オラリオで斬魄刀打つ転生者の話 作:オリ斬魄刀の小説増えろ
なまわさびさん、rinyaさん、カオルさん、誤字報告ありがとうございます。
お互いになんとも言えない笑いを浮かべた後、二人は同時に話題を切り替えた。
「確か、今回は階層更新を目指すんでしたよね?」
「ええ。まぁ私はもちろんそこまでは行きませんけど。最前線チームの一歩手前で中継陣地をつくってそこに詰める感じです」
そう言った時、ザワリとフロアが大きくざわついたのを感じたリリルカはエイナに片手を上げてから席を立ち、パーテーションで仕切られた個室から顔を覗かせる。
「あ」
「あ」
そこでリリルカは騒動の中心、一人の男性とバチッと目が合う。
互いに目が合った事を理解したので、リリルカは相手方に分かるようにパーテーションの内側から片手を出してヒラヒラと手を振る。
相手もそれを認識して、少し口角を上げて手を振り返す……その前に、ヒュゴッ! と空気を切る猛スピードで一人の女性がリリルカの視界を遮るように立ち塞がった。
「あ〜〜〜ッららァァ? 誰かと思えば今回の遠征に同行して頂ける【ヘスティア・ファミリア】のリリルカ・アーデ団長じゃあありませんかァ〜! ワタクシ今遠征で貴女様のお世話係を拝命しております【
「…………は、はいティオネ様……」
一息で言った。
空間を歪ませているのではという程の濃密な敵意と殺気を漂わせているにも関わらず、その所作は微塵の隙もない淑女のそれ。
そんな矛盾を成立させた眼前のアマゾネスの女性に、リリルカは半歩下がりつつも応じた。
眼前の黒く艷やかな長髪と、露出の多い衣装から覗く褐色肌が色気を醸し出す女性は、ティオネ・ヒリュテ。【
彼女はアマゾネスという戦闘種族の血を引いた女性であり、
この女性がどれほどフィンに想いを寄せているかは……このリリルカに対する威嚇のなりふり構わない必死さを見れば分かるであろうか。
知らぬ仲でもないのにまるで初対面のような丁寧すぎる挨拶をしてくる彼女の笑顔のプレッシャーによりグイグイとパーテーションに押し戻されるリリルカだが、そこで先程目が合った人物が助け舟を出してくれる。
「そこまでだよティオネ」
「ウェハァ!? だだ団長違うんですこれはそのちょっとしたじゃれ合いと言いますか威嚇とかそういう意味は全然無いっていうかホラ私とリリは気心の知れた間柄でしてえっとその────」
フィンを慕い過ぎている彼女に比べれば幾分か理解度の薄いリリルカでも一声聞けばすぐ分かる、ちょっと怒った声音の【ロキ・ファミリア】団長【
再びヒュボッ!! と突風を起こしながらリリルカを背に庇うようにして振り向いたティオネの、
そこに居たのは、リリルカよりほんの十Cほど背の高い、金髪の美少年。
しかし、その物腰は少年と呼ぶには少し落ち着きすぎており、全体的に壮年の雰囲気を醸し出している。
彼こそは、リリルカの建前上は……本当に、建前上だけは対等な立場にある男。
今回の二つのファミリアでの合同遠征におけるリリルカの取引相手のフィン団長に彼女は深く頭を下げる。
「
「改めて、この度は【ロキ・ファミリア】の大規模遠征同道に誘って頂いてありがとうございます、フィン様」
頭を下げたリリの肩を軽く叩き、頭を上げるように促す。
ソレに応じて彼女は身を起こし、改めて眼前の男性と握手をする。
「君の能力は希少だ。僕等はそれを欲したに過ぎないよ」
「そーよそーよ、団長は
「ティオネ?」
「ごめんなさい」
フィンの事を少々*1度が過ぎるほどに敬愛し過ぎている*2ティオネは当然とばかりに暴走するが、若干声に圧を乗せたフィンの一言で即座に沈静化した。
「済まないね、リリ君。今回は二つのファミリア同士の友好関係を強化するという面も大いにある遠征だ。同じオラリオのファミリアとして、真に対等な立場で互いに助け合おう」
「はい! 暫くの間、お世話になります!」
真に対等な、等と言いながらも傍らに威圧的なティオネを立たせた上でフランクな態度を崩さないフィンと、そんな二人にニコニコと笑いながら再度頭を下げるリリルカ。
ギルドのロビーの中心で行われる、言っている人間含め誰一人として本気で受け取っていない、白々しいやり取り。
内心でのうんざりを表情の裏に見事に隠すリリルカは、事前に伝えられていた
彼女が所属するのは、遠征用の荷車と共にヒーラーやバッファー、そしてサポーター達の集められた隊列中央近い支援班。
「ちなみに、あんたの所属する班のリーダーはアタシだかんね。団長に色目使うなよ……てか、団長後ろの班だから用事無く後ろ振り向くの禁止ね」
「……あ、あははは……」
リーダーは先程からダル絡みにダル絡んできているティオネ・ヒリュテ(強権使用)。
そして明らかに
(……と、とても行きたくないです……)
数少ない癒やしと言えるのは見るからにやる気に満ち溢れている荷馬だろうか。
(……いや、もう一人居ますね、明らかにやる気に満ち溢れてるやつ……)
流石は一流ファミリアとでも言うべきか、非常に体格に優れた勇敢そうな顔つきをした荷馬を撫でながら黄昏れていると、後ろからそのやる気いっぱいな冒険者に声を掛けられた。
「リリ」
(そら来た)
気配を感じ、表情を整え、声を掛けられ、一呼吸。
「どうかなさいましたか? アイズ様」
振り返った先には声の主、輝くような金髪……というよりも、最早『輝髪』とでも呼びたくなるような美しく癖のない長髪を背中に流し、動きやすさを重視した最低限要所を守るだけの、しかし明らかに上質な、磨き上げられた軽鎧を纏った整った顔立ちの少女だった。
リリルカは互いに年齢が一桁の頃からの馴染みである友人に、余所行きの笑顔を向け……アイズはそれにたいそう不満そうな顔をするのであった。
アイズとリリが何故幼馴染扱いになっているのかは本編で書ければと思います。
この二人小さい頃から冒険者してるし、年齢も近いし、親に恵まれたかどうかとか神に愛されたかどうかとか、天然っ娘と計算高さとか、戦いの才能……はこの小説では違うけど、とにかくいろいろ対比構造映えるしで結構相性良いと思うんですよ。