オラリオで斬魄刀打つ転生者の話   作:オリ斬魄刀の小説増えろ

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リュー「あんな小さな子があんな悲壮な顔でこんな殺戮するなんて駄目だ!あの子の為にも止めないと!」

ライラ「あんな小さな子があんな悲壮な顔してまで覚悟決めて殺戮してんだからあの子のためにもやらせてあげるべきだろ!」

アリーゼ「あの子の為にも……あの子の為に……あの子の為に、私達が何を出来るの?」

輝夜「止まって考えてられる状況じゃねえ、動きながら考える」

う〜ん、地獄かな?



あ、リューさんの正義感を批判してた人超多かったけどその人達は皆で大抗争編を楽しみに待っててね。もしくは大抗争編を描いた『アストレア・レコード』を読もうね。小説三巻使ってリューさんの甘っちょろい正義をボロボロになるまで踏み躙る話だよ。

リア10爆発46さん、誤字報告ありがとうございます。


独り

 

 

 

 

 ゴォッ!! と空気を焦がす音と共に迫りくる真っ赤な光は、アイズの世界を朱に染める。

 

「〜〜〜〜〜ッッッッ!!!!!」

 

 なけなしの力を振り絞り、炎弾の直撃だけは避けたものの、それは自ら周囲にて燃え盛る炎の壁に近付くという意味であり、炎弾が地面に直撃し破裂した時に出る熱波と衝撃波が彼女を大きく吹き飛ばし、彼女は燃え盛る炎の中にモロに突っ込んでしまう。

 

「ぁ、があぁぁぁ!!!!?」

 

 彼女の軽鎧は炎弾の余波で溶け、白い肌も、金に輝く髪も黒く焦げていく。

 

 ガクガクと身体を震わせながらも刀を地面に突き立て、上半身だけを何とか起こすも既に喉を炎に舐められた彼女は呼吸すらままならない。

 

 地面に触れている自分の手が、脚がジリジリと燃え始める音を聞きながら、しかし彼女は最早身動ぎさえも出来なかった。

 

 もう、痛みも感じない。

 

 その背中に刻まれた神の力が、常人であれば死んでいる傷の少女を現世に留めていた。

 

(……私は……)

 

 ここで、死ぬ。

 

(……駄目だ)

 

 アイズは反射的にそう思った。

 

 許さない。

 

 それは、許されない。

 

 アイズの心は叫んでいる。

 

 立て。剣を執れ。吠えろ。己の全てを使って頭上を飛ぶ竜を討て。

 

 背中が熱い。

 

 全ての感覚がなくなった肉体で、背中だけが炎よりも熱い。

 

 アイズの心の中で、雨を振り払う黒い炎が燃え盛っている。アイズの心の中を焼く黒い炎がゴオゴオと憎しみの炎を上げている。

 

 だが、もう無理だ。

 

 精神論や根性論ではない。肉体的に、物理的にアイズはもう立ち上がれない。

 

 アイズの憎しみの炎よりも、竜の炎の方が熱い。

 

 彼女の黒い炎も全て消し飛ばされてしまう程に。

 

 もう近づいてこない竜が、再び顎の内側に炎を湛えるのを霞んだ視界で見ながら、アイズの自我は熱と煙により溶け落ちかけていた。

 

 ああ、コレで……楽になれる。

 

 そんな、ずっと抱いていた諦観と絶望が溶けて流れていく。

 

 まだだ! 私はまだ戦える! 

 

 アイズの黒い炎がその意識を必死に押し留める。

 

 ……もう、無理だよ。

 

 もう、ジュウジュウと音を立てて炭へ変わり始めている己の手足が、現状に屈している。

 

 結局、何も変えられなかった。

 

 何も取り戻せなかった。

 

 私は唯一人、ひとりぼっちで、二つの炎に心と身体を焼かれて死ぬ。

 

 何と愚かな末路だろう。

 

 何と呆気ない最期だろう。

 

 なんと悲しい末路だろう。

 

 なんと…………

 

 

 

『アイズさん』

 

 

 

「…………あぁ」

 

 思い出した。

 

 思い出してしまった。

 

 自分の最新の未練。最期の心残り。

 

 

 

 自分の勝手で、泣かせてしまった女の子。

 

「……リリ」

 

「ごめんね」

 

 炎に焼かれ、血の一滴まで枯れ果てた筈のアイズの瞳から、涙が一粒溢れた。

 

 

 

「アイズ!!!」

 

 

 

 その涙が、地面に落ちる前に炎に巻かれたその瞬間。

 

