オラリオで斬魄刀打つ転生者の話   作:オリ斬魄刀の小説増えろ

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斬魄刀ちょっとだけ出ます

日向ひなたさん、誤字報告ありがとうございます。

なんかトチ狂って高額融資を持ちかけてきたファミリアをゴブニュ・ファミリアにしてました。正しくはディアンケヒト・ファミリアです。あんまし内容に関係ないけど、一応ね……

誤字報告来ましたので解説しておきますと、ダンまち世界ではセンチメートルをC(セルチ)、メートルをM(メドル)と表記します。マジで紛らわしいですが神意ですので従うしかありません。


リリルカ・アーデ④

「……様付け、やめて」

 

ムスッとした顔でそう言う馴染みの少女に、言われて尚リリルカは余所行きの姿勢を崩さない。

 

「いやあ、アイズ様。少しでよろしいので私の外聞を考えてくださいませんか……?」

 

多少困った風を滲ませつつもニコニコ笑顔のリリルカと、不機嫌顔の少女。

 

ひたすら無言のせめぎ合いは、その内に少女の側が折れるという結果で幕を閉じた。

 

「…………なら、そのままでいい」

 

誰がどう聞いてもそうは思っていないと分かる声でそういう彼女に、リリルカは本心から申し訳なさげに笑う。

 

それから少女は、気安げにリリルカに近づいて持っていた(誰かからの貰い物であろう)高そうな飴玉の袋を差し出してきた。

 

(だから外聞を考えろと……言っても、分からないですかね、この天然っ娘には)

 

リリルカは彼女はこういう気質の娘なのだと内心で溜息を吐くに留めた。

 

そうするだけの、彼女に対する理解が既に出来上がっていた。

 

「遠征、始まる前に挨拶に来た……行軍が始まったら離れちゃうから」

「アイズ様は最前線ですからね」

 

明らかに高級そうなそのお菓子を、そうと気づかずに食べているのだろうアイズをチラと見てからリリルカは目礼をしてそれを一つつまみ、口に放り込んだ。

 

「美味しいです」

「うん。美味しい」

 

 

 

彼女の名はアイズ・ヴァレンシュタイン。神々より【剣姫(けんき)】の称号を頂く、人生を剣に捧げる少女だ。

 

巷ではその戦いへの傾倒ぶりから【剣鬼】等と言われる事もある彼女であるが、幼き頃から彼女と付き合ってきたリリルカもまた、姫などよりそちらの方が彼女にはよほど似合うのではと考えている。そんな彼女は、アイズの強くなる為の自主練に朝から晩まで付き合わされまくった過去がある。

 

それに、リリルカをここまで鍛え上げた『師匠』のホラ話を信じて【剣八】等というトチ狂った称号に憧れているのだから彼女もそれ(【剣鬼】)を喜ぶであろう……というのは、流石に悪意ある意見だろうか。

 

「まあ、後ろは私に任せて下さい。見た目通り、サポーターの仕事には一家言あるのですよ?それにほら、【ロキ・ファミリア】の皆さんも頼りになりますから!」

 

内心のそんな感情は奥に秘め、人好きのする笑顔を向けて、その上で周囲の人間を立てる。

 

リリルカが半歩引きアイズの眼を支援要員達に向けさせると、不純でひねくれまくったリリルカとは違い純粋で素直な彼女は思惑通りに「うん、皆のことは頼りにしてる」と言ってくれた。

 

ファミリアの幹部でありながら、その容姿と年齢からアイドル的な扱いもされているアイズからの激励の言葉に、彼女への憧れを多かれ少なかれ持っている【ロキ・ファミリア】の支援要員達は浮足立って口々にやる気のある言葉を述べる。

 

と同時に、それなりにあったリリルカへの恐怖や反発が僅かなりと軽減された事を肌で感じた彼女は、表面ではニコニコと、内心は疲れた苦笑を貼り付けてアイズを彼女の班へと送り出す。

 

「さぁ、アイズ様。そろそろ……」

「うん」

 

