この世界、全然透き通った世界観で送る学園なんかじゃねぇ! 作:気分屋「星七」
追記、一応、正史何ですけど……内容が閑話になっているのでそこは注意です。(今回、先生は出て来ません。)
「う〜ん、どうしよ」
目の前に広がるその銃達の重圧感に押し潰されそうになりながら、平然を装って腕組みをする。そして、手前の初心者向けの銃を見たり、奥の上級者向けの銃を見たり、しながらウロウロしている。
「どれが良いのかさっぱりわからない……」
ヘイローの見えるこの姿はキヴォトス人のそれだが、中身は日本生まれ日本育ち、銃の実物なんてもっぱら持ったことも見たことも触ったこともなかった。
「やっぱり、ユウカとか先生とか連れてくるべきだったか?」
「いや、今ユウカ達とは気まずい関係にあるし1人で来た方が良かったよな……うん……」
それで、シャーレの初月給が入った今日、銃を買いに出掛けているのである。……のだが、
「う〜ん……本当にどれ選べば良いのか分からん。」
初心者にお勧めの銃が
一応、ここのガンショップには射撃場がついており、試し撃ちをする事が可能なそうだ。でも、事前知識がないからリロードする方法も何も分からないのだ。
「う〜〜……」
「お客様。先程から店内を彷徨かれておりますが、何かお探しの物とかありますか?」
急に背後から声をかけられたことにより、「うわっ!!」と声が出そうになったのを抑え込む。すぐに背後を向き店員と顔を合わせる。店員の見た目はゲーム内でも見た量産型ロボットであり、身長は恐らく男性平均と同じ。だが、今の私から見ると高身長に見えてしまう。
「えっと、そうですね。銃を初めて持つ人にお勧めの銃ってあったりしますか?」
「銃を初めて……、ならこのハンドガンとかはいかがですか?反動が少なく、弾数も15+1発と、多い方ですよ。」
「ほうほう……」
全く分からん。反動が少なくと言うのは分かったが、弾数15+1発と言うのは初めて聞く単語だ。何だ+1発って16発と言えば良いじゃないか。
「あの、連続で撃てる銃はお勧めでは無いんですかね?」
「銃を触った事がない人にはお勧めできかねます。なんせ反動が強く、いざという時に敵に弾を当てれなければ銃の意味がないですから。」
なるほど……どっかの漫画で見たあれだな。洞窟の中に長剣を持って行っても振れなきゃ意味がないと言うあれだ。
「そう、ですか……じゃあ、試し撃ちとかって出来ますか?」
「ええ、出来ますよ。さぁ、こちらに。」
店員さんに奥に案内され、「どうぞ」と言われた時には、人型の的が私をお出迎えしてくれた。
「そちらの銃はインターナル・セイフティとなっていますのでトリガーを引いて頂ければすぐに弾が出ますよ。」
いんたーなるせいふてぃ?初めて聞く言葉の羅列その2が出て来たぞ?やはり初見じゃ何も分からない。まぁ、トリガーを引けば弾が出るらしいので撃ってみる。
「うっ…………いや、そこまでだな。」
反動に警戒しつつ、トリガーを引く。パンと乾いた音が鳴り、その弾は的を貫通する。弾を撃った反動で腕が上に上がる物だと思っていたが、腕の位置はぶれず、それどころか振動が来ない。やはり、初心者向けといわれているだけはある。
「す、素晴らしい……。あなた、本当は銃を持つの初めてではないでしょう!!」
的に目を戻すと、人の眉間の位置にぽっかり穴が空いていた。
「え?いやいや、奇跡ですって。」
狙ってないと言えば嘘になるが、この銃が反動を抑えてくれているおかげで、当たりやすいのだろう。そう思い、全弾を同じ場所めがけて撃ってみた。
「やはり、私の目に狂いはなかった!」
「え…………」
結果、弾は全弾命中、大きく離れている弾で最初の穴から誤差2mmとなった。
「いやいやいやいや!!この銃のおかげですって!!」
「果たして本当でしょうか……。それではこちらの銃も使ってみて下さい。」
「これは……」
渡された銃は先程と同じく、ハンドガン。だが、やけに銀色を基調としており、今持っている物と同じく分厚い。
うーん、名前は何だっけか、昔、バトルロワイヤルゲームで持った事があった気がするんだけど…………。