 炎弾の破裂にも劣らない爆発音と共にこの階層の出入り口の一つが吹き飛び、そこから自分の名を呼ぶ声が聞こえる。

 

 ……その言葉に、彼女は何を感じたのだろうか。

 

 

 

 この日の事は、この日から一年後も五年後も十年後も……数え切れない程に何度も何度も思い出し、何度も何度も思い返した。

 

 

 

 だが、この時アイズが何を考えていたのか。ソレだけはいつまで経っても彼女自身にさえ理解出来なかった。

 

 ただ一つだけ言える事があるならば。

 

 

 

 アイズの心にその声が響いたその瞬間、アイズの心の中に一陣の風が吹き荒れた事。

 

 そして、その風はアイズの心を焼いていた黒い炎を確かに払った事だ。

 

 

 

「────リヴェ」

「呼べぇっ!! アイズッ!!」

 

 ガサガサに掠れた声で彼女を呼ぶより早く、こちらに駆けながらリヴェリアは叫んだ。

 

「『目覚めよ(テンペスト)』と! 呼べエェェッ!!!!」

 

 それは、竜が炎弾を放つ瞬間。

 

 アイズは声なき声で、リヴェリアの言葉をなぞった。

 

 囁くような声で、祈るような声で。

 

「【目覚めよ(テンペスト)】」

 

 半ば燃え落ちたアイズの心の中で、黒い炎に焼かれて尚も目覚めなかった大鳥が、静かに眼を開けた。

 

 その事をアイズが頭ではなく心で理解した次の瞬間、心の中で大鳥が大きく翼をはためかせる。

 

 その瞬間、アイズの中に在った『魔法』が世界に向けて解き放たれた。

 

「ッ!?」

 

 巻き起こる大爆発。

 

 魔力暴発とは違う、意志と志向性のある爆発は放たれた炎弾の爆風すらも飲み込み、フロアを揺らす。

 

 その衝撃波は逆に竜の翼まで届き、その姿勢を大きく崩させる。

 

『ギイイィッ!!』

 

 強く叫んでバサリとその風から逃げる竜は、少し離れた場所で己にその風を当てた存在を睨みつける。

 

 地上にいるボロクズのような少女を、『風』が護っていた。

 

 その肉体を柔らかく、優しく包み込むように幾重もの『気流』の盾が包み込み、護っている。

 

 それは何ものよりも強く、何ものよりも優しい、生命全てを見守る『風』。

 

 その大いなる『風』がこの時この瞬間だけは、他全てを捨て去り焼け焦げた少女一人だけを護っていた。

 

「ぁ────」

 

 アイズには、それが何なのかが理解できた。誰に説明されずとも、彼女の記憶が全てを教えてくれた。

 

『────ずっと、いっしょ』

 

 だって、それは──

 

「お母さんの、風……」

 

 いつだって見ていた。

 

 いつだって感じていた。

 

 それは、永遠の別れによってもう見られなくなったと思っていた……

 

「あぁ……!」

 

 枯れ果てた筈の瞳から、涙が再び溢れ出す。

 

 そして、風が炎を吹き消したので、今度こそその涙は頬を滑り、地面へと落ちた。

 

「ずっと……いっしょ……!」

 

 使い切ったと思っていた力が溢れ出す。

 

 憎しみの力ではない、純粋な『想い』の力が溢れ出す。

 

 まるで優しく押されるような風が背中を撫で、黒焦げの脚が誰かに支えられているかのように簡単に力が入る。

 

『ゴァァァァアアア!!!!!』

 

 その様を見ていた竜は、その風と、そこに秘められし魔力に対する驚愕と戦慄、そして恐怖に急かされるように最大級の炎を顎に貯める。

 

 アイズは、それを見逃さない。

 

 壊れかけの脚で瞬歩を使い、跳躍。

 

 そして、周囲の空気を使い加速(・・)

 

 矢よりも早い速度で竜に向かって『翔ぶ』アイズは、己の斬魄刀(かたな)に気流を付与する。

 

 背中が熱い。

 

 (こころ)が燃えている。

 

 黒い炎が眼の前の竜を討てと叫ぶ。

 

 だが、そんな炎も雨と風に抱きしめられ、その勢いを減らす。

 

 大丈夫だと、一人じゃないと。

 

 そう言われているような感覚に、アイズは泣きながら叫んだ。

 

「【母の風よ(エアリエル)】!!」

 

 空間が歪んで見える程に圧縮された空気の層が、燃え盛る竜の喉奥にまで突き刺さり、そこで解放された。

 

