オラリオで斬魄刀打つ転生者の話 作:オリ斬魄刀の小説増えろ
あと、とんでもねー設定が出ます。
マジで申し訳ないけどアンケート答えてくれ〜!!
Y4HHOさん、ベー太さん、誤字報告ありがとうございます。
追記!!!!
アンケートまでしといてマジ申し訳ないけど、一晩寝たらプロットの全変更までしなくていいかなとなったので四千文字増補改訂版としました。
全然違う話になってますので、どうぞ読んでやってください。
それと、必須タグに『神様転生』を追加します!
追記の追記
複数誤字報告来ましたので言っておきますと、『堪忍する』は誤字ではありません。
【ロキ・ファミリア】に所属する幹部、かれこれもうレベル五にまで成長した【
「ほう、あのセルバンと遂に会えるのか」
「彼の【銀筒】や【
「まぁ、普通に考えてヘファイストスかゴブニュのトコと
世界三大クエストとも言われる程に強力なモンスター、黒竜の討伐に失敗したオラリオ最大勢力、【ゼウス・ファミリア】と【ヘラ・ファミリア】が街から姿を消し、コレ幸いと所謂悪神達が率いる【
そして。
「何でよりにもよってあのドチビのトコに入っとんねんあのボケドワーフウウゥゥ!!!」
「ワハハハハ!! アヤツらしいのう!」
「つーかいつ下に降りてきたんやあのチビ!」
「何事だ?」
「セルバン、ロキの喧嘩友達の神のファミリアに入ったらしいよ」
「友達ちゃうわ!!」
その手紙が届いてから一週間後に、今度はオラリオの都市内配達にて彼がヘスティア神のファミリアへと所属した事を知らされた。
「近々落ち着き次第会いに行きますって書いてるね」
「今や儂らは大ファミリアじゃからな。近頃は治安も良くはない。連絡せずに行っても門前払いだと思ったのじゃろう」
酒を用意せにゃならん、と仲間内でも久々に見るワクワクとした表情のガレスが部屋を出ていくと、残った三人は深く腰を落ち着けた。
「……この一週間、【銀筒】を持っている人間が増えたよね」
「ほんの僅かだが、確実にな……以前は、我々が使用し回収しきれなかったものを拾った分しか使う奴は居なかったが」
「……あのドチビや。ウチからの言うことなんか聞くわけあらへん……ヘファイストスあたりから言わせとくわ。あんま誰彼構わず売んなってな」
そんな事を言って、実際に行動に移して。
そして、しばらく後。
ロキは、普段人にかかせてばかりいる吠え面を自分がかいてしまうという彼女的には前代未聞の失態を晒してしまう。
それは。
「え〜〜〜……ヘスティア、ヘファイストス、この記載に間違いは?」
「………………」
「ヘスティア?」
問うてきた神……ヘルメスに対して、神会の円卓の真ん中に用意された
「間違いないわ」
「……ヘファイストス、僕等はヘスティアに聞いているんだけど……」
「仕方がないでしょう? その子、今受け答えできる状態じゃないし……」
疲れ切った顔でそう言うヘファイストスの言う通り、ヘスティアは何に関しても他人事である神々が、腹でも痛いのかとガチで心配してしまう程度には血の気の引いた悲痛な顔で脂汗をダラダラ流しながら俯いているばかりだった。
そのあまりにもな様相に、ヘファイストスが円卓を乗り越え、自分の椅子をヘスティアの横に置き、宥めるようにその肩を抱いた。
「……ごめん……落ち着けなくて……」
「……仕方がないわよ」
神会のど真ん中で繰り広げられる
「……えええ〜〜、じゃあ……」
…………それも、これも、全て。
「ボクの
『いやいやご冗談を』
ロキの眷属ガレスの親友が、恩恵を受ける前から偉業をその身に溜め込むとかいう意味不明な
『…………いやいやいや、ご冗談を』
揃えたように同じ言葉で否定してくる神々をチラリと見たヘスティアは、黙ってある用紙の束をヘルメスに手渡した。
「……なんだいこれ……は!?」
いつもの飄々とした態度すら崩してその用紙を読み込むヘルメスに、痺れを切らしたロキがスタスタと歩み寄ってその束を引っ手繰る。