「この銃は反動が強く、弾数も少ない。けれど、高威力。ハンドガンを模したスナイパーライフルの様な銃なんですよ。」
「……デザートイーグル」
あぁ、今の説明で思い出した。これ、デザートイーグルとか言う奴だ。中二病の頃、これを持つの憧れてたのを思い出したよ。
「やはり……それを知っているとは素人ではないですよね。」
「えぇ……本当に違うんだけど…………」
渡されたからには撃つしかないだろう。……かっこいいし。
「ええい!!」
力を込めて
「あたった…………ん?」
嬉しさも束の間、すぐに違和感に気づいた。一切の反動がないのだ。疑問に思い、2、3発的に撃ち込む。反動がない。
「あれ……」
「おぉ……それすらも上手く使えてしまうとは……」
初見でデザートイーグルが使えたことに大困惑していたところ、一つの考えに辿り着いた。
自分でも認めたくはないが、ゴリラパワーのあるこの肉体なら、力の入れ具合で銃の反動を抑えられるのでは?と。
「やはり、訳ありのお客様なんですね。」
「ちょっと誤解しないでください!!」
「……大丈夫ですよ。そう言うお客様は意外と多く存在しますから。」
「はぁ……」
店員さんは何かが腑に落ち、納得している。さっきから何度も違うと言っているが、話を聞く耳がない様なので諦める事にした。
「それで、本当はどんな銃をお求めですか?デザートイーグル含め、裏の商品もいくつか取り揃えております。」
あー……なるほど。これはあれか。裏社会での隠語を偶然引き当ててしまったみたいな感じか。今思えば、これだけの大きさのガンショップ、店員1人で切り盛りしている事自体がおかしい。ここを維持できるのであれば、もっと人材を雇える筈だ。
…………さてどうするか。気づいてしまった以上「いや、私、本当に銃を持つのが初めてで……」なんて言ってしまえば裏社会の者に潰されるに違いない。きっと、ここはデザートイーグルを買うのが正解だろう。
「…………デザートイーグルが欲しかったんだよね。ここ以外じゃ滅多に見かけないから。」
買う理由も適当にアドリブで言ったが、やはりそれが正解だった様で、店員は頷くとデザートイーグルを販売してくれた。月給の半分が消えた。それと、先程の初心者向けHGをかなりの安値で売ってくれた。これは…………うん。
そうして、私は初月給の10分の8を使い、素手以外の戦闘手段を手に入れる事が出来たのだった。
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いつもとは違い、やけにハイテンションでシャーレに戻る。理由は単純先生に銃を自慢するためだ。
入り口の扉を開け、ちょっとした違和感に襲われる。やけに、静かだ。廊下にかかっている時計に目を合わせても、まだ、お昼休憩の時間。それに、今は私以外にもナグサもここにいる。会話でもしていれば聞こえる筈だ。
ちょっとした不安感にかられ、先生のいるであろう仕事場へと足を早めた。扉を開け、いつもの場所に視界を動かす。
「……いない」
先生が見当たらない。
別の場所にいるかもしれないが、一応、先生が寝ていた前例もあるので、机に近づく。
……そこに、先生はいなかった。
やはり、前例なんて当てにならない。そう考え、先生の机から視線をずらした時、自分の机の上に気になるものが置いてあった。
「手紙?」
それは手紙であった。それも、外側に名前も何も書いてない手紙だ。嫌な予感がしつつもそれの封を切る。中から、ひらりと大きい付箋サイズの小さな紙が出て来た。
「これは……」
紙に書いてある文字は一目見てわかる。隣で一ヶ月も見た文字を忘れる訳がない。
「先生の文字だ。」
誰が書いた手紙か分かり、余計に嫌な予感がしているが、的中しないでくれと祈りながらその中身を読む。
「…………」
嫌な予感は見事に的中した。
──今、先生達はアビドスに向かっている。
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