魔法科高校の劣等生 ガッチャードクロス   作:ユウジン

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信念

「準備はいいか?」

「はい。閣下」

 

呂剛虎は隣りにいる陳に返事をしボトルを構える。

 

「……」

 

緊張の面持ちの平河もボトルを握り締めながら固唾を飲む中、

 

「大丈夫ですよ。貴方なら」

「公瑾様……」

 

平河は恍惚の表情を浮かべながら頷き、ボトルを自らに刺す。スマッシュに変わっていくそんな光景を見た陳は、

 

「おい、あの女。随分マインドコントロールをしているようだが終わったあと使い物にならなくなるぞ」

「構いませんよ。データさえ取れれば後は捨てるだけですから」

 

妖艶で冷酷な笑みを公瑾は浮かべながら陳を見る。

 

「まぁいい。では全軍!魔法師及びその関連の殲滅。極力若者は残せ。本国に持ち帰って使い道がある」

 

陳は部下たちにそう指示を出し、

 

「出撃だ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

学生コンペ当日。先日の襲撃以降警察や戦兎達は相手の行方を追っていたが、足取りは一向に掴めず当日になってしまった。

 

「とにかく気を引き締めないと」

 

宝太郎は自分の学校の発表を聞きながら気合を一人入れ直していると、

 

「っ!」

 

発表が終わると同時に会場が震える。

 

地震か?と誰かがつぶやくと同時に、壁が破壊されスマッシュが乱入してくる。

 

それにより会場内が阿鼻叫喚の様相となるが、

 

「変身!」

《スチームホッパー!》

 

宝太郎は咄嗟に変身すると、人々に襲いかかろうとしていたスマッシュを蹴り飛ばして迎撃に出る。

 

「皆下がって!」

 

宝太郎は前にでながらケミーを確認。先日クロスウィザードに多くを奪われてしまい、今手持ちにあるのは雫の実家で保管されていた数枚と、なんとか奪われなかった何枚か。だが組み合わせられるカードはない。

 

「なら!」

 

ガッチャージガンを構え、持っているカードからアントルーパーのカードをスキャンし、ブランクのカードと一緒に装填。

 

《ガッチャージバスター!》

 

大勢の蟻の顎型の弾丸がスマッシュを吹き飛ばすが、空いた穴から次々と飛び込んでくる。

 

「大丈夫か!?」

 

戦兎もビルドドライバーを装着しながら会場に飛び込み、

 

《グレート!オールイエイ!ジーニアス!》

「変身!」

《イエイ!イエイ!イエイ!イエイ!Are you ready?完全無欠のボトルヤロー!ビルドジーニアス!スゲーイ!モノスゲーイ!》

 

ジーニアスビルドへと変身し、手に巨大な剣エクスデュランダルを出してスマッシュを切る。

 

「鉄鋼!」

 

そこに達也もヴァルバラドになってスマッシュに応戦。

 

三人がかりでスマッシュを倒していくが、数が際限なく遅いかかかってきた。

 

「別のエリアにいた皆も同じくスマッシュに襲われてるらしい」

「全く、どれだけ集めたんだ」

 

戦兎の言葉に達也は嘆息する。

 

「皆の避難もしなきゃいけないのにっ!」

 

宝太郎は叫びながらエクスガッチャリバーで斬っていると、

 

「きゃあ!」

 

取り逃したスマッシュが生徒達に襲い掛かる。よく見ればそれは美月だ。しかし、

 

「レーックス!」

 

美月の懐からエックスレックスが飛び出し、スマッシュを蹴散らす。更に、

 

「パクラプター!」

「トライケラ!」

 

パクラプターとトライケラも飛び出し、スマッシュを吹き飛ばした。

 

「流石!よし!エックスレックス!力を貸してくれ!」

「レックス!」

 

そしてエックスレックスはカードになると宝太郎の手元に飛んでいき、

 

《クロスオン!グレイトフルエンシェント!》

「変身!」

《ガッチャーンコ!X!エックスレックス!スーパー!》

 

エックスレックスの力を上乗せして変身すると、荒々しい戦い方で次々と撃破する。

 

「はぁ!」

 

そして生徒達に襲い掛かるスマッシュも戦兎がダイヤモンドの壁を出して足止めし、

 

《スクラップ!ヴァルバラブレイク!》

《ワンサイド!ジーニアスアタック!》

 

達也と戦兎の連携攻撃でも撃破。

 

そこまでやると、一度スマッシュの猛攻は収まり、

 

「今のうちに避難を!」

 

安全を確認した真由美の指示で、生徒達の避難を開始するのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「一体何が起きているの!?」

 

生徒達を地下に避難させ、宝太郎達はモニターがある別の場所にいた。

 

