とある冒険者の日記
○月☓日
今日はとても興味深いものを見た。
ギルドから掲示されたレッドワイバーンの討伐クエストに赴いたときのことだ。
仲間の一人が道中に森の中を歩く黒い影を発見した。
後ろ姿しか見えなかったそうだが、2本の角に黒と白の体が我々が向かう平原に向けて歩いていたという。
まあその後私もその存在の脅威を目の当たりにするのだが。
森を抜けてすぐに私と他の仲間もその存在を確認した。
大きさは2メートル弱。
また、後ろ姿だけでも凄まじい覇気を放っていて、思わず身がすくんでしまった。
彼(?)の様な種族は見たことがなかったので、転生者かもしれないという考えが私の脳裏をよぎった。
その名が指し示すとおり、異世界から来たものだ。
どういうわけか転生者達はこの世界の言語を読み書きができる。
そのため彼ともコミュニケーションを取ることが出来るかもと考えていたら、奴が現れた。討伐対象のレッドワイバーンだ。
通常のレッドワイバーンは3メートル程で脅威ではないのだが、この個体は魔族から大量の魔力を与えられ、超巨大化。
それに伴い、攻撃性も上がっていて、家畜が襲われたり、人体被害も出ている。
原因となった魔族は討伐済みだが、余りにも強力だったため、勇者と呼ばれる我々一行に依頼が来たということだ。
閑話休題。
レッドワイバーンが彼にけたたましい咆哮を浴びせたが、彼は全く動じずに、面白いといい、ワイバーンを睨んでいた。
レッドワイバーンはまず爆発性のガスを吐き、そこに火炎を吐いて敵を破壊。
自分は硬い鱗に覆われているため無傷という戦法で戦う。
あのときもそのように口を開けた。
私は咄嗟に剣を抜き、彼のところに駆け出そうとしたが。それは無駄足だった。
ガスが口から漏れ出る直前に、彼が口の中を狙って火球を放ったのだ。
ガスに引火し、レッドワイバーンの頭は粉々に吹き飛んでしまった。
彼はそのまま立ち去っていったが、こうも呆気なくレッドワイバーンを倒され、驚きで我々はしばらく動けなかった。
このことをギルドに報告すると、上層部は彼のことを調査して欲しいと言ってきた。
レッドワイバーン討伐の報酬金は我々の分と彼の分まで手渡され、彼に渡してほしいと言われた。
あれ以降足取りが判っていないのに随分無理難題を押し付けられたものだ。
とりあえずアクロス帝国に行けばいいだろう。
あそこはこのドンゲア大陸一の国で、年に1回開催される武闘大会も近い。
出場しがてら情報収集をすることとしよう。
明日は荷造りをして仲間と出発だ。
我らに神の御加護がありますよう。 クラウト