ポケモンの世界にTS転生したら主人公の脳を壊した。

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七夕の日記念作品です。
短いですが誰かこんな物語書いてくれないかなって思いで書きました。

誰か書いて!


隻腕のTS転生者がハルト君の脳をぶっ壊すお話

「あー、最悪っ」

 

 雲一つ無い快晴、水気なんか欠片も無い乾き切った空気。

 そして地平線の彼方まで広がる緑一つ無い砂漠と砂丘、そして蜃気楼。

 唯一の移動手段であるバイクは既に燃料が尽き動かない。いや、燃料があったとしても動く事は無いだろうこのポンコツは。

 食料も水も無し。ポケモンフーズも底を尽き、味が混ざり過ぎて吐きそうになるオレンの実を含めた各種木の実も全て失った。

 自分の居場所さえ不明、通信端末は既に電池切れ。

 誰がどう見てもこの状況を遭難したと判断するだろう。

 

「二度目の人生、しかもポケモンの世界で遭難が死因って最悪過ぎるだろ」

 

 腰まで伸びた白髪を左腕でガシガシと掻きむしる。

 

「まあ、右腕を失った時点でそんな甘い幻想は捨てたけどさ」

 

 そう言ってオレは自分の右腕に視線を向ける。

 右腕は上腕から先が無く、袖がブラブラと風でたなびいている。

 

「本当、最悪だよ…………」

 

 オレことルクスはこのポケモンの世界に転生した転生者である。

 転生した経緯も邪神扱いされている某ポケモンの手によって、生まれ変わっていたという神様転生にありがちなものだ。

 尤も、その後は色々と悲惨で腕を失う重傷を負ったわけだが。

 

「挙句の果てにはこれって、本当に運が無いなぁ」

 

 ここまで色々とネガティブな事を考えてしまったがポケモンの世界に来て良かったとは思う。

 でもこの悲惨な境遇は大人の心を持ってなかったらぐれてたか内気でオドオドとした性格になっていただろう。

 これも全部邪神のせい――――と、言いたいけど人間のせいだ。

 悪い奴が一人、悪い奴が二人、悪い奴等が沢山と数えるのも億劫になる程のごみ溜めで――――。

 

「いっそのことここで全部投げ出すのも悪くないかなぁ?」

 

 バイクから降りて砂の上に寝転がる。

 熱い、めっちゃ熱い。だけど全てがどうでも良くなった。

 そう考えていると自分の懐にある物が揺れ動いた。

 

「…………分かってるよ。できればお前には頼りたくないんだけどなぁ」

 

 懐で動いているものの意図を察し、ポケットから取り出す。

 それはモンスターボールと呼ばれているポケモンを捕える為の道具、その中でもかなり特別な赤色一色で黒いラインが走っている、プレシャスボールと呼ばれているボールだ。

 

「ほら、出ておいでコメット」

 

 プレシャスボールを放り投げ、中に入っていた現在のオレにとって唯一手持ちのポケモンが虹色の光とともに現れる。

 現れたポケモンは黄色い帽子を被っているかのように見える白いポケモンだった。

 頭部には赤い色の短冊のようなものが三つついており、お腹には閉じた第三の目があるポケモン。

 世間一般では幻のポケモンと呼ばれているポケモン、ねがいごとポケモンのジラーチのコメット(ニックネーム)だった。

 

「…………」

 

 ジラーチ、もといコメットは不貞腐れた顔をしてオレの事を横目で見ていた。

 頬を膨らませてジト目で此方を見ていた。

 

「どうしたの? 折角の可愛いお顔が台無しだよ」

「ジラァ…………ジラァアアアア!!」

 

 オレの言葉にジラーチはうがーと両手を振り上げながら激昂していた。

 ポケモンの言葉は分からない――――なんてことは無い。と、いうかここまで分かりやすく態度で示されたら余程の鈍感でも無い限り気付くだろう。

 

「何で自分を頼らないのか? だってさぁ、コメットって願い事叶えるの下手じゃん」

 

 ジラーチというポケモンは短冊に書かれた願いを叶える力を持っているとされている。

 尤も1000年に一度しか目覚めないとか、願い事は三つしか叶えられないとか色々眉唾物な話だ。映画だと別の場所から持ってくるということもあった。

 とはいえ、願い事を叶える力があるというのは事実である。

 ただうちのコメットちゃんは色違いだからか分からないが、1000年に一度じゃなく毎日普通に寝るし、願い事も短冊ではなく直接言えば問題ないのだ。これに関しては個体差もあるのかもしれないが。

 だが叶えるのが致命的なまでに下手っぴなのである。

 まあ、後者については下手で良かったのかもしれないが。願い事にはかなり体力使うみたいだし。

 

