この世界、全然透き通った世界観で送る学園なんかじゃねぇ! 作:気分屋「星七」
「ヘッヘッヘ、待っていたぜシャーレの奴ら。」
現地に辿り着くと、そこにいるはずの依頼者は居らず、代わりに沢山のヘルメット団がそこにいた。
「あ、えっとこんにちは。緊急要請を受けて参りました。シャーレの
「あ?何言ってんだ、お前?この状況を見てわからねぇのか?罠だよ、罠。お前ら
……2人ね。うん、上手く騙されてるね。
そう思いながら、やれやれと頭に手を置くフリをして、イヤモニの電源をつける。すると、『"あーあー"』と耳元で先生の声が聞こえてきた。
「はぁ……、やっぱり罠でしたか。」
……あのユウカさん?そんな目でこちらを見てこないでもらえます?私は悪くないので……先生が悪いので……。
「私達は騙されちゃった訳ですけど…………何をする気ですか?」
「あたしらはなぁ!あたしらから居場所を奪ったシャーレに復讐しなきゃいけないんだよ!」
シャーレに復讐?何でだろ…………心当たりはあるけどさ、あれはしょうがないじゃん。仕事なんだから。確かに、シャーレ付近の治安維持部隊の人達の人材を増やす許可を受理したり、活動範囲の増加も受理したりしたけども。だからって復讐はないだろ。八つ当たりにも程がある。
「……貴方達が一般の方々の迷惑をかけているのが全ての元凶では?」
「うるせぇ!全部お前達のせいなんだよ!」
その言葉を言うと同時にヘルメット団のリーダーらしき会話相手が銃を発砲してきた。
「うわ、あぶな!」
飛んできた弾丸を見て、左側に躱す。
「撃つんだったら合図くらい入れてよ!」
「相手に合図を教える奴がいるかよ!!お前らやれ!」
その言葉を皮切りにヘルメット団は全員で撃ってきた。
『"ユウカ!クリス!近くの遮蔽物に!"』
かなり急な出来事だったが、先生のおかげで撃たれる前に遮蔽物に隠れる事が出来た。ユウカだけは。
「もう!撃ちすぎだって!私、怪我しちゃうよ?危ないよ?」
俺は上手く遮蔽物を利用して、移動し続ける。
相手を煽ったせいか、相手の銃弾がほとんど私を狙っているようで、隠れる隙など無い。加えてこの銃弾の量、きっと隠れた遮蔽物も数秒と経たないうちに破壊されてしまうだろう。
『"ユウカ!クリスが囮になっているうちに、1人ずつ無力化させていって!"』
ユウカとの位置は大分離れてしまったが、先生の声が聞こえてくるおかげでユウカの位置が大体、予測出来る範囲に縮められた。流石先生だ。……それはそれとして、本当に銃弾の量多く無いか?実質的にミニガン使用者3人と戦っている気分なんですけど!
「ええい!こうなったら私だって出来ることを証明してやる!」
敵の過半数がリロードに入った瞬間、私は敵の固まっている所にあえて突っ込んでいく。そして、背中の腰の方に手を伸ばして……手を伸ばして…………ない……ない!
