オレが魔法少女になったと思ったら、幼馴染も訳ありだったと知った不具合   作:社畜だったきなこ餅

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なんか沢山感想もらえたので投稿します。

前回のあらすじ
たっつん、浮気?現場に踏み込まれるの巻


狐と家族とドラゴン

 

 

オレも自分では何と説明していいかわからない感情に突き動かされ、たっつんの部屋のベランダに到着した、が。

そこでオレが見たものは、知らない美少女とたっつんがテーブルをはさんで向かい合って座っている光景だった。

 

物凄くもやもやした感情がオレの中を駆け巡り、頭の中がぐるぐるする。

なんだろう、すごくいやな気分で涙が勝手に出てくる。

 

 

「……とりあえず、何だ。こいつはお前が思ってるようなヤツじゃない」

 

「なんだよぉ、たっつんのばかやろぉ」

 

 

急いでやって来たのに、酷く裏切られた気持ちになって勝手に出てくる涙で視界がゆがむ中。

たっつんは鍵を開けるとベランダとリビングを遮るガラス戸を開き、半ば強引にオレを部屋の中へ引っ張り込む。

 

 

「親愛なるお兄様も隅に置けませんね、件の魔法少女は貴方にご執心のようです」

 

「黙れ」

 

 

ひらひらしたローブのようなものを着ている美少女が愉快そうに笑う中、たっつんはオレを強引にソファに座らせるとそのままオレの隣に座る。

そしてオレの両肩に手を乗せて口を開いた。

 

 

「こいつはこんな見た目だが男で異母弟だ、重ねて言うがお前が思ってるような相手じゃない」

 

「嘘つけよぉ、こんなかわいい男なんていないだろぉ。そんな嘘つくなよばかぁ」

 

 

とにかくむしゃくしゃして自分でも支離滅裂な事言ってると自覚しながらも、たっつんに酷い言葉をぶつける事が止められない。

たっつんがオレの言葉に困り果てる中、向かいのソファに座っている美少女がソファから立ち上がる音がオレの狐耳に届く。

 

 

「あんまりやりたい手じゃないんですけどねぇ、アサヒさん。こちらを見てくださいな」

 

「なんだよぉ、お前にだってオレは言いたいことが、あ………るぅ?!」

 

 

鼻を啜り勝手に流れる涙を手で拭いながら声がした方へ向くと、美少女がひらひらしたローブの裾を自ら両手で捲り上げていた。

そして、捲り上げられた裾の奥にはオレが魔法少女になって女体化するまで身近にあったモノが、美少女?の股間についていた。

 

 

「は、へ、ええぇぇぇぇぇぇ?!}

 

「うーん、とても素晴らしい反応です」

 

「お前、やり方あるだろうが……!」

 

 

衝撃的過ぎる光景に涙が引っ込み驚愕の叫びを上げるオレに、股間にモノがついている美少女?は満足そうにローブを下ろすとソファに腰掛ける。

 

 

「は、え、ええと……ええええ???」

 

「改めまして名乗らせて頂きます、僕はエレクと名乗っている者で……貴女の幼馴染である方の異母弟をしております。以後お見知りおきを」

 

 

精神的にガツンとモミジにぶん殴られたような衝撃を受けて、一周回って落ち着いたオレを見て美少女?は薄っすらと笑みを浮かべながら名乗る。

思わずたっつんへ視線を向ければ、これ以上ないぐらい重たい溜息を吐いていた。

 

 

「その、たっつん、凄く……個性的な弟さん、だな?」

 

「色々と否定したいところがあるが、まずは旭が落ち着いてくれて安心したよ」

 

 

思わずそんなことをたっつんへ聞けば、どこかホっとした様子を見せるたっつん。

その言葉にオレは、つい先ほどまで晒していた醜態を思い出してしまう。

 

 

「ぁ、ぇ、ぇぇと……ご、ごめん。たっつん」

 

「気にするな、そもそも俺の方に非がある」

 

 

このままたっつんの部屋のベランダから逃げ去りたい衝動を抑えつつ、たっつんに謝る。

 

 

(ぅぅぅ、顔から火が出そうなぐらい恥ずかしいぃぃぃ)

 

 

とりあえず、土足で上がってしまったので魔法少女のコスチュームになるといつも履いているブーツを脱いでおく。

何かしてないと、恥ずかしくて死にそうだ。

 

 

「親愛なるお兄様、こちらの方に事情を説明してあげてもよろしいのでは?」

 

「……そうだな、旭。前に説明できなかった件を改めて説明させてもらってもいいか?」

 

「うん、わかった。教えてくれよたっつん」

 

 

