魔法科高校の劣等生 ガッチャードクロス   作:ユウジン

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お届け物

「風紀委員になったぁ!?」

 

一科生とのゴタゴタがあった次の日の午後、達也からそう伝えられ、宝太郎たちはアングリしていた。

 

風紀委員はざっくり言えば、学園内でのゴタゴタ処理するのが仕事なのだが、達也の分析力がやつだつとかで引っ張られたらしい。

 

お昼に真由美から招待を受けて、深雪と達也は行ってしまっていたのだが、まさかそんなことになっていたとは……

 

「相変わらず勝手なんだから」

「何か言ったか?エリカ」

 

ボソッと呟いたエリカに宝太郎は聞くが、何もーっと返されるだけだ。

 

「人まずは明日からの部活勧誘だな」

「あー。新入生ゲットで大荒れらしいからなぁ」

「雫とほのかなんか引く手あまたじゃないか?」

「だろうなぁ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「クソ!」

 

森崎は学校の裏で悪態を吐く。昨日知ったのだが、風紀委員にはあの司波達也もいたのだ。あの透かした態度。二科生だと言うのに、一科生への敬意がない。

 

自分は森崎家に連なる者であり、二科生に遅れを取るはずがない。そう思っていたのに……まぁいい。今日の新入生歓迎では司波達也もロクな活躍はできない。自分の優秀さを示す良い機会だ。と思っていた時、

 

「良い悪意だ」

「誰だ!」

 

森崎が振り返ると、眼前に女がいた。

 

「くっ!」

 

森崎は腰からCADを抜こうとするが、

 

「がはっ!」

 

それより早く、女性の拳が早く腹に入り、吐きながら蹲る。

 

「魔法師というのは、自分の、魔法に大層自信があるようだが、こんな密着した状態ではロクに対応できんだろう」

 

そう言いながら、女性はケミカードを出す。

 

「バレットバーン……」

「さぁ、お前とケミーを使ってやる。暗黒に染まれ!」

 

ケミーが森崎の体に吸い込まれ、

 

「う!うわぁああああああ!」

 

森崎の体が作り替えられ、怪物マルガムへと変貌。

 

「バレットバーンマルガムと言ったところか。いけ!」

 

マルガムは指示を受け、そのまま飛んでいく。

 

「さて、ドライバーの小僧は出てくるか……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方宝太郎はその頃、新入生歓迎を見て回っていた。あちこちで新入生を確保するべく魔法が飛び交う。

 

とはいえ現時点では入りたい部活がないので、適当に冷やかしているだけだが。

 

因みにこの学校には魔法系の部活と非魔法系の部活がある。前者は一科生が多く、後者は二科生が多い。

 

なので入るとしても宝太郎は非魔法系の部活なのだが、それでも一緒に回ろうとのことで、雫とほのかと合流予定だったのだが、なんでもほのかが何処かの部活の人に連れて行かれてしまい、雫はそれを追い掛けて行ったらしい。

 

なので暫く待つことになったのだが、

 

「しかし派手だなぁ」

 

響く爆発音と怒声に、宝太郎は唖然としつついると、

 

「っ!」

 

明らかに魔法とは違う爆発音に、宝太郎は振り返る。それと同時に雫から連絡があり、

 

「大丈夫か?雫」

【うん。でもマルガムが出た!】

 

マルガムが!?と宝太郎は、慌てて影の方に移動し、人がいないのを確認。

 

「わかった変身してすぐに行く」

【まって。倒したら学校から出て少し離れてから変身解除してね】

「何で?」

【七草会長の忘れたの?】

「あ。マルチスコープか」

 

真由美には、マルチスコープと言う魔法を使い、離れた場所からでも相手を見ることができる。流石に距離は学校の敷地内くらいが限度だが、それでも姿を見られる危険もあるのだ。

 

「ガッチャードの正体はバレないように。だよ」

「分かってるよ」

 

十年前の事件で、ケミーは危険な存在として認識されており、そのケミーの力を使うガッチャードも危険視される可能性も高い。

 

世間の混乱を呼ぶ要因になるかもしれない。その為正体は隠すのが約束だ。

 

《ガッチャードライバー!》

「さぁ、ホッパー1。スチームライナー。行くよ!」

「ホッパー!」

「スチーム!」

《ホッパー1!スチームライナー!》

 

二人に声をかけ、宝太郎はケミーカードをドライバーの装填し、両手で三角形を作る。

 

「変身!」

《ガッチャーンコ!スチームホッパー!》

 

スチームホッパーになった宝太郎は、爆発の方に向かって跳んでいった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「キャアアアア!」

 

悲鳴が響き、銃撃音がそれに続く。

 

「バレットォオオオオオオ!」

「マルガムよ!」

 

それを遠くから見ていた雫とほのかは、

 

「どうしよう?」

「宝太郎には連絡したしそれにすぐ……来た!」

 

学校上空から降りてきた宝太郎は、素早くマルガムを掴んで引っ張ると、パンチを入れて蹴り飛ばす。

 

「な、何だ!?」

 

だが生徒からみればガッチャードも得体のしれない何かだ。

 

「俺はガッチャード!味方だ!」

 

とだけ言って、マルガムに飛び掛かる。キックを続け様に入れて行くが、

 

「バレット!」

「っ!」

 

マルガムが銃を取り出し銃撃。

 

「がっ!」

 

吹き飛び地面を転がる宝太郎に、マルガムは続けて撃つ。

 

「やっば!」

 

宝太郎は転がって避け、近くの長机を倒してバリケード代わりにするが、気にせず撃たれて、あっという間に壊される。

 