そしてソレをチラリと見て、僅かに目を閉じ、そしてヘスティアを見据える。
「……おいチビ、ええんか」
「……そのくらいしないと、皆納得しないって……ヘファイストスが……」
不本意なのだろう。
珠のような涙をそのキラキラと輝く瞳に湛えながらも、ヘスティアはロキからソレを取り返すような事はしなかった。
そこに彼女の『本気』を感じたロキは、黙って円卓を周り、神々にその紙を手渡していく。
それを見て、ヘファイストスが溜息を吐きながらもヘスティアの肩を気遣わしげに叩いてから立ち上がった。
「その件、私もこの目で確認したわ。ヘスティアに【恩恵】の
『ええええ……』
そこに書かれていたのは、件の眷属……セルバン・ハルウッドの【ステイタス】であった。
セルバン・ハルウッド
Lv.2
力 :I0
耐久 :I0
器用 :I0
敏捷 :I0
魔力 :I0
鍛冶:G
《魔法》
【六杖光牢】
・拘束魔法。
・詠唱式の破棄が可能。
破棄した場合大きく威力が下がる。
・詠唱式【雷鳴の馬車 糸車の間隙 光もて
【鎖条鎖縛】
・拘束魔法。
・
【六杖光牢】が掛かった状態の相手にのみ発動可能。
それ以外の相手に発動した場合は
・詠唱式【縛道の六十三】
【九曜縛】
・拘束魔法。
・
【六杖光牢】、【鎖条鎖縛】が同時に掛かった状態の相手にのみ発動可能。
それ以外の相手に発動した場合は
・詠唱式【縛道の七十九】
【千手皎天汰炮】
・攻撃魔法。
・
【六杖光牢】、【鎖条鎖縛】、【九曜縛】が同時に掛かった相手にのみ発動可能。
それ以外の相手に発動した場合は
・詠唱式【千手の涯 届かざる闇の御手 映らざる天の射手 光を落とす道 火種を煽る風 集いて惑うな 我が指を見よ 光弾・八身・九条・天経・疾宝・大輪・灰色の砲塔 弓引く彼方 皎皎として消ゆ 破道の九十一】
《スキル》
【
・効果無し。
【
・効果無し。
【
・自身が開発した技術に対する微補正。
・周囲に技術を認知される程効果上昇。
その、見たことのない文字ばかりの【ステイタス】に、ロキは絶句していた。
「……ホンマ……なんっやねんな……コレ?」
「【改造魂魄】は、神が子供達の魂に手を加える
ロキの狼狽にヘルメスはそう答えるが、彼自身も詳しくは分からないのか、言い淀む。
「……けど、一つだけ分かる事は……オーエツは、ヘスティアの下に来る前から、どこの神かは知らないが、【恩恵】を授けられていた……って事だ」
それなら、筋が通る。
そこまで言って、ヘルメスは今度こそ沈黙した。
「……ねえヘスティア? オーエツは、ヘスティアが【恩恵】を刻む前の背中はどうだったの?」
「何も……それに
「……つまり【恩恵】を与えてからそれを引き剥がした? ……なぁ、その場合って剥がされてる間の経験値ってどうなるんだ?」
「知るかよそんな
議論に手詰まりを感じて、神々が押し黙る。
そこに再び、ヘスティアが静まった【神会】の中央でグスグスと涙ぐみながら喋り始める。
「一つ目と二つ目のスキル……それは、レベル一の頃からあった。だからボク、オーエツに聞いたんだ……何か心当たりが無いかって……そしたら、オーエツは言ったんだ……『ここではない、別の世界で生きた記憶がある』……って……けど、この世界にやって来る時の事なんて何も覚えてないって……嘘じゃなかった……」
その言葉に、神会は再び揺れる。
「マジ?」
「異世界転生キタコレ!!」
「いや、無理だろ!? 世界は独立してて当たり前じゃん!?」
「つーかやったとして誰がやったんだよ!? そんな事できる神知らねえぞ!?」
「つーか転生させるにしてもオッサンドワーフじゃ華がなさ過ぎるだろ……」
神々が口々に好き勝手な事を言いまくるが、やがてはそれも止まる。
ソレは何故か。
簡単だ。
…………ヘスティアが、泣き止まないのだ。
「……何で泣いとんねん、ドチビ」
「だっ……だっで……」
ヘファイストスがハンカチで何度も目元の雫を拭うが、ヘスティアの涙は止まらない。
