この世界、全然透き通った世界観で送る学園なんかじゃねぇ! 作:気分屋「星七」
受験対策に、生徒会活動。文化祭(劇)の台本作りに、志望理由書を書かなければならなかったりと、多くの事がありまして投稿が遅れました。きっとこれからも投稿が遅れる事がありますので、ゆっくり気長に待っていただけると幸いです。
深夜、スマホでネットニュースを見ていると、ある時間を境に多くのニュースが一つの情報しか教えてくれなくなった。あたしはそのニュースを読んで絶望した。
連邦生徒会が機能しなくなってから早数週間。今日の昼頃、約12時に連邦生徒会によって、連邦捜査部またの名をS.C.H.A.L.Eと言う部が立ち上げられるそうだ。
連邦生徒会が久々に動いたと言う事もあり、きっと多くの人が関心を持っているだろう。
「でも、きっと……」
あたしらにとって、それは悪い物なのだろう。シャーレが立ち上げられた理由は容易に想像が出来る。逆に、各自治区で犯罪が急増、違法な兵器の流通量が2000%増加、七囚人の脱走といったトラブルが起こっているのに動かなかった方がおかしいのだ。
「………………」
その日はやけに眠りにつけなかった。
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太陽の光が嫌に眩しい。朝起きて、早々にそう感じた。
「う〜ん、今何時だ?」
時刻は6時。早朝だ。遅く寝た時はいつもこう、早く起きてしまう。おかげさまで体のだるさが消えていない。
「はぁ、もっかい寝よっかな……」
もう一度寝袋に身を纏い目をつぶった瞬間、あたしらの部屋の扉が開かれる。
「お前ら、起きてくれ!」
もう一回目を開く。扉を開けたのはリーダーのようだ。しかも、銃を手に持ち装備も着た状態。準備は万全。
「ん?どうしたんだ?リーダー。」
流石に寝てるフリも申し訳ないと思ったので、目を覚ます。
「おぉ、お前がこの時間に起きてるのは珍しいな。まぁ、いい助かった。一緒に来てくれ、もう時間がないんだ。」
「時間が?もしかして、この時間から依頼?」
「ああ、そうだ。あたしは他の奴らで誰か起きてる奴がいないか見てくるからそのうちに準備しててくれ。」
リーダーはそう言うと扉を閉めて出ていった。一応、完全に意識は目覚めていたので、パパッと着替えて準備をする。
「一応……起こしておくか。」
「お前ら!仕事だぞ!起きろ!」とあたしの部屋のグループにだけは声をかける。一部屋4人の寝室兼私室。他の団員は流石に時間が足りないだろう。
起こす際に、「着替えさせて〜」などと幼児みたいになった奴もいたが何とか時間に間に合ったようだ。丁度、うちのグループが準備万端になった瞬間にリーダーが入ってきた。
「お前ら、行けるよな。」
「「「「もちろん(っす)!!」」」」
そして、リーダーについていきアジトの外に出る。玄関の前には、すでに2グループ来ており、あたしらが最後になったようだ。
「おいおい、遅すぎだろ。お寝坊さん」
先に来ていたグループから喧嘩を売られた。それも、あたしはあんなに早くから起きてたのにだ。
「はあ〜!?やんのか?コラ!」
「はぁ……お前ら、落ち着け。その元気は仕事の時に使うんだ。今じゃない。」
リーダーが間に入ってくれたおかげか、思いの外早く喧嘩はおさまることとなった。
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珍しく、ブラックマーケットの方角へ向かわず、来たことのない道へ進んでいく。
「リーダー、本当にこっち方面であってます?」
「ああ、勿論。この方面であっている。何なら目的地にもう直ぐ着くぞ。」
一体どこに行くのだろうか。そう思っていると、開けた大道りに出る。
「……ここだ。」
「本当にここ?どう見たって……」
どう見たってD.U.の外郭地区だ。ここには大金を持っているものも少ないし、街は無駄にでかい。私たちが襲う必要のない場所のはずだ。
