オラリオで斬魄刀打つ転生者の話   作:オリ斬魄刀の小説増えろ

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オラざんを読むときは、部屋を明るくして画面から離れて「こんな仲のいい二人なのに何年かしたらお互いに立場ができて人目のある場所では名前に『様』を付けなきゃいけないような間柄になっちゃうんだよな」と思いながら読んでね!

lightacenoahさん、佐藤東沙さん、雪森さん、リア10爆発46さん、誤字報告ありがとうございます。


未熟未熟未熟未熟未熟

 

 

 

 

いへ(見て)

「お〜」

 

 ンえーと大口を開けたアイズの口の中をリリが覗き、気の抜けた感嘆を零す。ついでにちいちゃいおててでパチパチと謎の拍手をしてみる。

 

 何日か前にアイズが大騒ぎした抜歯事件から暫く、抜けた歯の跡に小さな白い歯が顔を出していた。

 彼女はそれに何とも違和感があるらしく、しきりにモゴモゴと口の中を動かしたり舌でチロチロとそこを触ってみたりしたのだが、そんな珍妙な顔芸にリリがツッコミを入れた事で今のお披露目会と相成っている。

 

「リリの口の中は?」

「私? 私は昔から殴られまくってたから歯抜けだらけですよ? んあーッ」

 

 カパ、と開けられたリリの口内をアイズが覗くと、確かに前歯は揃っているものの奥歯などは所々に抜けが見られた。

 

「ほんとだ」

「奥歯はもっともっと成長してから新しいのが生えてくるんだってヘスティア様が言ってました」

「へー、物知りだね、ヘスティア様は」

「ロキ様は教えてくれないんですか?」

「ロキはあんまり物知りじゃないから」

「へー」

そういう事を言うのは止めないか

 

 唐突に主神を貶し始めるアイズをリヴェリアは止め、二人に揚げたてのじゃが丸くんを手渡す。

 

「やった」

「ありがとうございますリヴェリア様」

「あぁ、構わない」

 

 喜んで二人並んで噴水の縁に座り、じゃが丸くんを食べ始める様子を見てホッと息を吐くリヴェリアは、遠い空の向こう(嘘)に居るロキの冥福を祈る。

 

 残念な事にというべきか。

 本来の知識量の話をするならばロキの方がヘスティアよりも圧倒的に博識なのだが、あの神の性質上『苦労して他人に丁寧に手取り足取りものを教える』よりも『他人が右も左も分からず右往左往するところを愉しむ』方に比重が寄りがちな為に、そういった点をまだ理解していないアイズからは単純に『ロキはアホ』という結論を下されていた。誠にご愁傷様である。

 

 まぁ、成長して自身の主神の本質に気付いたとて『ロキはアホ』から『ロキはクズ』に変わるだけなのが悲しいところだが、これもまあ自業自得というものだ。

 しかし、自省すれども改善はほぼ不可能というあたりが不変の存在たる神格(デウスデア)の悲しいところである。

 

「……しかしリリ、アルフィアは大丈夫なのか?」

 

 普段何かあれば修行、何も無くても修行のアイズがこうしてじゃが丸くんを貪っているのは、今日修行をつけてくれる予定であったアルフィアが体調を崩して寝床から動けないが故のものである。

 

 何でもない顔でベッドに腰掛けて「ヘスティアが大袈裟なだけだ」と愚痴っていたアルフィアから漂った濃密な血の匂いをアイズは振り払えずにいた。

 

 そうして『アルフィアが気になって気になってしょうがありません』とデカデカと顔に書いてあるアイズを見て、リヴェリアが本日の修行を強制的に全面禁止にしたのだ。

 

 意外なのは、その禁止令をアイズが正直に守って大人しくリリと遊んでいる事である。

 

 言ってはなんだが、リヴェリアとしては意地でも修行を敢行しようとするアイズを理屈と実力でねじ伏せる準備まで心の中でしていたので拍子抜けといったところ。

 

 しかし、少女の煌めく黄金の瞳の中にある感情を察すれば、そんな気持ちも無くなった。

 

(怖いんだな……アイズ)

 

 過去の経験もあって『愛着ある身内の死』はアイズにとって特級のトラウマだ。

 それに、そんなトラウマなど無くとも、例え袖振り合う程度の多少の縁だったとしても……見知った人間の死が恐ろしくない人間など居るものか。

 