……ソレはそうだろう。
「だっでぇ……ヘファイストスから聞いたんだよ……
「ヘスティア……」
ヘファイストスが、ぼろぼろ溢れる涙を手の甲で拭きながら叫ぶように思いの丈を吐き出すヘスティアの声を聞いていた。
「オーエツにはっ、夢があるんだ! 自分の打った刀を、一杯……沢山の……ソレこそこの街ぜ──んぶの人に使ってもらうんだ……って言ってたんだ! ボクもソレを応援するって決めたんだ! これから二人で頑張っていこうって……それなのに……なのに……!!」
とうとう言葉にもできなくなり、ヘファイストスの胸に飛び込んで泣き始めるヘスティア。
暫くの間、ヘスティアの泣き声とヘファイストスの宥める声だけが神会に響く。
そう。
現状の問題は簡単だ。
オーエツの魂をオラリオのあるここではない他の世界より取り寄せ、世界の壁を越えさせるために【恩恵】と不正改造でほんの僅かな神性を与え、オラリオの魂の流れにオーエツを乗せた
それが、この混乱の原因。
そして無論、つい数ヶ月前まで天界に居り、オーエツがこの街に来るとほぼ同時に下界へ降臨し、オーエツと眷属の契りを交わしたヘスティアは第一容疑者と言える。
……しかし先程の神のざわめきの中にも、ヘスティアを犯人扱いするような声はそれこそ全く、一切、完全に、無かった。
……それも、その筈。
神が嘘を見抜けるのは、下界に生まれる子供達のそれだけだ。
神は、神の嘘を見抜けない。
……しかし、神には【不変の性質】と【悠久の時】がある。
神の性質は変わらない。下界の子供達が常に移ろいゆくのに対し、神は常に一定。
【
翻って、ヘスティアはどうか。
マイペースで、ぐうたらで、割と思い込みが激しくて……そして、誰よりも善良。
そんな、百年、千年、一万年経っても不変であるヘスティアの性質を、長い長い……下界の岩が風に削られ砂になり、その砂が再び別の場所で固まって石になる程に長い年月を掛けて理解しきっている神々にとって、彼女がそのような、子供達を弄ぶような真似をしない事は自明の理であった。
端的に言うなれば、ヘスティアの神徳が状況に非常に有利に働いた形だ。
だとすれば……ヘスティアが犯人でないのなら……もう、問題はオーエツの処遇だけとなる。
簡単だ。
生かすか、殺すか、追放か。
ソレだけだ。
(……ホンマ、腹立つわ。お前の立場に居るんがウチやったら弁護の余地なく有罪やっちゅうねん)
ロキは少しイラッとしつつも、少し可笑しくなって口の端に気付かれない程度の笑みを浮かべた。
本来詰みに近い状況のくせに、全く危機感の無い空気……
(ったく。こんままここでオーエツの処分決めたら、ウチが完全にワルモンやんけ)
結果としてその場に流れるいたたまれない……「もう許してやっても良いんじゃん?」的な空気に、ロキは舌打ちをして腕を組んだ。
見れば、情に篤いガネーシャやアストレア等は既に「ヘスティアが可哀想だ」と顔に書いてある状態になっていた。
(けどな、落とし所はどうしても必要やねん。どういう理由があれ不正やっとる以上は「ソレやったらしゃあないなあ」と言えるくらいの所がな)
このままでは全てがなあなあで終わってしまう。
ソレだけはさせて溜まるかと、ロキは
ちなみに、この時ヘルメスはロキに全てを任せ、空いている席に完全に座り込んで「僕が司会なんだけどなー」とかなんとか言いながらぬるくなったお茶を飲んで寛いでいた。
(どこぞのアホがこの世界の外から魂を持ってきてこの世界にぶち込んだ……それは確実や。
グズグズと泣いているヘスティアを何と無しに眺めながら、ロキの頭脳は回転する。
(っちゅーかどこの神がそんな事したかなんかどーでもええねん。どうせそれが分かったかて下界におるウチらは何もできへんのやし、天界の連中に任せるしか無いわ……分からにゃならんのは動機や……そも、何でセルバンやねん? セルバンに何がある? ……ステイタスになーんも反映されてへんっちゅー事は【
ロキは考える。
【銀筒】か?