美少女?改めエレクに促されたたっつんが、軽く深呼吸する。

そしてたっつんの口から、事情の説明が始まる。

 

 

「そもそもな、俺と母さんがドイツに行ったという処から嘘だったんだ」

 

「え、マジで?」

 

 

まさか最初の時点から前提が大きく違ってた事に、オレはめっちゃ驚く。

勝手に狐耳と尻尾までピンと立ってしまうが、これはもう俺の感情に応じて勝手に動くから止めようがない。

 

 

「俺と母さんはクソ親父に呼び出されて、この世界とは異なる次元にある領域に行っていたんだ」

 

「ぴゅんぴゅん達の故郷の魔法の国みたいな場所か?」

 

「その魔法の国がどういう場所かは俺も知らないが、限りなく近くて遠い場所と言う意味では同じかもしれんな」

 

 

そうたっつんが口にすると、たっつんはテーブルの上に置いてある缶コーヒーを掴んで中身を一気に飲み干して続きを語り始める。

 

 

「そこで俺はまず、母さんを捨てて置いていったクソ親父に鉄拳を叩き込もうとした」

 

「待って、いきなり暴力的すぎない?気持ちは良くわかるけど」

 

 

思わず思わず突っ込みを入れてしまうも、親父さんのいる場所へ行く前一緒に遊んでいた時に親父さんに対してめっちゃ怒ってたたっつんだから。

いきなりそういう行動に出るのも、納得してしまう。

 

 

「そうしたら、異母兄弟や姉妹を相手に大喧嘩する羽目になったから。そいつら全員半殺しにしてクソ親父も徹底的に殴ったんだけどな」

 

「お、おう……」

 

 

(あれ?たっつんの異母兄弟、お袋さんは人間だったけど……でもたっつんの兄弟姉妹って事は、ドラゴンとかだよね?)

 

 

思わずそんな思考がよぎり、向かいに座るエレクに視線を向ける。

エレクは微笑を浮かべながら、大きく頷いて見せた。

 

 

「なんとクソ親父は代々乗り移って寄生を繰り返していた、寄生虫を殺す為の駒を作る為に俺を呼び出したという話でな」

 

「え?たっつん大丈夫だったの?!」

 

「安心しろ、異母兄弟姉妹とクソ親父殴り倒した事で俺も強くなっていたからな。最大火力叩き込んで魂の塵一つ残さず消し飛ばしてやった」

 

 

オレが心配の余り問う言葉に、たっつんは親指を立てて応じた。違うそうじゃない。

だけど、たっつんがあそこまで強い理由が何となくわかった気がした。

 

 

「補足しますとね、親愛なるお兄様は全ての継承者を半殺しにして下した末に当主だったお父様も叩きのめしたので。竜族の偉大なる次期当主様でもあります」

 

「え、マジで?!」

 

「エレク、俺はそういうのは御免だと言っているだろう。一番次期当主とやらに近かった長兄にやらせればいいだろうが」

 

「いやですよ親愛なるお兄様、兄上も偉大なる竜ですが弱き者の心は理解しません」

 

 

エレクが補足した内容に驚愕の叫びを上げるオレ、なんか今日オレ驚いてばっかり。

だけどたっつんはエレクの言葉にげんなりしながら言葉を返すが、エレクは浮かべていた笑みを消すと真顔でたっつんを真正面から見据える。

 

 

「お父様の最弱の息子で半端モノとして打ち捨てられていた僕ですら、親愛なるお兄様は弟として扱ってくれました。それが全てですとも」

 

「真っ先に俺の協力者になったヤツが何を言ってる」

 

「でも親愛なるお兄様は僕を協力者に据えたじゃないですか、他の継承者である兄上姉上らは僕の存在を歯牙にもかけませんでしたよ」

 

 

どうやらエレクもまたたっつんに対して、色々重たい感情を持ってるらしい。

なんだろう、男で弟って事に安心してたけど。本当に安心していいのだろうか?

 

 

(いやいやいやそもそも、安心とか何だよ。オレは元々男だしたっつんはただの親友の幼馴染だろうが)

 

 

何か胸がざわざわして落ち着かない。

 

 

「それに親愛なるお兄様に殴り倒された継承者達や、そうでない兄弟姉妹や眷属もお兄様を当主と仰ぐ事だけは受け容れてますしね」

 

「俺はごめんなんだが」

 

「そんな事言って良いのですか? 親愛なるお兄様が当主にならないと間違いなく兄弟姉妹で、今度は止まらない殺し合い始めますよ」

 

「前から思っていたが、お前ら血の気が多いにもほどがあるだろう……」

 

 

