魔法科高校の劣等生 ガッチャードクロス   作:ユウジン

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第三章 夏休み
歴史


「暇だ〜」

「暇だね〜」

「そうだね」

 

宝太郎達は自宅に閉じこもりながら、グダグダとしていた。

 

3人でゲームしたり駄弁ったりしているが、世間では夏休みに入ったばかり。出かけたいがまだ外は危ない。なので宝太郎の部屋でゴロゴロしている。空調は完璧なので、暑さは良いが退屈はどうしようもない。

 

なんてしていると、

 

「ん?」

 

宝太郎の携帯に連絡があり、通話を開くと、

 

「エリカ?」

「やっほー宝太郎君元気?」

 

今までの付き合いでわかる。これは大体面倒なことになるやつだぞ。と思わず3人は顔を見合わせると、

 

「最近どう?」

「どうってまぁ特に最近は何もないからなぁ。暇してるよ」

 

そっかー。とエリカは笑って言うが次の瞬間、

 

「アタシ達に説明する義務あるでしょうがぁあああああ!」

「すいません早急に場所を用意させていただきますあいだ!」

 

エリカの迫力に負け、慌てた挙句に壁に激突する宝太郎を見て、雫とほのかはため息をつきつつも、いつものメンバーには話すべきだよなぁとは思っていたので、この際だから集めて説明しようと、一緒に準備を始めるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

さてそれから1時間後、宝太郎達はいつものメンバーを集め、車に乗っていた。

 

「俺リムジンなんて初めて乗ったぜ」

「わ、私もです」

「僕も」

 

と落ち着かない様子のレオと美月と幹比古に、宝太郎が備え付けの冷蔵庫からジュースを出す。

 

「まぁまぁこれ飲んで落ち着きなよ」

「何でお前は落ち着いてるんだよ」

「小さい頃から雫やほのかと乗ってたからなぁ」

 

ジュースを受け取りながらぼやくレオに、宝太郎は笑って返す。

 

「しかしどこに向かっているんだ?」

 

とジュースを宝太郎から貰い、口をつけながら達也が聞くと、

 

「やっぱりガッチャードについて話すなら、ここかなって」

「許可は私が取ったけどね」

 

と言いながら見た外には、巨大な建物がある。そこには、ホクザングループのロゴがデカデカと載っていた。

 

「ホクザングループの支社の一つでね。表向きは機械産業の研究や開発何かを行っているんだけど」

「裏ではケミーの研究を?」

 

と言う深雪に雫は、

 

「ケミーだけって言うより、ガッチャードに関する歴史とかそういったの全部まとめてって感じかな。ケミーは分かってないことも多いからね。ケミーに関することを調べて、人とケミーがともに暮らせる様にって言うことで始まったらしいんだ」

 

そんなこんなしていると、建物の前に着く。すると中から人が来て扉を開けてくれた。

 

「雫お嬢様。ようこそお越しくださいました」

「ありがとう」

 

挨拶をくれた男性に雫は返しつつ、こちらを見る。

 

「さ、いこっか」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ここが主に歴史研究で、こっちがドライバーの研究。こっちがケミーで」

 

と、建物を案内す雫についていくと、

 

「うわっ!」

 

エリカが驚くと、目の前にケミーが飛び出したところだった。

 

「す、すいません!先日捕獲したんですが中々お転婆なやつで」

「レベルナンバー1のハピクローバーだね」

 

研究員の男性が慌てて抱きかかえて捕まえると雫が言う。

 

「はい。他にもザ・サンとユニコン。キラキラヴィーナにレンキングロボなど多数のケミーを捕獲したんですよ」

「ケミーってそんなにいるのか?」

 

とレオが聞くと、

 

「ケミーは総勢100体いると言われておりますから」

「100!?」

「厳密には確認されていない101体目が存在するとも言われてますが、残念ながらその姿や本当に存在するのかも分からずで」

 

へぇ〜とレオたちがなる中、宝太郎達は奥の部屋に入る。そこには巨大なモニターがあり、その前の椅子に座る人影。その人影は立ち上がると、

 

「フハハハよく来たな諸君!私は北方うしあいた!」

 

高らかに自己紹介しようとした潮だが、その前に雫が圧縮した空気を放ち、潮を殴った。

 

「恥ずかしいからやめて」

「ご、ごめんなさい」

 

冷たい瞳で言われ、謝罪する潮。威厳も何もない。しかし潮は気を取り直し、

 

「改めてはじめまして。いつも娘と息子がお世話になってるね」

「息子?」

 

幹比古が首を傾げると、

 

「おれおれ」

 

と宝太郎が自分を指さした。

 

「え?宝太郎と北山さんって兄妹だったの?」

「違う違う。父さんが死んでから潮さんにずっとお世話になってたから第二の父親みたいな感じなんだ」

 

誇らしげにピースする潮を見て、ちょっと他人の振りしたくなったが、恩はあるので黙っておく。

 

「さて、君達はガッチャードについて聞きたいんだろう?」

 

全員が頷くと、潮が指をパチンと鳴らし、画面が切り替わる。

 

「そもそもガッチャードとはなんなのか。それは今から数百年前、まだ魔法が神秘とされていた時代にまで遡る。そんな時代に、世界はここに陥っていた」

 

そう言いながら、潮が映す画面には、赤いスチームホッパーのガッチャードらしき絵と、巨大な黒い塊のような物が描かれている。

 

「名は冥黒王。世界を暗黒に包み、支配しようとしていた。数多の命を奪い、作り出した」

「作り出した?」

 