違う。そんな物で神は動かない。天界に居るなら尚更だ。
ならば……
(ウチの知らん何かが、セルバンにはある……この世界が、もっと
コレしか無いだろう。
「……アンタがオーエツって呼んどるコイツ、セルバン・ハルウッドな……実は、ウチの昔なじみやねん」
ロキの爆弾発言に湧き立つ神会、そこかしこから「やっぱロキが黒幕かよ」といった腹立たしい声が聞こえてくるのを「黙れ潰すぞ」と一睨みした後、ロキは話を続ける。
「アンタんトコのセルバンとウチの幹部のガレスは同郷でなあ。よー手紙の遣り取りもしとったんや……ついでに『コレ』の取引もなァ」
そう言って懐から取り出した【銀筒】を掌で弄ぶロキ。
「それが仕入れルートか……」とか、「情報のガードきつかったんだよな……」とか「やっぱロキが黒幕じゃねーか」等等神々の愚痴がポツポツ聞こえる中、ロキは話を続ける。
「コレは言わば『補充できる魔剣』や。威力はそないに大したことあらへんし、属性もついとらん。けど、その分汎用性はピカイチや。何より……
そう。
セルバン……否、オーエツが作った【銀筒】は、神であれば容易に再現ができる。現にヘファイストスも、そしてゴブニュも己の神としての能力を使わず、自身の腕前のみで同じものを、どころか圧倒的に性能の高いものを作り上げていた。
しかし、ソレはあくまでも『神』の話である。
「この街で一番鍛冶の腕がある子でもスキル無しでやれ言うたら……この【銀筒】の、大きさも威力も大分と劣化したヤツを作んのが精一杯やわ……コレをスキルどころか【恩恵】も無しで作るっちゅーんやから、そらレベルも上がるわな。ソレはええ。納得できる」
「…………」
「『レベルが二やったら』、もうウチも何も言わん。オーエツの異常性についてもう何言うても進展せんしな」
その言葉に、ヘスティアはシュンと俯いた。
そうなのだ。
【銀筒】という道具は、確かに素晴らしい道具だ。
革新的で、他の人間には真似できない。この開発に成功した事は、十分にレベルが上がるだけの偉業だ。
だが、そんな程度でレベルアップ三回分の偉業なんて、
「もう……タルいからはっきり言うわ。お前もハッキリ答えェ。セルバン……いや、『オーエツは何を作った?』ソレ聞くまでは解散でけんで、この【
椅子に座り込んだヘスティアを見下ろすロキ。
そんな彼女に、ヘスティアは縋るような視線を向けた。
(……ホンマに参っとんな……まぁ、初めての、一人しかおらん眷属の死刑が決まるかもってな時や……しゃあないけどな……)
「ロキ……」
(……クソ。そんな目ェでウチ見んなや……)
何に対する苛立ちかも分からない苛立ちを腹の中に抱え込みながら、ロキは黙って続きを促す。
「……それを、言ったら」
「処分は聞いてから決める。当たり前やろ」
ヘスティアの言を切って捨てたロキは、スッと半身になって彼女に立つように促した。
「……ちょっと、待って」
促されるままに席を立ったヘスティアは、足下に置いていた刀袋を取り出した。
そして、それを横で見ていたヘファイストスが、一度目を閉じ、開いて、宣言する。
「……とりあえず、宣言しとくわ。【ヘスティア・ファミリア】は、私の【ヘファイストス・ファミリア】の傘下にする。簡単に言えば、ヘスティアとオーエツに手を出したら、その下手人が見つかるまでうちの店は全店休業して犯人探しをする。その間は誰の注文であろうと受け付けないわ……下手人が例え【
その。
「……は?」
あまりの。
『はァァァ!?』
宣誓に。
【
それを無視したか、あるいは反応する気力すら無いか……静かに刀袋から一振りの打刀を取り出したヘスティア。
それを見た神は────特に、モノ作りを司る神は────先程までとは逆に、一斉に静まり返った。