そこは作戦会議室のようにも使われる場所で、龍誠たちもそこに来ている。

 

「現在会場を中心に周囲10キロを覆うように結界が張られているようだ。陸路は元より水路も空路も使えん」

 

十文字から簡単な説明を受けつついると、モニターに光が灯る。

 

「現在各地点でスマッシュが大量に発生している。事前に常駐させていた警察が対応に当たっているが、数の暴力に押されているのが現状だ」

「外部からの応援は?」

「残念だが通信も妨害されているし、そもそも外部からこの結界の中に入れない」

 

その時だ。部屋に入ってくる人間がおり、咄嗟に皆が警戒態勢を取ると、

 

「待ってほしい。敵ではない」

 

そこにいたのは軍服に身を包んだ壮年の男性と、同じく軍服に身を包んだ若い女性だ。

 

「貴方は……」

 

十文字は覚えがあったようだが、相手は軽く咳払いをして、

 

「初めての人間もいるだろうから軽く挨拶をさせていただこう。私は国防陸軍第101旅団・独立魔装大隊所属の風間 玄信だ。隣りにいるのは藤林。今回の事件に関わっているとされる陳はこちらでも長く追っていてね」

「成程」

 

サイラオーグが口を開き、

 

「襲撃前に警察とは違う雰囲気の人間も紛れ込んでいたが、軍の人間だったのか」

「気づいてたのかよお前」

 

だったら言えよと言うヴァーリにサイラオーグは肩を竦め、

 

「敵意はなかった。少なくともスマッシュに関わりのある人間ではなさそうだったからな」

 

そんなやり取りを横に風間は達也を見て、

 

「久し振りだな。達也」

「えぇ、風間少佐もお元気そうで」

 

知り合いか?と宝太郎が聞くと昔に少しな、と達也が答える。

 

「スマッシュは現在警察と軍が介入して避難所の防衛は押し留めている。だがこのままではジリ貧だ。まずはこの結界をどうにかしたい。そうすれば軍の応援も期待できる」

「成程……ですがこの結界の正体が分かりません」

 

真由美がそう言うと藤林が口を開き、

 

「調査をしたところ、コレは大陸系の魔法を元に改良をされたもの。元は特定の地点に楔のようなものを打ち、効果を発揮する魔法ですが、効果も威力も桁違いです」

「こちらの見解としては、その楔と魔法自体に膨大なエネルギーが使われていると判断している」

 

藤林と風間がそう言いながらデバイスを操作すると、モニターに地図と赤い点が写された。

 

「この5つの地点に特に強大なエネルギーが集中している。そしてコレは」

「ここまで強大なエネルギーと力を持つということは、ケミーが関わっている。そういうことかな?」

 

更に喋りながら入ってきたのは、

 

「お父さん?」

「やっほー雫ー!」

 

ハイテンションの潮だ。しかしすぐにシリアスモードになると、

 

「こっちでも計測してみたが、このエネルギーは並のケミーじゃない。おそらくレベルナンバー10だ。そしてこの結界の魔法の改良にはクロスウィザードも関わっているだろう」

 

ゴクリと皆がつばを飲む。

 

「だが逆に言えば、この楔を消せればこの結界を崩せるはず」

 

風間がそう言うとレオが口を開き、

 

「じゃあ宝太郎達がいつもやってるみたくケミーを捕まえれば良いんだろ?」

「まぁそうだけど、エックスレックスの時も大変だったのに同じレベルのが5体はいるのよ?」

 

エリカが注意する中美月が、

 

「そもそも捕まえるためのケミーライザーって今幾つありましたっけ?」

「私とほのか、そして宝太郎と……」

「一応私も持ってるぞ〜」

 

と言って見せ合うと今あるのは4つだ。

 

「つまりこのままだと足りないってこと?」

「順番にいけば一つあれば足りるが……」

 

幹比古の言葉に達也も口を開くが、

 

「あぁ、スマッシュを押し留めておける時間も長くない、分散するのは前提としても、一個足りないのは致命的だな」

 

風間が眉を寄せる。それを見ていた龍誠はジロジロ見て、

 

「じゃあコレ戦兎が今一個作れば良いんじゃね?」

「あぁ確かに」

 

そう言って宝太郎から戦兎がケミーライザーを取り上げ見る。

 

「いやいや待て待て、それはそんな簡単に複製出来るものじゃ……」

 

と潮が言った瞬間、

 

「出来そうだな」

『出来るの!?』

 

皆が思わず突っ込む中、

 

「人数集めて一気に作るか」

《ニンジャ!ロボ!Are You Ready?》

「変身!」

 