「うわぁ!!銃持ってなかった〜!!」
『え?』
イヤモニ越しにユウカの声が聞こえてきたが、たぶん気のせいだ。でも、今はそれどころじゃ無い。銃なし、敵陣最前線。しかもこの距離感、銃弾を躱せる訳が無い。
「あ……はは…………。」
そんな中、
「おりゃぁっ!!!」
一撃。パリンッと音が鳴り、目の前にいるヘルメット団(1人)のヘルメットのシールド部分を跡形もなく粉々にした。
「……え?きゃぁぁぁ!!」
「…………え?」
そのヘルメット団の子は、ヘルメットと言う自分を偽るための仮面を失ったからか、急にしおらしくなり、顔を隠しながらその場にへたり込む。
その子がへたり込んだ後、クリスは自分の手に視線を向ける。そして、この間、一時の静寂が訪れた。
……おかしい。絶対におかしい。人間本来の力を出せれば、今みたいな事が出来るかも知れないけど、それでも反動の一つくらい来る筈だ。でも、来てない。無傷だ。
「いや、違う。」
よく考えたら、おかしい事は最初からあった。まず、何で俺は
自分が美少女に変身している。長い書類作業でただそれだけのことしか覚えていなかったが、ここはキヴォトスであり、俺……いや、私にもヘイローはついているのだ。その事をすっかりと忘れていた。それなら、私に神秘が宿っていてもおかしくは無い筈だ。
先程の出来事で唖然としていたヘルメット団が慌てて銃を構える。勿論、標準は全部私に向かっているようだ。
「ちょっと、今の自分がどこまで出来るのか、気になってきたよ。」
『"クリス大丈夫かい?"』
「えぇ、私は全然大丈夫ですよ。それよりも、ヘルメット団の方を心配した方がいいかもです。」
『"……分かった。傷つけないように程々にね"』
「はい!!」
声を出すと同時にヘルメット団に向かって駆け出した。
「ひぃ!近寄ってくんな!このゴリラが!」
銃を乱射されるも、怖く無い。それどころか、この距離でも以外と弾を躱せるし、弾に当たっても痛く無い事にびっくりだ。
「ゴリラとは心外だなぁ……それはどっかのピンク髪でしょ!!」
また、手をグーにしてパンチする。しかし、次にヘルメットに攻撃が当たった時、ピシッとヒビが入るだけで、割れなかった。
「う〜ん、もうちょっと力を入れた方がいっか。」
「や……やめ……」
勿論、やめません。
「ふん!」
「う、うわぁぁぁ!!」
再び、ヘルメットの子を静かにさせる。大丈夫。殺した訳じゃ無い。仮面を割っただけだから。
「私がいる事も忘れないでください!」
少し奥、それもヘルメット団の後ろの方からサブマシンガンの音とユウカの声が聞こえてくる。
「ごめん、忘れてた!嘘だけど!ふんっ!!」
「ちょっと!!こんな時に冗談言わないで!計算が狂うじゃ無い!」
敵の銃弾に恐怖する必要も無くなった私はユウカにちょっかいをかけつつ敵を無力化させていく。だが、敵の中心部に行くにつれて、ヘルメット団の動きに違和感が生じてきた。
「君も一旦、静かにしといてね!ふんっ!!」
「ッ止めろ!!」
ある1人のヘルメット団員を無力化しようとしたら、周りのヘルメット団員がその子を庇うのだ。しかも、ヘルメットを被ってようが被ってなかろうが関係なしに。
「ねえ〜、何でその子を守ろうとしてるの?理由だけでも教えてくれない?じゃ無いと、君たちを気絶させなきゃ行けないから力加減を調整するのちょっと面倒なんだよね〜。」
そう。今行っている無力化はヘルメットを壊す事じゃ無い。相手を気絶させる事だ。
「ゴリラ相手に言えるか!お嬢、ここは危ないですから逃げてくれ……」
「でも………皆んなが……」
「大丈……ぐはっ!!」
お嬢の清楚な感じの声を聞いて癒されつつ、私はゴリラと言う禁句を放った者の顔面に蹴りを入れた。
「やっぱさ、ずっとパンチだけじゃ美学がなってないよね。そう思わない?……ってあぁ、もう気絶してたか。」
ゴリラって言われたんだから、別にその分だけ、煽っても良いよね?
