URAを優勝するまでウマ娘に転生し続ける元一般人男性   作:安倍川餅

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4回目
92世代①


 

 無事(?)に四回目のオンザループとなった私だったが、これまでとは違ったアプローチをする必要性に駆られていた。

 そもそも、根本的に自分一人でどうこうするのは無理だとようやく気づいたのだ。

 

 何せずっと一人で黙々とトレーニングをし続けた結果がメイクデビュー未勝利である。他の誰よりも努力していたかと問われればはっきり「はい」とは返せないが、これといった趣味もなくただただひたすらトレーニングに励んでいたのは間違いない。

 それでいてトレセン学園の模擬レース着順では上の下~中の上ぐらいだったのだから、やり方を変えなければまず二の舞を演じることになるだろう。

 

 人手を借りるにしても、パッと考えられるのは優秀な指導者か、競い合える好敵手か、切磋琢磨しあうチーム仲間などだろうか。しかしトレーナーとの伝手などないので、現時点で採れる方法は限られる。

 

「困った。どうしよう」

 

 とりあえずということで、ウマ娘のアプリにもあった友情トレーニングに効果があるかを試すべきではないかと考えたのだが、そこで問題がひとつ。

 私ことオンザループにはこれまで友人らしい友人がいないのであった。

 無理して食べる量を増やした前回ですら身長150cmにちょい届かなかったちんまい背丈だが、こんな形でも成人男性だった記憶がある。ので、それが邪魔してまぁどうしたって同年代の子たちと話が合わない。会話のテンションも合わない。その上、余裕なんてこれっぽっちもなかったので他のウマ娘はみんなライバルだと構えてしまっていたのも問題だったろう。

 

 そうして出来上がったのが、学校にいる間は口数少なく自分の席でずっと本を読んでいて、放課後になるとクラブ活動もせずに校庭で一人走り込みをしているコミュ障と言われても反論できないウマ娘であった。

 ていうか、私だった。人間強度が余っているので下げる必要が生まれてしまっている。

 

 

 そもそも同じ小学校の同学年にウマ娘がいない。年上にはいたけれどそんなに熱心に駆けっこする子ではなかったので公立中学に進学していったようだ。

 他の学校や地方チームに出会いを求めるのでなければ、やはりトレセン学園に入学してからトレーニングをしてくれる友人を作るしかなさそうである。

 

 

 そんなこんなで小学校高学年となり、一応はこれまで培ってきたノウハウがあるのでトレセン学園への入学は問題なく勝ち取れた。いつかのように補欠合格でもなく、ちゃんとした合格だ。

 幼少期に戻ってしまうので身体能力はトレーニングと食事で時間をかけて作らなければならないが、知識だけは別だ。

 ゲーム的にいうならかしこさの数値だけはリセットされることなく持ち越せるのだ。それだけは間違いなく私だけが持つ強みである。

 しかし、これまでゲームであった『末脚』や『コーナー回復〇』みたいなスキルを会得できた感覚はないので、かしこさがいくら高くても発動するものが何もない状態だ。

 レースの駆け引きやトレーニング法とかで活かせてるので腐っているわけじゃないけれども、いまいち強みとは呼べない気がしている。

 

 

 

 さて。今回は誰と同世代なのか、というのが心配事の一つなのだが、これは入学前に判明していた。

 というのも、入学直前になって一つ上のクラシック三冠が開催前だというのに盛り上がり始めていたのだ。4月に行われる三冠初戦である皐月賞。その参加を勝ち取った、メイクデビューから負けなしで勝ち進んでいる彼女がテレビカメラの前で無敗三冠の達成を『予告』していたのである。大言壮語でありながら、どこか本当にやってしまいそうな雰囲気を持っていた彼女の名前は当然メディアで何度も報じられた。

 

「トウカイテイオー」

 

 ぽつりと呟く。ウマ娘のアニメでは彼女が主人公の一人として取り上げられていたので、知識のない私でもその次世代に誰がいるのかわかっていた。

 短距離の適性を持ちながら厳しいトレーニングでスタミナ難を解消し見事二冠を成し遂げるミホノブルボン。そのミホノブルボンを、そしてあの最強のステイヤーであるメジロマックイーンをも下した、ライスシャワー。中・長距離を順当にいくならば、彼女たちと鎬を削ることとなる。

 そして記憶が正しければ、ミホノブルボンやライスシャワーの同期には最強のスプリンター、サクラバクシンオーやニシノフラワーがいたはずだ。

 

「無理では……?」

 

 どう考えても詰んでる。どの距離を走ってもボスが待ち構えている未来が見える。群雄割拠が過ぎる。

 いや、他の世代だったとしても今の私では勝ち目が薄いのは変わらないのだが、それにしたって限度がある。競い合える好敵手を求めてはいたが、ある程度実力が伯仲していなければその関係は築けないのだ。

 

「だ、ダートに転向しよう……」

 

 そういうことになった。

 

 

 

 

 入学直前になって急に芝からダートに転向したとはいえ、その後の私を取り巻く現状は以前と変わらない。入学してからもトレーナーに見込まれることもなければ、どこかのチームにスカウトされることもなかった。

 ひとつ大きな変化を挙げるとすれば、寮のルームメイトだろうか。他の子たちは毎回美浦寮は美浦寮、栗東寮は栗東寮で同じ寮に割り振られているが、私に限って言えば寮すらどちらになるかもわからない。当然これまで三回トレセン学園に入学してきたけれど、同じ相手がルームメイトになるということはなかった。

 では何が今までと違うかといえば、ルームメイトがウマ娘のアプリに登場していた、知っている子だったのだ。

 

「おっ、同室になる子かな? よろしくね、アタシはメジロパーマー」

「えっ、ぁっ。よ、よろしくお願いします。私、オンザループ、です」

 

 ……えっ? ウマ娘ってちゃんとルームメイト設定されてなかったっけ?

 パーマーの本来のルームメイトって誰だったの? これ、私で大丈夫なの?

 

 

 

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