魔法科高校の劣等生 ガッチャードクロス   作:ユウジン

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第零章 プロローグ
ガッチャード


「良いか宝太郎。父さんの知り合いを頼れ。彼なら助けになってくれる」

 

燃える業火の中、父は自分を助けてくれた。

 

物心がついたときから、良く知らない施設にいて、そこで父に育てられた。母親のことは分からない。

 

ある日施設が爆発し、崩壊する施設の中、父は自分にあるものを託し、逃がしてくれた。

 

あの時、なぜ父が来てくれなかったのか、それは分からない。でも、このままでは良くないのだけはわかって、自分は、急いで逃げ出した。

 

父にもらったのは3つ、良く分からない箱と、2枚のカード。

 

「君が瀬乃 宝太郎君だね?」

 

すぐ近くにいた男性。その男性に保護され、更に離れる。

 

「俺は北山 潮。君のお父さんとは古い友人でね。君の保護を頼まれた」

 

父は何で来ないのか。そう聞いた気もするが、潮は答えず、そのまま連れて行かれた。

 

その後知ったのは、謎の研究施設が爆発し、その研究対象が逃げ出したことによる世間の混乱。

 

その研究対象の名はケミー。大昔の人間が作り出した生命体。そしてその後ケミーが起こした大事件が、後に語り継がれる、ケミー事変である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

時は西暦2095年。不可思議な力として扱われていた超能力や魔法が、科学により解明され、技術体系として確立されてから長い。

 

今ではそれを扱う人間を魔法師と呼び、専門に育成する学校も多く設立される程。

 

強い魔法師を多く抱える国が世界を台頭する。そんな風潮も根強くなった。実際はそうだ。

 

だが同時に、日本ではとある事件も抱えている。

 

今から十年程前、とある研究機関から逃亡した人工生命体ケミー。

 

今の魔法技術を持ってしても、殆ど解明できない未知の生命体であり、一体一体が超A級のアーティファクトに匹敵する。

 

大昔、魔法がまだ神秘だった時代に作られたとされており、その実態は謎。その施設も破壊され、当時の研究資料も残っておらず、更にその騒動で日本各地にケミーが逃亡。殆どが行方を切らませている。

 

だが、ケミーを野放しにはできない。理由は色々あるのだが、まずケミーは現代魔法でも解明できない力を持っている。多種多様な力を持つそれは、一体でも悪意のある人間に渡れば、甚大な被害を出しかねない。

 

そもそも、そんなパワーのあるケミーが野放しでは、悪意がなくとも周りに被害を出す可能性がある。

 

それに何より、悪意のある人間に渡った場合、恐ろしい事態が待っているのだが……

 

そんなわけで、ケミーを回収する必要がある。

 

「ってなわけで!これよりケミー探しを始める!」

「おー」

「がんばろー!」

 

とあるショッピングモールの一角。そこは現在封鎖されており、そこに立ち入るのは10代半ばの少年と少女二人。

 

「しかし暗いなぁ」

「雰囲気あるよね……」

 

少年と明るめのツインテの少女が話すと、物静かな雰囲気の少女が携帯を弄りながら、腕についた機械を操作し、

 

《サーチモード!ケミーヒット!オカルトケミー!》

「うん。ケミーの反応ありだね」

 

「じゃあ探してみるか」

 

少年はそう言って歩き出す。

 

「あ、宝太郎君待って!」

「二人共走らないの」

 

それに続くように、二人の少女も歩きだすのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

この大型ショッピングモールは、多くの店舗が軒を連ねる場所で、ここの設立と経営には、ホクザングループも大きく関わっている。

 

そんな折、ショッピングモールの一角にて、不思議な話が聞かれるようになった。

 

閉店したあと、知らない子どものような声が聞こえる。カチャカチャ音がする。昨日と物の位置が少し変わっている。そんなオカルトチックな話が聞こえてきた。

 

そこで、3人はやってきたのだが、

 

「まてぇえええええええ!」

「ケアリー!」

 

宝太郎と呼ばれた少年が、廊下を猛ダッシュしながら、妖精のような姿のモンスター?を追いかける。

 

「オカルト族レベルNO.1。ケアリーだね」

「意外とすばしっこーい!」

 

少女二人も捕まえようとドッタンバッタン追い掛けるが、ケアリーと呼ばれたモンスターはヒョイヒョイ避ける。

 

「宝太郎君!そっち!」

「雫!そっち行ったぞ!」

「ほのか、そっちだよ」

 

そして、

 

「そこだぁ!」

《ケミーキャプチャー!》

 

