魔法科高校の劣等生 ガッチャードクロス   作:ユウジン

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バックブリーカー

「ひっろいなぁ」

 

宝太郎達、雫、ほのかの3人の眼前には、テーマパークがある。

 

最近は記者達の追っかけも落ち着き、潮からせっかくの夏休みなのだからということで、テーマパークに来ていた。

 

ホクザングループが出資したらしいこのテーマパークは、夏休み期間だからか、人混みが凄い。その時だ。

 

「あれ?瀬乃くんに雫とほのかじゃない?」

『え?』

 

突然掛けられた声に、宝太郎達が振り返ると、そこにいたのは、

 

「エイミィにスバル?」

「ヤッホー雫」

「九校戦ぶり、かな?」

 

と見知った顔だ。九校戦以降会う機会がなかった為、かなり久しぶりだったが、

 

「ってか!説明してよあの時のこと!」

『あっ』

 

頷くスバルと怒るエイミィ。そういえばこの2人にも説明してなかったなぁ。と宝太郎達は苦笑いを浮かべながら、

 

「じゃあ説明するから、そこのカフェ行く?」

 

と、ほのかの言葉を受け頷いた2人を連れ、皆は歩き出すのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なるほどそうしてガッチャードになったわけだ」

「うむ」

 

エイミィとスバルに説明を終え、皆でお茶を啜る。

 

「でも目の前でガッチャードになったときは驚いたなぁ」

「同感だ」

「あはは」

 

宝太郎は2人の言葉に頬を掻く中、

 

「そういえば2人は何でここに?」

 

とほのかが聞くと、

 

「いやエイミィと暇だからどっか遊びに行きたいねって話してたんだよ。そしたらここが上がってね。そっちは?」

「ここの設立にうちが出資していたらしくて、その関係でチケットをもらったの」

 

流石ホクザングループのご令嬢。とスバルが茶化してくるが、嫌味はない。

 

その時だ。

 

「きゃああああ!」

 

突然上がった悲鳴に、宝太郎達は席を立つと、顔を見合わせてから走り出す。声の出所はすぐに分かった。

 

その一角は今世紀初頭に流行ったとされるプロレスのリングがあり、その上でマルガムが暴れている。

 

「や、やめろ!」

 

それを止めた中年の男性だが、マルガムに片手でふっとばされた。

 

「危ない!」

 

しかしその男性を止めたのは、ピエロだ。するとエイミィが、

 

「あれ?十三束くん?」

「明智さん?」

 

どうやら知り合いらしい。雫やほのかも驚いているので、多分一科生なのかもしれないな。と宝太郎は結論付けつつ、ドライバーを装着。

 

「行ってくる」

「うん」

 

雫に見送られ、宝太郎はカードをベルトに装填。

 

《ホッパー1!スチームライナー!》

「変身!」

《ガッチャーンコ!スチームホッパー!》

 

変身した宝太郎は、周りの野次馬を飛び越え、マルガムにキックを入れる。

 

「ぐぉ!」

「仮面ライダーだ!」

 

誰かが叫ぶ中、突然のキックに不意を突かれマルガムはよろけると、宝太郎は連続パンチ。

 

だが、

 

「効かねぇなぁ!」

「なっ!」

 

強引に反撃してきたマルガムの攻撃を受け吹き飛び、ロープで跳ね返るとマルガムはラリアットの構え。

 

「っ!」

 

だが宝太郎は、ロープで跳ね返りながらもドライバーを操作し、

 

《スチームホッパー!フィーバー!》

「はぁああああ!」

 

必殺のキックを放ちカウンター。マルガムはそれを喰らいながらも、

 

「あめぇなぁ!」

「なっ!」

 

宝太郎の足を掴んで放り投げると、

 

「おらぁ!」

「がはっ!」

 

宝太郎を振り回し、自身の膝に宝太郎の背中を叩き落とす。プロレスで言うバックブリーカーと呼ばれる技だ。

 

「ちっ!邪魔が入ったが次は容赦しねぇぞ!」

 

マルガムはそれだけ言って、リングを飛び降りて撤退していった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あだだ腰が」

「大丈夫?宝太郎くん」

 

ほのかに湿布を貼ってもらいつつ、涙目の宝太郎達は、リング近くの控室にいた。

 

「すまねぇ」

 

と言って頭を下げるのは旭光一郎という男で、元プロレスラーの男だ。

 

「プロレスって言うと今世紀初頭に流行ったとされる格闘技だよな?」

「うん。今どき殆ど流行ってないけどね」

 

と宝太郎が雫と話していると旭は、

 

「しかしまさかあいつが」

 

と、何やらマルガムの正体に心当たりがあるようだ。

 

「心当たりがあるんですか?」

 

ほのかがそう問いかけると旭は頷き、

 

「あの時放った技は風車式バックブリーカー。俺が知る限り、あそこまで鮮やかなのを出来るのは一人しか知らねぇ」

 

それは?と十三束が問うと、

 

「ゴーレム剛力。俺と同期のプロレスラーだ。才能に秀でたヤツで俺みたいなへっぽこレスラーとは違ってスター選手だった」

 

だった。と言う過去形の言い方に、宝太郎達は顔を見合わせると、

 

「プロレスってのは相手にケガをさせられてはいけないし、ましてやケガさせてもいけねぇ。だから互いに呼吸を合わせ、体をぶつけ合わせる。だがあいつはいつしか独りよがりなプロレスをするようになっていき、相手に重傷を負わせてしまった。その結果プロレスに世界から追われ、行方不明だ」

 

だがあのバックブリーカーは間違いない。と旭は言い、皆も顔を見合わせた。しかし同時に考えなければいけないこともある。

 

「アイツはまた来るって言っていた」

 

とスバルが言う。アイツは去り際にそう言っていた。つまり遠からず来るということだ。そうなれば……

 

「どうにかしないと」

 

エイミィの言葉に、十三束は前に出ると、

 

「僕が戦う」

『え?』

 

宝太郎たちだけではなく、旭やエイミィにスバルまで驚く。

 

「ま、待て十三束。相手はマルガムだぞ!?俺が戦うあいたたた」

 

宝太郎は慌てて立ち上がって止めようとするが、腰の痛みで倒れてしまう。

 

そんな宝太郎に、

 

「僕は相手が許せないんだ。あのシャイニング旭の興行を滅茶苦茶にしようとするなんて」

「お、お前俺の現役時代を知ってるのか?」

 

旭が驚きながらそう聞くと、十三束は頷き、

 

「現役生活40年目となる昨年に引退し、得意技は名前にも使われているシャイニングウィザード。太陽をモチーフにしたマスクがトレードマーク。外国選手のマハルガ・ジャイアントとの壮絶なチョップの打ち合いからの逆転シャイニングウィザードは何度も記録映像媒体で見てました!」

「おいおいそれは俺がデビュー5年位にやったやつじゃねぇか。お前生まれてないのによく見てるなぁ」

 

と、旭は嬉しそうに笑みを浮かべる。余程嬉しいのだろう。そんな2人をポカンとしながら周りが見ていると、十三束はそれに気づきゴホンと咳払い。

 

「と、とにかく!アイツは一発ぶん殴らないと気がすまない!」

 

そう言ってもなぁ。と宝太郎達が目を合わせていると、

 

「それなら俺に考えがある」

 

全員の視線が旭に集まった。そして旭は、

 

「プロレスラー相手に勝つなら、プロレスで勝つしかねぇってな」

 

と言って笑みを浮かべるのだった。

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