あるものは「なんだソレ?」と疑問を持ち。
あるものは「何だソレッ!?」と驚愕と疑問を持ち。
また、あるものは。
「…………なぁ、ヘファイストス」
「何かしら? ゴブニュ」
ほんの僅か……本当に、ほんの僅かではあるが。
「ヘスティアのソレは……何だ? 何なんだ?」
畏怖を。
「いやだ、貴方なら一目見れば分かるでしょう? ヘスティアの持ってる刀が……どういうものか」
「…………」
疲れた顔のヘファイストスを見て、ゴブニュは唸り声を上げて腕を組む。
しかし、分からない神も居る。
神々とて、権能の程は違うのだから当然だ。
「……ファイたん! その刀が何やっちゅーねん! ウチにはなんも力の無いフツーの刀にしか見えんで!」
「ソレよ」
ロキの言葉に我が意を得たりと頷いたヘファイストスは、今度は自分の足元に置いてあった刀袋からもう一本の同じ程度の大きさの刀を取り出した。
「コレはウチの鍛冶師が作ったごく普通の打刀。このオーエツが打った【浅打】と、見比べてみなさい……存分に、貴方達の【神の目】で」
多くの神の目を集めながら、ヘスティアの手を引いて【神会】の中央に躍り出るヘファイストス。
それぞれの手にそれぞれの眷属の刀を掲げ、ほんの数秒。
「……あら、まぁ……」
最初に声を上げたのは、こちらも『元』二番手のファミリア、【フレイヤ・ファミリア】の主神フレイヤであった。
魂を見抜くことにかけて他の追随を許さない彼女は、その刀の異常性に敏く気がついた。
「気味が悪いわね、その刀……刀の中に、『何も無い』が有るわ」
「……なんや、それ? 『何も無い』が有る? わけわからん。有るんか無いんかどっちやねんな?」
困惑を隠せないロキ含む神々の前で、フレイヤは困ったようにシャープな顎を摘みながら言う。
「刀には……というよりも、自然物から人工物まで含めた万物には何かしらが宿っているわ。それは大自然のエネルギーであったり、人の意志であったり、或いは怨念であったり。それは当然の事。物質とは存在するだけで常に周りから様々なものを取り込むのだから……武器なんて、特にそう。打った人間の思いはどのようなものであれ、確実に刀身に宿る……宿らなければ、おかしい」
「その通りよ、フレイヤ。この武器は中身が『からっぽ』なの……そこに周りから何かが入ってこないように、『からっぽ』で満たされてるの。分かりやすく言うならば……魔力を使い切ったのに壊れていない魔剣って所かしら……つまり、本来あるべきではない存在なのよ」
そこまで言って、ヘファイストスはチラリとヘスティアを見る。
ヘスティアは、堪忍したように腕を組み、彼女に一つ頷いた。
「……これは」
ならば、と。
鍛冶神は己の敗北を認める一言を舌の上に載せる。
「これは、鍛冶神である私でも作ることが出来なかった……【最強の武器】よ」
ザワリと何度目か、【神会】は揺れる。
「この刀を子供達が持つことにより、からっぽなこの刀には長い時間を掛けて、まるで色が移るかのように子供の魂が投影される。そして、その投影された魂の真髄をこの刀が『武器力』という形で出力する……つまり、その子供の魂を象った、子供に最も適した武器を作り上げる……『何にでもなれる最強の武器』……正しく、この世すべての武器の頂点に立つ、最強の一振り……!」
そこまで言って、ヘファイストスはゆっくりと項垂れた。
「……この武器を、私は作れなかった」
「ファイたんでも作られへん武器!? やっぱ
鍛冶神の紛う事なき敗北宣言に目を剥く神々だが、ヘスティアから浅打を借り、両手に刀を持ちながら彼女自身が首を振ってそれを否定した。
「いえ、作れるわ……コレよりずっと完成度の高いものでもね。けど……」