(どうにも波長があったのか、アルフィアにはすぐに懐いていたしな……いや()

 

 ……もしかするならば。アイズは……『ひと目でわかるほどに強く、決して死にそうにない程の強者』だからこそアルフィアにはこんなにも早く懐いたのではないか。

 

 そんな強者が今死の気配を漂わせているところを見たから、アイズはまた(・・)置いていかれることに恐怖しているのではないか。

 

 そう思うと彼女の母親代わりとしてはどうにも居た堪れない気分になり、じゃが丸くんを貪っているアイズの頭を黙って撫でるのだった。

 

「お、剣握ってないなんて珍しいこともあるもんだ」

 

 モモッモモモッとじゃが丸くんを貪っていたアイズと、チマチマチビチビと齧るように食べていたリリ*1に掛かる声が一つ。

 

「あ、ライラ様、先日ぶりです」

「よぉ」

「輝夜様はお久しぶりですね」

「ええ、お久しぶりです、リリさん」

 

 軽く手を挙げるライラと、しゃなりと淑やかに頭を下げる輝夜の二人に挨拶をするリリは、キョロリとさり気なく周囲を見回した。

 

「安心してください、リリさん。今日はあの子達は居ませんから」

 

 輝夜の言葉に、あからさまにホッと息を吐くリリ。ヘスティアの眷属らしく割と誰とでも臆さず接するリリのそんな様子にリヴェリアは「誰の事だ?」と内心で疑問を感じる。

 

「あのアホの団長やら正義厨エルフやら……コイツあのへん苦手なんすよリヴェリアサマ」

「アリーゼやリオンが……苦手? どうしてだ」

 

 二人ともクセはあれどそんなものはこの街にいる人間なら誰だってある。リヴェリアにはどうにもあの善良な二人を苦手に思うという感覚が理解できなかった。

 

「やー、まーそのーですね……」

「別にハッキリ言っていいぜ」

「左様です。あの頭痛がする程ニブい二人に遠慮など必要ありません」

 

 彼女達の仲間であるライラと(猫を被っている)輝夜にお墨付きを貰ったリリは、それでも遠慮がちに「別に嫌いってわけじゃないんですけどね?」と念入りに前置きした上でけどまあ、と二人への評価を語る。

 

「なんというか……ですねー。あの人達ってなんというか……『あの事件(マーダラー)』の被害者として私に接してくるっていうか……いや! それが嫌な訳ではないんですよ!? 嫌じゃないんですけど……」

「クソ鬱陶しーんだろ」

「糞鬱陶しいのでしょう」

「違いますって!」

 

 ライラと輝夜の茶々を咄嗟に否定したリリであったが……

 

「ただほら、いつまで経っても私を『可哀想な被害者の女の子』として扱ってくるからこの人達は今の私が不幸そうに見えてるのかなーとか無意識に下に見られてるのかなーとかそんなに手を貸さないと立つこともできない子供に見えるのかなーとかなんか納得いかない感情が色々あってどうにも避けがちになっちゃうというかついつい気取ってんじゃねーって思っちゃうというか良い人達なのはホント分かってるんですけど考え方が合わないというか()の扱いが私自身とあの人達で違うというかライラさんや輝夜さん達と違って救おうとしてくる(・・・・・・・・)のが若干鼻につくというか………………」

「「「お、おう………………」」」

 

 ………………思ったより、かなり出た。

 

 少なくとも、大人組三人が二の句を継げない程度には一杯でた。

 

「リリ、あの二人嫌いなの?」

「全然嫌ってないですよ? ああいう精神性は人として普通に好ましいと思いますよ、ええ」

 

 じゃが丸くんを腹に収めきったアイズがそう聞くが、リリはその言葉を否定する。

 しかし、その言葉には言外に『自分に関わりがなければ』という前提が含まれていた。

 

 しかし、これまでにここまでリリが他者に不満をぶち撒ける所を一度しか見たことの無いアイズ(その一度は勿論アイズ自身に対するものである)は「ふーん」と一応の納得を見せつつも歯の奥にものが詰まったような微妙な顔を見せていた。

 

「……なら私とあの二人どっちが好き?」

「えーそれは……え、言わなきゃ駄目なんですか? …………まぁ…………流石にアイズさんですけど。普通に……いや、こういうこと言うのちょっと恥ずかしいんですけど……顔あつ……」

