「…何でお前がここにいるんだ?」
ベッドに寝かされているゼットンは体を起こし、バルタン星人を見つめる。
「君と同じさ。三ヶ月くらい前に穴に吸い込まれてここにいた。」
「…色々と聞きたいことがある。たが今は回復が先だな…」
ゼットンは疲労と斬られたダメージのせいで満足に動くことができない。
「では食事を持ってくるから待っていてくれるか?」
「…頼んだ。」
バルタン星人が部屋から出ていくと同時に再び仰向けに倒れ込む。
「死王…か。一体何者だ?」
エレナと名乗る女が言っていた死王という存在が気になる。
何が目的か、計画とは何か、そもそも誰なのか。
「…今は他に優先すべきことがあるな。」
考えていても情報が少なすぎるので一旦死王についてはおいておき、バルタン星人の持ってくる食事を待つことにした。
「食事を持ってきたぞ。私の仕事仲間も一緒だ。」
「お前は…。」
バルタン星人のあとに続き、1頭の怪獣が入ってくる。
ツギハギの様に様々な怪獣のパーツが組み合わさっている。
「まさかお前とこんな形で再会するなんてなぁ。」
「本当に同感だ。タイラント。」
タイラントとは怪獣墓場で良く殴り合った仲だ。
それも今となっては笑い話だが。
二頭とも日常生活を送るうえで不自由そうな手をしているのだが、深くは考えないでおくことにした。
ゼットンは少し嬉しそうに置かれたリンゴを齧る。
みずみずしい甘みが疲れた体に染み渡る。
「…美味い。」
「フォッフォッフォ!そいつは良かった。」
「…そういえばここはどこなんだ?」
タイラントはゼットンの心の内を見透かしたように答える。
「帝国武闘大会が目当て、だろう?」
「…ということはここがアクロス帝国か!?」
「御名答。だが安心してくれ。開催まで2ヶ月位ある。回復に専念してくれ。」
ゼットンは少し興奮気味にリンゴを芯まで食べ尽くす。
((どうやって食べてるんだ…?))
バルタン星人は少々困惑しながらも、
「で、では私からも質問いいかな?」
「もちろんだ。」
「我々と働く気はないか?」
「…はぁ?」
急すぎる展開にゼットンはついて行けない。
そもそも怪我したばっかりだし。どんな仕事かもわかんないし。
「我々は冒険者という職についている。早い話が何でも屋だ。」
「依頼された事をこなせばギルドから金が出る。依頼内容は討伐から採集まで色々あるぞ。」
「…まぁ知り合いといろいろできるのは心強いからな。その話、乗った。」
「細かい話はその時説明させてもらう。ではこれからよろしく、宇宙恐竜ゼットン。」
「あぁ、よろしく。」
ゼットンの新生活が始まろうとしていた。