「はぁあああ!」
宝太郎がマルガムに飛び掛かると、空に飛び上がって逃げてしまう。
「なら!」
《ガッチャージガン!》
ガッチャージガンをだして銃撃。しかしマルガムは高速で飛び回って避けられる。
「へっへーん。空飛ぶ相手が苦手なのはちょっと前まで。今はこの2人がいるもんね!」
《ゲンゲンチョウチョ!バレットバーン!》
「変身!」
《ガッチャーンコ!バレットチョウチョ!》
宝太郎は形態を変化させ、ガッチャージガンを手に飛び上がる。
「いや遅!」
宝太郎達が戦い始め、ここでは巻き込まれると判断した克人は、素早くバスから全員を降ろし、後方に対比させた。その間に見た生徒の叫びなのだが、実際その通りで、宝太郎の形態。飛べるのだが遅い。蝶々のケミーであるゲンゲンチョウチョウは、飛ぶのが遅い。ヒラヒラと飛んで行くため、
「ホォオク!」
「いっでぇ!」
あっという間に撃墜されて、地面に叩きつけられた。
「クソぉ!ぶっつけ本番のガッチャンコだとどういうのか良く分からないからなぁ」
宝太郎が呟くと、再びマルガムが突っ込んできた。
「なら今度はこっち!」
《テレヴィ!バクオンゼミ!ガッチャーンコ!バクオンテレヴィ!》
宝太郎は素早くケミーカードを入れ替え、今度は人型からセミに沢山のテレビの画面がくっついたような姿に変化。
音波となって空気が震えるほどの爆音を鳴らし、マルガムが余りの音に苦しみ落下。
「からの今度はこっち!」
《オドリッパ!カマンティス!ガッチャーンコ!オドリマンティス!》
今度は両腕についた鎌で、マルガムを切る。踊るように軽快な動きで連続攻撃を叩き込み、マルガムは堪らず空に逃げた。
「あっ!もうちょいだったのに!」
「ホォオク!」
そして空から狙うマルガムだが、
「ホォオク!?」
宝太郎以外からの銃撃にギリギリで避ける。
「あぁ!確かバラバラド!」
「ヴァルバラドだ」
密かに人混みから外れ、ヴァルバラドに変身した達也は再びヴァルバラッシャーで銃撃するが、マルガムは避ける。
「ちょこまかと」
「そうだ!ならこれ使って!」
宝太郎は達也にケミーカードを投げると、
「ゲキオコプター?成程な」
《ガキン!ゲキオコプター!ゴキン!チューンアップ!ゲキオコプター!》
「さぁもう一回!」
《ゲンゲンチョウチョ!バレットバーン!ガッチャーンコ!バレットチョウチョ!》
腕についたプロペラを高速回転させ、空に飛び上がった達也は、マルガムを銃撃しながら接敵。
「ホォオク!」
「はぁ!」
そしてすれ違い様にマルガムを斬り、マルガムは大勢を崩した。
「これで終わりだ!」
《バレットバーン!メカニッカニ!》
ベルトからバレットバーンを取り出し、ガッチャージガンにスキャン。更にメカニッカニもスキャンし、他のカードと一緒にガッチャージガンの装填し構えた。そして、
《ガッチャージツインバスター!》
落下するマルガムに向けて発射。多数の銃弾がレーザーの様になりマルガムの体を貫くと爆発。
地面に落ちたのは初めて見る男性。ケミーをカードに封印しながら近づくが、
「っ!離れろ!」
「え?」
達也に引っ張られ、宝太郎が離れた瞬間、人間の方も爆発した。
「な、なに!?」
「恐らく身元がバレないように体にも爆弾を仕込んでいたんだろう」
用意周到な事だ。と達也の言葉に、宝太郎は背筋に冷たいものが走る。すると、
「礼を言う」
と言いながら来たのは十文字。それに宝太郎と達也はいえと言うが、
「フン。やはりその程度では相手にならないか」
『っ!』
その声に、宝太郎と達也は振り返ると、そこに立っていたのはクロトーだ。
「ちょうどいい。早速試させてもらうぞ」
クロトーはそう言って、ドライバーを取り出して装着。
