貴方は少女達に愛される   作:いっぺー

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第3話

 

 

 

 それはある日の放課後だった。今日もいつものように響と未来の二人と帰ろうとした貴方は玄関に向かい、下駄箱を開ける。

 

 すると、中には見覚えのない封筒が入っていた。

 

 不思議に思いながらも貴方は封筒を手に取る。宛名などは書かれていないが、差出人は誰だろうか。そんな事を思っていると、後ろから響に話しかけられた。

 

「……なにそれ?」

 

 彼女は貴方の手に握られている封筒を見ると首を傾げる。どうやら彼女も知らないらしい。とりあえず開けてみる事にした貴方は、封を開けて中身を確認する。すると中には一枚の紙が入っていた。そしてその紙を見た瞬間、響の目が大きく見開いた。

 

 一体どうしたのかと思った貴方は、内容を確認するべく紙の方を見る。するとそこにはこう書かれていた。

 

『貴方の事が好きです。返事を待っています』

 

 その文字を見た瞬間、貴方と響は同時に固まってしまった。そして数秒後、先に口を開いたのは響の方だった。

 

「ねぇ……それ、どうするの?」

 

 彼女は不安そうな声で貴方に問いかける。

 

「もしかして……会いに行くとか言わないよね?」

 

 響は貴方をジッと見つめながら言う。その瞳にはどこか恐怖の色が混ざっているように見えた。

 

「……行かないで」

 

 響はそう言うと貴方の手をギュッと握る。その手は少し震えていた。

 

 貴方は差出人と場所がわからない以上、会いに行くつもりはない事を伝える。しかしそれでも響は納得できないようだった。

 

「でもそれって……わかってたら行くって事だよね?」

 

 貴方は否定できないため、言い淀んでしまう。その反応を見た響は悲しそうな表情を浮かべると手を握る力を強くした。

 

「ねぇ……お願いだから行かないで……!」

 

 響は懇願するように言う。そんな姿を見てしまった貴方は、彼女の頼みを受け入れるしかなかった。

 

「……本当に? 約束してくれる?」

 

 響はそう言うと貴方の目を見つめる。貴方は彼女に約束しようと伝えると、ようやく安心したようでホッと胸を撫で下ろしていた。

 

「良かった……これで安心できるよ」

 

 そう言って笑う彼女の顔には先程までの不安そうな様子はなく、いつもの元気な彼女に戻っていた。

 

「それじゃあ、一緒に帰ろっか! 未来も外で待ってるし!」

 

 響はそう言って貴方の手を引く。貴方は笑顔で頷くと、二人で歩き出すのだった。

 

「……未来にも言わないと……」

 

 響は小さな声で呟く。しかし、その言葉は貴方の耳には届かなかった。

 

 ────

 

「……響、それって本当なの?」

 

 貴方と帰り道を別れたあと、響は未来に先程の出来事を話した。そしね、それを聞いた未来の顔色が変わる。

 

「うん……内容もちゃんと見たし……あれは……告白の手紙だった」

 

 未来は響の言葉を聞いて驚いているようだった。無理もないだろう。いきなりこんなことを言われたら誰だって驚くはずだ。

 

「それで……どうするって言ってたの?」

 

 未来は響に問いかける。

 

「行かないでってお願いしたら……わかったって言ってくれた」

 

 未来はそれを聞いて安堵の溜息をつく。そしてそのまま言葉を続けた。

 

「そっか……それなら良かった……」

 

「でも……悩んでるみたいだったんだ……だから……不安で……」

 

 響は不安そうな声で言う。未来はそんな彼女を安心させるように優しく頭を撫でた。

 

「大丈夫……きっと大丈夫だよ」

 

 未来がそう励ますと、響は少し落ち着いたようだった。しかし、それでも不安は完全に拭えていないようだった。

 

「でも……もし会いに行って……付き合ったりなんてしたら……!」

 

 響は身体を震わせながら言う。

 

「……そうなる前に、私達が止めればいいだけだから」

 

 未来はそう言いながら響の手を握った。

 

「……あの人が、私達だけを見てくれるように……頑張ろうね?」

 