 風砕。

 

 鱗の鎧に守られていない内側に叩き込まれた超密度に圧縮された乱回転する竜巻の力がその口腔ごと頭部を粉砕し、溜められた炎が制御を失い大爆発を引き起こす。

 

 それに巻き込まれて吹き飛ぶアイズを、杖も何もかもを放り投げて疾駆したリヴェリアが追いかける。

 

 力尽きたように風をすり減らしながらも『魔法』を制御したアイズは何とか着地し、そして四肢が力を失うその瞬間、駆け寄ってきたリヴェリアが地面にスライディングするようにして己の身体で受け止める。

 

 息を荒げるリヴェリアに受け止められたアイズは、震える腕を虚空に掲げる。

 

 そこに柔らかく、包み込むように触れる風の腕に、彼女の眼からはますます涙が溢れる。

 

 全てを失った筈だった。

 生涯を独りで過ごすのだと思っていた。

 永遠に孤独の痛みと苦しみを抱えていくのだと悟った気でいた。

 

 だが、違った。違ったのだ。

 

『母』の息吹は、家族との絆は、アイズの中に確かに残っていた。

 

 父の技術(わざ)はアイズの肉体に宿っていた。

 

 母の魔法(かぜ)はアイズの魂に刻まれていた。

 

 アイズは確かに失った。

 

 それはもう、取り戻せない。

 どれだけ武器を振るおうとも、取り戻せるものではない。

 

 だが、アイズは全てを失った訳ではなかった。

 

 彼女は、独りではなかった。

 

 嗚咽を漏らすアイズの背中を黙って擦るリヴェリアに気付いた彼女は、リヴェリアの瞳を覗き込む。

 

 その眼差しにある確かな慈愛の色を認識すると同時に、リヴェリアは彼女を抱き締める。

 

「……リヴェリア」

「……お前がダンジョンに突っ込んだとリリに聞いて、お前を見つけて説教をしてやらねばと思っていた。ここまで来るまでも、お前にどんな説教をするかを考えていた」

 

 そう言って、アイズを抱く力を強くしたリヴェリアは一言呟いた。

 

「済まないな、アイズ。お前を子供扱いし、お前の意思を蔑ろにし続けた」

「……え」

「……私は馬鹿だ。つまらん大人の意地でお前をここまで追い詰めた……本当に、申し訳無い」

 

 違う、とアイズが言う前に、リヴェリアは身体を離し、彼女の金の瞳を覗き込んだ。

 

「アイズ……私達がお前の行動を叱るのはな。お前を大事にしたかったからなんだ。お前を、愛したかったんだ……お前が傷付くと、私達も同じだけ苦しい気持ちになるんだ……私達みんな、お前の事が大好きだから……!」

 

 焦げてバサバサになってしまった髪を優しく撫でるリヴェリアの暖かさに、アイズは震える手を彼女の背中に恐る恐ると回した。

 

「……リヴェリアぁ……ごめんなさい、私、私ぃ……!」

「あぁ……あぁ……! 良いんだ、もう……!」

 

 焼け焦げた大地の上で、二人の影が重なる。

 

 しかし、いつまでも泣いている訳には行かない理由が少なくともアイズにはあった。

 

 暫くして、アイズは涙を拭きながら身体を離す。

 

「……リリにも、謝らないと」

「あぁ、そうしよう。今傷を治してやるからな。そうしたら、すぐにリリの所に行こう。お前の事を倒れるぐらいに心配していたんだ」

 

 そう言った二人は、手早く傷を回復させてからリヴェリアがアイズを背負う形でダンジョンを脱出する。

 

 そして、脱出してからすぐに見つけたギルド職員に声を掛けた。

 

「失礼、【ロキ・ファミリア】のリヴェリアだ。ダンジョンの異変の原因は排除した……何かあったのか?」

 

 その職員の顔色がなんとなくダンジョンの異変どうこうではない悪さに見えて、彼女は事情を聞く。

 

「じょ、情報が錯綜しているのですが、【ソーマ・ファミリア】所属のリリルカ・アーデというレベル一冒険者が、街中の同ファミリアの眷属を殺戮して回っていると……うわぁっ!?」

 

 その職員以上に顔色を真っ青にした二人は、ダンジョンの外に出て路地を駆ける。

 

「……こ、コレは……!!」

「……り、り」

 

 そこで、人々から遠巻きに見られている上半身の存在しない冒険者の惨殺死体を発見し……その男の装備に『月と盃(ソーマの紋章)』を見て、その場で立ち竦んだ。

 

 リヴェリアの背中で呆然とするアイズとは違い、リヴェリアの立ち直りは早く周囲の冒険者に駆け寄って声を荒げる。

 

「おい!!」

「えっわっ! 【九魔姫(ナインヘル)】!?」

「リリルカ・アーデは今何処に居るっ!!」

 

 

 

 どうしてこうなった? 

