「えぇと」
宝太郎は山道をゴルドダッシュで走りながら、ケミーライザーを確認。
先日助けてくれたユーフォーエックス。その反応が会場近くの山にあり、宝太郎は九校戦会場を朝早くに抜け出し、ゴルドダッシュをかっ飛ばしてきた。
「この辺りが最後に検知された場所か」
ケミーはそれ自体が凄まじいエネルギーを持っており、いた場所には残滓のような物が残る。レベルナンバー10のケミーともなればそれも強い。だからこそ、それを追ってきたのだが、中々見つからないものだ。と思っていたら、
「ユーフォー」
「あ!ユーフォーエックス!」
何と向こうからやってきた。
「え、えぇとユーフォーエックス!まず助けてくれてありがとう!」
宝太郎はそうお礼を言うが、ユーフォーエックスからの返事はない。
「ただユーフォーエックス。あのドレッドっていう奴の力は強大で、今のままじゃ勝てないんだ。だから力を貸してほしい!」
そんな宝太郎の言葉だが、ユーフォーエックスはそっぽ向いてしまった。
「あ、アレ?」
まさかの反応に、宝太郎がずっこけそうになると、
「ホッパー!」
「スチーム!」
とホッパー1とスチームライナーが飛び出し、何か叫んでいる。それに続いて他のケミー達も飛び出し、何か抗議しているようだ。
「ユーフォー!」
だがユーフォーエックスは怒り、他のケミー達が吹き飛ぶ。
「皆!」
慌てて宝太郎がケミー達に駆け寄ると、皆はピヨピヨとヒヨコが回る程度で、怪我はない。
「おいユーフォーエックス!皆になんてことをするんだ!」
と、宝太郎が怒る。すると、
「ユー!フォー!」
ユーフォーエックスは再び発光し、宝太郎を光が包む。
「え?」
するとそこは、何処かの研究施設のような場所だ。
白衣を着た人達が、大勢でバタバタ走り回り、何か喋っている。触れようとするとすり抜けてしまい、これが現実でないことを教えてくれる。
「これはっ!」
少し進むと、そこにはケミーが閉じ込められ、研究されている光景。
驚きながら先に進むとそこには、
「ユーフォーエックス!?」
そう。ユーフォーエックスは電流を流され、声を上げるが、研究者達は気にせず研究を続けていた。
すると、
「何をしている!」
そこに乗り込んできた男性に、心当たりがある。見間違えるはずがない。
「父さん……っ!」
驚いて手を伸ばすが、当然すり抜けるだけだ。
「こんな指示をした覚えはないぞ!」
「で、ですが上からの」
「今すぐ中止しろ!ケミーをなんだと思っている!」
父の言葉で直ぐに中止させられ、ユーフォーエックスはカードに戻される。
「すまない。ユーフォーエックス」
父のその言葉と同時に、宝太郎は現実に戻る。
「ユーフォー!」
「ユーフォーエックス……お前は怒ってるのか」
人間に対して、ユーフォーエックスは怒っている。だから協力しないと言っているのか。
「それでも俺を助けて」
「ユーフォー!」
それはお前が瀬乃風雅の息子だからだ。だがもう二度はない。と言わんばかりの反応だ。
「ユー!フォー!」
ユーフォーエックスはそれだけ言い残すように背を向け、飛び去ってしまった。
「あ……」
思わずユーフォーエックスが飛び去った方に手を伸ばしかけるが、既に飛び去った後なので意味がないと思いとどまる。
「ホッパー……」
「スチーム……」
ホッパー1とスチームライナーが心配そうに覗き込んでくるが、大丈夫とだけ返した。
何だかんだ、今までのケミー達は友好的だった。だが、ユーフォーエックスは明確に怒り、人間を拒絶していた。
(どうすればユーフォーエックスの心を救えるんだ)
宝太郎は、自身の手を見ながら、心の中で呟くのだった。