魔法科高校の劣等生 ガッチャードクロス   作:ユウジン

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九校戦開幕

「うぅん」

 

ユーフォーエックスに逃げられやその日。宝太郎は頭を悩ませていた。それはユーフォーエックスのことだ。

 

どうすればいいのか。どうすれば納得してもらえるのか。それがわからず頭を悩ませている。

 

「宝太郎君!」

「はひっ!?」

 

びっくりしながら声の方を見ると、目の前にほのかの顔がある。

 

「ボーっとしてないで!雫の試合が始まるよ!」

「あ、あぁ!」

 

宝太郎は慌ててビデオカメラを動かす。これから雫が出場するのはスピード・シューティング。

 

5分間で100個出てくるボードを誰が1番壊すかを競い合う競技だ。

 

「まぁ雫の実力なら余裕だろう」

 

と雫のCADを調整した達也は言いながら、

 

「しかし凄いカメラだな」

「俺もそう思う」

 

宝太郎も頷く。何せこのカメラ、超高性能で会場に居るテレビの取材カメラより余程高級品である。

 

そのためデカく、別ベクトルで目立つ存在になっていた。

 

「どんだけ綺麗に撮らせる気だったんだよあの人は」

 

思わず頰が引きつりつつ、カメラで雫を移す。

 

「凄いカメラねぇ」

 

と、やってきたのは真由美だ。

 

「あ、そうだ!ねぇ瀬乃くん。ビデオ折角だからうちの選手たちのも撮ってくれないかしら。記憶媒体のお金は生徒会で出すから」

「それは構いませんよ」

 

ありがとー!と言うやり取りをしている間に試合が始まる。

 

無数に飛び出すボード。だが凄まじい速度で破壊される。一度に幾つも破壊され、明らかに選手達に動揺が走る。

 

しかし雫は冷静だ。淡々と破壊し、魔法を起動し続ける。

 

雫曰く、達也のメンテナンスは完璧らしい。雫の普段のCADは日本で五指に入るほどの腕前の人間が雇われている。その雫を以てして、完璧と言わしめたのだ。何なら何時もより調子がいいとのこと。

 

(どんだけすげぇんだお前はよ)

 

そんな中でも涼しい顔の達也。世の中広いなぁ。なんて思っている間に、試合は終わった。

 

結果は見るまでもなく、雫の圧勝だ。午後から決勝戦があるが、この調子なら余裕で勝つだろう。

 

宝太郎はそう確信しながら、ビデオで雫をアップにするのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おめでとー!」

 

そんな日の夜、一年の女子達は集まっていた。

 

新人戦スピード・シューティングは、まずは雫の優勝となった。

 

「明日はほのかのバトルボードかぁ。頑張……って大丈夫?」

「だだだだだだいじょうぶぶぶぶぶぶ」

 

全く大丈夫そうではなかった。ほのかは全身を高速で振動させており、顔色が悪い。

 

「昔から本番前はほのかこうなってるから」

「うぅ」

 

緊張と本番に弱いほのかは、既に萎縮している。

 

「それだったら王子様にお願いしたら」

「え?」

 

エイミィの言葉に、ほのかはポカンとすると、

 

「ほのか。僕が付いているから平気だよ」

「あーんオージ様。そんな事言われたら緊張も心もほどけちゃいますわー!」

 

とスバルと何やら寸劇までし始めた。

 

「多分宝太郎君そんな気の利いたセリフは言わないと思うわ」

「その通り」

 

深雪と雫が思わず頷くが、

 

「ほのか?」

「はへ!?な、なんでもないよ!」

 

ちょっと妄想でトリップしていたほのかを現実に引っ張り戻していた。すると、

 

「そうそう。達也くんの調整どうだった?練習では使ったけど、本番ではまだ分からないからさ」

「問題なし。寧ろ練習の時より更に良くなってた」

 

エイミィの言葉に、雫がそう答えると、深雪がエッヘンと言わんばかりに嬉しそうな顔になる。

 

「それなら私も腕が鳴るな、折角綺麗に撮って貰えるんだし」

「どういうこと?」

 

スバルの言葉に、雫は今度は首を傾げる番だ。

 

「いや何でも瀬乃君が高性能カメラを持ち込んでて頼めばそれで撮ってくれるって」

「あー。成程」

 

雫が思わず遠くを見る。

 

一方その頃、

 

「はっくしょい!」

 

夜、外を歩いていた宝太郎は、技術スタッフのテントに来ていた。

 

そこでは達也が一人で作業しており、

 

「ん?どうした宝太郎」

 

まだ声を掛ける前から達也が振り返る。

 

「お前後ろに目がついてるのか?」

「そんなわけ無いだろう。で?どうしたんだ?」

 

そうだったそうだった。と宝太郎はまず菓子折りを出すと達也に差し出す。

 

「一先ずこちらをお収めください」

「何だ急に」

 

思わず訝しむ達也に、いいからいいからと宝太郎はお菓子を押し付けると、

 

「と言うわけで明日って何もなかったよな?」

「あぁ、女子バトルボードは俺の担当じゃないからな」

 

だよね。と宝太郎は頷きつつ、

 

「お願いします王様神様仏様達也様。どうかほのかに知恵を授けてください」

「なに?」

 

頭を下げられ、達也は面喰らった顔になり、

 

「ほら、雫にも色々策を授けてたじゃん?決勝戦何て見たことない魔法魔法作ってさ、魔法大学のインデックスに登録されるんだろ?だからなんかほのかにもお願いしたいなーって」

「雫もそうだが、ほのかも自力がある。俺の策なんて必要ないと思うが?」

「いやアイツこういうイベントごとの前日緊張しすぎて寝れなくなるし、当日もガチガチだと思うんだ。そんで失敗して落ち込むまでがワンセットなんだけど、雫と一緒に頑張ってたのもしってて、今回は優勝させてあげたいんだ」

 

と言って頼み込んでくる宝太郎に、達也はため息を吐きつつも、

 

「分かった。明日早めに会場入りするようにほのかに伝えてくれ。それまでにほのかが優勝できるような作戦を考えておくよ」

「ありがとう達也!」

 

手を握ってブンブン振ってくる宝太郎に、達也はヤレヤレと言いつつも、笑みを浮かべるのだった。

 

「何故そこまで気が回るのに鈍いんだ」

「何か言った?」

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