「ジラっ!! ジラジラ!!」

「あーもう、そんなに怒らないでって。ったく、分かったよ。きみに任せるよ」

「ジラ!」

 

 分かればよろしい、そう言わんばかりにコメットは宙を舞う。

 そして、その小さな身体が光に包まれる。願いを叶える準備が整ったようだ。

 さて、何を願うべきか。コメットは複雑な内容にしたら叶えられなくなるし、簡単な方が良い。

 取り敢えずは――――。

 

「今は水辺がある所に行きたいし…………」

「ジラァアアアアア!!!」

「フェナスシティ辺りで――――って、ちょっと! 最後まで言い終わって無いよ!!」

 

 最後まで言い終わる前に第三の目を開き、力を解き放とうとしている。

 不味い。だからコメットに願いを叶えさせたくなかったんだ。

 何とかしようと頭の中で考えをめぐらせるも時既に遅く、オレ達は砂漠から水辺がある森の中に転移していた。

 当然見覚えは無い。

 

「ジラっ!!」

 

 疲労の色を見せながらも誇らしげに胸を張るコメット。

 まあ、水辺があるところに行きたいといった願いは叶ったから良いか。

 何もない砂漠から水辺のある森の中に移動出来ただけ、まだマシだ。

 

「ありがと、コメット」

 

 疲れているコメットの頭を撫でながら水辺を見る。

 水溜り、というよりは小さな池くらいの大きさだ。しかもかなり綺麗だし野生のポケモンも泳いでいる。

 自分の身体を見ると砂漠の砂でジャリジャリ、酷く汚れている。

 

「…………少し洗うか」

 

 左腕に着けている装置を外し、コートのボタンに指をかける。

 

「コメット。お前も久々に浴びるか?」

「ラチっ!!」

 

 とっても元気良く返事をするコメットに思わず笑ってしまう。

 にしても、野生のポケモンなんて珍しい。一体ここはどこなのだろうか?

 

   +++

 

 道に迷ってしまった。

 オレンジアカデミーに通う為、パルデア地方に引っ越してきた少年、ハルトは森の中で迷っていた。

 コサジタウンからプラトタウン、そして目的地であるテーブルシティまでの旅は見るもの全てが新鮮だった。

 野生のポケモン達に整備されていない道、そして水平線の彼方まで広がっている広大な海。

 そして出会ったコライドンという謎のポケモンと出会い、仲良くなった事で背中に乗せて貰えた結果、森の中に入ってしまったのである。

 

「アギャス…………」

「気にしなくていいよコライドン。ボクも初めての旅だから舞い上がっちゃってたから」

 

 目に見えて落ち込んでいるコライドンを慰めながらハルトは考える。

 このままコライドンの背中に乗って歩いていればその内人に出会うだろう。

 

「ねぇコライドン、近くに人が居ないか分からない?」

 

 能天気ながらもそれが一番良いと考えたハルトはコライドンにお願いする。

 するとコライドンは質問の意図を理解したのか「ギャス!」と元気良く返事をし、走り出した。

 どうやら近くに人が居るのが分かったらしい。

 ハルトは心の底から安堵し、勢いよく走るコライドンに身を任せる。

 そして草むらをかき分け、水辺があるところに飛び出した。

 コライドンはハルトのお願いの通り、人が居るところを探し出した。

 ただ一つ問題があるとするならば同い年くらいの女の子が赤い短冊のようなものを付けたポケモンと一緒に裸で水浴びをしていたことだろう。

 

「なっ…………えっ!?」

 

 ハルトは目の前の裸の女の子を見て顔を真っ赤にし言葉を失う。

 目をひくのは彼女の身体に刻まれた傷跡だ。

 右腕は上腕の半ば、肩から肘までの真ん中あたりから先が失われていた。

 だがそれ以上に目をひいたのは少女の傷なんかではなかった。

 白色のふわふわとした長い髪に虹色の瞳、人形のように整った可愛らしい顔立ち。

 そして、片腕が無くても堂々としている少女の姿がハルトの脳に刻まれた。

 

「あー…………人がいるって事、考えてなかったな」

 

 ハルトがコライドンの上で停止していると、少女は困ったように頬をかく。

 それがハルトがルクスと名乗る少女との出会いだった。




簡単なキャラ紹介

ルクス
ポケモンの世界にTS転生した主人公。
隻腕で右腕が無く、左腕には何らかの機械を付けている。
手持ちは現在ジラーチのコメットのみ。

コメット
ポケモン名ジラーチ
特性はきずなへんげ。
いじっぱりな性格。

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