ゼットンがアクロス帝国の病院に担ぎ込まれてからしばらくが経過した。
メルバ達は二人一組で依頼を受けに行き、常に一人はゼットンとともに病室で過ごしている。
「そいじゃ行ってくるぞ。」
「待っててくださいね。」
「気をつけてこいよ。」
タイラントとメルバが依頼を受けに行く。
ゼットンとバルタン星人が見送り、朝食のパンを食べる。
「…何でお前はそんな口で固形物が食べられるんだ?」
バルタン星人はセミのような口をしているのだが、ゼットンと同じ様に口の近くでパンが虚空に消えていく。
「バルタン星の超科学ってやつさ。」
「いや科学でどうにかなる問題じゃn」
「それはそれとして君明日退院じゃないか。」
「え…?そうだが…。」
話を無理矢理変えられてしまった。
(そんな嫌だった…?)
「その時にあってほしい人たちがいるんだ。」
「どんな奴らなんだ?」
現地住民と最悪のファーストコンタクトを果たしたゼットンは警戒心剥き出しだ。
「我々と同じ、冒険者四人組だ。巷では勇者一行なんて呼ばれているな。」
「勇者…。」
「何でも、武闘大会に参加する予定らしい。手合わせできるかもな。」
なんてことを話していると、外がざわつきだす。
ゼットンとバルタン星人が窓から顔を出すと、四人組の周りに人だかりができている。
少し遠くて何を言っているのかはわからなかったが、チヤホヤされている事はわかった。
その頃タイラントとメルバは依頼を終えてアクロス帝国に帰ってきていた。
「依頼が早く終わって良かったですね〜。」
「まぁ近場の魔物数匹倒してくるだけだったからな。」
「…なんかあそこ人集りできてません?」
「だな、ちょっと迂回するか。」
二人が通り過ぎながら人集りのを覗くと、中心の4人組に気付く。
「…あの人たち、勇者とかいう人たちじゃありません?」
「ホントだ!なんて名前だっけ?」
「あの赤髪の人が勇者クラウト、でかい人が戦士クラッシャ、女の人が魔法使いイザド、残りの一人が小兵ゾガーです。」
「アイツらも武闘大会に出るらしいな、楽しみだ。」
「ですね~。」
二人はその場を後にした。
「戻ったぞ〜。」
「お疲れさん。」
「お昼ごはん買ってきました〜。」
メルバが買ってきたカレーをみんなで食べる。
勿論タイラントはスプーンを使わずに直接食べている。
生前の彼らでは考えられない行動だが、怪獣墓場での経験が彼らを変えたのだろう。
「どんな依頼だったんだ?」
「そのへんの森で魔物をな。」
「相手が下級の魔物だったので移動時間の方が長かったですね。」
その日、ゼットンの病室からは静かながら楽しそうな声が聞こえていたという。