しかし二人から避けた時の僅かな隙を見逃さず、宝太郎が腕の機械を操作して向けると、モンスターを捕まえ、

 

「よし!」

 

カードを向けると、そこに入り、絵柄がついた。

 

「ガッチャ!これからよろしく!ケアリー!」

「ケアリー?」

 

宝太郎がそう声を掛けると、ケアリーと声をかけた。それにケアリーはカードの中で首を傾げている。

 

「じゃあ後はここのオーナーに話をして……」

 

雫と呼ばれていた物静かな少女は、携帯を取り出して連絡を取ろうとすると、

 

「何か臭くね?」

「確かに。何か焦げ臭いような?」

 

3人は顔を見合わせると、

 

 

《火災発生中。館内の皆様は直ちに避難してください》

 

「火事!?」

 

ほのかが悲鳴をあげるが、

 

「大丈夫だよほのか。ここは火事対策も万全だから、慌てずにゆっくり避難しよう」

 

雫のそんな言葉に、ほのかは頷くと、3人は移動を始める。だが、

 

「おい」

『ん?』

 

いきなり声を掛けられ振り返ると、そこには黒い服を着た高身長の女性がいた。

 

「えぇと、避難ですか?それならここいけば良いんで一緒に行きますか?」

「いや。それよりお前たち、ケミーを持っているな?」

「っ!」

 

突然の発言に、3人は顔を見合わせる。それを見た女性は、

 

「そのケミーを渡せ。それは我らが使う」

「使うってまるでケミーを道具みたいに」

 

宝太郎が歯を噛み締めながら言うと、

 

「ケミーは道具だ。我らの大願を叶えるためのな」

 

そう言って女性は宝太郎達に襲い掛かってくる。

 

「危ない!」

 

宝太郎は二人を突き飛ばし、女性の攻撃を避けた。

 

「ちょこまかと!」

 

女性の連続攻撃を転がって避けながら、宝太郎は逃げていく。

 

「宝太郎!」

 

雫は叫びながら、腕輪型の機械を操作。

 

現代魔法はこう言った機械・CADを操作することで魔法発動の速さと安定性を確保した。因みに、法器(ホウキ)なんていう言い方もある。

 

それにより、女性を吹き飛ばすと、そのまま壁に叩きつけた。

 

「えげつねぇ……」

「咄嗟だったから」

 

普通の人間なら、恐らく意識を失う。下手すれば骨が折れるほどだ。普通なら。だが。

 

「魔法師か。面倒だな」

 

だが、と言い女性はカードを取り出す。

 

「ケミーカード!?」

「あれはインセクト族レベルNO.9カマンティス!」

 

そうだ。と雫に女性は返しつつそれを投げると、カードが女性と一体化していく。

 

「さぁ、ケミーをよこせぇ!」

 

女性の姿がカマキリの鎌のような腕を持った、怪物へと姿を変える。

 

これがケミーを回収する一番の理由だ。ケミーが人の悪意と繫がり、マルガムと言う化け物に変えてしまう。

 

勿論悪意がなければ一緒にいてもマルガムになることはないのだが、このようにマルガムになってしまうと、周りへの被害がさらに大きくなる。

 

そして十年前、ケミーが解放されたあの事件で、各地で多くのマルガムが生まれ、大きな被害を出した。幸か不幸か、開放されたばかりのケミー達では、長時間のマルガム化は維持できず、すぐに自動で解除され、死者が出ることはなかった。だがそれでも、建物の損壊や怪我人は多く出た上に、一番の問題は、それが魔法師、非魔法師問わずマルガム化し、それだけの被害を出せたということだ。

 

魔法師でなくても、超常的な力を使える。魔法を使わずとも奇跡を起こせる。

 

現代のパワーバランスを大きく崩せる力を持っているケミーは、それだけで危険物だった。だが、

 

「ケミーは道具じゃない!」

 

宝太郎はそう言って、横長のバックルを取り出して腰に当てると装着。

 

《ガッチャードライバー!》

「まさかそれは!?」

 

驚く女性を尻目に宝太郎はカードを取り出すと、

 

「ホッパー!」

「スチーム!」

「二人共。力借りるよ!」

 

そう声を掛け、バックルにカードを装填。

 

《ホッパー1!》

《スチームライナー!》

 

そして宝太郎は両手で三角を作り、前に突き出し、

 

「変身!」

《ガッチャーンコ!》

 

するとオーラ状のホッパー1と、スチームライナーが出現し、宝太郎を取り囲み、アーマーを形成。

 

「さぁ、ガッチャの時間だ!」

《スチームホッパー!》

 

そして宝太郎の姿が、メタリックな水色に変わるのだった。

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