「あれは」
「ドレッドライバー。お前達を殺す為の新たな力だ!」
驚く達也を他所に、次に出されたのはスチームライナーのカード。だが宝太郎のよりかなり禍々しい絵柄だ。
「え?スチームライナー?」
「安心しろ。レプリカだ」
とクロトーはそのカードをドライバーにスキャン。
《スチームライナー》
「変身!」
《ドレッド・零式》
スチームライナーのカードをドライバーの装填し、レバーを操作。
悲鳴のような音の後、クロトーの体は真っ黒で禍々しい姿に変わる。
「行くぞ」
『っ!』
走ってきたクロトーを迎え撃つ二人だが、
「なっ!」
一瞬で間合いを詰められ、宝太郎は殴り飛ばされる。
「くっ!」
達也はヴァルバラッシャーを振るが、腕で弾かれ蹴られる。
「速いやつにはこれだ!」
《スケボーズ!アッパレブシドー!ガッチャーンコ!アッパレスケボー!》
更に宝太郎はガッチャートルネードで矢を撃つ。
《アッパレブシドー》
それを避けながら、アッパレブシドーにレプリカケミーカードを装填。
《ドレイン!》
それとともに、クロトーの手に剣が現れ、宝太郎が続けて撃った矢を叩き落とし、宝太郎に接敵。
《チューンアップ!ガッツショベル!》
「っ!」
その背後を達也がガッツショベルとカードを入れ替えて殴る。
「はっ!」
《ケミーセット!》
そこにバーニングネロをガッチャートルネードにセットし、
《ケミースラッシュ!》
クロトーを切りつけ、二人がかりで吹き飛ばした。だが、
「その程度か?」
「そんな」
クロトーは平然と立ち上がり、再びこちらに来る。
(このままではまずい)
達也が内心呟いた時だ。
「ユーフォー」
『っ!』
全員が思わず声がした空を見る。そこに浮かんでいたのは、UFOの姿をしたケミー。
「ユーフォーエックスだと!?」
クロトーの驚きに、宝太郎もその名前には聞き覚えが有った。
各カテゴリーに分類されるケミーだが、レベルナンバーが1から10あり、それぞれ個性があれど、1から9には大きな力の差はないと言われている。だが10だけは違い、各カテゴリー頂点に立ち、圧倒的な力を持つケミー。
それがレベルナンバー10のケミー。
確かユーフォーエックスはオカルト属のレベルナンバー10だったはずだ。
「ユーフォー!」
すると次の瞬間ユーフォーエックスが光を放ち、思わずクロトーが目を瞑る。そして次の瞬間には、
「しまった!」
何と宝太郎や達也だけではなく、他の生徒達にバス等の乗り物まで綺麗さっぱりなくなっていた。
「クソ!やられた!」
悪態を吐くがそれより、
「なぜユーフォーエックスはアイツらを助けたんだ?」
そこだった。レベルナンバー10は強大な力を持つ。そして同じく言われていたのが、レベルナンバー10のケミーを従えてはいけない。と言うかそもそも従うような存在ではなく、従えられないといったのが正しい。
だからこそ、宝太郎達を助ける理由が分からない。
「まぁ良い。少なくともこの力はガッチャード達を超えている」
それさえ分かれば今はいい。とクロトーはその場を後にする。
「あら?」
一方その頃、真由美がポカンとしていて正気に戻ると、目の前には九校戦の会場が有った。
「転移した……のか?」
克人も驚いており、他の生徒達もざわついていた。
「っていうかガッチャードとか言うのとあの紫の機械も居ないぞ」
言われてみれば二人共既に姿を消している。深雪は不安そうに周りを見回すと、こっそり達也が戻ってきていた。恐らく宝太郎も隠れているだけだろうと安心。だがあのドレッドとか言う力。達也と宝太郎二人掛かりでも劣勢だった。
(嫌な予感がする)
深雪は下唇を噛みながら、密かに不安な気持ちを押し殺すのだった。