「全国高校生魔法学論文コンペティションに出るって!?」
「あぁ」
皆でランチを食べていたとき、達也発言に皆で飯を吹き出しそうになった。
「あぁ、生徒会の市原先輩が俺と同じ研究をしててな」
「何の研究してるんだっけ?」
「重力制御魔法式熱核融合炉の技術的可能性だ」
『……?』
宝太郎を筆頭に何人かが思わず首を傾げる。それを見た深雪が、
「ざっくりと申し上げるなら、魔法を用いて莫大なエネルギーを生み出すための研究ですよ」
「でも今でも可能なんじゃなかったでしたっけ?」
擬似的にはな、と達也は言い、
「だが現状では魔法師が常駐しなければならない。それでは今の魔法師が社会の歯車として扱われている状況が変えられない」
魔法師は使い捨てにされがち、と言うのは現実としてある。能力が希少で替えが利かない。逆にその為か能力を酷使させられる傾向があり、特に戦闘面で軍事利用されるともっと悲惨だ。
人体実験とか使い潰しのオンパレードである。
大分それでも改善されたらしい。
「まぁそんなわけで暫く放課後付き合えなくなってしまう」
「OK、じゃあ今度が達也くん用の横断幕でも作ろうかしら」
なんて冗談言うエリカに、達也は苦笑いしながら勘弁してくれと言うのだった。
中華料理を取り囲む男たち。ひげ面の男が2人と細身の優男が1人。
「陳閣下。いかがですか?」
「ふむ。日本風にアレンジされたのも悪くはないな」
本場の味とは違い、日本風にされた中華も悪くない。と片方の男が言うともう1人の男が、
「それで?準備のほうはどうなんだ」
「それも勿論抜かりなく進めておりますよ」
優男は懐から一枚の紙を取り出すと二人に見せる。
「五芒星を元に大陸魔法の結界式にアレンジしたものです。更に各地点の楔としてケミーの皆さんにも協力していただきます」
「あぁ、いいとも」
と言うと、陳と呼ばれた男の背後にいたクロスウィザードは言う。
その言葉を聞き、改めて優男は顔を上げ、
「合同コンペでは多くの将来有望な魔法師が集まります。更にそれを見るための企業やプロの魔法師達……勿論軍人達も」
「うむ。そこを叩き、日本の魔法技術を一気に衰退させる。後は本国からの本陣が殲滅すれば日本は終わる」
そんな2人のやり取りにクロスウィザードは口を挟む。
「待ってよ。約束忘れないでよね」
「勿論だクロスウィザード。君とはビジネスの関係。約束は必ず守ろうじゃないか」
陳はそう言いながら立ち上がると、大仰に両手を広げた。
悪意が少しずつ侵略してきていることを、宝太郎達はまだ知らない。
「ここでもない、か」
倉庫から出てきた戦兎はため息をつきながら外に出ると、
「そっちも収穫無しか?」
「龍誠、そっちもってことは……」
あぁ、と龍誠は頷くとお互い頭を掻く。
「ったく、逃げ足の速いやつだぜ」
「それにこっちの動きを読んで先んじて逃げてた。かなり頭も切れるな」
相手の文句を言いながらいると龍誠が、
「そういやなんか今度イベントがあるらしいぜ」
「あぁ、なんかあるらしいな。コンペだったか。しかし魔法が技術として確立された世界か」
ため息を吐きつつ、戦兎は街並みを見る。
「悪魔の俺が言うのもなんだけど魔法が魔法が人々にとって普通の存在ってのも不思議な気分だな」
「だよなぁ」
そんなやり取りをしていた時、スマホがなり戦兎が出ると、
「もしもし?何?分かったすぐ行く」
「なんかあったのか?」
「あぁ、新たな拠点情報をヴァーリ達が掴んだらしい」
「なるほど。じゃあ急がないとな!」
そんなやり取りの後、戦兎と龍誠は再び闇の中に消えていくのだった。