宇宙の吹き溜まり、怪獣墓場。
ここでは命を落とした怪獣の魂が集まっている。
その中に、黒と白の体表に黄色の発光器を持つ怪獣が佇んでいた。
彼の名はゼットン。かつてウルトラマンと戦い完全勝利を収めた強豪だ。
「思い返してみれば、俺の怪獣生、楽しみなどなかったな…」
ゼットン星人に生物兵器として使われ、ウルトラマンは倒したものの直後に人間によって殺された。そんなことを、あぐらをかいて宇宙を眺めながら考えていると、背後にブラックホールのような穴が現れ、ゼットンを吸い込む。
「!? 何が起こっているんだ…!?」
ゼットンは吸い込まれないようとするが、為す術なく吸い込まれてしまう。
しばらくして目が覚めたとき、彼は森の中に倒れていた。
「一体何が…ん?」
周囲を見回すと、ある違和感に気付く。
周りの木々が、自分より大きいのだ。
「俺…縮んでいるのか!?」
自分の顔を軽く殴って夢ではないことを確認し、とりあえず歩き出した。
しばらく歩いていると、開けた平原に出る。
かつて絶対に味わうことができなかった景色に心が躍る。
吹き抜ける風も、草の匂いも、彼にとっては初めての体験だった。
初めての景色に見とれていると、空の彼方から影が飛んでくる。
「あれは…アリゲラ…?いや、違う!」
飛来した巨大な影は、全長30メートルはあろうかという朱いワイバーンだった。
『ギャオオオオオオン!!!』
ワイバーンはゼットンの目の前に降り、耳をつんざくような咆哮をする。
しかし、ゼットンは全く動じず、むしろ興奮しているようだった。
「…面白い…やってやろうじゃないか!」
ワイバーンはゼットンから発せられた覇気にひるまずに火炎を吐こうとするが、
「…さすがに威力は抑えるか」
ゼットンが放った超高温の火球が口内に直撃、顔が爆散して地に倒れ伏した。
「異界の竜…面白い」
ゼットンはワイバーンの死骸を背に歩いていく。
その一連の流れを遠巻きに眺めていた4人の集団がいた。
その中の頑強な鎧とハンマーを装備した大男が、
「討伐対象を横取りされちまうなんてなぁ…」
と、残念そうに言う。
その横の黒い魔法使いは、
「あのレッドワイバーンはこの辺りの頂点捕食者…あんなのを一撃の火球で…」
と、恐怖をあらわにしている。
隣の軽装の男は、
「あんなんがいるなんて、世界は広いねぇ」
と、楽観的に見ている。
リーダー格であろう男は、
「とりあえずこのことはギルドに報告しよう」
と言い、仲間を引き連れて戻っていく。
その頃ゼットンは、とある街で広告を見ていた。
「帝国武闘大会…行ってみるか」
近々アクロス帝国という国で行われる大会に出場するため、歩き出した。