 

 街を駆け抜けながら、ザニスはそれだけを何度も頭の中で繰り返していた。

 

 どうしてこうなった? 

 

 歩くのに邪魔な服を破り捨て、転けて眼鏡は砕け散り、斬り飛ばされた腕の断面を圧迫する腕は乳酸が溜まりブルブルと痛みに震えている。

 

 出血を少しでも抑える為に顔を流れる汗を拭うことも出来ないザニスは、バタバタとみっともない足音を立てながら路地を走っていた。

 

「ぐっ、くそっ!!」

 

 普段街で履いている作りの良いブーツは高級品であるが、こうやってバタバタと駆けまわるのには向いておらず、ザニスの脚にズキズキとした痛みを作ることに加担していた。その痛みに悪態を吐きながらも目当ての場所に辿り着いたザニスはドンッ!! と眼の前の扉に体当たりをして、その扉を開けた。

 

「助けてくれッ!!」

 

 そこは、【闇派閥(イヴィルス)】の隠しアジトの一つ。

 

 体当たりの勢いでその床に倒れ込んだザニスがそう言いながら顔を上げると、窓の外を眺めながらゲラゲラと笑っていたヴァレッタが振り向く。

 

「……おー、ザニスじゃん。スゲーことなってんな、お前んトコ」

「頼む! 何でもするから助けてくれ!」

「え、嫌だけど。普通に」

 

 何を当たり前の事を、と首を傾げるヴァレッタに、ザニスは吠える。

 

「今まで、お前らの事を散々に助けてやっただろうがっ!!」

「えー? んなことあったっけ?」

 

 そうとぼけて何人か居る周囲の【闇派閥(イヴィルス)】団員達に確認するが、団員達は笑いながら首を傾げるのみ。

 

「なっ……!!」

「だいたいさー、お前の言ってる事ってアレだよな? お前を助ける為にあのバケモン相手に命張れって事だよな? いや馬鹿か? お前程度の為に誰がそんな事すんだよ。私等だってボランティアじゃないんだが?」

「あっ……がっ……!」

 

 屈辱と絶望で言葉すらも出せないザニスを暫く眺め、窓の外をチラリと覗いたヴァレッタはニマリと笑ってポンと手を叩いた。

 

「あ、そーだ!! どうしても助けて欲しかったらさぁー、それなりの態度があるだろ? ……取り敢えず土下座しろよ土下座」

「……土下座、だと……!」

「べっつにやりたくないならやらなくて良いけど?」

 

 ニマニマと笑うヴァレッタの顔を見てそれが本気であると悟ったザニスは、怒りと屈辱に顔を真っ赤にしながらもゆっくりと頭を地面に押し当てた。

 

「……おい、土下座つってんだろうが。手も床に付けろよ」

「……」

 

 ビチャリ、と血塗れの手を床に付けたザニス。

 

 切断された腕から再びピチャピチャと血が流れ始める音を聞きながら、ヴァレッタは笑顔で続けた。

 

「んーじゃ、言って。『ヴァレッタ様にこのカスのような命を捧げますのでこの卑しいゴミ以下のクズ野郎をどうかお助け下さい』って」

「っな!?」

 

 その言葉に思わず顔を上げたザニスは、憎々しげな視線をヴァレッタに向ける。

 

「……何見てんだ? 言うのか言わねーのか」

「…………言う」

「『言う』だー? 何不満な感じ出してんの。『言わせてください』くらい言えよ」

「言わせて……下さい」

「おっけ、じゃー言って? はい『ヴァレッタ様に』?」

 

 屈辱の姿勢で屈辱の台詞を言わされる。

 

 そして、それを言った暁には本当に自分の命は目の前の女に捧げられるのだろう。

 

 どうしてこうなった? その想いをひたすら繰り返しながら、ザニスは怒りに震えながら言葉を、継ぐ。

 

「……ヴァレッタ様に」

「『このカスのような』」

「この、カスのような……!」

 

 しかし、そこでヴァレッタの言葉は止まった。

 

 顔を上げると、窓の外を眺めていた彼女が頭をポリポリと掻いていた。

 