「クソ!飛び道具なんてズルいぞ!」

 

宝太郎はハイハイで逃げ、別のバリケードになりそうな置物に飛び込むが、

 

「とにかくこっちも遠距離で……」

 

と思ってみるが、

 

「遠距離系のケミーいない……」

 

どうしようやばいやばいと宝太郎が頭を抱えると、携帯が鳴る。

 

「はいもしもし」

【お困りのようですね。宝太郎様】

「黒沢さん?」

 

電話の主は、北山家の使用人で、雫や宝太郎も信頼を置く女性。黒沢知恵理だ。

 

「何で」

【雫お嬢様から今出現しているマルガムは、能力から推察するにレベルナンバー7。バレットバーンであるとの事です。現状のガッチャードの能力では対応が難しいかと】

「そうなんだよ。さっきからメチャクチャ撃ってきてうわ!」

 

覗いた瞬間撃たれ、慌てて隠れ直しながらいると、

 

【ですので、ガッチャードの新装備をお送りいたしました】

「え?ほんとに!?」

【はい。今朝テストも終わり、出来立てホヤホヤですよ。今輸送用の小型ドローンが向かってるはずです】

 

そう言われ、宝太郎はキョロキョロしながら上空を見ると、

 

「来た!」

 

高速で飛んでくるドローンから箱が落とされ、宝太郎の目の前に落ちる。急いで箱を開けると、

 

「これは銃?」

【はい。ガッチャード専用装備。ガッチャージバスターです。ガッチャードライバーとリンクすることで、エネルギー弾の精製。更に後部からカードを装填することで高速連射機能も可能。そして上部で最大3枚までカードをスキャンすることで、必殺技も発動可能です。因みにドライバーを通して分解と再構築を行うため、ご心配なさらず】

「ありがとう!」

 

それではお気をつけて。と黒沢さんとの電話を切り、宝太郎は飛び出すと、ガッチャージガンを撃ち、マルガムを怯ませ、更に腕のホルダーからカードを取り出し、ガッチャージガンの後部から装填。

 

「グォオオオオ!」

 

高速連射されるカード型にエネルギー弾に、マルガムは更に吹き飛ばされる。

 

「良いねこれ!」

 

宝太郎はそう言って、カマンティス、サスケマル、エナジールの3枚のカードを取り出した。

 

「3人とも。宜しく!」

《カマンティス!サスケマル!エナジール!》

 

3枚のカードを読み込み、再度後部からカード取り出して装填。そのまま構えると、

 

「いっけぇ!」

《ガガガガッチャージバスター!》

 

強力なエネルギー弾がマルガムを貫き、爆発。

 

「よし!」

 

そして宝太郎はカードを取り出すと、そこにケミーが入り、

 

「ガッチャ!宜しくね!バレットバーン」

「バレットバーン!」

 

宝太郎はホルダーにカードをしまいつつ、マルガムだった人物を見ると、

 

「あ、森崎だったのか!」

 

正体をみて驚きつつ、でも誰が森崎をマルガムに?なんて考えていると、

 

「動くな」

「え?」

 

振り返ると、そこには摩利が立っており、こちらにCADを向けている。

 

「えぇと、俺はガッチャード!味方だ!」

「ほぉ?お前ケミーを使っていたな。ケミーなんてものを使う得体のしれないやつの言葉を信じると思うか?」

「いやぁ、一応森崎を助けたんで信じてもらえると」

 

そこまで言うと、摩利は眉を寄せる。

 

「森崎の名を何故知っている?」

「あーえーとー」

 

宝太郎はそれとなく雫の方を見ると、雫は目で逃げたほうが良いと言ってきた。なので、

 

「さよなら!」

「あっ!」

 

宝太郎は自慢の跳躍力で跳んで逃げる。とにかくこれ以上あの人の前にいるのは危険だと言うことはわかる。だが、

 

「逃がすかぁ!」

「え?」

 

ケミーの力により変身している宝太郎の機動力は人間を遥かに超越している。というか、魔法込みでも普通追いつけないはずなのだが、普通に追いついてきた。

 

「ひぇ!」

 

摩利はバラバラの部品のような物をいくつか取り出し、それを連結させると、1本の剣になり、斬り掛かってくる。

 

「あぶね!」

「ちょこまかと!」

 

空中でも大勢を変えながら迫ってくる摩利に、宝太郎は逃げての一手だ。

 

反撃して怪我させるわけにもいかないし、変身していれば万が一あたっても怪我を負うことはないだろう。

 

だが普通に怖い。容赦無い一撃を普通に振るってくるので、恐ろしさが半端じゃない。

 

猛獣か何かに追い回されている気分だ。

 

「とにかくここを出て……そうだ!」

 

宝太郎は妙案を思いつき、摩利を引き連れ学校を飛び出す。

 

「はぁ!」

 

そして摩利は一気に間合いを詰め、剣で切りかかってくると、それを、両腕を交差させて受け、宝太郎は落ちていき、そのまま川に落ちていく。

 

「ちっ!」

 

摩利は舌打ちしながら川を見に行くと、既に宝太郎はいない。

 

「逃げられたか」

 

一応周囲を見てみるが、居なさそうだ。

 

「一体アイツは何者なんだ?」

 

摩利は一人、そんなことを呟きながら、その場をあとにするのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はっくしょい!」

「流石に四月の川の水は冷たかったねぇ」

「まぁ渡辺先輩から逃げ切れたんだから御の字」

 

四月の川の水で体を冷やした宝太郎と、それを看護するほのかと雫の姿があったのは、余談である。

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