「先生着任と第二次D.U.騒乱勃発」
連邦生徒会長の失踪から2週間……であると同時に新たに外から来た、いなくなった連邦生徒会長直々に見出されたひとりの大人──「先生」が入れ違いとなるようにキヴォトスに赴任してきたその日。
連邦生徒会ロビーにて合流を果たした件の「先生」と七神リン主席行政官の2人が、次に合流することとなったのはレセプションルールにてリンを出待ちしていた4人の生徒たち──そんな彼女曰く「各学園を代表する、立派で暇そうな方々」──だった。
「モモカ、交通室の権限で大至急シャーレの部活まで直行するヘリを出して欲しいんだけど」
連邦生徒会長の失踪──サンクトゥムタワーの制御権の喪失による行政機能停止により発生したキヴォトス全土の混乱、であるというのに碌な対応さえ取ることのできていない連邦生徒会に非難轟々な彼女たちを他所に、肝心のリンの方はどこ吹く風とばかりに淡々と「先生」の輸送準備を整える。
常識的に考えて、現状に色々と突っ込みたい「先生」だったがその後続いたリンの通信相手からの返答に意識を奪われた。
《え、
「騒ぎ?」
リンの通信相手──モモカから発された「大騒ぎ」との不穏な台詞にリンだけでなく、先程まで非難轟々だった4人の女生徒たちも思わず黙ってモモカが続けるであろうその先の言葉を待つ。
《矯正局を脱走した停学中の──狐坂ワカモだっけ?──が
スケバンやヘルメット団を扇動しての大暴動──レンガや火炎瓶どころか重火砲や戦車さえも持ち出しての暴動など、「先生」の常識からすればもはや「叛乱」や「武装蜂起」とでもいえる規模に「先生」は着任して早々に胃が痛くなってくる。それはリンや他の4人も同じようで、気丈には振る舞うもただでさえ余裕のなさそうなリンの表情筋は既に決壊寸前。紫色のツインテールの髪型の少女は「うげっ」とした表情であり、茶髪の赤眼鏡少女と黒髪のセーラー服姿の長身の少女は頭を抱え、全身白づくめで長髪の少女は事態の重さに思考回路は機能停止寸前である。
《それに防衛室が掴んだ情報によると、どうやら「連邦生徒会所有のシャーレの建物を占拠しようとしてるらしい」とのことから現在RZ隊を筆頭に10個機動隊が緊急出動。暴動鎮圧のため、装甲放水車8台ならびに戦闘ヘリ4機と共にD.U.郊外に布陣中だよ》
「RZ隊……そう「彼」が」
しかし、そんなリンの表情も「RZ隊」の名を聞くと同時に一度冷静さを取り戻す。
「RZ隊って……確か去年あったD.U.事変で大活躍したってあの?」
「部隊損耗率300%……圧倒的に劣る練度と装備資機材の劣勢を損耗と献身により覆し首都治安回復に貢献した、かの「円卓の鬼神」が指揮する例の部隊が……」
話の内容からして首都近郊に配備された機動隊の一部隊であろう「RZ隊」なる部隊の話に、興味津々といった態度の紫髪と黒髪の少女。所々気になる台詞もあったが、確かにそれ程までに有名ならばリンの平静を取り戻せる程の「切り札」なのだろう。
ただ、そんな「切り札」を切った*1はずのリンの表情が一瞬何処か悔いるような、苦しそうな影を映していたのを先生は見逃さなかった。
「詳しい話は
「“うん?”」
が、しかし彼女の様子に気を取られていた所為か、唐突にリンからとられた承諾に意味も分からず勢いで承諾した先生。
「え、ちょっと待ちなさいよ⁈なんで私たちまで頭数に入ってるの⁈」
「こちらの先生は着任と同時に連邦生徒会長から各種特権を委譲されています。その中にはその場にいる生徒を必要に応じて臨時部員として強制的に部活に参加させる動員権さえあります。非常時ですので、たった今から貴女方には私と共に先生をシャーレオフィスに送り届けるまで護衛として付いてきていただきます」
そんな2人のやりとりに当然の
「モモカ」
《ん、一応
「なら装甲車を、先生は私たちキヴォトス人とは違う……1発の弾丸が命取りです。一番良いのを頼みます」
《任された、こんなの昼飯前だよ》
着々と準備を整える連邦生徒会組。その傍らで彼女たちも意外とやれるだけのことはやっているのだと的外れな感心を抱きつつも、己の獲物──
「準備が整いました。いきましょう、先生」