「……」
ベッドの上で、雫は寝転がったまま動けない。
先日、アイスピラーズ・ブレイクが終わった。順調に勝ち進んだのだが、何と1位から3位まで一高が独占。
その際、決勝戦をなしにして、同時優勝という話もあったのだが、雫はそれを断り、1位決定戦を望んだ。
エイミィは辞退したが、深雪はそれを受け入れ、雫と深雪の対決が始まった。
二人の戦いは序盤は一進一退。更に中盤は今まで対戦相手に無傷で勝ってきた深雪の氷を破壊し、雫優勢になったが、終盤で深雪が巻き返し、圧倒的な力で勝った。
文字にすれば雫が惜しくも、と思えるが、実際雫は違った。
深雪への攻撃は、深雪の虚をつけただけ。深雪は動揺を押し留め、立て直すと一気に巻き返し、逆転されたのだ。
圧倒的な実力の差。戦ったがわかる。それだけ深雪と自分の間には差があった。
「ん?」
ドアをノックされ、雫は体を起こして開けると、ほのかが立っていた。
「おつかれ」
「うん」
雫はほのかを招き入れ、二人でベッドに座る。
「負けちゃった」
と最初に言ったのは雫だ。
「深雪は強かったよ」
「そうだね」
手も足も出なかったなぁ。と雫の目から涙がこぼれる。それを見たほのかは優しく抱きしめるのだった。
「うーむ」
宝太郎は適当に散歩しながら、ほのかからの連絡を待つ。恐らく雫は相当落ち込んでいる。
なのでまずほのかが行き、その後宝太郎も顔を出す算段だったが、中々来ない。と思っていると、
「宝太郎?」
「達也と深雪じゃん」
こんなところでなにしてるんだ?と達也が聞く。
「雫とほのか待ち」
「あ」
それを聞き、深雪が口元を抑えるが、
「あー。深雪。気にすんな。勝負事だしな。お互いマジでやったんだ。その結果だからな。まぁそれでも悔しいしちょっと落ち込んだりするけどさ」
まぁこれからも気にせず仲良くしてくれや。と宝太郎が言うと、
「雫が良ければ良いのですが」
「雫は体は小さいけど器はでかいから心配すんな」
アッハッハッハ。と笑う宝太郎だが、
『あ』
達也と深雪がポカンとしながら宝太郎の背後を見ると、
「誰が小さいって?」
「げっ!」
背後からの声に、宝太郎は飛び上がると、そこには困った顔をしたほのかと、ムスッとした雫がいた。
「誰が、小さいって?」
「あ、いやーそのー」
タジタジになりながら後ずさる宝太郎と、詰め寄る雫。すると雫は深雪を見て、
「おつかれ深雪」
「えぇ雫も」
と言って笑い。
「お茶行かない?宝太郎のお奢りで」
「え?」
「良いですね。お兄様もいいかしら」
「え?」
「勿論。達也さんも行こう」
「え?」
「そうか。じゃあお邪魔させてもらうか」
「え?」
「それじゃあみんなで行こー」
「えぇ?」
流れるように奢る事になり、宝太郎は呆然としたものの、全員に背中を押され、カフェに連れ込まれるのだった。