 未来の言葉に響は頷く。そして二人は手を取り合い、貴方を自分達だけのモノにするために行動を開始するのだった。

 

 ────

 

 最近、響と未来……二人の様子がおかしいと貴方は感じていた。今までも二人との仲は良かったが、最近は特にそれが顕著になっている気がする。

 

 例えば三人で下校している最中、響は貴方に対してスキンシップを多く取るようになった。手を繋ぐだけでなく腕に抱きつくような事もあったため、貴方は内心ドキドキしていた。

 

 また、未来も貴方によく話しかけるようになった。学校内で見かけると必ずと言っていいほど話しかけてくるし、昼休みになると必ず貴方のクラスまで迎えに来るほどだ。

 

 とはいえ、そんな二人に対して疑問を抱きつつも、貴方は彼女達と一緒にいる時間を楽しんでいた。

 

 

 

 しかし、そんな日々が続く中……貴方は突然、運命の日を迎える事になった。

 

 

 

 それはある日の放課後、貴方はいつものように二人と一緒に帰ろうと、誰も居ない廊下を歩いていた時だった。

 

「あ、あのっ!」

 

 突然後ろから声をかけられた貴方は振り返る。するとそこには一人の女子生徒が立っていた。制服を見る限り、一個下の学年の生徒なのだが、彼女の顔に見覚えはなかった。一体何の用だろうと首を傾げる貴方に対して彼女は言った。

 

「えっと……いきなり声をかけてごめんなさい! その……実は私、前から先輩の事を見てて……」

 

 そこまで聞いてようやくピンときた貴方はまさかあの時、下駄箱に手紙を入れた子なのかと聞き返す。

 

 すると彼女は照れ笑いを浮かべながらこう続けたのだ。

 

「はい……あの時、下駄箱に入れたのは私です。それで……返事を聞かせてもらってもいいですか?」

 

 彼女はそう言うと顔を赤くしながら貴方を見つめる。

 

 貴方はどうしようかと悩んだ結果、やはり直接断る事にした。

 

「……そうですか……わかりました」

 

 そう言って彼女は俯く。そしてしばらく沈黙した後、再び顔を上げた時には笑顔になっていた。

 

「でも……諦めませんから!」

 

 彼女はそう言うと貴方の返事を待たずに走り去っていまい、残された貴方は呆然と立ち尽くしていた。

 

「……ねぇ」

 

 不意に後ろから声をかけられ振り返るとそこには響と未来の二人が立っていた。彼女達は今まで見たことがないような冷たい目で貴方を見つめていたのだ。

 

「今の子……誰?」

 

 響は淡々とした口調で言う。その迫力に押されながらも貴方は何とか言葉を紡ぐ。

 

「……へぇ、あの子がそうなんだ……」

 

 響はそう言うと貴方に近づき、そのまま腕を絡めてきた。突然の事に驚いている貴方に構わず彼女は続ける。

 

「ねぇ……どう返事したの?」

 

「もちろん……断ったよね?」

 

 響と未来が詰め寄ってくる。その表情は笑顔だったが目は笑っておらず、貴方を威圧するような雰囲気があった。

 

 貴方は慌てて首を縦に振る。すると二人は安堵の表情を浮かべ、ようやくいつもの調子に戻った。

 

「よかったぁ……もしOKなんて言ったらどうしようかと思ったよ」

 

 響はそう言うと貴方の腕に抱きつく力を強くする。その柔らかい感触に貴方はドキドキしていた。

 

「……断った後、あの子に何か言われた?」

 

 未来がそう聞いてくる。貴方は諦めないと言われた事を伝えると、二人は小さく溜息を吐いた。

 

「そっか……あの子も諦めが悪いなぁ……」

 

 響はそう言うと貴方の腕から離れ、今度は反対側の腕に抱きついてきた。先程よりも強い力で腕を引かれてしまうため貴方はバランスを崩しそうになってしまう。何とか踏みとどまった貴方に対して、未来が言った。

 

「……でも、そろそろはっきりさせないとね」

 

 彼女はそう言って貴方を見つめる。その瞳からは本気さが見て取れた。

 

「……今日も私の家に行くよね?」

 

