「そうだ、だったら渡さなきゃいけないやつがある。」
タイラントが腹のベムスターの口に左鉄球を突っ込む。
「…は?」
ゼットンは目の前で起こっていることが理解できなかった。
どう考えても入らないしズタボロになるだろ。
「ゼットン、ああいうのはな、受け入れるしかないんだ。」
バルタン星人も半ば呆れた様子で受け入れている。
「確か此処らへんに…あった!」
腹から左鉄球を引き抜くと、先端についている鞭が色々なものに絡みついている。
「…もっと方法あったじゃん…。」
ドン引きするゼットンに、タイラントはだした物を渡していく。
「お前が寝てる間に色々買ってきたんだ。こいつが肩掛けの鞄。んでこっちが財布。後はハンカチとか。自由に使ってくれ。」
「…うん、ありがとう…。こいつは買ったのか?だったらいつか礼をしなければ。」
「いいよいいよ礼なんて。ダチの為だしな。」
「タイラント…。」
ゼットンとタイラントがいい感じになっている横で、バルタン星人は大きな窓を開けて外に合図を送る。
「ゼットン。私とタイラントの他にもう一匹仲間がいt」
バルタン星人が話している横から突然赤い影が猛スピードで窓から侵入し、バルタン星人と激突する。
「…大丈夫か〜?」
「…大丈夫だ。メルバ、もう少し気をつけてくれ…。」
「うぅ…ごめんなさい…。」
大きな翼を持つ怪獣、メルバがバルタン星人を助け起こす。
「あ!お久しぶりですゼットンさん!」
「…では紹介しよう。メルバだ。」
「改めましてよろしくお願いします!」
「元気そうで何よりだ。こちらこそよろしく。」
メルバはぺこりとお辞儀をし、ゼットンもそれに返す。
「そういえばどうしてあんな血塗れで倒れてたんですか?」
「…聞かれるタイミング絶対にもっと前だがな。ちょっと疲れてたところにヤバい奴が絡んできてな。」
どこか隠している様子のゼットンに向けてバルタン星人が口を開く。
「…エレナ。」
「…!?」
隠していた事を言い当てられたことに驚きつつも、話を続ける。
「…どうやら隠し事は出来ないようだな。そうだ。そいつにやられた。疲労は事実だぞ。」
「あの傷はやつ以外の何物でもなかったからな。」
「あいつは各地に現れて魔物を引き連れて襲撃をしたり実力者を始末している。今じゃ各地のギルドで最重要討伐対象さ。」
「どうやら顔に大火傷を負っているとの目撃情報もあるが…。」
バルタン星人はゼットンの方を見る。
「…多分やったの俺だ。」
「すごいです!」
「やはりそうか。万全なお前ならあるいは…。」
「あんな奴二度とごめんだ…。」
「…いつかサシで決着をつけましょう。」
夕焼けの中、人混みに紛れてゼットンの病室を仮面をつけたエレナが睨んでいた。