この世界、全然透き通った世界観で送る学園なんかじゃねぇ! 作:気分屋「星七」
「はい、先生。この書類は終わったよ。署名は忘れずにね。」
"ありがとう。本当に助かるよ。"
あの日、先生に二つ返事でOKされてからはや3日、冗談を言う時間も許されない程の書類の山を2人で終わらせていた。
「はぁ……書類の山を削っても削っても次の書類が出てくる…………」
"…………休憩する?"
「はい、します」
"返答が恐ろしく早いね……"
仕方がないでしょ。夏休みの宿題(全科目)を6週ずつ終わらせたくらい書類を終わらせたんだから。
…………先生は14週目くらいの量を終わらせてたけど。
"それじゃあ、小休憩にしようか。"
そう言うと先生は席を立ち、コーヒーメーカーの方へと近寄って行った。先生が近くから離れたのを見て、俺は少々独りごちる事にした。
「ここに来て、もう3日かぁ……」
そう、時既にあの日から3日も経っている。今に思い返せば、先生にシャーレ所属をOKされた記憶。俺の住所、戸籍が無いことがバレてキヴォトス外から来たと言って誤魔化した記憶。適当に名前を考えた記憶。どれも懐かしい思い出だ。
「はぁ……でも、ここに所属するのは間違いだったか?」
皆んなを救うためとは意気込んだものの、この3日間、対人戦闘はなく……代わりに絶望的な量の書類と戦闘しているだけ…………。アヤネ様、早くシャーレにお手紙を届けてください。過労死ラインギリギリでございます。
「アビドスからの連絡こないよぉ〜…………」
早く推しに会いたい。今の気持ちを表すのであればこれだ。一応、シャーレ所属になった当日にユウカさんと会ったが……もう3日も経ってる。欲求不満だ。
ただ、今の気持ちをもうひとつ表せるのであれば、書類の山から目を逸らしたい。これに尽きる。ってか、アビドスからの連絡遅く無い?もう3日も経ってるんだけど。…………でも、何となく理由はわかっている。
「やっぱり
"おーい、クリスもコーヒーいる?"
先生を横目に書類の山に視線を送っていると、少し奥から先生の声が聞こえてきた。
「あ、大丈夫です。」
この身体になってからはコーヒーを受け付けなくなってしまった。今までの五感がバグっていたのかそれとも、今がバグっているのか。きっといつかわかるだろう。
ちなみに俺の名前はクリスになった。中性的な名前で呼ばれやすいし、言いやすい。完璧だな。
先生がコーヒーを片手にこちらへと戻ってくる。そして、第一回独り言タイムは終了するのであった。
"ふぅ……"
「先生お疲れですか?」
"私は対して疲れてないかな。"
わーお、ビックリ!
「本当ですか?」
"……本当だよ。"
先生が目を逸らして答える。うん、これ見栄張ってるな。
「よーし、私はひと休憩挟んだし、頑張るとしますか。」
俺が書類に手を伸ばした瞬間、ピタリと腕が動かなくなる。まるで何かに抑えられてるかのような感覚になり、視線をゆっくりと下に下ろすと、そこには私の手首を抑えている先生の手があった。
「先生?私は仕事に戻りたいんですが!」
"……クリス。今日は空が青く澄んでいてとても綺麗だよね。"
椅子をクルッと回転させ、窓を見る。天気は晴れ。だが、雲も多く綺麗とは言い難かった。景色を確認し終わると、仕事に取り掛かるため、デスクに向きを戻し…………先生にまた止められた。
"…………今日は休息日にしないかい?"
その案は非常に良いと思う。だが、アビドスフラグが立つのが恐らく目の前のこれを処理した後だと考えると、残念ながらその案には乗れない。全ては推しのために!
「ちょっとその案には乗りかねます……あの、先生?」
腕に全力を込めて引っ張ってもグギギっと音が鳴るだけで抜け出せない。これが大人の力か(物理)
"今日は休息日にして、クリスの服を買いに行こうか!"
