この世界、全然透き通った世界観で送る学園なんかじゃねぇ!   作:気分屋「星七」

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いつか、特殊なタグも使ってみたいんですけどね……まだまだ実力不足なので頑張って行きます。


日常

 

 ウィーンと音がして、扉が開く。音がした方向に不意に視線を向けてしまう。

 

「失礼します。」

 

「ん?」

 

 聞き覚えのある声が先行し、次にその声の持ち主が現れた。

 

「今日も、時間通りに来ましたよ先生。…………あれ?反応が無い。」

 

「…………」

 

 

 目の前に推しが現れた!位置的に貴方は今、ユウカさんに見られてないよ!さて、あなたはどうする?

 1.気軽に挨拶をする。2.隠れる

 もちろん私は挨拶させて頂きましょう!

 

「こんにちは!」

 

 …………なんて言えるはずもなく、隠れたよね。音も立てずに咄嗟にさ。

 

「今日って、シャーレは定休日でしたっけ?…………おかしい。私の今日の予定表に間違いはない筈……」

 

「……ちょっと中に入らせてもらいますね」

 

 ユウカさんの独り言が聞こえてくる。ゲームをしていた時は良かったなぁとしみじみ思う。ゲームでは顔が直視できた……のに、今となっては何故か直視どころか、こんにちはって言うことすら出来ないでいる。

 

 コツコツと足音が近づいてくる。私と先生のデスクは隣接しているため、バレないかが非常に心配である。

 

「先生……って!先生!何でここで寝てるんですか!?」

 

「この書類の量……まさかっ!徹夜で作業してたんじゃ!?……はぁ、後でお説教ですね。」

 

 いやぁ、ユウカさんはいつも通りだなぁ。やっぱり、と言うかここら辺からかな?先生が生活習慣指摘されるのって

 

「そう言えば、あの子は姿すら見えませんね。まだ寝てるんでしょうか?」

 

 ビクッと体が反応する。同時に、ほっぺたにツゥーっと冷や汗が落ちる。大丈夫まだバレてない、そう心に言い聞かせて無理矢理心を落ち着かせる。

 

「……まだ、あの子も起きてなさそうですし、先生の隣に座っちゃっても良いですよね。」

 

 あ、やばい。出るタイミング無くした。あーもういい!こうなったらヤケクソだ!シャーレの床で寝たふりしてやる!

 

「こっちの方から近寄っ……ひっ!…………」

 

 今のってユウカの悲鳴?ひっ!て何?ひっ!て、悲鳴だったら超可愛くない?録画してもう一回聞きたいんだけど、どうしようかな今から勢いよく飛び上がってびっくりさせようかな?……まぁ、寝たふり続けるんですけど。

 

「……zzZ」

 

「っはぁ、はあ、ふぅ。………………。」

 

 あれ?急に静かになったな。もしかして気絶でもしちゃったのかな?

 

「もう、7時過ぎですよ!起きてください!!」

 

 ユウカはビビらせたらキレるタイプなのかな?うん、今度からは偶然を装ってビビらせよう。説教だけは受けたくないからね。

 

「…………はぁい。」

 

 一応返事をしておく。そして、ゆっくりと自然な感じで起き上がり椅子に腰掛ける。完璧。これは絶対にバレない。確信が持てるね。

 

「次は先生ですね。」

 

「あ、待って!先生は昨日凄く頑張ってたからもう少し寝かせておいてあげて欲しい……かも。」

 

 ユウカは私の発言を聞くと、すぐに溜息をついて、右手で頭を押さえた。

 

「はぁ……やっぱりですか。わかりました。先生は後1時間だけ寝させてあげます。それだけですよ。」

 

「ありがとうございます!」

 

 頭を下げて礼を言う。何故か他人事なのに自分ごとのように感じた。恐らく、書類の山を半分も削った先生に感謝の念があるからでもあるのだろうか。

 

「それはそうとして……。貴方は何で床に寝ていたんですか?」

 

 あ、やべ。それを聞かれたらおしまいなんだけど。私も徹夜していた判定喰らうのは勘弁だよ。

 

「いや〜、その……えへへ…………」

 

 言い訳なんて思いつかない。しかも、この人に言い訳したら大変なことになりそうだ。もう正直に謝ろう。

 

「本っ当にすみませんでした!」

 

 思いっきり頭を床につけて土下座をする。そして、俺は言葉を紡ぐように既に起きていたこと。ユウカさんが可愛すぎて挨拶できなかったことを詫びた。そして、最後にユウカの悲鳴は結構可愛いかったよと付け足しておいた。

 

「……ちょっとお時間頂きます。」

 

 え?リアルでこのセリフ聞けるの何気に凄くない!?え!どんなこと言われんのかな!ちょっと楽しみ!