戦兎は変身すると分身し、ロボアームを高速回転させて作っていく。

 

「あ、悪いけどこの辺のおいてある機械とか使うぞ?」

「か、構いませんが」

 

十文字も信じられないといった風情で言う中、暫し戦兎が作業すると、

 

「はい完成」

 

あっという間にケミーライザーが出来上がった。

 

「それ……結構作るのに苦労したんだけどな……」

 

と潮が若干傷ついているが今はそんな場合じゃない。

 

「じゃあこれで5個ある。それなら一気にケミーを捕獲できる!」

 

と宝太郎が言った時、

 

「待ってください」

 

藤林がそう言ってデバイスを操作すると、モニターの画面が変わる。

 

そこに写っていたのは、海岸から飛び出して街に入っていく大量のスマッシュ。

 

「スマッシュの増援。その数は100体以上!」

「不味いな。今の状態でも押され気味だと言うのに、ここでこの数か」

「しかも見たところまだまだ増えているようですな」

 

ケミーの捕獲に加えて、スマッシュの増援。明らかに手が足りない。となる中、

 

「龍誠や皆はケミーの捕獲に方に向かってくれ」

「戦兎はどうするんだ?」

「俺がスマッシュの増援を止める」

 

戦兎はそう言いながら立ち上がると、モニターを見て向かう場所を決める。

 

「よし、俺がこの位置でスマッシュの増援を迎え撃つ。ここなら敵が集まる場所だしな」

 

と戦兎はなんてことないように言ってジャケットを羽織るが、

 

「ま、待ってください」

 

と宝太郎が止める。

 

「あ、あの数ですよ!?」

「そうだけど止めないと警察もそれを守ってる人達も危ないだろ?」

 

たしかにそうなんだけど!と宝太郎が声を荒げた。

 

「どう考えたって危険すぎますって!何でそんな簡単に決めれるんですか!」

 

その問いに、戦兎は少しポカンとしてから笑みを浮かべ、

 

「言っただろ?俺はラブ&ピースのために戦うんだって。だから誰かに危険が迫ってるなら戦うんだよ。仮面ライダーだからな」

「仮面ライダーだからって。そんなに仮面ライダーって名前は命をかける理由になるんですか?」

 

その言葉に戦兎は頬をかき、

 

「そうだな。俺は色んな仮面ライダーに会ったことが会って、それぞれ正義があって思いがあった。皆自分の信念を持って、そのために命を懸けてた。俺もそうさ。ラブ&ピースの為に。それにさ、誰かの力になれた時、俺の顔がクシャってなるんだ。まぁ変身してると分からねぇんだけどさ。だから戦うんだ。誰かの明日をビルドする為に。俺は仮面ライダービルドだからな」

 

そう言って戦兎は宝太郎の胸に拳を当て、

 

「前にも言ったけど、お前にも分かる時が来る。お前も仮面ライダー何だからな」

 

そして戦兎は部屋を出ていく。

 

「とにかく俺達は戦兎さんが時間を稼ぐ間に、ケミーを捕獲しよう」

 

達也がそう言って皆が頷く中宝太郎は、

 

「ごめん。俺はそっちにいけない」

「え?」

 

雫が驚くと宝太郎はケミーライザーを彼女に渡し、

 

「分からないんだけど、何か今じっとしてられないっていうか、戦兎さん1人だと流石に危ないし、俺も行く」

「……そっか。分かった行ってらっしゃい」

 

ほのかも気をつけてね。と送り出すと、宝太郎は頷いて戦兎を追いかけた。

 

「良いんですか?」

 

それを見ていた深雪が問いかけると、

 

「走り出すと」

「止まらないから」

 

雫とほのかはやれやれと肩を竦めながら笑うのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「何だよ。お前も来たのか」

「1人だと危ないですし」

 

宝太郎が答えると戦兎が笑う。

 

「じゃあ時間な稼ぎ頑張りますか」

「はい!」

 

そう言って2人はドライバーを装着すると、戦兎はボトルを出して振り、宝太郎もカードを出す。

 

《ラビット!タンク!ベストマッチ!》

《ホッパー1!スチームライナー!》

『変身!』

《鋼のムーンサルト!ラビットタンク!イェーイ!》

《スチームホッパー!》

 

2人は変身を完了すると、戦兎はビルドフォンにライオンボトルを挿し、

 

《ビルドチェンジ!》

 

バイクを出す。

 

「ゴルドダッシュ!お願い!」

「ダーッシュ!」

 

宝太郎もゴルドダッシュのカードを取り出し声を掛けるとゴルドダッシュが実体化しバイクになり、2人はそれぞれ乗ると、エンジンを吹かしながら走り出すのだった。

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