エリカの疑問に潮は頷きながら、

 

「冥黒王は優れた錬金術師でもあった。錬金術は元々魔法、いや魔法がそもそも錬金術のひとつなんだ。例えば君達も魔法を使う時、炎を起こそうとした時、どこからともなく起こすのではなく、分子の移動を速くし、熱を起こし炎を出す。とざっくりではあるがそういう工程を踏むだろう?それはある意味化学の反応をもちいていた錬金術なんだよ。そしてその優れた力で作り出した生命体。それがケミーだ」

 

ザワッとその場がザワつく。宝太郎達は知っていたが、ケミーの出自は一般的に走られていないことが多い。

 

「勿論ケミー自体に悪意があるわけじゃない。だが悪意を持って接すればマルガムになる事もある。だが正しい心を持って接すれば、大きな力を貸してくれる存在でもあるのだよ」

 

と言って、潮が画面を切り替えると、

 

「そして冥黒王を打ち破った初代ガッチャードが着けていたとされているのが、このガッチャードライバーだ」

「ってことは、当時のガッチャードも宝太郎さんが持っているドライバーを使っていたんですか?」

 

という美月の質問に、

 

「いや、厳密には宝太郎の持っているドライバーは、風雅が研究の末に作り出した別物だ。勿論機能自体はほとんど変わらないがね。大昔のガッチャードの伝承等から作り上げたんだろう。機能としては、ケミーの力を十全引き出し、ケミーと人間を融合させることができる。一種の錬金釜なんだよ」

 

と皆が思わずほぉ〜っと頷く中、

 

「あれ?じゃあ達也君のアレってなんなの?」

「俺のヴァルバラドシステムはガッチャードとは違い、ケミー1体と人間1人を融合させるシステムだ。まぁ相性がいいケミーを追加武装にすることは出来るがな」

「それ達也が作ったのか?」

 

続いて宝太郎から飛んできた質問に、

 

「まさか。知り合いがくれたんだ。とは言え、その知り合いは正体を隠したがっていてな。詮索は遠慮してくれ」

 

それなら良いけどさ。と言う宝太郎。まさか自分で作ったというわけには行かない。その時レオが、

 

「ってかケミーって相性があるんスカ?」

「あぁ、本来ケミーとは融合できるかどうかケミー自体との相性に加えて、そこからさらに自分と合うカテゴリーが存在するんだ。そうだろう司波君」

「えぇ。自分はビークル系とオカルト系ですね」

 

と言われ、皆が宝太郎を見る。

 

「何か九校戦の時、宝太郎君色んな姿になってたような」

「良い目の付け所だね柴田さん。宝太郎はケミー自体との相性がめちゃくちゃいいんだ。カテゴリー事に得意不得意がない。その為宝太郎はどのカテゴリーとの組み合わせても力を発揮できるんだ」

 

魔法師としての才能はないが、ガッチャードとしての適性ならば誰にも負けないのが宝太郎だ。

 

と潮は言う。すると深雪は、

 

「そもそも、宝太郎さんはいつからガッチャードに?」

「1年くらい前かな、その時にケミーライザーが初めて完成して、それでケミー保護が初めて行われたんだけど、まだ皆慣れてなくて逃げられちゃって、その時別の所で起きた事件の犯人が居て、マルガムになっちゃったんだよね。それで俺が初めて変身したんだよ」

「よく初めてでできましたね」

「何かドライバー持ったら使い方が思い浮かんだんだよね」

 

どういうこと?と思わず皆はポカンとしたが、何でかは宝太郎もよく理解してない。ただ何故か脳裏に浮かんだのだ。

 

「ってかガッチャードで思い出したんだけど潮さん。仮面ライダーって何?」

「ん?」

 

宝太郎は気になっていた。ガッチャードの名を出したときにつけられた称号仮面ライダーに。

 

「うむ。仮面ライダーとは、愛と平和のために、ガッチャのために戦う戦士の名前だ」

「はぁ?」

 

何じゃそりゃ。と宝太郎は思うが、潮は気にせず笑い、

 

「だがケミーライザーの使用データも集まったし、実働部隊も慣れて来ているからね。既に3分の1以上は手元にあるし、保護まではイケてないが、情報として掴んでいるものもある。ドンドン集めていくつもりだ」

 

そこまで言うと画面を閉じて潮は、

 

「というわけで、折角だからケミー保護に行ってみよー!」

『え?』

「フッフッフ、実は先程新たなケミーの情報が来てね。丁度いいのでケミー保護に行ってみようじゃないか」

「だめですよ」

 

うぉっと驚く潮の背後に立っていたのは紅音だ。

 

「この後FLT社長との会食があるでしょう」

「えー。あんまりあの社長好きじゃなハイわかりましたわがままは言いません直ぐ準備します」

 

紅音の体から殺気が溢れ出し、潮は慌てて説明に使っていた小道具などを片付けて砂塵を上げながら走り出す。

 

「それではここで失礼するわね。後のことは黒沢に任せたから雫。皆さんに迷惑をかけないように。宝太郎もよ」

「うん」

「はい」

 

そう言い残し、紅音も行ってしまう。それを見送りながら、

 

「すげぇな。北山のかあちゃん」

「そうだね」

 

とレオと幹比古がいう中、

 

「将来的に宝太郎君はああなるわね」

「そうだね」

「え?」

 

エリカと美月の言葉に、宝太郎は思わず振り返るのだった。

 

因みに、達也と深雪が少し複雑そうな顔をしていたのだが、理由は謎である。

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