「ふーん。じゃあ私とヘスティアさm」

「ヘスティア様に決まってるじゃないですか馬鹿じゃないですか頭大丈夫ですか? コンコーン*2、もしもーし、中身入ってますかー?」

 

 ゴロンバタンと噴水の縁をアッチにコッチに転がりながらムギープギーと互いに変な声を出して感情と感情のぶつかり合い(ほっぺたの引っ張り合い)をする二人を(ヒートアップしてドボンする前に)リヴェリアがポコンポカンと叩いて*3収めた。

 

 レベル五のシバきの次元が違う痛みに暫し頭を押さえていたリリは、先に復活していたアイズ*4に身体を起こされ改めて座り直すと、ダルげに頬杖をついた。

 

「…………まぁけど、そうは言いましたけど。昔の私ならあの二人にめっちゃ懐いて依存しまくってたと思いますよ」

「昔ね……そりゃ『救われたかった』頃のリリなら……ってトコか?」

「さっすが御同胞(ライラさん)

 

 パチッと指を鳴らしてライラの言葉を肯定したリリは、陽光に煌めく噴水の水を指先でチョイチョイと弄びながら、優しく微笑んだ。

 

「昔の私は……私を救ってくれるなら、世界中の誰だって良かった。そして……世界中の全部から、ヘスティア様がこんなゴミみたいにちっぽけな私を見つけて、御救い下さったのです。だから…………私はもう、ヘスティア様以外の方の救いは要らないんですよ」

 

 リリは救いを求めていた。

 

 この残酷な世界の中、その中でも一等薄暗い場所で泥に塗れながら、あるかどうかすら分からない、一目見たことすらない救いを夢想した。

 

 誰に見て見ぬふりをされようとも、誰に踏みにじられようとも、ただ只管に。

 

 そして、そんな『堪える』という地獄を必死で生き抜いた彼女に確かに救いは齎された。彼女は神に救われた……救っていただいた。救って下さった。

 

救ってくれれば誰でもよかった。そして、『誰でも』の中であの方だけ(・・)が救って下さった

「………………」

「これが私の全てです」

 

 この歳の子供はもっと求めるものがあってしかるべきだ。

 だがしかし、感情を察することに長けたリヴェリアから見てもそのような一般論を差し挟む余地など欠片もないほどに、リリの表情からは『満足感』と『幸福感』しか感じられなかった。

 

 もしもヘスティアが耳にしていればいつも通りの全てを受け入れるニコニコ優しい笑顔の裏で(な、なんか……ボクの想定よりだいぶ感情が重いな……?)とプチパニックを起こす事間違い無しなリリの言葉を聞き、輝夜が成程と頷く。

 

「つまり、『自分が一番助けてほしかった時には全然助けてくれなかった癖して自分が救われた後にぺョコペョコしゃしゃり出てきて可哀想な貴女を救ってあげたいですキリッ的な正義(JUSTICE)ムーブをかまされて正直鬱陶しいことこの上なくしかもアチラが善意で来ている以上感情的にもファミリア同士の関係性的にも邪険にするのが難しく結果として消極的に付き合いを避ける形になっている』…………と」

「いやあの本当にそこまでじゃないですからね!? ちょっと対応が難しいってだけで!!」

「いやぁ、わかる、わかるぞリリ。私も団長はすごく純粋な正義だからともかく、あの頭パッパラパーの糞雑魚妖精の己の立場を弁えぬ無軌道な上から目線正義にはほとほとうんざりしているのだ……」

「あの聞いてます!? おかしいなあさっきまで話通じてたんですけどね!?」

「……どうやら私達は……超親友(シスター)だったようだな」

「いきなりなんか言い出したんですけどこの人!!」

「長女は私だよ、輝夜は三女ね」

「アイズさん今はホント黙っててくれませんか……!」

「ほうほう、では三女としてお前達に甘い物でも奢ってやろうか。ついこの間あちらの通りで餡饅の美味い店を見つけたのだ」

 

 唐突にわけのわからない事を言いだして二人を引きずっていった輝夜を呆気にとられて見ていると、残ったライラが近くの路地に歩み寄っていくのでリヴェリアもそれについていく。

 

 そこには、大方の諸兄の予想通りであろうか。

 

「うわっ」

 