「いや、そんな元気に言われましても……ん?服?今、服って言いました?」
仕掛けた罠に獲物がかかってた時のように、先生は笑顔でじわりじわりと近づいてきた。
"もちろん言ったとも、さぁ!一緒にお出かけしようか!!"
「……先生。確かに、私は新しいと言うか、サイズに合う服が欲しいのですが…………うわっ!先生引っ張らないでください!シャツが更に伸びてしまいます!!」
そうして俺たちは今日を服を買うため(言い訳)の休息日として服を買いに行ったのだった。
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閑話休題
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「やったー!ふふーん!」
上機嫌でシャーレの扉を開き、1人の美少女と1人の大人が入ってくる。そう、私と先生です。え?第一人称はどうしたって?あぁ、服装の変化とともに消えました。と言うか私は元から第一人称が私だったのかもしれません。
"やっぱり、この衣装で正解だった。私の人生に一片の悔いも無いよ……グフっ……"
先生が口から血を吐いて倒れてしまった。
「いや……嘘でしょ先生……先生!!」
"まぁ、冗談なんだけどね"
知 っ て た
「はぁ、冗談に付き合ったのが間違いでした。」
"え、なんか呆れてない?"
うーん、呆れて当たり前のような冗談だったから呆れて当然なんだけどなぁ……
「呆れてマセンヨー。あ、そうだ。先生、そのネタは私以外に見せちゃいけませんよ?」
うん、絶対曇るからね。だってそう言う世界なんだもの。しかも、先生は銃弾の一発喰らうだけで致命傷なんだから、その……うん!よく無いよね!
"ヤン……デレ?"
「違うわー!」
ふぅ、先生にポコポコ殴ってやりましたよ。途中で自分の非力さに気づいて辞めたけど……
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閑話休題
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その後何やかんやありまして、目を閉じたら世界が明るくなっていました。因みに、先生に衣服を4着買ってもらいました。服の説明要ります?要りますよね!
まずはトリニティ製の柔らかい色のしたワンピースとそのセットですね。恥ずかしいので滅多に着ません。はい次、先生が選んだやつ(2着)、最後にレッドウィンター製の軍服ですね。はい。お気に入りです。ありがとうございました。見た目は昭和5年の時の日本軍に酷似しており、色は灰色と水色。+aでレッドウィンター製のコートも羽織ってます。完璧ですね。欠点は暑い事ですね。はい、我慢しましょう。
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「はぁ、今日も仕事かぁ……」
私は今、日曜日明けの月曜日のような憂鬱な気分で作業部屋に向かう。重い足が私を邪魔して部屋へ向かわせないようにしているが、ふらふらとした足取りで頑張って作業部屋に辿り着くのであった。
「先生…………おはようございます……」
扉を開けて中に入り、朝の挨拶をするも返事がない。もしかして、このフラグはアレかそう思い先生のデスクの方に向かう。
「ん?あぁ……先生はいつでも先生だよね。ちょっと期待して損した。」
先生のデスクの前まで来るとその姿が見える。先生はいた。……寝ていたけれど。でも、先生がここで疲れ果てた痕跡がそのデスクの上に刻まれていた。
「あはは……、先生頑張りすぎだよ……」
恐らく徹夜でやったであろう書類がそこにあった。その量、書類の山の約半分。
「こんなに頑張りを見せてくれたんだし、私も頑張らなきゃな……4分の1程度……。」
どんなに頑張っても、先生の2分の一くらいのペースになっちゃうからしょうがないだろ!後、凄い方だぞ4分の1は!三週間分の4分の1だぞ!?
「まぁ、自分にツッコミを入れるのはここまでにして、頑張りますか……」
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……その後、7時になった時、早瀬ユウカ=サンがシャーレの当番としてここ入ってきて集中が切れてしまったのはまた別の話。
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