たっつんの言葉に思わず同意するように頷くオレだが、でも親父さんの領域に行くや否や殴りに行ったたっつんも人の事言えないと思う。

でもとりあえず、オレにもわかるようにたっつんが説明してくれたおかげでたっつんの状況は何となく理解した。

 

けど、そうなるとどうしてもわからないことがある。

 

 

「だけどさ、その、たっつんが正体バレたら何で戻らないといけないんだ?」

 

「お父様の考えは僕にもわからないんですよねぇ、何かしら深い考えがあるのでしょうけども」

 

「クソ親父は理由を説明する事なく、他者に正体がバレたら帰れとしか言わなかったからな……」

 

 

どうやら事情に詳しいエレクもその辺りはわからないらしい。

ついでにたっつんも説明されてないらしい、なんだろう……説明不足で言葉が足らない人の雰囲気がすごくするぞ、たっつんの親父さん。

 

 

「で、どうします? 親愛なるお兄様、ここまで飛び込んでくるぐらいですし親愛なるお兄様が帰らずに済む手段を頼めばすんなりいくと僕は考えるのですけどね」

 

「黙れエレク」

 

「え?! たっつんが帰らずに済む手段があるの?!」

 

 

勿体ぶった言い方でエレクが告げた内容に、オレはテーブルに手を付きながら勢いよくエレクに詰め寄る。

たっつんは何か気に入らない様子なのがちょっと気になるけど、オレはそれどころではない。

 

 

「家族以外にはバレてはいけない、と言う文言ですからね。貴方が親愛なるお兄様の家族になればいいのです」

 

「はへ?義兄弟の杯でも交わせばいいのか? 簡単だな!」

 

 

ニィ、と悪い笑みを浮かべながらエレクが喋る内容は思った以上に簡単だった。

 

 

(なんだ、そんな事でいいんだ!)

 

 

しかしエレクはオレの返答に眉間を手で揉み解すと、気を取り直した様子でTake2と言わんばかりに胡散臭い笑みを浮かべて言葉を紡いだ。

 

 

「訂正しましょう、貴方と親愛なるお兄様が夫婦になれば解決という事です」

 

「へ?夫婦? 誰と誰が?」

 

「貴方と親愛なるお兄様が……へぶぅっ!?」

 

 

エレクの言葉に思考が停止したオレは、アホそのものみたいな声を出しながら問い返す。

問い返されたエレクは、どうしようもないアホに言い聞かせるような優しい声で言葉を続け。

 

たっつんが勢いよく投げた缶コーヒーの空き缶を額にぶち当てられ、勢いよくのけぞりながらソファの背もたれを超えて背中から転げ落ちていった。

 

 

「旭、コイツの言う事は真に受けるな……旭?」

 

 

(夫婦?オレとたっつんが?)

 

 

エレクが放った言葉がオレの頭の中をぐーるぐると駆け巡る。

待ってほしい、オレは元男だしジャークをぶちのめして平和になったら男に戻る予定なんだ。

 

しかし、ここでこの申し出を断ればたっつんとは離れ離れになるのは避けられない。

ならば、そうだ。偽装結婚とかそんな感じでいいんじゃないか?

 

 

「おーい、旭……?」

 

 

それに夫婦、と言う単語を聞いてからさっきまで抱えていたもやもやが消し飛んで凄い清々しい気分だ。

コレは間違いなく、たっつんと離れずに済む決定的な道が見つかった証拠だな!

 

 

「いいじゃん夫婦、なろうぜたっつん!」

 

「マテ、待て待て旭!いいか、一度大きく深呼吸するんだ旭!」

 

 

オレに呼びかけていたたっつんに向き直ると、ぐいっと体を乗り出して抑えきれない笑みをうかべながらたっつんを告げる。

何故かたっつんは身を乗り出したオレの勢いに押され、見た事がないぐらいたじろいでいる。

 

 

(まぁそりゃたっつんも、元男と夫婦なんて躊躇するよなぁ)

 

 

「偽装結婚ってやつだよたっつん!」

 

「ま、待て落ち着け旭!おいエレクなんとかしろ!?」

 

「わー、大変だー。親愛なるお兄様に投げつけられた空き缶のダメージでしばらく起き上がれないやー」

 

「クソが!?」

 

 

奇しくもいつもみたいな賑やかなノリを取り戻せてテンションが突き抜けるオレ。

しかしこの時、オレはドラゴン達の次期当主であるたっつんと表向きだけでも夫婦になるという事について、まったく深刻に考えてはいなかった。

 

 

 

まさか、あんなことになるなんて……




エレク君はゆったりとしたローブみたいなひらひらした服を着用してました。
なので割と簡単に股間を曝け出せるわけですね。
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