、胡桃の料理を食べるものは箸で餃子を自身の小皿に乗せ、レンゲを持つ
「では皆さんお手を⋯いただきます」
「「「「「「「「「「「いただきます」」」」」」」」」」」
「もぐもぐ⋯うーん美味しいぞ、これ前に永一が作ってくれたばーもんどカレーだな。あんまり辛くないけど、それが逆に食欲を誘っていくらでも食べられるぞ」バクバク
「美味しい…!」
「でしょー永一さんのお陰でいつもよりも上手く作れてね、これでもう料理は完璧だね」
「やっぱり凄いなアンバーは!」目キラキラ
「香菱、よく頑張った。はいあーん」
「⋯アーン モグモグ オイシイ」
「もぐもぐ⋯それにしても旅人も不憫だよな急に依頼で来れなくなるなんてな」
「もぐもぐ⋯そりゃ仕方ねぇよアンバーはモンドじゃメシマズ女子としてそこそこ有名だからな」
「「ええ!?そうなの(か)!?」」
「そりゃあもう、そこにいるエウルア筆頭にアンバーに栄誉騎士団の中なら知らないやつは居ないほどだ。モンドで一番有名なアンバーのやらかしエピソードは、調味料のオリーブオイルと間違えて俺の渡してた毒液をぶっかけて作ったナポリタンだな」
「あれは⋯⋯一歩でも間違えていれば、永一が来ていなければ栄誉騎士団はあのまま全滅していただろうな」
「そうだな。俺といたクレーやその日偶々いなかった奴ら、ナポリタンの存在を知らずそもそも食べてなかった運の良い奴ら意外、団長や代理団長殿筆頭に泡吹いて倒れてたからな」
「あの時は肝が冷えたが、俺の作った毒で良かったよ。お陰で、解毒はスムーズにすんで全員数週間下痢やらに悩まされる程度の軽症で済んだ」
「それって軽症って言えるのか?」
「俺がアンバーに渡してた毒はヒルチャール王すらぶっ倒れるレベルのもんだ、火で炙ってたお陰で毒素は通常より低くなってたが、それでも危ないもんには変わり無い。多少の下痢程度で、後遺症がないだけ有り難いと思って欲しいね⋯ま、手遅れ気味のやつは少しいたが…」
「あの時は本当にごめんない!!私のせいでエウルアたちを酷い目にあわせちゃて…」
「それを気にしている騎士はもう栄誉騎士団にはいないわよ(多分)。それに、私個人としてももう復讐済みだから気にしてないわ」
「そうそう、それがあったからアンバーはキッチンに料理品以外の物は置かなくなったし、料理中や料理後でも確認を怠らなくなった。あの失敗からしっかり学んで進歩しようとしている。今ではこんな普通の美味しいご飯が作れるようになってんだ、頑張ったな」
「うぅぅ⋯///」
アンバーの作ったカレーを囲み、和気あいあいとしながら食べる永一たち
「モグモグ⋯⋯ゴクン⋯ご馳走様でした」
「もう食べなくていいのか?」モグモグ
「あぁ、司会者として、他のグループの様子を見てくる。お前らはそのまま料理を楽しんでいてくれ」
カレーを食べ終えた永一は、食器をそのままに他の影グループと胡桃グループの様子を見るため立ち上がる
(まずは⋯⋯胡桃んとこに行くか)
「よぉ美味しく食べてるか?」
「永一さん、私の料理を食べに来てくれたの?嬉しいなぁ〜!」
「永一さんか、まぁまぁと言ったところだ」
「何か不満が?」
「不満か⋯そうだな。まず、このチャーハンだが、パサパサ過ぎて、いくらレンゲがあるとは言えこれでは食べにくい」
「成る程。火力の上げ過ぎだな」
「ちょっとやり過ぎちゃった」テヘ
「味は問題ないのだが、全体的な評価で言えば微妙だな」
「モグモグ⋯確かに味は問題ないな」
「ふふん。味に拘ってますからね、家は」ドヤッ
「次に餃子なんだが⋯」
「グッ!」
「⋯鍾離先生に聞くといい。丁度食べているところだ」
「OK。お~い鍾離〜どうしたんだ、餃子食べて「グッ!!」なんてクール金欠キャラなアンタらしくない」
「⋯⋯そのようなキャラを演じていたつもりはないのだがな」
「金欠は本当でしょ。いつも往生堂のツケで買い物して、この前買ってあげた財布使いなよ」
「それについては済まない。どうにも財布を持ち歩く癖がつかなくてな」
「さっき食べてたの餃子だよな。鍾離って餃子嫌いだっけ?」
「そういう訳では無い。ただ、餃子の餡に予想打にしていなかったツルツルと滑る生臭い感触が口の中に広がってな」
「あー⋯胡桃、餃子に何入れたんだ?」
「色々!!」
「⋯だ、そうだ。注意して食えよ。開催前に約束したお残しはしない、ちゃんと守れよ
「⋯⋯⋯⋯⋯ああ」
「あとは⋯⋯⋯まぁ大丈夫だろ」
机に突っ伏した北斗と、緑色の餡が見え隠れする食べかけの餃子が机に置かれているのを無視する永一
「ノエルは大丈夫そうだし寄らなくて良さそうだな。じゃ俺は影様んことに行くから胡桃もちゃんと残さず食べるんだぞ」
「え~せめて一口でもいいから食べていってよ永一さん」ハイア~ン
「あーん⋯⋯⋯甘。カスタードの味しか分かんねぇ⋯と、あーん⋯⋯⋯うん普通に美味しい小籠包 アツ」
胡桃から餃子と小籠包をあーんされた永一は、胡桃グループから離れ、影グループの方へと向かった
永一の去った後、事前に餃子にマークを付け、どの中にどんな餡が入っているか分かるようにしたノエルに、海鮮系の物の場所を教えてもらった鍾離は、無事完食を果たすことが出来た
「⋯⋯なんで誰も喋らないんだ、それも握り持って⋯」
影グループに来た永一は、静まり返る一同(影、神子、千代、沙羅)に困惑する
「ん?」
すると、神子がいきなり立ち上がると、手に持つおにぎりを永一に差し出す。永一は少しの間渡されたおにぎりを凝視すると意を決しておにぎりに齧り付く
ガキン
それは おにぎりというには あまりにも硬すぎた
硬く分厚く温かくそして 食べられなかった
「⋯ハッ!!ビックリしすぎてベルセルク風のナレーションが出ちまった。香菱、これはいったいどういう事だ」
「モグモグ⋯それが一番料理の形を保っていたのでお出ししました」
「料理人としてのプライドはどうした!これじゃあサンプル品だぞ、料理のりょの字もないぞ」
「うるさいうるさい!切っても煮込んでも焼いても握っても全部焦げるわ変なものになっちゃう人にどう料理を教えればいいんですか!?いっその事錬金術師の人に頼んだほうがいいんじゃないですか!?」
「!」
「辞めなさい永一。その手があったか!見たいな顔をしないで、絶対うまく行かないし頭痛の種が増えるだけよ、きっと」
「不覚!将軍様の手料理を目の前にして食べることが出来ないとは。神の作り出す料理を口にするには今の私の実力では無理だというのか。これ程自分自身の実力不足を呪ったことは無い!!」
「お主、将軍のことになると途端におバカになるのお」
こうして第一回各国合同お料理教室はお開きとなった。次回の開催予定は今のところ無い
稲妻編終わったら何編しよう
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そのままスメール編
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回れ右して璃月編
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そんなことより番外編(茶番)
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まさかの過去編