 未来は貴方の顔を覗き込みながら言う。その迫力に圧倒された貴方は小さく頷く事しか出来なかった。

 

「それじゃあ……行こっか」

 

 未来は貴方を引っ張るようにして歩き出す。響もそれに続くように歩き出したため、貴方は二人に挟まれたまま歩く事になってしまった。

 

「……逃さないからね」

 

 未来は小さな声で呟くと貴方の腕を更に強く抱きしめた。その呟きを聞いた響もまた、貴方を抱きしめる力を強めるのだった。

 

 ────

 

 未来の家へと連れていかれた貴方は、響と共に彼女の部屋の中へと通される。

 

 そして中に入った瞬間、未来は部屋の扉の鍵を閉めた。その行動に疑問を抱いた貴方だったが、それを聞く前に未来が貴方に近づいてきたため聞くタイミングを逃してしまう。

 

 そして彼女はゆっくりと近づいてきて貴方の耳元で囁くようにこう言ったのだ。

 

「あの子は……どうして君の事が好きになったんだろうね」

 

 その声は冷たく、まるで氷のように貴方へ突き刺さるような感覚を与えた。貴方を見つめる未来の目は鋭く冷たい光を宿しており、普段の彼女からは想像もつかないような冷酷さを孕んでいた。

 

「……わからないよね。だって君は……あの子の事をよく知らないから」

 

 そして今度は、後ろから抱きしめてきた響が、貴方の首筋を優しく撫でる。

 

「……でも、私達は君の事をよく知ってるよ。だって……ずっと見てきたんだもん」

 

 二人は貴方の耳元に口を寄せると、それぞれ違う言葉を口にする。

 

「私はね……君の事が好きだよ。私を助けてくれた時から……ずっと……。君のおかげで、私は生きていける。君が私を救ってくれたんだよ?」

 

 響が貴方の目を見つめながら言う。その瞳には確かな熱が含まれていた。

 

「私は……最初は響をいじめから助けてくれた君への感謝の気持ちだった……けど、君が私に向けてくれる優しさや気遣いを知っていくうちに……私はどんどん君の事を好きになっていった」

 

 未来は貴方の頬に手を当てながら言う。その表情はとても穏やかで、慈愛に満ちていた。

 

「君はね……私にとっても……響にとっても、なくてはならない存在になっちゃったんだよ?」

 

「だから、君が告白された時……すごく嫌だった。君があの子のものになってしまうんじゃないかって……不安で仕方なかった」

 

 二人は貴方を見つめながら言う。その瞳からは確かな想いが感じられた。

 

「……ねぇ、私達とずっと一緒にいようよ。そうすれば……誰にも邪魔されず……三人でずっと愛し合えるから……」

 

「そうだよ。私達は君の事を大切に思ってるから……だから……お願い」

 

 二人は貴方を逃がさないと言わんばかりに強く抱きしめる。その圧力に貴方は苦しさを感じつつも、彼女達の言葉に心が揺れ動いていた。

 

「大丈夫……君はただ、私達を受け入れてくれればそれでいいの」

 

「そう……それだけでいいんだよ……」

 

 二人の声が耳元で響く度に貴方の理性は溶かされていく。

 

 それでも貴方は、そんなに自分の事を想ってくれていた事を嬉しく思う気持ちと同時にずっと一緒に居てくれた彼女達への感謝の気持ちが湧き上がってくる。

 

 そして、気持ちの整理がついた貴方の口からは、自然と言葉が出ていた。

 

 ────これからも、傍に居て欲しい。

 

「ありがとう……嬉しいよ」

 

 貴方の答えを聞いた響は、満面の笑みを浮かべて貴方にキスをする。そしてそのまま貴方を押し倒した。

 

「じゃあ……今から私達だけの時間だよ? 大丈夫、怖くないからね……」

 

 未来はそう言うと自分の制服に、響は貴方の制服に手をかける。そして、これから何が行われるのか察した貴方は、そのまま彼女達に身を委ねた。

 

『……大好きだよ』

 

 その言葉を最後に……貴方は意識が途切れる瞬間まで、二人の愛をその身に受ける事になったのだった。

 

 

 




一旦これで完結です。

時間があれば原作編も描いていこうかなと思っています。
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