「入学早々女性を侍らせて良いご身分ですね。お兄様」
「男もいますよー」
「待て宝太郎。余計にややこしくなる」
お兄様が男性にまで手を!?深雪は一昔前の漫画のガーン言う音が聞こえそうな顔をしている。
「深雪。この3人はさっきの入学式の時に出会っただけだよ」
さて、入学式が終わり、講堂を出た宝太郎たちだったが、すぐそこで生徒会長と話す深雪を発見。しかし、達也の姿を見て、明るい表情を浮かべたのも束の間、一気に空気は氷点下。
気持ちの問題ではなく、リアルで下がった気がした。
するとエリカは人懐っこそうな笑みを浮かべ、
「はじめまして。アタシは千葉エリカ。さっきのやつ感動したわぁ。ああいうの大好きなんだよね」
「ふふ。なんのことかしら?」
エリカの言葉に、深雪は意味深な笑みを浮かべるだけだ。
「あ、私は司波深雪。宜しくね。千葉さん」
「エリカで良いわよ。苗字あんまり好きじゃないし」
「じゃあ私も深雪って呼んでね」
「OK。宜しく深雪。あ、こっちは美月よ」
「よ、宜しくお願いします!」
エリカのコミュ力に、思わず宝太郎達也は舌を巻く。
「すげぇなエリカ」
「あぁ」
そう言いつつ達也は、
「だが深雪。今生徒会長さんと話してたんじゃないのか?」
達也の問い掛けに、先程壇上でも見た七草会長は、
「構いませんよ。丁度お伝えしたので。それでは司波さん。話したこと考えておいてくださいね」
そう言って、男性を伴って行ってしまう。しかしあの男さっきから達也を睨んでるような?と宝太郎は思っていると、
「お兄様このあとのご予定は?」
「そうだな。履修登録を済ませたり諸々の手続きなんかをするつもりだ」
入学式後は、特に二科生は自由だ。何故二科生なのかは後にするが、特に決められてはいない。ただ、履修する科目の選択は早い方が良いし、その他の手続きもあるため、実質残るのが前提だ。一科生は強制だが。
「ではお昼はご一緒にできますか?」
「あぁ、勿論」
そんなやり取りはまるでデートの約束を漕ぎ着ける恋人のよう。
「アタシ達はお邪魔みたいだし、別で食べようか」
「ち、違うわよエリカ!みんなも勿論一緒によ!?」
と、深雪は大慌てしながら手と首をブンブンしながら、否定するのだった。
「あ、瀬乃宝太郎です。宜しくね」
「どうも。改めてですが司波深雪です」
と言うわけで、宝太郎達は教室にやってきたのだが、
「達也はもう取る授業決めてるのか?」
「あぁ、というか、それを勉強したいからここに決めたのもあるしな」
と達也はキーボードを叩いている。えらく原始的なやり方だ。
「はっやいなぁ」
『ん?』
すると、達也の画面を覗き込む大柄な男が来た。
「あぁ悪い。俺が西城レオンハルト。レオで良いぜ。珍しいからつい見ちまった」
「あぁ、慣れればこっちのほうが早いからな。俺は司波達也だ。宜しく」
「俺は瀬乃宝太郎。宜しくなレオ」
そんなやり取りをしつつ宝太郎も履修する授業を選択。元々雫とほのかに引っ張られてきたものの、こうして選択しているとどういうのか気になってくるから不思議だ。そこに、
「達也君、宝太郎君。学食混む前に早めに行かない?」
「あぁそうだな」
「OK」
とエリカに返していると、
「達也、宝太郎。この女知り合いか?」
「達也君、宝太郎君。いつの間に原始人と知り合いになったの?」
次の瞬間、ジロッと両者睨み合い。
「誰が原始人だよ」
「初対面のレディーを女呼ばわりするやつなんて原始人くらいよ」
バチバチと火花を散らす二人に、背後の美月がアワアワしている。
「まぁまぁ二人とも喧嘩しないで。ホラ、ご飯食べに行こう!」
「え?何でこいつまで」
いいからいいから、と宝太郎に押され、エリカは文句を言いながら教室を出るのだった。