ヘスティアから受け取った【浅打】を握りしめ、ヘファイストスは顔を顰める。
「【銀筒】……補充できる魔剣は、私は作ろうと思えば作れたわ。子供達には渡さなかったけど、【銀筒】が世に出てくるよりも前に実際に制作したこともある。けど……【浅打】は……魂の真髄を写し取る刀なんていうのは……私は、『作ろうとすら思えなかった』……!!」
これは、神の敗北宣言。
神が下界の子供に、発想力という点で負けた事を認める叫びだった。
無力感に震えるヘファイストスを見て、同じ鍛冶系ファミリアを営むゴブニュもまた、深く頷いた。
「……商売敵を庇うのは癪ではあるが、仕方の無い事だ。鍛冶というのは、目の前の無垢な鋼に、鎚と共に何を叩き込むかで全てが決まる……ここまで徹底して『何も込めない』事を突き詰めた刀なんぞ……ものを創る我々だからこそ、考えつきもせんのだ……少なくとも、ソレを作れるなら……創ってしまえるなら、二回分のレベルアップをするだけの偉業……レベル四に手が届く程というのも有り得ん事ではないと儂は思う」
それだけを言い、ヘファイストスとゴブニュというオラリオ鍛冶ギルドのトップ二人は口を閉ざした。
(『コレ』……が、理由か)
神々は思う。
この神でさえ思いつかなかったような技術を形にできる魂を、この世界に連れてきたかったのか……と。
しかし、ただ刀を作るだけならもう放っておいても良いのではないか、という流れになる神会の中で、ロキだけはヘスティアとヘファイストスの二名を観ていた。
見て、観て、視て。
その『何かを上手くやり過ごせた』みたいな一瞬の表情を見逃さなかった。
ドンッ!!! と、神会の床を思い切り踏み鳴らす。
「あ〜〜〜〜あ!!!! 残念やなァ!! も〜〜〜ちょいウチらにも利益があったら見逃したっても良かってんけど、流石に凄い刀が打てるくらいでイレギュラー見逃したらウチらの面目丸つぶれやで!!」
ヘスティアとヘファイストスに背中を向けて、神会の全員に聞こえるような声でそう叫ぶロキ。
「まずい」とヘファイストスが思うより先に、その言葉に耐えきれなかったヘスティアが、叫ぶ。
「斬魄刀を解放する事は!! 偉業にカウントされるんだっ!!!!」
「……はぇ?」
ロキは本日二度目の、目と口を限界までかっ開いた、ここ数百年したことがないくらいの特大のアホ面をかましてしまった。
「オーエツの作る斬魄刀に魂を写して、その力を解放した時! レベル一の冒険者がレベル二に上がるくらいの偉業を手に入れられるんだ!!」
「へ、ヘスティ」
「オーエツ製作の【斬魄刀】ッ!!」
ヘファイストスの静止も聞かず、周りの見えなくなったいっぱいいっぱいなヘスティアはバベルよ揺れろ、オラリオ中に響けというほどの大声で、ヤケクソで叫んだ。
「レベルアップできる刀ッ!!」
「素材持ち込み限定で一振り百万ヴァリス!! 明日から予約受付開始ッ!!」
「冒険者ァ! それ以外の子達も!! 神も!!」
「全員……【ヘスティア鍛治店】に急げェェェェッ!!!!」
「「「「「「……エエエエエエエエエエエエエエッッッ!!!!!!?」」」」」」
オラリオは揺れた。
そりゃあもう揺れた。
バベルはなんなら物理的にちょっと揺れた。
この日この時この瞬間から、【ヘスティア・ファミリア】は各方面から非常に注目される存在となる。
神。
冒険者。
あらゆる存在に同時に目を付けられた【ヘスティア・ファミリア】は……
「…………(怒)」
「……ごめんオーエツ君……なんかあの時はホントテンション上がっちゃって……なんか、もうやっちゃえって感じで……本当にごめんなさい」
翌日、本当に大量に押しかけてきた神々と冒険者の雪崩によって