「…………いや、やっぱもう良いや、お前の覚悟はよーく分かったし。もう言わなくて良いし、別に命も捧げなくて良いよ」

「……い、良いのか?」

「あぁ、お前もう死ぬし」

 

 そう言ってその場から二、三歩分動いてザニスと窓の間を開けたヴァレッタは、彼に向けて手を振った。

 

「……来世ではさあ、命掛かってる時はプライドとか完全に捨てて形振り構わずやれる事全部やんな? コレ私の珍しい純粋なアドバイスだから」

 

 彼女がそう言ったと同時に、窓からは全身に血を纏った化物が飛び込み、

 

「待てリリ! そうだお前を副団長にしてやろう! そうだ、今ある神酒(ソーマ)を全て呑ませて」

 

屍食(しかばみ)猫嚙」

 

 化物(リリ)の後から雪崩のように部屋に入ってきた血の波がザニスに押し寄せ、無数の鼠へと姿を変える。

 

 そして、その鼠が全て一斉に、ザニスの肉体に襲い掛かった。

 

「あっがっ……ぎゃぁぁぁぁぁぁあああ!!!!!」

 

 どうしてこうなった? 

 

 己の叫び声を聞きながらそう思ったザニスだが、ほんの一秒も経たぬ後に頭蓋を食い破られた彼がその答えを手に入れる事は無かった。

 

 

 

 ザニスの居た場所に骨すら残らなかった事を確認したヴァレッタはふぅ、と満足げに溜息を吐く。

 

 彼女以外の【闇派閥(イヴィルス)】は皆、リリが飛び込んできた瞬間この建物から逃げていた。

 

 パチパチ、と手を打ち鳴らす彼女に視線を向けたリリ。

 

「いやあ、良いショーだったよ。金取れるぜ」

「……では、お騒がせしました」

「まあ待てよ。一つ頼みが有るんだ……お前、ここで死んでくんね?」

 

 その瞬間にリリから放たれた血の刃を避け、そして指一本のみをその射線に置いたヴァレッタ。

 

 彼女の指を切り落とすかと思われた血の刃はしかしバチャ、と水音を立てて彼女の指を濡らすだけに留まった。

 

「…………!?」

「おー、やっぱりか。いやな? お前の殺戮ショーそのへんのやつの体使ってこっそり見てたんだがよ、たま〜〜に居るわけよ、死んでねー奴が……んで、その中に明らかに新顔です! オラリオ一年目です! って顔つきの奴が居てなあ、それでピンと来たわけだ。んで、今確信した」

 

 そう言って、血に濡れた指を……血に濡れただけ(・・)の指をリリに見せつける。

 

「お前のその血、『憎い相手にしかダメージ与えられない』らしいな?」

 

 リリが目を見開く。

 

 その眼の白目部分までもが血管が破裂して赤黒く変色しているのを見たヴァレッタはヘラリと笑った。

 

「まぁ……『憎いやつにしかダメージ入らない斬魄刀』でお前の身体がそこまでボロクズになってる辺りは面白いけど、重要なのはそこじゃない」

「ちょっと、私達は何年後かにこのオラリオでちょっとしたイベントをやるつもりでなあ、そん時にお前が居るとまぁ……ちょい邪魔なんだわ」

 

「何を、するつもりですか」

「言わねーよ。言ったら憎まれるじゃねえか」

 

 その言葉を聞いたリリは、黙って背中に回していた刀を抜いた。

 

【ソーマ・ファミリア】相手にはただの一度も使わなかったその刀は、始解状態には非常に珍しく『形状変化が一切無い(師匠に貰ったままの形)』ものであった。

 

「あー、なるほど? 能力では傷つけられなくても刀なら……ってか?」

 

「はっは、なら…………」

 

「蝕め────死絡」

 

 




猫嚙の能力

自分の血を操る能力

攻撃力は対象への『憎しみ』の強さに依る。初対面(憎しみゼロ)の相手にはノーダメ(NEW!)

『憎しみ』の対象には自分も含まれる(NEW!)

まだまだ能力(の、制約)あるから楽しみにしててね!

『現実逃避アンケート』ダンまち本編のアイズは『リリは私のお姉ちゃんだから』と言って事情を知らない人間から宇宙猫されるか、『私はリリのお姉ちゃんだから』と言って事情をよく知る人間から宇宙猫されるかどっちが良いですか?(実年齢はアイズが一つ上)

  • リリを『お姉ちゃん』だと思ってるアイズ
  • 自分を『お姉ちゃん』だと思ってるアイズ
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