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そうして違和感を感じつつも、ユウカのアシストと先生の指示(最初しか聞いてない)もあり、最後の2人まで減らす事が出来た。
「リーダー……もうやめようよ……痛そうだよ…………」
「はぁ…………はぁ…………何でシャーレはこんなに強いんだよ……」
お嬢と呼ばれる存在を守りながら、リーダーはしぶとく耐え続けており、その息は絶え絶えになっていた。
「いや、それに関してはユウカさんのおかげだよね。彼女はシャーレの主戦力なんだから。しかも、このヘルメットの8割を倒したのが彼女なんだよ。」
「あの、そもそもな話、私はシャーレではなくてセミナ……」
「後、そろそろやってくるだろうけど、先生の指示のおかげでもあるよ。先生の指示を聞くと、何だか敵の位置が楽にわかるようになるんだ。」
ユウカの言葉を遮るように、言葉を被せて喋る。
「何だ……指揮官までいたのか……」
「……あの、聞いてます?」
とりあえず、嘘をついてシャーレの強みはユウカと先生と言うことにしておいた。アビドス自治区の装備が豊富なカタカタヘルメット団に私がありえないくらい強い。だなんて知られる訳にはいかないからね。……そのためにも、ユウカ……ごめん。本当はしたく無いけど!無視させてもらいます!
「そうだよ。だからさ、そろそろ諦めてくれないかな。」
「あの、無視してますよね。」
ユウカがこちらに近寄って来る。雰囲気でわかるよ。私、もう一回説教ルート入るよね……まぁ、それでも無視は続けますが……
「……はぁ…………諦めたら、どうなる……」
正直、八つ当たりの対象になっただけで、そう言うのは知らない。と言うか、こんな展開になるなんて思っても見なかった。あのヘルメット団が1人の仲間を庇い続けるなんてね。一定数やられたら逃げるもんだと思っていたよ。
「多分……ヴァルキューレ送り?かな。知らないけど。」
「なら……!……諦める……訳には……!」
「ああはい、そうですか、そこまで無視しますか。貴方は。」
"はい、みんな一旦ストップ。"
ユウカが今にも私に向かって拳を振るって来そうな時に先生がストップをかけてくれた。
「ふぅ、先生助かったよ」
"クリス、後で説教だからね"
「え?何故に?」
だが、そんな私の質問に対して答える間もなく、先生はヘルメット団のリーダーに話をしていた。
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話がとても長くなり、私の出る幕がなかったので内容を簡潔に説明するとこうだ。
↓
私達、シャーレが治安改善の為に治安維持隊の活動資金、活動範囲を増やす。
↓
ヘルメット団第七部隊がシャーレ付近から追い出される。
↓
シャーレを
↓
仕返しをした後に、シャーレに治安維持隊の活動範囲を減らすよう脅すつもりだった。
とまぁ、これが表の理由。ただ、これに別の理由がついており、このテロ行為に至ったらしい。……まぁ、何と言うか……少し、治安に関する書類に触れたくなくなったよ。
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閑話休題
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今、私は何をしているでしょうか?
「クリスさん、正座して下さい。」
"クリス、正座。"
「はい……。」
テロを止める事が出来た私達はシャーレに戻って来た。そして、今、説教されている。溜まった説教を消化中だ。
「まず、貴方は私をシャーレ所属と言った事に…………」
はい。全部謝罪ですよ……。知ってます。全部自分が悪いんです……。
アドレナリンが消えて来た私はただ、ひたすらに狂人ムーブをしていた自分を殴り倒したいほど、反省している。
「ごめんなさい……。」
"次は私から言わせてもらうよ。まずは今のユウカの事。次に、指示を聞かなかった事。最初に…………"
今まで、見た事が無かった先生の叱っている時の顔は
「はい……はい…………ごめんなさい……」
「うふふ……ゴリラが怒られて泣いてる。」
私が先生のデスクの前で土下座をしている横で、ヘルメットを被った少女が私の事を見て、笑っている。
あの子は先生が連れて来たお嬢と呼ばれているヘルメット団員だ。っておい!笑うなよ!しかも、私はゴリラじゃない!
「後で絶対……」
"クリス。ちゃんと話を聞いてるかい?"
「はい……」
後で絶対にゴリラって言った事、後悔させてやる!!
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その日の昼2時ごろ、誰が作ったのかもわからないニュース番組によって「シャーレのゴリラ」と言う不名誉な二つ名をつけられてしまうのであった。
次回は閑話を挟みます。