促されるままに戦闘班に戻るアイズは、途中で振り返って『本題』を口にする。

 

「リリ……」

「何でしょう?アイズ様」

「この遠征中、暇な時に私の剣を見て欲しい」

「嫌です」

 

アイズの『本題』は、瞬時に一刀両断された。

 

「……でも」

「でもも鴨もありません。私みたいな木っ端小人族(パルゥム)がアイズ様の剣の何を見ると言うのですか?」

「だって……」

「だってもラテもありません。そもそもアイズ様のほうがレベルが高いではありませんか。レベルの高い者が低い者の面倒を見る事はあれど、その逆など聞いた事もありませんよ」

「けど」

「けども井戸もありません。私からアイズ様にお教えする事など、何もありません」

 

先程までのへりくだった態度は何だったのかという程に取り付く島もない態度に、アイズは「……飴あげたのに」と恨みがましく呟き、しかしショボンと肩を落として大人しく戦闘班に戻っていった。

 

その姿にリリルカを責めたいが、言っている事が道理過ぎて何も言えない班員達の……そして、遠くからはこの【ファミリア】の並み居る実力者達の視線をヒシヒシと感じつつも彼女はその意見を変えない。

 

(当たり前ですけど、私を遠征に巻き込んだ理由はそこでしょうしね)

 

この世に産まれて物心ついた頃から他人の顔色をみて、自分の置かれた状況を察しなければ生きていけなかったリリルカにとって、このアウェーな状況で……逆に言えば、いくらでも他の人間の感情に触れられる環境で彼等の思惑を探ることは比較的簡単であると言えた。

 

(私達の【ファミリア】は扱っている技術の貴重さに反してオラリオでの立場が弱過ぎる。逆に言えば、他【ファミリア】にとっては私達はちょっとの労力で最大級の利益を得られる連中という事……)

 

今現在は主神の神友の誼で【ヘファイストス・ファミリア】の傘下ファミリアという事になっているが、それが便宜上のものである事などそのへんの噂好きの神に確かめればすぐに分かる事。

 

事実、現状オラリオの二大派閥の片翼である【フレイヤ・ファミリア】からもそれとなく粉をかけられており、それだけではなく【ガネーシャ・ファミリア】からもいざという時には後ろ盾になろうという有り難い親切(下心)を頂いている。【ディアンケヒト・ファミリア】からは高額融資の誘いを頂いた事もある。断ったが。

 

(確かに、主神達の仲が悪いとなると他ファミリアとのレースに一歩も二歩も劣る訳ですから、焦る気持ちは分かりますけどね……)

 

己の腰に差された刀を触る。

 

この【魂の魔剣(斬魄刀)】は、その力の解放さえ為せれば正しくその冒険者にとって値千金の価値がある代物だ。

 

(確かに……わたしたちにも利がある提案だからこそ【ファミリア】同士の力関係もあってこの同行依頼は断れませんでした。ですが……やられっぱなしも面白くないですからね)

 

フッと誰にも見せず微かに微笑んだリリルカの後ろで、ドバァン!!とギルドの入口で轟音が鳴り響く。

 

ザワリとざわめく中で、さらに笑みを深くした彼女は周囲の人間の足元をスルスルとすり抜けて轟音の方へ進む。

 

(流石です、ヘスティア様)

 

そこには彼女の見込んだ通り、二人の女性が石畳の床に仲良く同じ姿勢で頭からダイブしていた。

 

そのあまりにも痛そうなダイブの仕方に周囲からは「うわ……」とドン引きした声が上がり、遠目に誰が来たのかを確認した【ロキ・ファミリア】の幹部勢は主神の頭部の痛みが移ったかのように各々が頭を押さえるのだった。

 

それは、【ロキ・ファミリア】の主神ロキと、【ヘスティア・ファミリア】の主神ヘスティアであった。




次回でプロローグリリルカ編終わってついにオリ主出ます。

何でプロローグに編なんて作らにゃいけんのだ?
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