 裏路地前のゴミ箱の影に隠れるようにアリーゼとリオンが体育座りでどんよりとした空気を纏っていた。

 

「な、何をしてるんだ、お前達……?」

「いや、この二人が『リリに避けられてる〜』ってうるせえからさぁ、いつまでもグチグチブツクサ言われても鬱陶しいからいっちょ本音ってやつを聞かせてやろうと思ってな……まあひとつ誤算というか、リリのやつが思ったより溜め込んでたのは驚いたけどな……オラ立てアホども! 彼奴等が帰ってくる前にズラかんぞ!」

 

 顔に『このまま粗大ゴミとして回収してください』と書いてある二人を爪先で蹴り飛ばしノロノロと移動させた。

 

「リヴェリアサマも、リリには言わんでくれよな」

「あ、あぁ……」

 

 トボトボと力無く歩いていく二人の背中を見送りながら、ライラはポキポキと背を鳴らす。

 

「言い訳になるけどよ、彼奴等だってリリが親切を持て余してることは分かってたと思うんだよ……けど、私らは『正義のファミリア(アストレア)』だからよ……悪に食い物にされた被害者を山のように見る事になるんだわ」

「それは……」

 

 そうだろうな、と頷く。

 

 神が(何故か知らないが)よく格好つけて(ドヤ顔で)使いたがる語句の一つに『深淵をのぞく時、深淵もまたこちらをのぞいているのだ*5』というものがある。やたらめったらにこの言葉を濫用したがる神をリヴェリアは理解できないが、この言葉自体は非常に含蓄のあるものだと考えている。

 

 もの(・・)もの(・・)がそれぞれに与える影響は常に双方向だ。それは神と人でさえ例外ではない。天界ではスナック感覚で悪意を振りまき神と神の戦争屋をしていたロキが眷属(子供)大好き子煩悩神になっている事に驚く神は多いのだから。

 

 悪と戦うということは、悪を知ると言うことだ。

 そうでなければ悪とは戦えない。

 

 悪を根絶するということは、悪の根源、その最も暗く穢れたところに手を伸ばすという事だ。

 そうでなければ悪に足を掬われる。

 

 

 悪を知るという事は……悪の手口を思想を狂気を欲望を悦楽を……理解するという事だ。

 負けても勝ってもそれだけは確実だ。

 

 そこには一体何があるというのか。

 

 ……そこで一体……彼女達(正義)は何を見たのだろうか。

 

「多分、そんな無力感とかをどうにかしたくて必要以上にリリに構っちまってたんだろ……あの二人は、アタシや輝夜と違って汚え世界に住んだ事がねえ……つまり、特に純粋に正義を追いかけてる……その分、悪事や救えなかった奴らを見た時にアタシらほど割り切れねえのさ」

「それで、代償行為としてリリに必要以上に関わりに行ったと?」

「んで、ソレを自覚しちゃってあーなってんの。ま、アタシに言わせりゃ自覚できるだけマシだろーよ」

 

 フラ……フラ……と大通りを歩いていく二人と、少し離れた屋台で笑顔で餡饅を食べているリリを見比べる。

 

「リヴェリアサマ、いちおー言っとくけど、今の話はできれば誰にも、最低でもリリにだけはしねーでくれよな」

「一応聞くが、何故だ?」

「そりゃ今みてーな話聞いちゃあ優しい優しいリリちゃんは気にして無理にでもアイツラに合わせちゃうだろ? それが多分……アイツラにとって一番辛い」

 

 あんなに優しい人間、この世にいるもんだなあとしみじみと呟いてからライラは二人の後を追う。

 

 その小さな背中を、どうしてもそのまま見送れなかったリヴェリアはつい彼女に声を掛ける。

 

「ライラ!」

 

 その言葉に足を止めた彼女は、キョトンとした顔で振り返る。

 

「どしたんだよ? リヴェリアサマ」

 

 なんでも無いような顔でヘラッとライラが笑う。

 

 背中に影を背負った二人と、同じだけの傷を負っている筈なのに。そんなものを感じさせない顔で。

 

 

 

 私達が、至らぬばかりに。

 

 

 

 しかし、その言葉は飲み込む。

 

 こんな事は言ったとて何の解決にもなりはしないのだから。

 

 きっと表情から気持ちが漏れたのだろう。眉根を寄せて困ったように笑ったライラが、身体の向きをもとに戻しながら手を振った。

 