「それに、この大通りは治安維持隊・ヴァルキューレが管理している場所だよな。いつもは奴らが来ない場所でやっているけどここじゃあ……」
「ここだと奴らに捕まりかねない……だろ?」
分かっているとでもいいたげに声を被せてくる。
「でも、断れない以来だったんだ。あたしの為にも、みんなの為にも…………。それより、時間だ。合図を待つぞ。」
「ああ……」
リーダーは一瞬俯いて、すぐに話を切り替える。この依頼はそれ程に重要なものなのだろうか。わからない。
そのように考えていると、パンッと乾いた音がする。
「合図だ。構えておけ。」
銃を構える。合図が出された場所の距離的に、私たちの役割が先兵だと察した。
「来るぞ!」
奥で3人と1人、人影が見えた。3人はどこかの生徒だろうか、見たことのある制服を着ている。だが、もう1人は……知らない服装だ。見た所銃も構えていない。素人だろうか。
そんな事を考えつつ、リーダーに顔を向ける。リーダーはこちらに一瞬だけ顔を向けると小さく頷き、敵の方へ視線を戻した。
「…………すぅ」
リーダーが大きく息を吸う。
「撃て───!!」
リーダーの合図で引き金を引く。だが、その瞬間、視界が白い輝きに包まれた。同時に、あたしは閃光弾を投げられたのだと気づいた。
「敵が来る!!お前ら!攻撃に構えろ!!」
腕をクロスして顔の前を塞ぎ、相手の追撃に備える。
「………………。」
……追撃が来ない。仲間の声、リーダーの声も聞こえてこない。まるで、雪原の中1人迷子になった様だ。少し時間を空け、目を開く。
「…………は?」
目の前には人が居た。それも明らかオーバーサイズな服を着て。
カチャリ……再び銃を構えてそいつを狙う。そいつは戦闘中だと言うのに何もしてこない。せっかく閃光弾まで使ったのにだ。
「ん?あれ?ここ戦場?」
目の前でそいつが呟く。
…………何を言っているんだ。こいつは。自分から閃光弾を投げて来たのだろう。それに……。
「"皆んな行くよ!"」
「狼狽えるな!撃て──!」
リーダーが声を出して、再び戦闘が開始された。
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「いったた…………」
アジトに戻って、怪我を治療中。敵は安全な弾を使っていたとは言え、アザは免れないだろう。
「はぁ……」
戦闘の結果は敗北。ただ、先兵としては充分だった。まず、目の前の奴を集中砲火して、弾を全部避けられて…………奥の奴らに撃たれて…………目の前の奴諸共全滅して…………。
…………本当に充分か?……まぁ、依頼金も貰えたしいっか。
「それにしても、依頼主が厄災の狐だとは……」
依頼金をもらいに行った時、その姿を見てしまった。
「はぁ…………」
出したくもないため息が出続ける。寝不足に加えて、朝から大規模戦闘。疲弊しきった体は正直者の様だ。
「さっきからため息ばっか……どうした?」
隣から声をかけられる。あまりに疲労が溜まっていたのか、同室に仲間がいるのを忘れていた。
「いや、何でもない……」
「そっか、ちゃんと休めよ。」
「あぁ、そうする。」
1人、服装をハンガーにかけ、銃を壁に立てかけ、布団を敷く。そして、倒れ込んだ。
どっと疲れが押し寄せて、睡眠欲を誘発させてくる。争う間も無く、自然と目を閉じる。
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次に目が覚めた時、アジトが敵襲を受けた。相手はここら周辺の治安維持隊。急な襲撃に対応できるわけもなく、皆でそこから立ち退くことしかできなかった。
「どうしてこうなった……」
先程まで寝ていた場所とは打って変わって、今いる場所はD.U.郊外の家々の路地裏。元いた場所は制圧されてしまったので、もう戻れないだろう。
「皆んな…………」
先程まで、あたしを気にかけていた奴も、あたしに喧嘩をふっかけて来た奴も、そして、リーダーも、皆元気がなくなっている。