鍛冶師オーエツ。
魂の改造の不正が確認されるも、発見したヘスティア神が迅速に報告した事と、かの者の現状を鑑みて寛大な処置とすると【
オーエツはダンジョンへの出入りを全面禁止。
また、【ステイタス】のスキル欄を含めた完全な写しを月に一度ギルドに提出する事を義務付ける。(写しはギルド職員が取るものとする)
また、許可の無い【
【ヘスティア・ファミリア】は、純利益の一割をギルドに納める事とする。
また、この待遇は特殊例であり問題があれば即座に撤回されるものとする。
ギルド統括管理神ウラノス
次回でプロローグ終わります。
とんでもねー設定:『解放したら偉業扱い』について
皆さんご意見もありそうなのでまずこうなった経緯について説明します。
原作の護挺十三隊は隊長格含め席官が二十名いまして、彼等はその多くが始解を使えるようです。
その下に平隊士が(明言されていないので恐らくになりますが千年血戦篇ラスト近くまで生き残ってる隊士がいた事からも)各隊に数百人くらいは居ると思います。多分。
そして彼等は始解を使えません。(イモ山さんは席官なのだろうか?という部分は、現世駐在の管轄などをしているので管理職に近いのではないかと思っています)
さらに、原作では岩鷲が兄の海燕について、「死神統学院に一回で合格した」と言っています。
この「死神統学院」が恋次やルキアの通っていた「真央霊術院」と同じなのか、それとも違うのかはわかりませんが、少なくとも死神の学校らしき場所は一回で合格するのが自慢になるような場所である事は確かです。
そして、マユリ様に人間爆弾にされた十二番隊の人が居ましたが、この人は「真央霊術院卒業後に十三隊の入隊試験に三回落ちた」と言っており、マユリ様の人間爆弾にされなければ恐らく四回目も落ちていたのであろうと思われます。マユリ様に隊士扱いされてないので。
つまり、始解というのは、『死神学校に入る壁』と、『十三隊に入る壁』を超えたエリート達の中の、更に十分の一くらいの死神にしか解放できていない訳です。
翻ってオラリオでは、その半数が偉業を打ち立てていないレベル一と説明されています(確認できてないけど原作で確かされてました……多分)。
ここまでを考えると、実際のところは分かりませんが割合的には、レベルを二にする事よりも、始解をする事の方が圧倒的に難しいと取れます。
以上の事を理由として、今作では『解放は偉業である』と判断し、また卍解もソレに準ずる事とします。
意見のある方もおられるでしょうが、この小説ではそういう設定なので、気に入らない場合は皆ももっとオリ斬魄刀小説書こう(本来の目的)!!!!
アンケート終了しました!!結果どっちとも違う選択肢になりました!マジでお騒がせした!
設定として、ヘスティアではない神が他の世界からオラリオ世界に魂を放り込んだ時の副作用で、その神の恩恵を中途半端に受けてしまった……という事になります。それがヘスティアの神血でちゃんとした恩恵となり、レベルアップを可とした……という感じです。
レベル三、四までは斬魄刀強奪に来る闇派閥と死闘を繰り広げてもらいます。大抗争が三年後なので、偉業は溜まってる分があるしまぁ、いけるやろ……の精神です。
オリ主を転生させた神様について。
設定の矛盾解消の為に無から生成された神様。無から生成されたので、今後ストーリーに関わることは恐らく無い。
一応設定を言っておくと、オラリオを能力バトルの世界にしたくて暗躍していた最中、斬魄刀に対してえげつない程の思い入れを持っていたオリ主を発見し、こりゃいいもんみっけたとばかりにトラックぶつけて殺して魂改造してオラリオに放り込んだ感じ。
オリ主は割と感謝してる。