 普通に説教されました。とても怖かったです。もう、あんなことしません。ユウカさん見かけたら絶対に声かけます。はい。

 

 ユウカは私への説教が終わった後、すぐに先生を起こしに行った。説教の時間は体感で30分程度だったが、1時間も経っていたらしい。恐らく、あそこまで怒られた理由の大半はユウカの悲鳴が可愛かったと言ったことにあるだろう。

 

「先生!徹夜は健康の敵なんですからちゃんと規則正しい生活を送ってください!」

 

 "……はい。"

 

 隣からは聞き慣れたような説教が聞こえてくる。でも、やっぱり流石先生と言えば良いのか説教は10分もしないうちに終わりそうだ。

 

「はぁ……で?ここではこうなってるからここの治安維持隊に任せた方がいいよね。じゃあハンコを押してっと。」

 

 因みに、私はそんな先生たちを横目に、頑張って書類を終わらせている。簡単な内容の書類ばっかで助かってはいるが、難しい書類のみを先生が終わらせた可能性があるのでもっと頑張った方がいいだろう。

 

「えっと、これは?シャーレに救援要請?うわ、どうしよう。差出人の名前書いてない……」

 

 先程の書類を終わらせて、次の書類を取ろうとした時に一つだけ色の違う封筒があったので先に手に取る。封筒の表面には大々的にシャーレ緊急要請届と書かれていた。それも、手書きで。

 

 このアビドスに行くまでの期間でこんなイベントがあるなんて知らない。それにゲーム外で行われていたことなら腑に落ちるけど、そんな事が行われていたなど先生のセリフで言われてすら、なかった筈だ。

 

 封筒の封を開け、中の手紙を見てみる。そこにはちゃんとしたシャーレ緊急要請届の紙が入っており、要請内容と場所が記載されていた。

 

 「要請内容は要人警護で場所は…………え!?場所はD.U.シラトリ区!?」

 

 シラトリ区と言えばあの学校の支所がある場所じゃないか、何でシャーレに緊急要請が来たのかさっぱりわからない。

 

 "どうしたの?"

 

「あぁ、えっと、その、これを」

 

 明らかに語彙力皆無だったけど、多分書類を見たら伝わるだろう。

 

 "シャーレに緊急要請か……生徒のためだ行くしかないよね"

 

「いや、注目して欲しいのはそこじゃなくて……ここです。」

 

 私はシラトリ区の地図を開きその学校(支所)を指さす。

 

「ヴァルキューレ警察学校支所。」

 

 "…………確かに、治安維持のプロフェッショナルがいるのに、シャーレに緊急要請とは不可解だね。"

 

「ヴァルキューレ警察学校がどうしたの?」

 

 ちょうど暇をしていたであろうユウカも会話に混じってくる。

 

「あ、ユウカさんもちょっとこれ(緊急要請届)見ていただけますか?」

 

 ユウカは封筒とその中身をパパッとみると、それらを返してきた。

 

「なるほど、おおよその内容は掴んだわ。要するに、これは罠の可能性が非常に高いって事ね。」

 

「はい。そう言う事です。」

 

 おおよそ罠だと言うのはわかっていた。差出人も時間も指定されてない要人警護なんて出来るわけが無い。それに、要人警護とは警察がやるものだった筈だ。現実世界の知識だけど。

 

「先生……どうしますか?」

 

 "私は行くよ。もしかしたら、どこかの学園の生徒が出したのかもしれないしね。"

 

 あーあ、即決しちゃったよ。この人。本当、生徒が関わるかもしれないことは考えなしに動くんだから。まぁ、だからこそカッコいいなとは思うんだけどね。

 

「……はぁ、じゃあ行きましょうか。」

 

 さてと、外出する為に準備しなきゃ……

 

「え?ちょっと待って!行くの!?すごく怪しいのに!」

 

「ええ、行きますけど……」

 

「何でですか!?」

 

 まぁ、一般的にはその反応が正しいのかもしれない。けど、ユウカ。ちょっとあそこにいる人を見て欲しいんだ。

 

「だって、あれ見てよ。きっと、生徒が関わる事なら1人でも飛び出していくよ。」

 

 「生徒が関わる事なら1人で飛び出す」自分でそう言いながら、先生が撃たれた時。先生が色彩の嚮導者となった時を思い出す。

 

「先生は説得しかできないし、私達が守らなくてどうすんの?」

 

「でも!わざわざ罠と分かってて向かう人がいますか!?」

 

 ユウカが大声を出す。この声は少し遠くにいる先生にも聞こえたようで、先生が段々と近寄ってくる。

 

 "まだ罠と決まった訳じゃない。でしょ?"

 

 そう言うと、先生はユウカに追い討ちをかけるように扉を開けて、先に出ていった。

 

 あ、もう準備できてたのね。

 

「ああ!もう!分かりました!私も行きますよ!」

 

 流石のユウカも先生が出ていってしまったら反論の余地などなく、愛銃[ロジック&リーズン]を持って、先生を追いかけるように出ていった。

 

 やっぱり先生は凄いや、私があんなに説得に手こずったユウカをあんな短時間でこなすなんて……流石先生だよ。

 

「ってか、あれ?何で私が最後になってんの?」

 

 私も慌てて、扉を開け外へ向かった。既に廊下には誰もおらず。ダッシュで外に向かったところ、先生達は外で待っていてくれた。

 

 "それじゃあ、行こうか"

 

 先生のその合図で私達はその場を後にした。

 

 

 …………私なんか忘れてる気がするんだけど。……うん、思い出せない。とりあえず、気にしない事にした。

 




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