「肩の力抜いてこーぜ!」

 

 彼女等が地獄を見ているのは誰のせいだ。

 

 闇派閥(イヴィルス)を抑え込めていないのは誰だ。

 

 この街の闇を晴らせていないのは……一体誰なんだ。

 

 ────そんなもの、決まっていようが。

 

 懐の刀から、声が響く。

 

(あぁ、そうだな)

 

 その声に、首肯する。

 

 ────全てはお前(わたし)の無力が招いた────

 

「貴女が気に病む必要はありませんよ、リヴェリア殿」

 

 斬魄刀(かたな)の声を遮るように背後から声がかかる。

 

「……輝夜」

「確かに貴女達がもっと力を持っていれば暗黒期など存在しなかったのかもしれない。何なら、貴女達がもっともっと強かったら、黒竜だって倒せていたかもしれない……で、だから何だ?

 

 唐突にその口調を乱雑なものに変えた輝夜は、呆気にとられたリヴェリアを追い抜き三人の去っていった方向に……自身の(ホーム)に歩み始める。

 

「妖精というのはどいつもこいつもそうなのか? 自分には出来るはずという根拠のない自信だけが腐るほどにあって、それが叶わなきゃ自問自答の自責内省。端から見ていてイライラする」

「し、しかし私達がもっと……」

「幾ら悔やもうと、過去には戻れない。長あぁ〜〜く生きてきたくせにそんな事も分からんとは……年の功も無い年増とはこうも醜い物とはなあ?」

「き、貴様……言わせておけば……!」

 

 思わず気色ばむリヴェリアをチラリと振り返り見た*6輝夜は、ニッと頬を吊り上げて「それで良い」と言った。

 

「それで良い……だと?」

「あーあー、それで良いそれが良い。反省結構。内省結構。しかし、それは()未来(・・)の為にあるべきだ。決して過去(・・)をいつまでも引きずってウジウジウジウジついでにもうひとウジウジする為にある訳じゃあ無いんだよ。分かったか糞雑魚妖精二号」

 

 首が痛くなりそうな体勢のままにワッと浴びせかけられた言葉にポカン……とするしか無かったリヴェリアだが、やがて吹き出すように苦笑した。

 

「糞雑魚と呼ぶな。私はお前よりもレベルが上だぞ」

「喧しいぞ人間一年生。返しの言葉まであの妖精と同じとはな」

 

 そう言って一瞬の静寂の後……二人は揃って噴き出した。

 

「……ありがとう輝夜。中々難しいかもしれないが、頑張ってみようと思う」

「ほう? そういう所は素直なのだな。糞雑魚一号とは違うか」

「あぁ……以前に教えてもらったからな。『最初から出来ないなら途中からでもやれ』と……改めて感謝するよ。何か礼ができれば良いが……」

「あぁ。それなら丁度いいのがあるぞ?」

 

 遂に完全に振り返ってリヴェリアの正面に向かい合った輝夜は、懐からがま口財布を取り出し……逆さにして振った。

 

 

 

「あの餓鬼二人他人の金だと思って競い合ってアホほど食ったんだ」

 

 財布からは小さなゴミしか出てこなかった。

 

「済まない全て私が払う!! あとそれ以外で何か無いだろうか!?」

 

 噴水の縁で二人仲良く寝転がっている二人のクソガキの脳天にエルフパンチが振り下ろされる数分前であった。

 

「あんまんあったかくて美味しかったですね〜」

「私おだんご好き。じゃが丸くんの次に」

「ブレませんね〜アイズさん」

 

 その事を、当然今の幸せいっぱいな二人は知らない。

*1
両者共に同じように両手でお行儀良く一つのじゃが丸くんを持って食べている筈なのに、その一動作ごとのスピードが違いすぎる故に全く別種の印象を受ける

*2
額にノック! アイズに1ダメージ! 

*3
脳天クリティカル! アイズとリリに10ダメージ! 

*4
レベル差

*5
怪物と戦うものはその過程で自らが怪物とならぬよう気をつけよ。深淵を覗く時、深淵もまたこちらを覗いているのだ。/書籍『善悪の彼岸』

*6
シャフ度




リリの感情はわりかし原作でもこんな感じなんじゃないかなって。

あと糞雑魚二号は割とやりたかったネタだったり。
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