「皆んな辛そうだね。」
「どうした?お嬢。」
隣にお嬢がやって来た。衣装は前みたいにボロボロではないが、さっきの一件で服が少し破れている。
「皆んなを元気づけるにはどうしたらいいかな。」
「……ごめん。それはわからない。」
今の現状を見て、それをできる人はなかなか居ない。金と、仲間と、居場所を大事にするあたしらにとって居場所をとられたのは致命傷だ。現に、ヘルメット団は概念としての物となり、この場で去っていく者も出て来てしまっている。
「そっか、じゃあちょっと頑張ってくる。」
何をあたしに聞きたかったのか、自己解決すると皆んなの前に行き、声を上げた。
「皆んなはこのままでも良いの?」
「…………」
皆の視線がお嬢に集まる。
「次に向かって動かなくても良いの?」
「……ナグサ」
リーダーが今じゃないとでも言う様に首を横に振る。あたしも同じくそう思う。お嬢の言葉は酷く現実を突きつけて、今、みんなが聞きたい言葉ではない。そんな事を言って仕舞えば、ヘイトを買ってしまうのもわかりきった事だ。
「てめぇ、さっきからうるせぇんだよ!!」
「────でも!!」
「みんなが私に言った事でしょう!?前を向けって!!」
お嬢が声を張り上げる。お嬢がここに来てから一ヶ月間、今まで聞いたことのない声量で言葉を紡ぐ。
「家族も、居場所も、友達も、未来も、全て失った私に!!今よりももっと辛い状況にいた私に!!」
「そう言ったでしょう!?言ったからには見せてよ!!どんな状況でも!前を向くその姿勢を!!」
あいつも声量に気圧されたのか、無言になる。そして、お嬢が全て言い切ったその数秒後にあいつは喋り始めた。
「…………ちっ……本当にうるせぇ……。言う様になったじゃねぇか。
「ほんっと、一ヶ月前の無言を貫く姿勢はどうしたんだか……」
「……はぁ、良いぜ。やってやる。言ったからにはやる、それがあたしだからな。このイライラは治安維持隊含め、全敵にぶつけてやんよ。」
一番お嬢にキレていた奴が懐柔されたからか、それとも皆にあの言葉が響いたからか、ヘルメット団の士気は格段に上がった。
「あ、そうだ。もし、敵に復讐出来る機会があったらその時は、あたしがリーダーをやって良いか?」
「勿論、良いぞ。その時はリーダーとしての役割をお前に託す。その方がやる気が出るだろう?」
「ああ──!!」
そして、そこからの展開は早かった。その日のうちに別の空き家を探して、居場所を確保。仕事をこなしながら、治安維持隊を攻撃し、シャーレと言う名のあたしらがアジトから出された元凶を突き止めた。そして、奴らと戦闘するにまで至ったのであった。
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「リーダー、本当に良かったの?あれ以来、お嬢のおかげで士気が上がっていたと言うのに。」
リーダーがシャーレの指揮官と話終わった後、二台目アジトへ向かう道中に聞いてみる。
「あぁ、ナグサをシャーレに行かせたのは良い選択だった。あたしらの仕事は彼女にはきっと不向きだっただろう。」
リーダーは「それに……」と言葉を紡いだ。
「あたしらの様な弱小ヘルメット団にもついに
リーダーが手に持っていたそれは普通サイズの茶封筒で表面にヘルメット団総連合と。
「これからは依頼内容も黒くなるだろうし、名前だって変わるだろう。もしかしたら、メンバー全員、
「そう考えたら、彼女を向こうに行かさせて正解だったと思うだろう?」
「そう、だね。ちょっと悲しくもあるけど。そんな事聞けばそれが正解だってわかったよ。」
「「でも…………」」
リーダーと声がかぶる。だが、多分言いたいことは同じだろうと感じたのでそのまま続ける。
「「次、お嬢(ナグサ)と出会う時はゴリラみたいになってないと良いなぁ……」」
2人しておんなじ事を考えながらアジトに辿り着くのであった。